アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部
山小屋でモバイルバッテリーの持ち込み・充電を制限する施設が増えている

登山では、GPS地図アプリや緊急時の連絡手段としてスマートフォンが欠かせず、モバイルバッテリーも必携装備のひとつです。その一方で近年、山小屋ではモバイルバッテリーの持ち込みや充電方法を制限する施設が増えています。
背景にあるのは、リチウムイオン電池による発火事故の増加です。
総務省消防庁が公表した「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果の公表(令和7年)」でも、リチウムイオン電池を原因とする火災は継続的に発生しており、充電中や給電中の事故が特に多いことが報告されています。

木造建築が多い山小屋では、一度火災が発生すると大きな被害につながる恐れがあるため、次のようなルールを設ける施設もあります。
- 客室へのモバイルバッテリーの持ち込み禁止
- 玄関や玄関ホールに設置したロッカーで保管
- 小屋内・ロッカー内での充電や給電は禁止
一方で、小屋内にはコンセントを設置し、スマートフォンなどを直接充電できるようにしている施設もあります。また、ヘッドライトやカメラなどはPSEマーク※付き製品のみ充電可能としている場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
※PSEマークは、日本の「電気用品安全法」に基づき、国が定める安全基準をクリアした電気製品に表示されるマーク
モバイルバッテリーは欠かせない装備だからこそ、「持つ」だけでなく「安全に持ち歩く」という意識も求められるようになっています。
モバイルバッテリーを持ち歩くなら「耐火ポーチ」を備えておきたい
「規制が増えているなら、モバイルバッテリーは持っていかない方がいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、現在の登山ではそれは現実的ではありません。
GPS地図アプリを使い続ければスマートフォンのバッテリーは大きく消耗しますし、道迷いやケガ、悪天候による停滞など、万が一の場面ではスマートフォンが命綱になることもあります。
そこでおすすめしたいのが、耐火ポーチ(耐火バッグ・耐火袋)です。

耐火ポーチは、リチウムイオン電池が万が一熱暴走した際に、炎や高温の煙が周囲へ燃え広がるのを抑えるためのケースです。
ただし、発火を防ぐものではありません。また、「絶対に燃えない魔法の袋」でもありません。あくまで、周囲へ火が燃え移るまでの時間を稼ぎ、避難や初期消火につなげるための備えです。
ザックの中にはレインウェアやダウンジャケット、行動食など燃えやすいものが数多く入っています。そのため、モバイルバッテリーをそのまま収納するのではなく、耐火ポーチに入れて持ち歩くことは、自分自身だけでなく周囲の登山者や山小屋を守ることにもつながります。
耐火ポーチ選びで確認したい5つのポイント
見た目が似ていても、耐火ポーチの性能は製品によって大きく異なります。購入前には、次のポイントを確認しておきましょう。
モバイルバッテリーの内部発火に配慮した製品か

耐火ポーチには、「外部からの火炎への耐性を想定した製品」と、「リチウムイオン電池の熱暴走対策を想定した製品」があります。
登山でモバイルバッテリーを持ち歩くなら、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池の収納を想定した製品を選びましょう。
製品によっては、「モバイルバッテリー対応」「熱暴走対策」「難燃ガジェットポーチ」などと記載されています。
開口部までしっかり閉じられる構造か

生地だけでなく、開口部の構造も性能に影響します。ファスナーや開閉部の仕様も確認しましょう。難燃ファスナーや面ファスナーとの二重構造など、開口部までしっかり閉じられるかどうかも、選ぶ際のポイントになります。
多層構造や耐熱・難燃素材を採用しているか

グラスファイバー(ガラス繊維)などの耐熱素材を使用した多層構造は、耐火ポーチで採用されている代表的な仕様のひとつです。
耐熱性のある素材や複数の層を組み合わせることで、万が一モバイルバッテリーが発熱・発火した際の影響を抑えることを目的としています。
製品を選ぶ際は、素材や構造だけでなく、メーカーが公開している性能情報も確認しましょう。
UL94やJISなど難燃規格が明記されているか

製品仕様にUL94などの難燃規格やメーカーによる試験結果が記載されているかも確認しましょう。第三者機関による試験やメーカーによる性能確認の有無は、製品を選ぶ際のひとつの目安になります。
手持ちのモバイルバッテリーに合った内寸や収納可能サイズか


