旅するスイッチを入れてくれる『グレゴリー/デイパック』|定番道具のモノ語り#1

2020/09/02 更新

質実剛健、丈夫さが必要な機能である山道具。だからこそ10年以上の長きにわたり、多くの人に愛され続けてきた”定番”の山道具があります。そんな山道具の中から、ライターPONCHOが愛用してきたモノを紹介。初回は『グレゴリー/デイパック』です。長く使いたくなる魅力とは?


アイキャッチ画像:PONCHO
質実剛健、丈夫さが必要な機能である山道具。だからこそ発売から10年以上も経つ道具や、10年以上問題なく使い続けられる定番の山道具があります。

そんな山道具の中から、ライターPONCHOが愛用してきたモノを紹介します。定番となった理由を紐解きながら、その道具と出会った山や旅の風景を振り返り、長く使える、使いたくなる道具の魅力を語ります。

43年間、変わらず愛され続けている『デイパック』

デイパックという呼び名

デイパックでのトレッキング
撮影:PONCHO
デイパック、リュックサック、ナップサック、これらの違いを知っていますか?

私が子供の頃、1970年代にはデイパックという呼び名はありませんでした。通学や遠足、修学旅行、または登山で背負ったのは、リュックまたはリュックサック、そしてナップザックでした。

デイパックを知ったのは、1980年代の後半になって、アメカジが流行した頃でした。

と同時に、リュックサックはドイツ、ナップサックはイギリス、デイパックはアメリカでの、小型リュック(←今でもそう呼んでしまう…)全般の呼称だと知りました。

グレゴリーデイパック
撮影:PONCHO
そのデイパックという言葉を私に教えてくれたのが、グレゴリーの『デイパック』でした。

発売されたのはグレゴリー・マウンテン・プロダクツ社創業の年である1977年。43年前です。歴史は古いですが、それ以前の1970年初頭、同じくバックパックメーカーのケルティからデイパックが発売されているので、元祖ではありません。

またそれ以降、現在に至るまでグレゴリーをはじめ多くのメーカーからデイパックは登場しました。

しかしその中で、ほぼデザインや仕様がそのまま、変わらずに販売され、多くの人に愛用され続けているのは、グレゴリーの『デイパック』だけです。

愛される理由は、そのカタチにある

グレゴリーデイパック
撮影:PONCHO
この『デイパック』が日本に登場したのは1986年だそうです。当時から、そして現在でも、価格が2万円近くもする高価なデイパックも、他ブランドではほとんど見られません。高価過ぎて、私が手に入れたのは、「欲しいなぁ」と思ってから10年近く経ち、20代後半になっていました。

それから街での仕事、週末に行くデイハイクで背負ってみて、わかったことがあります。この『デイパック』が多くの人に長年愛用されている理由は、そのカタチの秀逸さなのだと!

この『デイパック』の特長であるティアドロップ、つまり涙の雫のようにパックの下部に向かって広がるカタチ。これはコンプレッションベルトを装備していなくとも、自然に荷物の揺れを防ぐカタチでした。ティアドロップを真似したデイパックも多くありますが、それは単なるデザインです。

グレゴリーのティアドロップは、機能がもたらしたデザイン。背負って歩くための道具として、歩くことを邪魔しないという必要不可欠な機能を、シンプルに具現化したカタチなのです。

グレゴリーデイパック
撮影:PONCHO
また、このデイパックが持つ道具としての機能は、他にもあります。例えば、長時間背負っていても、肩まわりが痛くなりにくいショルダーベルトです。

多くのデイパックが簡易的なベルトなのに対して、重さを和らげる厚み、クッション性を備え、さらに身体にフィットするカーブを描いた形状になっています。取り付け位置も、上部は肩を包むように間隔が開けられ、下部はウィングと呼ばれる三角形の当て布がウエスト部へのフィット感を高めています。

また背面のつくりも、シンプルなアイデアですが機能的です。背骨に沿って背中に馴染むようにセンターで分割され、パックの底部は腰を包み込むような三日月型になっています。

別売りのポケットをちょい足し、登山、旅仕様にアップデート

グレゴリーデイパック
撮影:PONCHO
『デイパック』という名称の由来となっている、”1日分の荷物を背負って歩くのにちょうどいい大きさ”として考えられた26ℓという容量。

これは日常使いでは余裕があり、デイハイクでは温泉に立ち寄るための着替えも入る、本当にちょうどいい大きさです。ノートPCを入れる背面側スリーブにはソフトボトル、フロントパネル内側にはメッシュポケットも備えています。

グレゴリーシングルポケット
撮影:PONCHO ※写真上部の黒の細長いケースが『シングルポケット』。中にはクッカーをはじめ調理道具を収納してみたい!
でも私は、ちょい足しをオススメします。

