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カモシカの生態と出会ったときの注意点

実は牛の仲間!?貴重な特別天然記念物「カモシカ」の生態と出会ったときの注意点

かつては「幻の動物」と呼ばれていた山の住人「カモシカ」。山行中に偶然どこかでバッタリ出会うこともあるかもしれません。好奇心旺盛で、じっとこちらを見つめる姿に思わず見入ってしまう人もいるでしょう。今回は、そんなカモシカの生態や習性、シカとの違いや遭遇時の注意点などについてお伝えしていきます。

目次

アイキャッチ画像出典:PIXTA

ニホンカモシカのこともっと知ろう!

登山道を歩いていると、偶然ニホンカモシカに出くわした経験がある方もいるでしょう。こちらをじっと見つめる森の住人、今回はそんなニホンカモシカの生態や、出会った時の対処法などをご紹介していきます。

小さなツノにモフモフの顔!実はウシ科の生き物

ニホンカモシカ

出典:PIXTA

ニホンカモシカ(以下:カモシカ)は、古くは「日本書紀」や「万葉集」にも記載される日本の固有種で、実はシカの仲間ではなく 偶蹄(ウシ)目のウシ科に属する動物。
毛色は一般的には黒褐色や灰褐色をしていますが、地域によって変化があることも知られており、黒っぽいものから白っぽいものまで様々です。よく見ると、1頭1頭少しずつ毛の色が異なっています。
オス、メス共に15cmほどの短めの角を持ち、ヒゲが生えたようなモフモフした顔がなんとも愛らしいですね。

カモシカの習性や生態を学ぼう

草を食べるニホンカモシカ

出典:PIXTA

“氷河期からの生き残り”ともいわれるカモシカは、体重が30〜45kgほどあり、寿命は15年ほどとされています。オス、メス共に縄張りを持ち、通常は単独で行動しています。
ときどき2〜3頭でいるところも見かけますが、多くは親子連れで、4頭以上の群れを作ることはほとんどありません。春や夏には、さまざまな低木の葉や芽、花や果実をエサとし、冬場の時期には小枝や木の皮を食べて過ごします。
ウシ同様に胃袋が4室に分かれ「反すう」することで消化しにくいものもでも食べることが可能。4〜6月が出産シーズンになり、子育て期間の1年間を子どもは母親のもとで育ちます。

みんなで守るべき貴重な存在!「特別天然記念物」

ニホンカモシカの顔

出典:PIXTA

1925年に狩猟法が改正された際、カモシカは狩猟獣から除外され、1934年に天然記念物に指定されました。
それ以前は、良質な毛皮や肉が獲れるので狩猟の対象でしたが、生息数が著しく減少し絶滅が危惧されたため狩猟禁止に。1934年の指定当初は密猟などもありましたが、1954年に全国的に密猟の取り締まりが強化され、1955年には国の「特別天然記念物」に指定された貴重な動物です。
こうした保護の結果、指定当初3,000頭と推定されていたカモシカは徐々に増え、2016年時点では20〜30万頭まで増加したと推測されています。
ただ、九州や四国地方のカモシカについては現在も数が少なく、環境省のレッドリスト(2015)では「絶滅のおそれのある地域個体群」に区分されています。

カモシカの生息地について

登山道のニホンカモシカ

出典:PIXTA

カモシカは、本州・四国・九州に分布しており、山地の森林や丘陵地帯に多く生息しています。垂直分布としては、低標高地に多い傾向となっており、500m未満の標高で見られることの方が多くなっています。人里に近い低標高地に多いこともあり、一部地域では植林地や農産物の被害に悩まされています。

カモシカとシカの違いを学ぼう

カモシカとシカ、どこが違うの?

カモシカとニホンジカの違い

出典:PIXTA

同じシカという名称がつく「カモシカ」と「ニホンジカ」ですが、同じ仲間ではなく、カモシカはヤギや羊と同じウシ科の仲間です。上記の画像や表のように、見た目や生態、行動パターンにおいても両者は大きく異なります。
シカは、オスのみ枝分かれしたツノが毎年生え変わり、2年目(1歳)は2股の角、3年目(2歳)は3股の角というように生え、4年目(3歳)以上では4股の角に成長していきます。対して、カモシカはオス、メス共に短いツノを持ち、生え変わることはありません。
また、ニホンジカは、1頭のオスが複数頭のメスと交尾する「一夫多妻制」の性質ですが、カモシカは「一夫一妻制」です。そのため、カモシカの方がニホンジカよりも数が増えにくい傾向があります。
山に住む大型動物として混同しがちな2種ですが、よく見るとその姿も生態もかなり違うことが理解できるでしょう。

動物園に会いに行こう!

ニホンカモシカ 動物園

出典:PIXTA

なかなか登山中に出くわすことが少ない野生のカモシカですが、実は動物園でその姿を観察することができます。全国で飼育している動物園は18箇所(2019年時点)と少なめですが、首都圏では「多摩動物公園」「井の頭自然文化園」「大島公園動物園」「埼玉県こども動物自然公園」などで会うことが可能。
エサには、キャベツ、ニンジン、リンゴなどの野菜や果物、牧草類、草食獣用ペレットなどが与えられています。

もし山中でバッタリ出会ってしまったら

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