ーーこもれび山荘に来てもらうためのきっかけとしてのグッズ販売。とても楽しみですが、いざ来るとなるとコロナ禍の登山、特に山小屋は人が多く集まる場所です。どんなことを意識してもらいたいですか?
全ての安全対策は安心対策でしかない。100%の安全なんてないということを理解いただきたいです。
今の世の中、お店を利用した人が感染した場合、「お店ではどんな感染対策をやっていたか?」といった内容がよくニュースになるじゃないですか。
でも例えばコロナ対策をしていない場合をリスク10とした場合、お店側だけでリスクをゼロにするのは不可能なんです。
本当にゼロにするなら防護服を着てもらったりすることになりますが、利用する方もそこまで求めているわけじゃないじゃないですか。
現実的に考えてどんなに感染対策をしていたとしてもゼロリスクなんて無理で、結局どこまでやればかからないか?なんてわからないんですよ。
もちろん山小屋もできる限りのことはしたいと思っていますが、来ていただくお客さん自身も自らのリスクを意識して気をつけて欲しいです。
ーー実際、コロナのリスクを回避するというよりはある程度感染リスクを理解した上で来る人が多いような気はしますね。
そうですね。だから自分は絶対うつりたくない!!という人は正直来ない方がいい。
実は感染リスクが高いのってお客さんよりもたくさんの人と接するスタッフの方なんです。そして現実的に、ウイルスを運んでくるのはおそらくお客さんの可能性が高いでしょう。
お互いがリスクを抱えている。だからこそリスクを等分したいです。
ーー山小屋側の対策に委ねるのではなく個人の意識が重要になってくるわけですね。
結局、登山と一緒なんですよ。
登山は常に周りの環境や自分の状態を見ながらリスクを計算して行動しますよね。山小屋としてはできる限りのことをする。
だからこそ来ていただけるお客さん一人一人もご自身の管理をしっかりやっていただきたい。
やってることは自分自身や周りの人がリスクを減らして安心して過ごせるかどうかでしかないんですよね。そこはどうかご理解していただきたいです。
山小屋の感染対策への取り組み
ーー山小屋としてできる限りの対策をするとのことでしたが、具体的にはどんなことをされているのでしょうか?
特別なことではないですが、宿泊人数を従来の半分にして検温やマスクの着用、パーテーションの設置など、当たり前のことを淡々としていくしかないですね。
あとは一昨年までは大皿料理でドーンと出してビュッフェのような形で食事を提供していたんですが、それは一人一人に提供する形に変わる予定です。
ただ、料理のクオリティに関しては心配しないでください。
提供できる人数が減る分、サービスや料理のクオリティは上がり、これまでよりも満足いただけるものになると思います!
ーーこもれび山荘といえば料理!という人も多いはず。これは嬉しい情報ですね!他にも楽しみになりそうな情報はありますか?
あ、それと、新しくタンブラーやパイントグラスを用意しようと思ってます。それを持ってきたら伊那のクラフトビールを飲めるようにするとか。
ーーそれ、めちゃくちゃいいですね。飲むためだけでも行きたい。
これがうまいんですよ。最近はクラフトビールも浸透してきているんですが、うちは樽で用意してるんです。
2年前から始めたんですけど、すごく評判が良くて、今年もやろうと思ってますね。
他にも、南アルプスの天然水を使った手作りのハイボールの販売も考えてます。
ーーえ、なにそれ素敵!
まぁ、いつも使ってる水で作るハイボールなんですけど(笑)
ーー確かに(笑)でもとっても美味そうです!楽しみにしてます。
せっかく伊那に来たのなら地元のものを食べたり飲んだりしてもらいたいじゃないですか。もちろん、大声出したりはしゃいだりするのはダメですけどね。
期待はあるけど不安も。こまめに情報をチェックして
感染対策だけでなく、少しでも来た人を楽しませたいとずっと考えていたこもれび山荘。
ワクワクするような取り組みがある一方で、竹元さんが一番気にしていたのはまたいつ山小屋の営業を休止になるかわからないという不安でした。
急遽休業することになればせっかく準備した食料は最悪廃棄する可能性も。本当に今年の営業は大丈夫なのか、林道のバスは動いてくれるのか、色んな不安要素がある中での2021年の営業となりそうです。
登山者の皆さんはこれまで以上に不安定な時期だからこそ、山小屋の発信する情報や交通アクセスの状況をこまめにチェックするようにしましょう。
最後に、苦労や心配を語ってくれた竹元さんから、山荘のファンに一言いただきました。
「悲しいこともあったけど、私は元気です。」
(ん??どこかで聞いたことがあるセリフだな……)