「あくまでも自転車は手段の一つ」様々な活動を通してフィールドを活気づける【CLAMP】の想いとは

2020/06/05 更新

長野県伊那市の自転車屋「CLAMP(クランプ)」は、トレッキングや釣り、キャンプやランニングなど多様な遊びもカバーするショップ。遊びを通して、日常生活の質の向上や地域貢献へと幅広くリンクし、いまや自転車屋の枠を大きく飛び超えた活動を展開するお店に大注目です!


アイキャッチ画像撮影:筆者

親子で楽しめるOMM?その名も<CMM>!

皆さん、長野県の伊那谷で開催されている<CMM>という大会をご存じでしょうか?
CMMとは「CLAMP Mountain Marathon」の略。その名の通り、山の中を自転車やランで走り回る大会です。

ロゲイニングの様子
提供:CLAMP
大会はフォトロゲイニング形式。制限時間内に地図上のチェックポイントを撮影して廻り、その得点を競い合います。
走力だけでなく読図技術や効率よくポイントを廻るプランニング力も必要で、総合力が求められるスポーツです。

とは言うものの、この動画から伝わってくるのはレースの緊張感というより、純粋に楽しむ参加者の様子。

大盛況の大会
提供:CLAMP
CMMという名前からピンときた方もいらっしゃるかもしれません。実はこの大会、イギリス発祥の伝統ある山岳レース「OMM(※)」にインスパイアされた大会なんです。

しかしながら、本家のトライアルクラスという位置づけでビギナーから楽しめるというのが特徴。未就学児もエントリーが可能で、親子での参加が可能なのもの嬉しいポイントです。
※OMM:「Original Mountain Marathon」の略。1965年にイギリスで初開催。走力や読図力、ルートプランニングなど、山の総合力が試される2日間にわたる山岳レース。
親子で参加
提供:CLAMP
「最初、この大会名はマズイかなと思ったんです(笑)。でも、OMM Japanさんに相談したらこの名称を推してくれました。
それ加え、公式にサポートして頂けることになったんです。」

そう話してくれたのは、CMMを主催する武村さん。今回ご紹介するお店<CLAMP(クランプ)>の店長さんです。

撮影:筆者 店長の武村さんと奥様

大会を主催しているのは「自転車屋さん」

伊那谷
出典:PIXTA
CLAMPがあるのは長野県・伊那市。南アルプスと中央アルプスに抱かれ、中央には天竜川が流れる自然豊かな街は、外遊びに絶好の環境です。

奥行きのある店内に入ると、今注目のガレージブランドのバックパックの他、アウトドアウェアやラニングシューズ、テンカラ竿や焚き火台など、幅広いジャンルのアイテムが目に入ります。

RawLowMountainWorks
撮影:筆者 話題のガレージブランドの取り扱い歴も長い
しかし実はこちらのお店、アウトドアショップではなく「自転車屋」。表の看板に至っては「BIKE SHOP」の文字しかなく、看板を見て入店した方はむしろ自転車以外のアイテムの多さに驚くのではないでしょうか。

CLAMP看板夜
撮影:筆者 ショップの表の看板
「確かに、当初は自転車屋としてスタートしました。
でも僕自身、昔から自転車以外にもスキーやランニングなど、体を動かす事なら何でも好きだった。そしてこの伊那谷というフィールドは山や川が近いので、それを楽しまない手は無い。そんな思いとともに、少しづつ今のお店の形になってきました。

自転車だけを楽しむのではなく、フィールドへのアクセス手段としても使ってほしい。自転車があれば遊びの幅がぐっと広がります。」

自転車やギアが並ぶ店内
撮影:筆者
例えば、自転車で山や川まで行き、そこからトレッキングやフィッシングを楽しむ。
そんな風に、複数の遊びを組み合わせて楽しむというのがコンセプト。特に、ウェアのセレクトはジャンルを超えた遊びに対応できる「汎用性」を重視しているそう。

自転車はフィールドへのアクセス手段。身近なフィールドを存分に楽しむために、あえてジャンルにこだわらない。そんなシンプルな発想を軸に、自転車中心のライフスタイルを提案しているお店なんです。

しかし気になるのが、CMM開催までの経緯。山岳レースであるCMMを、なぜ自転車屋さんが開催するに至ったのでしょうか?

