藤井さん
これは10月下旬に長野県で撮影したヒメジャゴケ。植物と同じくコケも秋になると紅葉するんですよ。
編集部 宮下
紅葉するのは驚き。全ての種類が紅葉しますか?
藤井さん
全てではないですが、季節によって形を変えるコケは多くいます。
藤井さん
こちらはジャゴケ。3〜4月頃には雌器托(しきたく)といって、胞子を散布するための特別な器官が雌株からニョキニョキと伸びてきます。
このように春先に胞子を飛ばすコケは多く、季節によって形の変化を楽しめるのもポイント。
編集部 宮下
この季節しか見られない!となるとプレミア感がありますね。
藤井さん
そう、それこそコケをいつまでも楽しめる理由。いつ見ても新しいと発見と感動を与えてくれるので何度でも見たくなるんです。
触って、見て、嗅いで、五感で楽しむコケの観察ポイント
「コケ観察といっても見るだけではなく、五感でコケを楽しむことでその魅力を堪能できるんです」と語る藤井さん。
コケを五感で楽しむ3ステップ
《1》近くで見てみる
《2》優しく触ってみる
《3》香りを嗅いでみる
この3つを行うと、今まで知らなかった新しいコケの魅力を発見できるとのこと。
それぞれのステップで詳しく見ていきましょう。
《1》近くで見てみる
今までは風景として遠くから見て楽しんでいたコケたち。ルーペや虫メガネで拡大すると、今まで発見できていなかった新しいコケの姿を目にすることができます。
まるで別の植物!?見る距離によって変わるコケの景色
登山中の足元に、こんな緑の塊に遭遇したことはありませんか?
いつもは通り過ぎてしまうところも拡大して見てみると…
丸い形が不思議で可愛らしいコケを発見しました!
名前:タマゴケ
特徴:3〜4月に球形の蒴(さく)をつける。赤くなっているのは蒴歯(さくし)と呼ばれ、胞子を散布する量とタイミングを調節する役割を持つ。
普段見過ごしていた景色の中にこんな可愛らしくて不思議な植物がいたのは驚き。大きな景色から小さな景色を切り取ることで見つかる美しいミクロの世界に、感動すること間違いなしです。
変わった形のコケにも出会えるかも
近くで見るとおもしろい生態のコケに出会えることも。
2つの例を見ていきましょう。