アイキャッチ画像出典:PIXTA
奥武蔵の山間を走り、駅から登山道へ直結のコースも充実の路線

東京都の池袋駅から埼玉県の西武秩父駅を結ぶ西武池袋線。途中の所沢駅では西武新宿線も交差しており、都心からアクセスしやすい路線です。
通勤・通学客の利用も多い一方、西武秩父駅まで特急列車が運行される観光路線の側面もあります。また飯能駅から先には南北に奥武蔵山域が連なっており、さまざまな駅からハイキング・登山を楽しむことができます。
今回はそんな西武池袋線沿線で全10箇所のスポットをピックアップしました。手軽なハイキングから本格的な長距離登山まで、あなたにぴったりのコースがきっと見つかりますよ!
※各コースをクリックすると、コース詳細へジャンプします
■武蔵野の自然を手軽に満喫できる里山探訪
■短時間でも充実!初心者におすすめの低山
■駅から駅へ。達成感抜群の縦走コース
■登り応え抜群!関東百名山
武蔵野の自然を手軽に満喫できる里山探訪

西武池袋線のハイキング・登山スポットは奥武蔵の山々が連なる飯能駅以西と思いがちですが、より都市部に近く魅力的なコースも。武蔵野台地に連なる丘陵地帯は、その代表格です。
①狭山丘陵・八国山(所沢駅)

コース概要
所沢駅(15分)→久米境(10分)→公事道(10分)→八国山緑地入口(10分)→八国山(5分)→おおぞら広場(5分)→新山手病院(2分)→八国山緑地入口(13分)→ひだまり広場分岐(15分)→八国山緑地入口(10分)→西武園駅(15分)→赤坂道分岐(5分)→村山下ダム(10分)→狭山公園入口(10分)→武蔵大和駅

病身の母が入院する療養所に近い郊外へ父と引っ越してきた姉妹・サツキとメイが、不思議な生き物・トトロと出会い交流する様子と描いたアニメ映画『となりのトトロ』。舞台となった昭和30年代の緑豊かな農村は作中では七国山(しちこくやま)となっていますが、そのモデルの一つとされるのが東京都東村山市にある八国山(はちこくやま)緑地です。
八国山は狭山湖・多摩湖周辺に連なる狭山丘陵の東にあたる里山で、現在は都立公園として整備されています。
かつて上野国・下野国・常陸国・安房国・相模国・駿河国・信濃国・甲斐国(現在の群馬・栃木・茨城・千葉・神奈川・静岡・長野・山梨県)の8つの国の山々が見渡せたという園内には、クヌギ・コナラなどの雑木林にさまざまな野鳥や昆虫が棲息。山麓にはいずれも結核療養所を前身とする東京白十字病院・新山手病院という母の療養所のモデルと思われる病院もあります。

八国山緑地だけでなく、多摩湖(村山貯水池)の湖畔散策もこのコースの見どころです。村山下貯水池の堰堤からは、西洋の古城のような取水塔や、晴れた日には富士山や奥多摩の山々を一望。風光明媚な水風景を堪能することができます。
また隣接する狭山公園には、メイが行方不明になった時に溺れたのではないかと心配された神池のモデルとする説もあるたっちゃん池(別名:宅部=やけべ=池)があります。大正時代には実際にたっちゃんという少年と救助にあたった多摩湖造成工事の青年監督官が溺死するという事故があった場所で、映画には景観だけでなくこうした歴史・伝承も反映されていることを実感することでしょう。
②加治丘陵・阿須山(仏子駅)

コース概要
仏子駅(10分)→桜山展望台分岐(20分)→どんぐりの会の道分岐 (25分)→阿須山(5分)→C-5分岐(10分)→桜山展望台(5分)→入間市農村改善センター(10分)→谷ヶ貫寺バス停(20分)→埼玉県茶業研究所(40分)→JR八高線・金子駅

埼玉県飯能市方面から入間市西部にかけて広がる加治丘陵は、古代の多摩川が運んだ砂や石が堆積した扇状地が、その後の浸食によって形づくられた丘陵地帯です。隣接する狭山丘陵も、もとは同じ地形の一部だったとされています。
仏子(ぶし)駅からジグザグの道を登れば、すぐに舗装された散策路が延びる稜線へと出ます。
阿須山(あずやま・189m)は樹林に囲まれており三角点と東屋があるのみですが、さらに南に位置する桜山展望台は文字通りの絶景ポイント。眼下の飯能・入間市街はもちろん、奥武蔵・奥多摩・丹沢をはじめ視界がよい日には富士山や筑波山までを望むことができます。

