アイキャッチ画像出典:PIXTA
生理中の登山、やはり何かと不安です

仕事であろうが登山日であろうが、生理は関係なしにやってきます。女性特有ということに加え、一人ひとり症状も違えば周期も違うため、大きな声で話しづらいセンシティブな話題です。
以前、YAMA HACKでも生理にまつわるアンケートを実施し、多くの女性登山者が悩みを抱えていることが明らかとなりました。
しかし不安を抱えたまま登山へ行くのはいかがなものでしょうか。正しい知識を身に付けて安全な登山を楽しむことこそ、女性の登山のたしなみ方かもしれません。
今回は女性とスポーツについて研究する順天堂大学「女性スポーツ研究センター」に取材をし、生理と登山にまつわる疑問を解き明かしてきました。
順天堂大学「女性スポーツ研究センター」って?

2014年に順天堂大学に設立された「女性スポーツ研究センター」は、研究という視点から女性アスリートを支援することを目的とした機関です。女性アスリートのコンディショニングや女性の体力・健康づくりなど、女性とスポーツ全般の研究を行っています。
教えてくれたのは、奈良岡佑南先生

今回お話を伺ったのは、女性スポーツ研究センターの研究員・奈良岡佑南先生。女性のコンディショニングを中心に研究や講演をされています。
生理中の登山はOK。ただし必要なのは「管理すること」です
──まず多くの女性登山者が抱く根本的な疑問「生理中に体を動かすことは大丈夫?」については、実際どうなのでしょうか。
奈良岡先生
生理中のスポーツは体にも問題はありません。当研究センターでも普段と生理中でのパフォーマンス変化を調査しまして、生理が筋力発揮に影響することはないという結果を得られました。生理は病気ではないので運動することは問題ないんですね。
一方で生理の症状として腹痛や腰痛などがある方は、そんなに無理をしなくてもいいとは思います。

──生理だからといってお休みする必要はないのですね。けれど、先生が仰ったように、生理前〜生理中の諸症状に悩んでいる方も多いと思います。アスリートのみなさんはどうされているんですか?
奈良岡先生
近年、日本でも女性アスリートのコンディショニングに関する研究が進み、生理中でもストレスなくスポーツを楽しむ方法が確立されつつあります。そこで欠かせないのがこの3つのポイントです。
①自分の体を知ること
②コンディション管理
③当日の対策
奈良岡先生
日本の女性アスリートの多くは試合で最高のパフォーマンスを発揮することを目標に、自身のコンディション管理を行っています。
これはアスリートだから、アマチュアだから、と分けるのではなく、スポーツを楽しむ女性誰もが実践できる方法なんですよ!
──おお〜! 「生理とぶつかりませんように……」と神頼みするのは時代遅れなんですね。
「登山中に突然生理が来たんです」は偶然です

──そういえば読者アンケートに「予定外に生理が突然やってきた」「登山中に急に始まって驚いた」という意見が集まったんです。これって何かカラクリがあるんですか?気圧とか、緊張とか……。
奈良岡先生
いえ、単なる偶然でしょう(笑)
登山のときに生理が来たから印象的に覚えているのだと思います。実際はあまり関係ないのではないでしょうか。
予定よりも早く来たのであれば、基本的には排卵自体がいつもより早かったということです。基礎体温を測るなどで自分の生理周期を知っていれば、このような事態は防げたかもしれませんね。
──これが大切なポイントの1つ目「自分の体を知ること」なんですね。
生理周期と体調の関係
自分の体を知る前に、生理(月経)を正しく理解するところから始まります。
月経とは一定期間内で妊娠をしなかった場合に、要らなくなった子宮内膜が剥がれ落ちる現象で、その際に剥がれ落ちた内膜が月経時の出血となります。出血した日から次の出血の前日までを月経周期と呼び、25〜38日が正常月経周期と言われています。
基礎体温を測ることは「自分の体を知ること」

月経周期を正しく知る最大の手がかりが「基礎体温」です。基礎体温は、朝目覚めてすぐの体温のことで、月経から排卵まで(卵胞期)は体温が低く、排卵を境に高くなるのが一般的と言われています。
排卵から月経までの期間を黄体期と呼び、卵胞期との体温差は0.3℃以上あることが理想と言われています。

奈良岡先生
黄体期はおよそ7〜10日続き、その後、月経がやってきます。つまり基礎体温を知ることは、自身の月経周期を知ることなのです。
仮に排卵日を知っていれば、おおよその生理開始日が計算できるので、「準備していないのに、突然やってきちゃった!」という事態を防げます。
──自分を知ることの第一歩は基礎体温の把握なんですね。……と分かっておりながらも、なかなか長続きしないんです。計測途中に二度寝してしまったことも何度もありまして。長続きする方法ってあるんですか?
奈良岡先生
大丈夫ですよ。今はかなり高性能な婦人体温計が発売されており、計測も10秒で完了し、データをBluetoothでスマホへ転送することもできるんです。
体温グラフもアプリ内で管理ができるため、とても便利ですよ。

奈良岡先生
また年間を通じて総合的にコンディション管理をしたい方は、私たちの研究センターが作った「女性アスリートダイアリー」を活用してみてください。
基礎体温の記入から詳細な諸症状まで記録でき、スポーツをする女性には欠かせない知識もたくさん載っています!

