ライチョウが絶滅危惧種になってしまったのは、地球温暖化による生息域の減少が要因のひとつ。氷河期の生き残りであるライチョウは寒いところを好むため、これ以上生息域の気温が上がると行き場がなくなってしまうと言われています。
さらに、天敵の増加も絶滅危機の一因。年々、高山に暮らす動植物にとっては不利な気候になってきており、下界で暮らす動植物も暮らせる環境になりつつあります。サルやテン、シカ、キツネなどの野生動物たちが高山へと侵入してきて高山植物を食べ尽くし、ライチョウだけでなく貴重な植物などへの被害も深刻となっています。
もちろん、気候だけが原因ではなく、里で彼らの住む場所を奪ってしまっている面など、さまざまな要因が積み重なった問題なのです。
また、一部の心ない登山者が高山にゴミを放置することで、天敵であるキツネやテン、カラスなどを高山帯に誘引し、ライチョウ減少の原因にもなっているのです。
ライチョウを守るための活動
ライチョウにとって高山が住みにくい環境となってしまったことは、とても残念な事実です。それでも、ライチョウは私たちの前に愛らしい姿を見せてくれます。これ以上、ライチョウが減ってしまわないように私たち登山者にもできることがありますね。
例えば、「山にゴミを捨てない」というマナーを守る。これも当たり前のことですが、自然を守るための行動です。
ケージ保護活動でライチョウの子育てサポート
ライチョウは生後4週の間がもっとも生存率が低いことがわかっています。そのため、生息域にケージを設置し、夜間はその中に入れて保護する活動が開始されました。ケージ保護により、死因である低体温や天敵に捕食される危険を避け、ヒナの生存率が格段にアップします。
絶滅危惧種のライチョウを守るため、つまり山の自然を未来につなぐためにできることを考えて、実行していきたいですね。
【観察ノウハウ】ガイドさんと「ライチョウ」に会いに行ってみた!
ライチョウのことを知れば知るほど、実際に見てみたくなりますね。そこで、乗鞍岳で行われている「ライチョウ観察ガイドツアー(1泊2日)」に参加してきました。
どこで出会えるのか、何に注意して観察すればいいのか、ライチョウにまつわることをツアーガイドに教えてもらいました。
▼ライチョウについて教えてくれたのは…
観察する時の注意点
ライチョウを捕まえることはもちろん、触れることもご法度。
ライチョウを許可なく触れたり捕まえたりすることは違法となり、処罰の対象となります。
【注意】首を伸ばしてキョロキョロしている時は、低姿勢&距離をとってあげる
実際にライチョウと遭遇した際に、我々の存在に気がついて警戒しはじめました。緊張した面持ちで周囲を見渡し、キョロキョロしています。
これ、実はライチョウがかなりストレスを感じている状態。
このような姿を見かけた場合、私たち登山者はどうするべきなのでしょうか?
この時、距離を取るために慌てて動くと、ライチョウはよりストレスを受けるので、ゆっくりと後退りする感じで今より距離を開けてあげましょう。
また、距離を取る以外に姿勢を低くするのも効果的です。
体温調整機能が低いヒナは、お母さんとはぐれてしまうと生存確率が著しく低下してしまうんですよ。
間違っても追いかけたりしないでくださいね!!
5mほどの離れた場所で気が付き、距離を保ったまま双眼鏡を使って観察しました。写真撮影には望遠レンズを使用するのがいいですね。
こんなところに注目!ライチョウに出会いやす場所や時間
絶対に出会えるわけではないけれど、できることならお目にかかりたいですよね。そこで、ライチョウ探しのヒントを教えてもらいました。