耐火ポーチは耐熱素材を使用した厚みのある構造のため、外寸に比べて内寸が小さい製品も少なくありません。
購入前には、収納したいモバイルバッテリーのサイズと、製品の内寸(または収納可能サイズ)が合っているかも確認し、モバイルバッテリーを圧迫しない適度な余裕があるものを選びましょう。
5つの条件で探した、登山向きの耐火ポーチ
耐火ポーチは数多く販売されていますが、「耐火」と書かれていても性能や構造はさまざまです。
そこで今回は、次の5つを基準に、登山で使いやすい耐火ポーチを探してみました。
- 内部発火(熱暴走)に配慮した設計
- 開口部の安全性
- 多層構造・グラスファイバー採用
- モバイルバッテリーに合わせて選びやすいサイズ展開・収納性
- ザックに入れやすい携行性
なお、耐火性能や安全性を保証するものではありません。購入前には、メーカーが公開している仕様や対応機器もあわせて確認してください。
エレコム|難燃ガジェットポーチ M

モバイルバッテリーの収納・持ち運びを想定して開発された難燃ガジェットポーチです。
シリコンコーティングしたグラスファイバーとアルミコーティングしたグラスファイバーによる二層構造を採用し、JIS L1091難燃試験にも合格。開口部は折り返して隙間を塞ぐ構造になっており、火や煙が漏れにくい仕様です。
約75gと軽量で、登山時の携行にも向いています。
エレコム 難燃ガジェットポーチM
| 外形寸法 | 約H180×W115×D5mm |
|---|---|
| 参考収納寸法 | 約H160×W80×D14mm |
| 重量 | 約75g |
| 材質 | 表面:シリコンコーティンググラスファイバー、裏面:アルミコーティンググラスファイバー |
- 内部発火(熱暴走)に配慮した設計
収納物の発火を想定した難燃設計 - 開口部の安全性
開口部を折り返して閉じる構造を採用し、隙間を減らす設計 - 多層構造・グラスファイバー採用
シリコンコーティングしたグラスファイバーと、アルミコーティングしたグラスファイバーによる二層構造。パイピングにも難燃性素材を使用 - モバイルバッテリーに合わせて選びやすいサイズ展開・収納性
M・Lの2サイズを展開 - ザックに入れやすい携行性
Mサイズで約75gと軽量。ループ付きで持ち運びにも配慮
オズマ|耐火ガジェットポーチ Mサイズ

モバイルバッテリーなどのバッテリー内蔵機器から発火した際の延焼リスク低減を目的に開発された耐火ポーチです。
外側にシリコンコーティングガラス繊維、内側にアルミガラス繊維を採用した難燃構造に加え、UL94 VTM-0およびJIS L1091A-2法の難燃性試験を実施している点も評価できるポイント。
さらに、止水ファスナーを使用しており、耐水性テストも実施済み。S・M・Lの3サイズを展開で、収納するモバイルバッテリーの大きさに合わせて選べます。
オズマ 耐火ガジェットポーチ Mサイズ
| 外形寸法 | H130×W200×D10mm |
|---|---|
| 重量 | 76g |
| 材質 | 外側:シリコンコーティングガラス繊維、内側:アルミガラス繊維 |
- 内部発火(熱暴走)に配慮した設計
バッテリー内蔵機器から発火した際の延焼リスク低減を目的とした設計 - 開口部の安全性
止水ファスナーとファスナーカバーを採用 - 多層構造・グラスファイバー採用
シリコンコーティングガラス繊維(外側)とアルミガラス繊維(内側)を採用 - モバイルバッテリーに合わせて選びやすいサイズ展開・収納性
S・M・Lの3サイズを展開 - ザックに入れやすい携行性
Mサイズで約76gと軽量
ナカバヤシ|Digio2(デジオツー)耐火バッテリーポーチ Mサイズ

モバイルバッテリーの熱暴走対策を目的に開発された耐火ポーチです。
グラスファイバーを使用した難燃構造に加え、JIS L1091難燃試験やメーカー独自の熱暴走試験を実施している点も安心材料の一つ。
難燃ファスナーを採用しているほか、収納サイズもモバイルバッテリーにちょうどよく、ザックにも収まりやすい設計です。
- 内部発火(熱暴走)に配慮した設計
モバイルバッテリーの熱暴走に備えた設計。メーカーによる熱暴走試験を実施 - 開口部の安全性
難燃ファスナーを採用 - 多層構造・グラスファイバー採用
グラスファイバーを採用 - モバイルバッテリーに合わせて選びやすいサイズ展開・収納性
モバイルバッテリー向けの1サイズを展開 - ザックに入れやすい携行性
約73gと軽量
ナカバヤシ Digio2(デジオツー)耐火バッテリーポーチ Mサイズ
| 外形寸法 | 約H180×W130×D10mm |
|---|---|
| 最大収納サイズ(目安) | 約H150×W90×D20mm |
| 重量 | 約73g |
| 材質 | 表生地:シリコンガラス繊維、裏生地:アルミ箔ガラス繊維、ファスナー:亜鉛合金、縫製糸:アラミド繊維 |
ハック|防炎ポーチ

