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チェーンスパイク・軽アイゼン・多本爪アイゼン…どれを持って行けばいい?雪道状況別に最適シーンを解説!(2ページ目)

雪山登山テスト@北横岳〜3種類のアイゼンで歩行検証〜

坪庭から見た北横岳

撮影:washio daisuke(坪庭から見た北横岳)

冒頭で紹介した通り、かつてアイゼン選びに失敗した経験のある北横岳。今回はチェーンスパイク・軽アイゼン・多本爪アイゼンすべてを持参して、それぞれの使用感を比較してみました。ルート概要は、以下の通りです。

北横岳の地図

作成:washio daisuke・地図の出典:YAMAP

①区間
平坦な登山道
(北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅
〜坪庭周回路分岐)
距離約0.4km/標高差約18m
②区間
傾斜のある登山道
(坪庭周回路分岐〜三ツ岳分岐)
(三ツ岳分岐〜北横岳ヒュッテ)
距離約0.8km/標高差約109m
距離約0.2km/標高差約17m
③区間
急傾斜の登山道
(北横岳ヒュッテ〜
北横岳・北峰)
距離約0.4km/標高差約98m

参考:ヤマプラ

区間ごとに、アイゼンを履き比べ。個人的な感想もありますが、実際の履き心地についてレビューしていきます。

区間①:平坦な登山道では軽アイゼンよりチェーンスパイクが快適

坪庭の平坦な登山道

撮影:washio daisuke(坪庭の平坦な登山道)

検証結果

チェーンスパイクが快適。岩や地面が露出している場所を歩いても爪が短いため、足へ伝わるショックが少ない。

①区間は、溶岩台地に伸びるほぼ平坦な登山道。積雪は数10cmといったところでしょうか。傾斜のない場所では多本爪アイゼンの強みが発揮されないため、ここではチェーンスパイクと軽アイゼンで比較しました。

注:本来は片足ずつ別のアイテムを装着することはありません。今回はあくまでも実験的に、別のアイテムを装着して歩行しました。

○良かったところ

チェーンスパイクと軽アイゼン

撮影:washio daisuke(右足にチェーンスパイク・左足に軽アイゼンを装着)

アップダウンがほとんどなく、雪の積もった平地を歩くのと同じ感覚。チェーンスパイク・軽アイゼンどちらでも、歩きにくさや違和感は感じませんでした。

△気になったところ

岩肌が雪の中から露出した場所

撮影:washio daisuke(岩肌が雪の中から露出した場所)

上の写真のように雪面から岩肌が露出した場所では爪が短いチェーンスパイクの方が快適。爪と岩がぶつかった時の足に伝わるショックが軽アイゼンより少なく、足の疲労やバランスを崩す危険性が軽減されます。積雪が少なく、地面や岩肌が頻繁に露出している状況であれば、チェーンスパイクの使用がおすすめです。

区間②:傾斜のある登山道はチェーンスパイクより軽アイゼンが安心

傾斜のある登山道

撮影:washio daisuke(傾斜のある登山道)

検証結果

軽アイゼンが安心。チェーンスパイクより爪が長いため、傾斜のある雪面でも踏ん張りがきく。

②区間には、急斜面をジグザグと進む箇所があります。こちらも軽アイゼンとチェーンスパイクを使用して、どのくらいの登山道コンディションまで耐えうるかを検証しました。

○良かったところ

雪面と軽アイゼン

撮影:washio daisuke(雪面を爪がしっかりとらえる左足の軽アイゼン)

①区間ではストレスになった軽アイゼンの爪ですが、傾斜があり雪に覆われている②区間では効果を発揮。「フラットフッティング(※)」で足を置いた時に、中心部分の爪が雪面をしっかりとらえ、安心して次の一歩を踏み出せました。

※つま先からかかとまで靴全体で接地する基本歩行技術のこと。

△気になったところ

踏ん張りが効かないチェーンスパイク

撮影:washio daisuke(踏ん張りが効かない右足のチェーンスパイク)

傾斜が増すにつれて、爪の短いチェーンスパイクを装着している右足が、写真のように踏み込んでも斜面下部(登りの場合は後側)に流されてしまうことが多くなってきました。雪の斜面に対して踏ん張りがきかず、なかなか進めないためその分体力を消耗。

緩んだチェーンスパイク

撮影:washio daisuke(緩んでしまったチェーンスパイク)

さらに雪の斜面をスリップすることで余分な力がかかり、靴底とチェーン部分にゆるみも発生しました。傾斜がある登山道では、チェーンスパイクの弱点が露呈する結果に。

区間③:急傾斜の登山道は軽アイゼンより多本爪アイゼンが安心

山頂直下の急斜面

撮影:washio daisuke(山頂直下の急斜面)

検証結果

多本爪アイゼンが安心。靴底全体を覆う長く鋭い爪で急斜面もしっかり踏ん張りがきき、キックステップでの歩行も安定。

③区間は、山頂に向けてさらに登山道の傾斜が増します。先ほどの②区間の傾斜ですら、踏ん張りが効かず緩んでしまったチェーンスパイクでは無理と判断し、片足に軽アイゼン・片足に多本爪アイゼンを装着して登ってみることにしました。

○良かったところ

軽アイゼンと12本爪アイゼン

撮影:washio daisuke(左足に軽アイゼン・右足に12本爪アイゼンを装着)

歩き始めてまず感じたのが、右足の多本爪アイゼンがしっかり雪面をとらえる感覚。長く鋭い爪がつま先からかかとまで配置されているため、雪面深くまで刺さります。傾斜が増しても、踏ん張りがきくという安心感は保持したままでした。

ただその分、雪から爪を抜くのに力が必要。多本爪アイゼンで長時間行動するには、それなりの脚力や技術がないと厳しいと感じました。

キックステップで歩く筆者

撮影:washio daisuke(キックステップで歩くと前爪が斜面にしっかり刺さってくれるアイゼン)

また斜面の傾斜がきつく「フラットフッティング」での歩行が難しい場所では「キックステップ(登りではつま先・下りではかかとのみを斜面に蹴り込む)」という歩き方が有効になってきます。

こうした場所では、つま先に前爪があり、かかとまで鋭く長い爪で覆われた多本爪アイゼンがベスト。

△気になったところ

ずれた軽アイゼン

撮影:washio daisuke(前方向にずれてしまった軽アイゼン)

軽アイゼンを装着している左足には、斜面の傾斜が増すにつれて先ほどのチェーンスパイク同様のストレスが発生。踏み込んでも、斜面下部(登りの場合は後側)に流されてしまうことが多くなってきたのです。それに伴って軽アイゼンに無理な力がかかり、本来の位置よりも前方向にずれてきてしまいました。

またつま先・かかとの靴底が露出している軽アイゼンでキックステップを行うと、蹴り込んで重心をかけた際に滑ってバランスを崩す危険も。

急斜面では、軽アイゼンだと心許なく感じました。

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