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安全テント泊は“しっかり固定”が肝心!

山の天気は変わりやすく、テント泊では強風や雨の中で過ごすことも珍しくありません。こうした状況下で安全に過ごすためには、テントを地面にしっかり固定しておくことが大切です。
固定が十分ではない場合、強風によってテントが破損したり飛ばされてしまったりなど、重大な事故につながる可能性もあります。
テントの必須アイテム!「ガイロープ」と「自在金具」

こうしたテントの固定に使われているのが、「ガイロープ」と「自在金具」。テントと地面をつなぎ、テントを安定させる上で必要不可欠な道具です。
ガイロープ(細引き、張り綱)
テントを地面に固定するための細いロープ。テント本体やフライシートから伸びてペグ等に結び付けて使用する。
自在金具
ロープの長さやテンションが調整できる、ガイロープに取り付ける小さな器具。
山岳用テントは強風に耐えうる設計になっているものがほとんどですが、機能を十分に発揮するためにもガイロープによる補強は必須。また、ガイロープを張ることでテントの形状を保持する役割もあります。
使い方、しっかり理解している?

とはいえ、ガイロープは単純に地面に固定すれば良いというわけではありません。テント全体のテンションが均一になるよう、ピンと張られた状態でなければ適切な効果が発揮されないのです。
その「テンション調節」の役割を担うのが自在金具。キャンプやテント泊の経験がある人なら一度は触ったことのあるアイテムかと思いますが、直感的に使えそうに見えて、意外と知らないことも多いんです。
自在金具の種類と使い方をチェック

自在金具にはさまざまな形状があります。その中でも、山岳用テントに用いられている形状は以下の3タイプ。
- 2つ穴タイプ
- 3つ穴タイプ
- 三角形タイプ
さっそく、それぞれの使い方を見ていきましょう。
2つ穴タイプ

シンプルで扱いやすい構造から、キャンプ用を含め、多くのテントやタープで使用されている形状です。“くの字”にカーブしたアルミ製のものが一般的。軽量なのでテントの重量を圧迫せず、持ち運びに便利です。
2つ穴タイプの自在金具を使った山岳用テント例
- モンベル|ステラリッジテント、ルナドーム
- MSR|ハバハバシールド
2つ穴タイプ自在金具の使い方

自在金具を横から見て「く」の字の内側上部の穴にロープを通します。

下部の穴に内側から外側に向けて通します。

ロープ先端を結んで完成です。

自在金具の山側にできた輪をアンカーに通します。一方の手で自在金具を持ち、もう一方の手でゆっくりロープを操作することで調整が可能です。
3つ穴タイプ

3つ穴タイプの自在金具は、ロープを固定する力が強く、緩みにくいのが特徴です。
そのため、強度を重視する山岳用テント使われることの多い形状です。素材は樹脂製が主流で、軽くて扱いやすいのもポイント。
3穴タイプの自在金具を使った山岳用テント例
- アライテント|エアライズ
- ヘリテイジ|エスパースシリーズ
- プロモンテ|VLシリーズ
3つ穴タイプ自在金具の使い方

3つの穴の一番上からロープを通します。

縫うように上から順番にロープを穴に通していきます。

結び目を作ってロープが抜けないようにして完成。

ロープ末端側にできた輪をアンカーに引っ掛けて使用します。一方の手で自在金具を持ち、もう一方の手でロープを操作することで調整できます。
三角形タイプ

三角形タイプの自在金具は、近年の山岳用テントでよく使われている形状です。軽量かつ、溝の刻みにロープを噛ませる仕様になっており、ロープをしっかり固定できるのも魅力です。
三角形タイプの自在金具を使った山岳用テント例
- ファイントラック|カミナドーム
- ニーモ|タニ、アトム
- ゼログラム|エルチャルテン
- ヒルバーグ|アクトなど
- arata|AXシリーズ
三角形タイプ自在金具の使い方

ギザギザの溝側に輪ができるようにロープを通します。

下部の穴に内側から外側に向けて通します。考え方は2つ穴タイプと同じ流れです。

最後にロープ先端に結び目を作り、穴から抜けないようにします。

自在金具をスライドさせることでテンションを調節できます。テンションが決まったら、ロープを自在金具の溝に噛ませることでロックが可能です。