「遊び場を作る」というシンプルな動機がスタート

「もとはといえば、CLAMPの自転車部のメンバーのひとりが、近所の山を遊び場として整備し始めたのが始まりです。」
お店には自転車部やランニング部などの部活動があり、もともとはそのメンバーの個人的な活動がきっかけだったそう。

辰野整備
提供:CLAMP
初めは土地の所有者から許可を得て始めた山の整備でしたが、その噂は瞬く間にご近所さんの間で広がり、”うちの土地もやってくれ”との声が続出しました。
次第に個人の活動では収まりきらなくなり、CLAMPのお客さんを中心に集まったメンバーの力を借りてその整備範囲を拡大。

現在は「トレイル整備&ライド」というCLAMPの月例イベントにまでなっています。

自立した活動を継続するために

トレイル整備
提供:CLAMP
活動が広がるにつれ、整備した山にポジティブな変化が。

それは、野生動物による獣害が軽減されたり、地域の避難場所としての活用が始まるなど、色々な形で地域貢献を果たすようになっていったのです。武村さんも、まさかこんな形で人の役に立つとは想像していなかったそう。

整備資材
提供:CLAMP
しかし、山の整備には人手が必要。地域の為にもなるとはいえ、ボランティア頼りでの継続は難しいという課題がありました。

「人員や機材の確保にはどうしてもお金が必要です。かといって補助金に頼っていては自立した活動とは呼べない。そこで、自立に向けた手段のひとつとしてCMMの開催を決めました。」
CMMロゴ
提供:CLAMP
実際、大会で集まった収益金は森林整備の活動費用に充てられているそう。みんなで遊んで、地域のためにもなる。そんな理想的な仕組みを象徴するのがCMMなんです。

また、大会はこの活動によって整備されたトレイルが舞台。「自分たちで整備したトレイルを、自分たちで走る」という面白さを多くの人と共有できるのは、この上ない贅沢。みんなで大会を育てていくという感覚が非常に楽しそうです。

バイクライド
提供:CLAMP
自分たちの遊び場作りをきっかけに始まった活動が次第に地域貢献になり、ついには世界的な山岳レースのお墨付きの大会へと繋がっていく。そんな展開は、誰も予想だにしなかったでしょう。

「CMMに参加したお子さんが、大きくなってOMMに参加するようになったら嬉しいですね。」
武村さんが思い描くそんな未来も現実のものになるかもしれません。

自転車屋じゃなくなる可能性だってある

「基本、受け身なんですよ。お客さんを初め、周りの人に求められた事をやってきて今がある。僕自身、もともとこだわりが強くあるわけじゃないですし、自転車屋じゃなくなる可能性だってあると思っています。」

非常に柔軟で、時局に合わせて刻々と変化しする活動は、自転車屋という一言で片付ける訳にはいきません。ここでは、その最新の活動の一端をご紹介しましょう。

CLAMP完全オリジナル<HAAAP!>

CLAMPオリジナルのHAAAP!
撮影;筆者 CLAMPオリジナルのHAAAP!
武村さんも着用しているこちらの<HAAAP!>は、CLAMP完全オリジナルのアイテム。前後にツバがあるスタイルのキャップはトレイルランナーに人気ですが、こちらはよりハットに近い形。深くかぶれて、サイドにまで達するツバが特徴です。

前後で長さが異なるツバは、サイクルキャップのように跳ね上げた状態でも着用可能。後ろのツバは首の日除けにもなります。自転車や釣り、トレッキングなど様々な遊びに対応できる汎用性の高い帽子が欲しいとの思いから誕生したアイテムです。

「完全にオリジナルで、市販品には無い形です。自転車のヘルメットの下にも被れます。普段使いにもおすすめです。」
今年の6月中旬には正式に登場予定。価格は6,300円(税抜)で、現在予約受付中です。気になる方はお店までご連絡を!

気に入ったアイテムを長く使うための<リぺラボ>

リぺラボ
撮影:筆者 CLAMPの店内に工房を構える”洋服直しのプロ”西野雅也さん
「2018年にはリペアやカスタマイズを行う<リぺラボ>という部門を立ち上げました。CLAMPには服飾のプロが居るので、その力も借りてウェアやギアの修理・カスタムにも注力していきたいと思っています。」

リペアしながら長く使い、カスタムによってオリジナリティを出す。武村さんが目指すのは、そんな道具との付き合い方です。新しい製品を買い続けるというライフスタイルに違和感を感じている方への、一つの解答になるかもしれません。

tibitibitoteカスタム
撮影:筆者 ループやショルダーストラップをレザーにカスタムした<RawLowMountainWorks>のTABI TIBI Tote
「オンラインでウェアやギアが買えるのが当たり前の時代。それでもわざわざお店に足を運んでもらいたいので、CLAMP限定のアイテムや、カスタムのウェア・ギアを充実させていくつもりです。」

