COCOHELI ココヘリ / 山岳遭難対策制度(ココヘリ) 550万円までの捜索救助を実施 入会金1,100円OFF
白峰三山の稜線

2泊3日で南アルプスを堪能!白峰三山縦走コースを解説

南アルプスの人気縦走コース・白峰三山をご紹介します。こちらで紹介するのは広河原から奈良田に抜ける一般コース。道中の山小屋や山の情報を解説します。

目次

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、山小屋営業ならびに交通状況などに変更が生じている可能性があります。
山小屋や行政・関連機関が発信する最新情報を入手したうえで登山計画を立て、安全登山をしましょう。
アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

白峰三山とは?

白峰三山

撮影:YAMA HACK編集部

南アルプス北部から中部にかけて続く北岳、間ノ岳、農鳥岳の総称です。すべて3000mを超える高峰で、中でも北岳(3193.2m)は日本2位、間ノ岳(3189.5m)は日本3位という高さを誇ります。これらをすべて歩ききる白峰三山の縦走コースは、南アルプスを代表する縦走路として人気です。

北岳

北岳

出典:PIXTA

日本百名山にも選ばれ、「南アルプスの名主」ともいわれる日本第2位の高峰。火山でない山としては日本一の高さを誇ります。高山植物の宝庫としても有名で、有名なキタダケソウをはじめ、キタダケキンポウゲやキタダケナズナなど、たくさんの固有種を観察することができます。東側斜面にある「北岳バットレス」は、戦前から登攀されるアルパインクライミングのクラシックルートとしても有名で、現在でも多くの人が登っています。

標高山頂所在地山域最高気温(6月‐8月)最低気温(6月‐8月)
3193.2m山梨県南アルプス市南アルプス北部14℃0.4℃

間ノ岳

間ノ岳

出典:PIXTA

日本百名山に選ばれ、日本第3位の標高を誇る高峰。白峰三山の真ん中にあり、山頂からの景色は360度と開けています。間ノ岳から西側の三峰岳を越えて南下すると、さらに塩見岳や赤石岳など、南アルプスの名峰を縦走することもできます。

標高山頂所在地山域最高気温(6月‐8月)最低気温(6月‐8月)
3189.5m山梨県南アルプス市
南巨摩郡早川町
静岡県静岡市葵区
南アルプス北部14.2℃0.5℃

農鳥岳

農鳥岳

出典:PIXTA

日本二百名山に選ばれている農鳥岳は、山頂が東西に分かれ、西側の「西農鳥岳」の方が3051mと標高が高くなっています。「農鳥岳」という名前は、毎年雪解けの時期に白鳥形をした雪形が斜面に出現し、これを見た農家が田植えを始めたところからこの名前が付いたといわれています。

標高山頂所在地山域最高気温(6月‐8月)最低気温(6月‐8月)
3026m山梨県南巨摩郡早川町
静岡県静岡市葵区
南アルプス北部14.9℃1.4℃

地図も必ずチェック!山と高原地図 北岳・甲斐駒

白峰三山を縦走するなら、登山地図の定番「山と高原地図」がオススメ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!

一般的な縦走コースは?

合計距離: 26.65 km
最高点の標高: 3169 m
最低点の標高: 841 m
累積標高(上り): 4589 m
累積標高(下り): -5217 m
【体力レベル】★★★★☆
2泊3日
コースタイム:18時間31分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

白峰三山の縦走は、北部は広河原から、南部は奈良田から登り始めることができます。どちらからもアクセスは可能ですが、今回は特に人気の広河原からの縦走コースをご紹介します。

1日目:広河原(2:35)→白根御池小屋
2日目:白根御池小屋(3:00)→北岳肩の小屋(0:50)→北岳(1:31)→中白根山(1:00)→間ノ岳(1:00)→農鳥小屋
3日目:農鳥小屋(1:10)→西農鳥岳(0:50)→農鳥岳(0:40)→大門沢下降点(1:30)→大門沢小屋(1:30)→大門沢登山道口(1:00)→奈良田

難易度は?

白峰三山の縦走コースは特筆するような危険個所はありませんが、2泊3日という内容で途中でエスケープするルートがないこともあり、長時間歩ける体力を十分につけて臨むようにしましょう。

おすすめの時期は?

キタダケソウ

出典:PIXTA

雪解けの春から10月ごろまで。7月上旬ごろまでは、ここでしか見られない北岳の固有種「キタダケソウ」を見ることができます。また、間ノ岳を中心に広大な稜線が続くため、雷がなると隠れる場所がなくなります。天気予報をよく見て行動するようにしましょう。

広河原からの縦走ルート

1日目:広河原~白根御池小屋

広河原

撮影:YAMA HACK編集部

今回ご紹介するのは、朝家出を出ても間に合う縦走プラン。広河原のバス停の向かいにある野呂川を橋で渡り、沢沿いの道を進みます。約2時間40分後に最初に到着するのが白根御池小屋。まずはここに1泊です。小屋のすぐ近くには白根御池があるので、そちらにも立ち寄ってみましょう。

