3.磐梯山(福島県)|東西南北にまったく異なる絶景が待っている!

福島の名峰、磐梯山。登ったことはなくても、聞いたことはあるでしょう。会津磐梯山。火山らしく噴火の影響が荒々しく残り、力強さを感じさせる山容が特徴の山です。天高くそびえたつ姿は、ほんとうに印象的。遠くからもそれとわかります。かっこいいんだよなあ。
猪苗代湖や桧原湖といった近隣の湖沼で釣りを楽しむ人にもよく知られた地域。下山後、あるいは登山前に、テントを張ってキャンプしたりペンションに泊まったりするのも最高です。冬ならスキーにスノーシューハイク、ワカサギ釣りも楽しい。東北を代表するアウトドアアクティビティの聖地、それが磐梯山とその周辺の魅力です。

山容の荒々しさとは裏腹に、とても登りやすい登山道です。ブナの樹林帯を抜けて、樹木のアーチに囲まれたトンネルのような急登を経て、絶景の山頂へと至ります。
眺めは360度。もう言葉がありません。関東や関西の登山者にとって、東北の山岳風景は新鮮で楽しいはずです。地元の登山者に声をかけて、目に見えている山の名前を聞いてみるのも山の楽しみ方のひとつ。東北のみなさん、優しく教えてくれるはずですよ。
磐梯山の眺めの特徴は、東西南北の見る方角によって、まるで風景が異なること。東には安達太良山、西には猫魔ヶ岳。南には猪苗代湖、北には桧原湖。足もとの風景も、遠くを眺める景色も、それぞれの個性が際立ちます。願わくば、晴れの日に登りたいですね。

それはそうと、難しいのは山頂付近の紅葉のタイミングと、山麓の紅葉のタイミングが、ちょっとズレるということ。例えば八方台登山口の標高は1194mで、磐梯山の標高が1816m。その差が622mあります。季節の風の強さと冷たさもあいまって、色づきに時間差が生まれます。山頂付近の紅葉を楽しむか、上からふもとの紅葉を眺めるか、それが問題……。
おすすめコース

コース概要
八方台登山口(40分)→裏磐梯スキー場分岐(85分)→弘法清水小屋(40分)→磐梯山(20分)→弘法清水小屋(5分)→天狗岩(55分)→裏磐梯スキー場分岐(25分)→八方台登山口
4.蔵王(宮城県、山形県)|超絶スケールだけど歩く苦労は少ない異世界ハイキング

宮城県と山形県にまたがる蔵王もまた、複数の山岳の集まりです。主だったピークは山形側の熊野岳、両県境の刈田岳、宮城側の屏風岳など。これらが北から南にかけて並んでいます。よく言われる「蔵王という山頂」はなく、山一帯の総称を蔵王、あるいは蔵王連峰と呼びます。
古くから山岳信仰の山として知られ、奈良は吉野の金峯山より勧請された金剛蔵王権現を山名の由来としていることも興味深いところ。熊野岳という山があることも、紀伊半島の霊場の影響をつよく感じます。熊野古道のアンバサダーであるぼくの関心領域ですが、話が長くなりそうなので、今回はこのくらいにしておきましょう……。

広域な観光開発が進んだこともあり、山形側なら地蔵岳のふもとまでロープウェイで、宮城側なら刈田岳の山頂付近まで車であがることができます。歩いて登るのも楽しいし、それらの交通手段で一気にあがれば山上で過ごす時間をたっぷりとれるのも嬉しい利点。
個人的におすすめなのが、大黒天駐車場から歩いて登り、稜線に並ぶいくつかのピークを結んで歩くコースです。たとえば刈田岳、熊野岳、地蔵岳をつなげて歩くだけでも壮大で爽快、もう最高でしかありません。駐車場までピストンで戻ってくるため、同じ風景を異なる視点から二度楽しめるのも◎です。

注意したいのは、蔵王は活火山だということ。近づいてはいけないエリアがあったり、避難小屋の場所を確かめておいたりと、何気に気は抜けません。ところどころに注意を促す看板があるので、スルーはせずにしっかりチェック。
とはいえ、それだけに山上は荒涼とした雰囲気がどこまでも広がっている異世界です。紅葉に早い時期は緑が強め。というか、樹木よりも岩石の色味や地質の複雑さに目を奪われること間違いなしです。山肌全体に独特な土の色味をもち、それがエメラルドブルーの御釜とスカイブルーの空、そして流れの早い白雲と相まって、神がかった光景を生み出します。
まるでどこかの惑星に着陸したか、はたまた浄土に迷い込んだか、そんな気分に。いやどちらも行ったことはありませんが。
おすすめコース

コース概要
大黒天(70分)→刈田岳避難小屋(5分)→刈田岳(40分)→馬の背分岐(15分)→熊野岳(30分)→地蔵岳(45分)→熊野岳避難小屋(10分)→馬の背分岐(35分)→刈田岳(5分)→刈田岳避難小屋(40分)→大黒天
緑の混じる早めの紅葉を楽しむ、フライング紅葉ハイク


紅葉といえば鮮やかな赤と黄に目を奪われがちですが、登山をはじめてから故郷の栗駒山に登り、緑色の強い紅葉を目にして感動しました。以来、たまらなく好きに。発色のいい黄や赤、そしてオレンジが、落ち着いた緑色と混じり合ったときの妙。
たとえば東北屈指の紅葉名山として知られる岩手の三ツ石山や宮城の栗駒山は、緑が抜群に効いています。とくに栗駒山の南側はグリーンとオレンジが織りなす「神の絨毯」そのもの。まあ、その年によって、そして植生の変化や気象条件などによっても変わるのでしょうが、それにしてもこの美しさですから。登るたびにこの眺めを期待しちゃうのも無理はありません。
そうそう、この原稿が公開されるころ、ぼくはまたここにいるかも。緑が効いた紅葉を求めて、東北の山に行こうと思っています。雨の多い最近ですから、天気次第ですけどね。