アウトドアでも良い食事を<真空ごはん>

提供:CLAMP
最後にご紹介するのは<真空ごはん>。伊那市で人気の「創作バル FLATT.」と共同で開発した、真空パック&冷凍の保存食です。

あくまでも『生活』が中心と考え、外遊びをその活力にしてほしいと考える武村さん。その資本である健康な体作りには良い食事が不可欠だと考え、商品の開発に至ったそう。
真空&冷凍にこだわったのも、レトルト食品と異なり栄養素を損なわずに長期保存可能という理由からです。真空ごはん
提供:CLAMP
「シングルストーブや焚き火など熱源を問わず、川の水でも何でもお湯が作れれば良い。レストランの味がそのまま冷凍されているので、湯煎だけでちゃんとした食事ができます。
家の夕食で出てきてもテンションが上がるぐらい美味しいです(笑)」

外で真空ごはん
提供:CLAMP
手軽で美味しいだけでなく、旬の食材や規格外の野菜を使用することで買いやすい価格も実現。地元の農家さんと協力し、食品ロスの削減も目指しています。

長期保存が可能で、どこでも調理可能なので、アウトドアだけでなく災害時の備えとしてもおすすめ。真空ごはんは、おいしさや栄養素、利便性や価格に加えて環境にも配慮し、あらゆる意味で良い食事だと言えそう。
提供:CLAMP(編集:山下舞弓
5月22日から、「CLAMP」と「創作バルFLATT.」の店頭で販売をスタート!3つのメニューが発売中です。

“伊那谷野菜”と豚肩ロース『信州味噌焼き』(750円)

“伊那谷野菜”と鶏ささみ『さっぱり梅昆布醤油漬焼き』(660円)

“伊那谷野菜”と長野米『山菜炊き込みごはん』(130g:400円 180g:450円 230g:500円)

今後は、季節に応じたメニューの変化も楽しめるそう。取扱店も順次拡大予定!

提供したいのは「成功体験」

多様な活動を繰り広げる一方で、CLAMPが数多くのファンを獲得した根本的な理由をお店で発見。それは、お客さんに対する向き合い方に現れていました。

常連のお客さんと会話
撮影:筆者
「お客さんとの雑談も大切です。その会話をヒントに、オススメのアイテムを提案します。でも、最後は必ず本人の意志で商品を選んでもらうようにしています。僕が勧めた商品が失敗だと思われたくないですし(笑)。」

そんな言葉が意図するのは、「お客さんが納得して買う」ことへのこだわり。中でも特徴的なのが、購入を検討している方向けにギアを1週間無料でレンタルできるサービスです(一部商品が対象)。

ギアのレンタルサービス
撮影:筆者 ハンモックやタープ、トレラン用ザックから自転車のパーツなど対象は多岐に渡る
「試しに使ってもらう。それで不要だと思ったら買わない。それで良いと思ってます。本当にお客さんが納得できる買い物が、CLAMPでの成功体験に繋がると思うんです。」

納得してもらうために、実際に使ってもらう。そんな正直な姿勢や、それを通じて得た「成功体験」を求めて、多くのファンが足繁く通っているようです。

「頑張りすぎない」ためのアイテム

「Guide for Moving」をコンセプトに掲げるCLAMP。スキー等のガイド経験も長い武村さんが目指すのは、お客さんに「フィールド」へ出てもらう事であり、物販はあくまでもそのサポートの一つという位置づけ。
現在もお店のイベントを中心にガイドをする中、意識しているのは「頑張りすぎないこと」だそう。

「ガイドで大切なのは何よりも安全性。そのためには、頑張りすぎないことが重要です。余裕が無いとケガのリスクが高まりますし、何よりお客さんが楽しめていないことに気が付いたんです。」

心身ともに余裕をもって楽しむために大切な「休憩」。そして、その時間に欠かせないのが「コーヒー」と「ハンモック」です。
外でコーヒー 提供:CLAMP
「ハンモックは設置や撤収が簡単。靴を脱いだり足を投げ出したりも出来るのでかなり快適に休めます。そこに座って、お客さんにコーヒー豆を挽いてもらって飲む。
そうすることで、休憩時間もちょっとしたエンターテイメントの時間になるんです。」

ハンモックとコーヒー
提供:CLAMP
このような気遣いはガイドとしての経験があってこそ。しかし、この「お客さんが主役」の精神が発揮されているのはフィールドだけではありませんでした。