モバイルバッテリーなどの電子機器向けに開発された防炎ポーチです。
特殊加工したグラスファイバークロスを二重構造で採用し、国内耐火テストも実施。約65gと軽量なので、ザックへ収納して持ち歩きやすい点も魅力です。
- 内部発火(熱暴走)に配慮した設計
モバイルバッテリーなど電子機器の収納を想定した防炎設計 - 開口部の安全性
ファスナーとファスナーカバーを採用 - 多層構造・グラスファイバー採用
特殊加工したグラスファイバークロスを二重構造で採用 - モバイルバッテリーに合わせて選びやすいサイズ展開・収納性
薄型の「防炎ポーチ」のほか、マチ付きの「防炎バッグ」も展開 - ザックに入れやすい携行性
防炎ポーチは約65gと軽量
ハック 防炎ポーチ
| 外形寸法 | 約H130×W210×D10.3mm |
|---|---|
| 重量 | 約75g |
| 材質 | ナイロン、PVC、PP、亜鉛合金、エポキシ樹脂、シリコンコーティングガラス繊維布 |
山小屋のルールを確認し、安全にモバイルバッテリーを持ち歩こう

登山では、モバイルバッテリーは今や欠かせない装備です。一方で、リチウムイオン電池による発火事故が増えていることを受け、山小屋では持ち込みや充電方法を見直す施設も増えています。
ルールは山小屋によって異なるため、宿泊前には公式サイトなどで最新情報を確認しておくと安心です。
また、モバイルバッテリーを携行する際は、耐火ポーチを活用するなど、万が一に備えることも重要。山小屋のルールを守ることは、自分自身だけでなく、同じ空間で過ごす登山者やスタッフの安全にもつながります。
これからの登山では、モバイルバッテリーを「持つ」だけでなく、安全に持ち歩くという意識も取り入れてみてはいかがでしょうか。
エレコム 難燃ガジェットポーチM
| 外形寸法 | 約H180×W115×D5mm |
|---|---|
| 参考収納寸法 | 約H160×W80×D14mm |
| 重量 | 約75g |
| 材質 | 表面:シリコンコーティンググラスファイバー、裏面:アルミコーティンググラスファイバー |
エレコム 難燃ガジェットポーチL
| 外形寸法 | 約H190×W240×D5mm |
|---|---|
| 参考収納寸法 | 約H180×W220×D14mm |
| 重量 | 約165g |
| 材質 | 表面:シリコンコーティンググラスファイバー、裏面:アルミコーティンググラスファイバー |
オズマ 耐火ガジェットポーチ Sサイズ(カラビナ付)
| 外形寸法 | H100×W150×D10mm |
|---|---|
| 重量 | 55g |
| 材質 | 外側:シリコンコーティングガラス繊維、内側:アルミガラス繊維 |
オズマ 耐火ガジェットポーチ Mサイズ
| 外形寸法 | H130×W200×D10mm |
|---|---|
| 重量 | 76g |
| 材質 | 外側:シリコンコーティングガラス繊維、内側:アルミガラス繊維 |
オズマ 耐火ガジェットポーチ Lサイズ
| 外形寸法 | H305×W230×D10mm |
|---|---|
| 重量 | 136g |
| 材質 | 外側:シリコンコーティングガラス繊維、内側:アルミガラス繊維 |
ナカバヤシ Digio2(デジオツー)耐火バッテリーポーチ Mサイズ
| 外形寸法 | 約H180×W130×D10mm |
|---|---|
| 最大収納サイズ(目安) | 約H150×W90×D20mm |
| 重量 | 約73g |
| 材質 | 表生地:シリコンガラス繊維、裏生地:アルミ箔ガラス繊維、ファスナー:亜鉛合金、縫製糸:アラミド繊維 |
ハック 防炎ポーチ
| 外形寸法 | 約H130×W210×D10.3mm |
|---|---|
| 重量 | 約75g |
| 材質 | ナイロン、PVC、PP、亜鉛合金、エポキシ樹脂、シリコンコーティングガラス繊維布 |
ハック マチ付き防炎バッグ
| 外形寸法 | 約H140×W220×D70mm |
|---|---|
| 重量 | 約125g |
| 材質 | ナイロン、PVC、PP、亜鉛合金、エポキシ樹脂、POM、シリコンコーティングガラス繊維布 |