白根御池小屋

撮影:YAMA HACK編集部

【白根御池小屋】
電話:090-3201-7683
営業:6月中旬~11月上旬(11月1日から小屋締めまでの数日は素泊まりのみ)
標高:2228m

料金
1泊2食付き8300円
寝具付き素泊まり5300円
テント1人500円
お弁当(昼食)1100円
個別料金(1部屋あたり)
※混雑時は利用不可
5000円

2日目:北岳~間ノ岳を縦走

ライチョウ

撮影:YAMA HACK編集部

白根御池小屋から北岳、間ノ岳を一気に縦走します。北岳以降は稜線歩きとなりますが、北岳の肩までは険しい上り坂が続きます。途中、森林限界に達するとハイマツなどの高山植物が生い茂ります。このあたりにはライチョウが多く、見られるチャンスです。

北岳山頂

撮影:YAMA HACK編集部

北岳山頂は比較的広く、遠くに富士山や八ヶ岳、北アルプスを望むことができます。白根御池小屋から山頂までは約4時間。ここからは一気に下り中白根山、間ノ岳の2つの3000m峰を歩き、農鳥小屋を目指します。北岳からの下りの途中には鎖場もあるので注意が必要です。

間ノ岳から農鳥岳方面

撮影:YAMA HACK編集部

中白根山を経て間ノ岳山頂付近からの景色。間ノ岳は日本3位の高峰ながら、なだらかな山容で、「間ノ岳」の由来も”白峰三山の間にある”ところからきています。高山植物が豊富なこの辺一帯の中でも、山頂付近は岩屑地帯となっています。ここから写真左奥にある農鳥小屋まで下れば、2日目の行程は終了です。

【農鳥小屋】
電話:0556-48-2533
営業:7月上旬~10月上旬
収容人数:120人
標高
:2800m

料金
1泊2食付き7000円
1泊朝食付5500円
1泊夕食付6000円
素泊まり寝具付き4500円
素泊まり寝具なし3500円

3日目:農鳥岳~奈良田

富士山

撮影:YAMA HACK編集部

3日目は農鳥岳を登頂し、そのまま奈良田まで下山します。農鳥小屋から農鳥岳山頂までは約1時間半ほど。はじめから急登になりますが、思い切って早めに出発すれば、山頂から正面にそびえる大きな富士山とともにご来光を見られるかもしれません。南アルプスから見る富士山は、中央アルプスや北アルプス、八ヶ岳よりも近いため、非常に大きく見えるのが魅力です。

奈良田温泉

出典:PIXTA

農鳥岳から南下したところにある大門沢下降点から約5時間30分ほど大門沢沿いを降り、林道を歩けば奈良田に到着です。バス停の近くにある奈良田温泉につかり、疲れを取りましょう。

アクセス情報

広河原までのアクセス

広河原まではマイカー規制があるため、車でアクセスする場合は途中の市営芦安駐車場の無料駐車場にとめて路線バスか乗合いタクシーに乗り換える必要があります。また、広河原までのバスは甲府駅から出ているため、公共交通機関を利用する場合は、まずは甲府駅を目指すようにしましょう。

マイカー規制情報
山梨交通(南アルプス登山バス)
【車の場合】
時間:約3時間(路線バス含む)
バス料金:1030円
タクシー料金:1100円
行程:東京方面-(中央自動車道)-甲府昭和IC-(県道39号~107号~20号)-桃の木温泉 市営芦安駐車場-(南アルプス登山バス or 乗り合いタクシー)-広河原
※利用者協力金別途100円が必要

【甲府駅からバスの場合】
時間:約1時間55分
バス料金:1950円
行程:甲府駅-(南アルプス登山バス)-広河原
※利用者協力金別途100円が必要

 奈良田からの交通便

奈良田から帰路につく際、甲府への直行バスはありません。広河原で甲府駅行に乗り換えるか、JR身延駅、JR下部温泉へのルートのみとなります。

【広河原へのルート】
時間:約45分
バス料金:1030円
行程:奈良田-広河原
※利用者協力金別途100円が必要

【下部温泉駅へのルート】
中央本線方面へは下部温泉へ
時間:約1時間10分
バス料金:800円
行程:奈良田温泉-下部温泉駅
※荷物運賃200円、利用者協力金別途100円必要
【身延駅へのルート】
東海道方面へは身延駅へ
時間:約1時間30分
バス料金:1000円
行程:奈良田温泉-(下部温泉駅経由)-身延駅
※荷物運賃200円、利用者協力金別途100円必要

奈良田からスタートする場合

今回ご紹介したコースとは逆に、奈良田から広河原に抜ける縦走も可能です。奈良田までは南側からマイカーでのアクセスが可能なため、広河原へ下山後に奈良田までバスで戻れば帰路につくことができますよ。

 

【登山時の注意点】
・南アルプスは本格的な山岳エリアですので、しっかりとした登山装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。


National Parks of Japan

白峰三山 は 南アルプス国立公園 に含まれています。