誰もが落ち着ける店内の秘密

clampオリジナルコーヒー
提供:CLAMP 松本市の「High-Five COFFEE STAND」によるオリジナルブレンド
休憩時間に必須のコーヒーですが、CLAMPではオリジナルブレンドの豆も販売。また、店内にはその豆を自分で挽いて淹れられるスペースもあります。八ヶ岳南麓の「YETI GELATO」も販売しているので、併せて楽しむのもいいかもしれません。

その他、広いテーブルや、お子さんが遊べるキッズスペースも。汗をかいたライド後にはシャワールームも使えます。

ジェラート
撮影:筆者 八ヶ岳南麓「YETI Gelato yatsugatake」のジェラート
「わざわざ遠くから遊びに来てくれたお客さんには、外遊びから帰ってきた後もお店でゆっくりしていって欲しい。
また、買い物に来てくれたお父さんだけじゃなく、その奥さんやお子さんにも店内で楽しく過ごしてほしい。そんな思いでやっています。」

不思議と落ち着く店内
撮影:筆者
ふらっと遊びに来たお客さんの誰もが気軽に過ごせる、不思議と心地よい空間。
その秘訣は、一見アウトドアと関係ないように思えるアイテムやスペースを通じて表現された、武村さんのサービス精神にあったようです。

「運動でつながる縁」と「人ありきで生まれるアイディア」

ランチ
提供:CLAMP
自身の枠にとらわれず、その地域にフィットするように変化を続けるCLAMP。お客さんが体験し、納得し、楽しむことを大切にしている印象をうけました。

同時に、土地や人とも調和しながら、外遊びの楽しさを発信し続けています。店のオープン前に、武村さんが社長から投げかけられたという「どこにもない店にしてくれ」という言葉。それを見事に体現しているお店だと感じました。

その魅力を一言で伝えるのは難しいですが、「伊那谷で体験できるひとつのエンターテイメント」という表現がしっくり来る楽しいお店です。

ショップカード
撮影:筆者 カウンター前には交流のあるショップのカードが並ぶ
「運動は『運を動かす』と書きますが、僕自身、人との縁にすごく恵まれていると思います。」

そう話すように、CLAMPの周りで進行する色々な活動は必ずしも武村さんの発案ではなかったそう。

「トレイルの整備やリぺラボ、真空ごはんも、元はと言えば相談を持ちかけられたのがきっかけ。全て”人ありき”で始まって、それに協力しようと発案したアイディアを実行しているうちに、いつの間にか話が大きくなっているという感じです。」

その言葉通り、CLAMPの活動は今や「地方創生」のヒントとして多方面から注目が高まっています。もはや自転車屋の枠に収まりきらない活動は、今後も益々注目です!

CLAMP住所:〒396-0023 長野県伊那市山寺249-1
営業時間:11:00~20:00(木曜定休)
電話:0265-96-0109
FAX:0265-96-0134
Instagram:@clamp_ina

取り扱いブランド:ACLIMA、ALL YOURS、ALTRA、APIDURA、AXESQUIN、BIG SKY、BROOKS、CCP、CHROMAG、cocoon、DANG SHADES、Decibell、eno、FAIRWEATHER、fizik、FRANK&MORRIS、GIRO、GRANITE DESIGN、halo commodity、HAND OUT GLOVES、HOUDINI、Hydrapac、HYDROBLU、injinji、knog、LEZYNE、MOUNTAIN KING、Mountain Martial Arts、NANGA、narifuri、NATURE THING、New-HALE、NORRONA、NOVA SCOTIA FISHERMAN、OLFA WORKS、OMM、OOFOS、PAAGO WORKS、PAPERSKY、POC、POINT6、RAL、RawLow Mountain Works、SMITH、SURLY、Teton Bros.、Tritensil、velo spica、Yetina 等
オンラインストア

この記事を読んでいる人にはこちらもおすすめ


\ この記事の感想を教えてください /
GOOD! BAD

関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

クランプ
この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
早太朗

長野県・南信地方在住。大学時代は山漬けの日々。卒業後も、そのまま山の世界へ。 興味の対象はアルプスから里山へと移り、身近な山の楽しみ方を探求中です。

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

アウトドアのすべてを、ひとつのアプリで。

150以上のアウトドアメディアの記事や動画、3万枚以上のみんなの写真も見られる!
アウトドアの「知りたい!」「行きたい!」がきっと見つかる!
お気に入りの記事や写真を集めて、スキマ時間に素早くチェック!