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絶滅危惧種・神の鳥「ライチョウ」とは?私たち登山者が”自然保護”のためにできることとは(2ページ目)

オコジョ

出典:PIXTA(岩場にいるオコジョ)

ライチョウが絶滅危惧種になってしまったのは、地球温暖化による生息域の減少が要因のひとつ。氷河期の生き残りであるライチョウは寒いところを好むため、これ以上生息域の気温が上がると行き場がなくなってしまうと言われています。

さらに、天敵の増加も絶滅危機の一因。年々、高山に暮らす動植物にとっては不利な気候になってきており、下界で暮らす動植物も暮らせる環境になりつつあります。サルやテン、シカ、キツネなどの野生動物たちが高山へと侵入してきて高山植物を食べ尽くし、ライチョウだけでなく貴重な植物などへの被害も深刻となっています。
もちろん、気候だけが原因ではなく、里で彼らの住む場所を奪ってしまっている面など、さまざまな要因が積み重なった問題なのです。

また、一部の心ない登山者が高山にゴミを放置することで、天敵であるキツネやテン、カラスなどを高山帯に誘引し、ライチョウ減少の原因にもなっているのです。

ライチョウを守るための活動

ゴミ捨ての注意喚起の看板

出典:PIXTA

ライチョウにとって高山が住みにくい環境となってしまったことは、とても残念な事実です。それでも、ライチョウは私たちの前に愛らしい姿を見せてくれます。これ以上、ライチョウが減ってしまわないように私たち登山者にもできることがありますね。
例えば、「山にゴミを捨てない」というマナーを守る。これも当たり前のことですが、自然を守るための行動です。

ケージ保護活動でライチョウの子育てサポート

ライチョウ保護ゲージ

ライチョウは生後4週の間がもっとも生存率が低いことがわかっています。そのため、生息域にケージを設置し、夜間はその中に入れて保護する活動が開始されました。ケージ保護により、死因である低体温や天敵に捕食される危険を避け、ヒナの生存率が格段にアップします。

絶滅危惧種のライチョウを守るため、つまり山の自然を未来につなぐためにできることを考えて、実行していきたいですね。

【観察ノウハウ】ガイドさんと「ライチョウ」に会いに行ってみた!

ライチョウツアー 7月中旬の乗鞍岳・畳平

撮影:YAMA HACK編集部(7月中旬の乗鞍岳・畳平)

ライチョウのことを知れば知るほど、実際に見てみたくなりますね。そこで、乗鞍岳で行われている「ライチョウ観察ガイドツアー(1泊2日)」に参加してきました。
どこで出会えるのか、何に注意して観察すればいいのか、ライチョウにまつわることをツアーガイドに教えてもらいました。

ライター高橋
1泊2日で”3羽のオス”と”メス&ヒナの2親子”と遭遇。すっかりその愛らしさに魅了されました。ヒナの歩く姿といったらもう、可愛くて…キュンです!

▼ライチョウについて教えてくれたのは…
田村 茂樹さん

提供:田村 茂樹
登山ガイド 田村 茂樹
街歩きから岩稜や沢登りや雪山までマルチに案内する登山ガイド。日本古来の信仰登山や北アルプスの伝説の名ルート「伊藤新道」の復活、山々の生い立ちの面白さに焦点を当てたジオトレッキングの普及に情熱を燃やしている。昨年、木曽駒ヶ岳で行われたライチョウ保護高度技術者養成事業に参加し、ライチョウサポーターズエースに認定される。

観察する時の注意点

田村ガイド
ライチョウは、ストレスを受けやすいので観察ルールは必ず守ってください
ライチョウを捕まえることはもちろん、触れることもご法度。
ライチョウを許可なく触れたり捕まえたりすることは違法となり、処罰の対象となります。
《ライチョウ観察の基本ルール》
■静かにそっと見守る

■基本的には5m以上の距離をとる
■ストレスを感じている行動をとった場合は、ライチョウから離れる
■他の人の邪魔にならないように観察する

 

《これは絶対NG!》
●ライチョウを見ても追いかけない
●ライチョウに触れたり捕まえたりしない
●決められた道を歩く

●鳴き声を真似しない
●写真撮影の際にフラッシュは使用しない
●ドローンも使用しない

【注意】首を伸ばしてキョロキョロしている時は、低姿勢&距離をとってあげる

乗鞍岳 少しストレスを感じているライチョウの様子

撮影:YAMA HACK編集部(少しストレスを感じているライチョウの様子。首を伸ばして周囲を警戒しています。)

実際にライチョウと遭遇した際に、我々の存在に気がついて警戒しはじめました。緊張した面持ちで周囲を見渡し、キョロキョロしています
これ、実はライチョウがかなりストレスを感じている状態
このような姿を見かけた場合、私たち登山者はどうするべきなのでしょうか?

田村ガイド
徐々にライチョウと距離をとってあげるといいですね。

この時、距離を取るために慌てて動くと、ライチョウはよりストレスを受けるので、ゆっくりと後退りする感じで今より距離を開けてあげましょう。
また、距離を取る以外に姿勢を低くするのも効果的です。

田村ガイド
特に、子育て中のメスが人間との遭遇に驚いてパニックになり、ヒナとはぐれてしまうということは避けたい事態です。
体温調整機能が低いヒナは、お母さんとはぐれてしまうと生存確率が著しく低下してしまうんですよ。

間違っても追いかけたりしないでくださいね!!

乗鞍岳 ライチョウ

撮影:YAMA HACK編集部(大黒岳で夕方に遭遇。写真の緑色の線の向こう側、登山道から外れた場所にいました)
ライター高橋
乗鞍の大黒岳を散策中、登山道のすぐ脇のハイマツ帯でライチョウに遭遇。
5mほどの離れた場所で気が付き、距離を保ったまま双眼鏡を使って観察しました。写真撮影には望遠レンズを使用するのがいいですね。

こんなところに注目!ライチョウに出会いやす場所や時間

絶対に出会えるわけではないけれど、できることならお目にかかりたいですよね。そこで、ライチョウ探しのヒントを教えてもらいました。

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