谷ヶ貫寺バス停を下って霞川を渡ると、広大な茶畑が広がります。
ここで育てられているのは、日本三大銘茶の一つに数えられるブランド茶「狭山茶」です。入間市は生産量・栽培面積ともに埼玉県内一の名産地。「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と称されるように、寒い冬を乗り越えて育つ茶葉が生み出す、甘く濃厚な味わいが魅力です。
緑色の畝が続く茶畑がどこまでも広がる様子は、まさに埼玉県の里山を代表する景観のひとつ。埼玉県茶業研究所を経由して、JR八高線・金子駅までゆっくり歩きましょう。金子駅からは下り方面へひと駅で、西武池袋線の東飯能駅へと戻ることができます。
短時間でも充実!初心者におすすめの低山

ここからはいよいよ奥武蔵の山々を紹介します。まずは初心者や家族連れでも気軽にチャレンジ可能な、駅から近く短時間で歩くことができる2コースをチェックしましょう。
③多峯主山〜天覧山(飯能駅)

コース概要
飯能駅(10分)→広小路(5分)→飯能河原(10分)→中央公園(20分)→御嶽八幡神社鳥居(40分)→多峯主山(10分)→見返坂分岐(3分)→武蔵台分岐(7分)→太郎坊(20分)→天覧山(15分)→登山口(10分)→飯能河原(5分)→広小路(10分)→飯能駅

奥武蔵の玄関口・飯能の市街地に近いながら、変化に富んだ縦走を楽しむことができるのが多峯主山(とうのすやま・271m)と天覧山(てんらんざん・195m)です。さまざまな登山口・登山コースがある山ですが、今回は御嶽八幡神社鳥居から多峯主山をめざします。
鳥居から30分ほど登った御嶽八幡神社は展望が開けており、奥多摩のランドマーク・大岳山や富士山を望むことが可能。社殿には毎日更新される日めくりカレンダーが掛けてあり、地元の人に愛される存在であることを感じます。
ここからなだらかな稜線を進みバイオトイレを越えると多峯主山の山頂で、南側はツツジの群落となっています。

多峯主山から岩場を下ると、ふたたび歩きやすい平坦な稜線が続きます。
途中でいくつかの登山道と合流し、木製の階段を登れば天覧山です。明治天皇が近衛兵の演習をこの山頂から視察したことが山名の由来となっている通り、眼下には飯能の街並が広がり、こちらからも富士山を眺望することができます。
天覧山の中腹にもツツジの群落があり、例年ゴールデンウィーク前後に見頃を迎えます。山麓の飯能中央公園は桜の名所、能仁寺は紅葉の名所となっており、空気が澄んだ冬場を含めて、いつ訪れても楽しむことができるコースです。
④日和田山(高麗駅)

技術的難易度: ★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場、雪渓、渡渉箇所のいずれかがある
・転んだ場合に転落・滑落事故につながる箇所がある
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例:グレーディング表
コース概要
高麗駅(5分)→台(7分)→鹿台橋(3分)→高麗本郷(10分)→日和田山登山口(15分)→一の鳥居(男坂・25分)→金刀比羅神社(10分)→日和田山(5分)→刀比羅神社(女坂・15分)→一の鳥居(10分)→日和田山登山口(7分)→高麗本郷(3分)→鹿台橋(10分)→台(5分)→高麗駅

高麗(こま)駅から20分ほどで登山口へアクセスできる日和田山(ひわださん・305m)は、関東百名山にも選定されており、レベルや体力に合わせた登山コース選びや、武蔵横手駅・東吾野駅など西武池袋線沿いの駅への縦走ルートの設定も可能な点が魅力の山です。
山麓に広がる巾着田は高麗川が蛇行して流れることによってできた珍しい地形で、日和田山への登山道からも見下ろすことができます。春には桜と菜の花、秋には約500万本もの曼珠沙華(ヒガンバナ)が咲き、日和田山とあわせて訪れるのもおすすめです。

日和田山の登山道は一の鳥居から金刀比羅神社※まで、男坂・女坂・見晴らしの丘(上部で男坂と合流)の3つの登山コースがあります。モデルコースは男坂を登る前提ですが、写真の通り急傾斜の岩場が続きます。この適度なスリルが日和田山の魅力でもありますが、苦手な人は女坂がおすすめです。
金刀比羅神社から宝篋印塔がそびえる山頂へも、斜度は緩やかなものの岩場が続くので注意が必要です。東側が開けた山頂にはベンチや展望案内板が設置されています。男坂を経由してきた人でも、下りでは岩場がなく傾斜もゆるやかな女坂を通行するのが安全です。
※金刀比羅神社前にあった二の鳥居は老朽化のため2026年9月に撤去されています