山を登る際には、外付けの『シングルポケットという縦長ポケットをパック前面に装着。スライダーで固定するこのポケットは、着脱も簡単です。そこにストーブやクッカー、ミニテーブル等の調理道具を収納し、まとめてみてはどうでしょう。

パーゴワークススナップ
撮影:PONCHO ※パーゴワークス『スナップ』をショルダーベルトにちょい足し。
さらにもうひとつ。

ショルダーベルトにも別売りの『パデッドケース』という小型ポーチを装着できます。スマホやデジカメを収納でき、ウエストベルトのポケットを装備していない『デイパック』の使い勝手を上げられるでしょう。

ちなみにここでは、手持ちのパーゴワークス『スナップ』というポーチをちょい足ししてみました。予想以上に違和感なく馴染んでいます。スナップにはペットボトルも入るので、サイドポケットのない『デイパック』でも水分補給をパックを下ろさずにできます。これ、かなりの便利さアップです。

こうしたアクセサリーをちょい足しすることで、『デイパック』は通学、通勤用から、登山や旅用の道具へとアップデートできます。普段と少し違う仕様になって、気分もアガるでしょう。

私の『デイパック』は今も旅しているだろうか?

グレゴリーデイパック
撮影:PONCHO
さて、かつて私は、テントや寝袋を詰め込んだ大型バックパックに、この『デイパック』も一緒に収納して、島から島へと旅をすることが好きでした。

テントを張って寝床をつくったら、大型バックパックは置いていき、代わりに『デイパック』を背負ってサイクリングをしたり、商店まで買い出し、そして山登りに行くことが常でした。



 

伊豆七島の神津島
撮影:PONCHO
そうした旅のひとつ、伊豆七島の神津島でのこと。

海沿いのキャンプ場から標高572mの天上山へと向かいました。もちろん背中に『デイパック』を背負って!

天上山の山頂は、神津島の美しい浜辺と同じような白砂に覆われています。表砂漠と呼ばれる場所は、外海の音を閉ざす高い岩壁に囲まれ、静けさに満ちていました。

小さな島にありながら、そこには地球という星の生命力を感じられる広がりのある風景がありました。

伊豆七島の神津島
撮影:PONCHO
そんな風景を見て、どこか放心状態になっていたのかもしれません。

翌朝、旅を終えることにした私は、荷物を整理して『デイパック』をクルクルっと丸めて、水道の近くに置きました。いつもはバッグinバッグ方式で、『デイパック』に移動で使う荷物を入れて大型バックパックに収納していたのに、なぜかこの時は空にして丸めて、水道の近くに、確かに置きました。

・・・自宅に帰ってから2日後に気がついたのは、『デイパック』を失くしたという事実でした…。

グレゴリーデイパック
撮影:PONCHO
その時、使い始めて10年近くが経っていました。

少しくたびれてきてはいましたが、むしろ生地がやわらかくなり、使いやすくなっていたのに。モノを失くすことがほとんどない私は、この『デイパック』を失くしてはじめて、それが旅の相棒だったことに気がつきました。

久しぶりに背負ってみてわかったこと

グレゴリーデイパック
撮影:PONCHO
今、振り返って思うのは、グレゴリーの『デイパック』は、「今日も旅するぞ!」とスイッチを入れてくれる道具、相棒だったということです。

私にとって登山や旅は、忙しい日常を忘れるために、気分転換するための非日常ではありません。

そこで過ごした特別な時間を忘れず、活かすために、どのように日常を過ごせばいいのかを学ぶ時間が、登山や旅でした。

そして、そんな登山や旅を共にしてきた『デイパック』を背負えば私は自然と旅モードになり、それが日常であっても旅感覚で、発見と想像の時間を過ごせていたのです。

グレゴリーデイパック
撮影:PONCHO
『デイパック』を失くしてから13年。今ではスイッチを入れる必要もなく、いつでも旅モードの私ですが、久しぶりに『デイパック』を背負ってみたら、当時のワクワク感が蘇ってきました。

最新のバックパックと比べてしまえば、すべてが旧式です。でも、その分なんだか人間味があって、愛着を湧かせる道具なのです。だからこそ43年もの間、多くの旅人に愛され続けているのでしょう。

それでは、よい山旅を!

 

#1 旅するスイッチを入れてくれる『グレゴリー/デイパック』

ITEM
グレゴリー/デイパック
容量:26L
重量:645g
サイズ:40W×45.5H×16.5Dcm

グレゴリー/デイパック

ぽんちょさん


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PONCHO
PONCHO

登山、トレイルラン、自転車、キャンプ、旅をテーマに雑誌、WEBで企画、執筆する編集・ライター。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』を妻と共に主催する山の案内人。

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