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山は不思議話の宝庫!

山というのは昔から人間と自然、あるいは神様の距離が近い特別な場所だったのでしょう。それゆえ、山にまつわる神話や伝説は日本中に数多く存在します。今回は、そんな話の中でも特に興味深いお話をご紹介!出典も数多く明記しましたので、それを糸口に神話や伝説の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか!?
名前の由来は富士山にあり!?<八ヶ岳連峰>


昔々、八ヶ岳と富士山が活火山だったころの話。富士山の神様「木花柵耶姫(このはなさくやひめ)」と八ケ岳の神様「磐長姫(いわながひめ)」は、いつもお互いの高さを張り合って喧嘩ばかりしていました。ある時、それを見兼ねた如来様が水裁判をすることを提案。いざ、お互いの峰に樋をかけ水を流すと、その水は富士山の方へと流れていきました。結果は八ヶ岳の勝ち。しかし、富士山の神様はプライドが高く、負けという結果に腹を立てて、なんと八ヶ岳の頭を蹴飛ばしてしまいました。すると、天地も揺らぐ大音響と共に、八ヶ岳の頭が八つに裂けてしまったのです。それ以来、八ヶ岳は富士山よりも背が低くなってしまい、現在の姿に。吹き飛ばされた頭の部分が、現在の北八ヶ岳なんだとか。
岩戸は○○から飛んできた!?<戸隠山>

そんな戸隠山は、もともと信州の地には無かったんだとか・・・

その昔、太陽神である姉の「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」は、弟の「須佐之男命(すさのおのみこと)」の素行の悪さに頭を悩ませ、天岩戸(あまのいわと)の中に引きこもってしまいました。その結果、世界は暗闇に包まれ、多くの災いにより秩序が乱れてしまいました。そんな状況を打開すべく、なんとか天照の気を引こうと、八百万の神々が天岩戸の前で踊りどよめきました。騒ぎに気付いた天照が岩戸を少し開けて外を覗き込んだ瞬間、すかさず天之手力男神(あめのたぢからお)が岩戸を放り投げ天照大御神を引っ張り出すことに成功。無事に地上に平和が戻りました。この時放り投げられた岩戸は、日本のほぼ真ん中、すなわち現在の長野県の北部に落下し、現在の戸隠山となったという話。
西日本を中心に「ここが天岩戸である」とされる地が数多く残る中、特に有名なのが宮崎県・高千穂の「天岩戸神社」。天岩戸とされる岩窟をご神体とする神社で、戸隠山との距離はなんと約800km!非常にスケールの大きな話です。

あの金太郎は実在した!?<金時山>


金時山の麓で生まれた金太郎は、幼いころから力持ち。山中で動物たちと共に過ごし、熊と相撲をとっては見事に打ち負かしていました。気は優しくて力持ちの金太郎は、ある時に足柄峠に差し掛かった源頼光と出会い、その能力を見出されます。この時から「坂田金時」と名前を変え、京都に上って「頼光四天王」の一人に。都で悪さをしていた「酒吞童子(しゅてんどうじ)」という鬼を退治するなど、妖怪退治に大活躍したそうです。
徳川埋蔵金伝説はどうなった!?<赤城山>

当時、財政難だった明治政府は、幕府側が財宝をどこかに隠したと判断し、それを機に埋蔵金探しが始まりました。しかし、城内の金蔵を調べるも、期待していた江戸幕府御用金はどこにも見当たりませんでした・・・
果たしてどこに隠したのか?その候補地として、群馬県の赤城山(あかぎやま)が有力視されてきました。

中には、先祖代々で埋蔵金を探し続ける人が出てきたり。TV番組で発掘作業が行われています。江戸城開城の当時、幕府の勘定奉行だった小栗忠順(おぐりただまさ)の領地内にあった山が赤城山。「利根川を遡って来た船から誰かが何かを赤城山中へ運び込むのを見た」という伝聞等が発端とされています。
これまで数多くの人々が発掘作業を行ってきましたが、未だに発見には至っていません。
現在でも、「山麓の寺から謎の文字が彫られた銅版が見つかった!」だとか、「その内容が解読された!」「その証拠の黄金像が見つかった!」など、真偽不明の噂が飛び交っています。
そんな彼らが本当に追い求めているのは、実はロマン以外の何物ではないのかもしれません・・・!
四国に眠るソロモン秘宝伝説<剣山>

古くから信仰の山であったと同時に、実は秘宝が隠されているという伝説が残されているんです。

「剣山には『古代イスラエルの王・ソロモンの秘宝』が眠っている。」
ソロモンの秘宝とは、アークと呼ばれる特別な箱(聖櫃)に収められた石板・壺・杖の3点のこと。これが古代イスラエルから日本へ渡り、今なお剣山の山中に眠っているという言い伝えがあります。頂上付近には宝蔵石と呼ばれる岩があり、この下にアークが眠っているという具体的な説も。アーク自体は世界中の絵画にも描かれていますが、人が担げるように2本の棒がついており、その大きさや形状は、剣山本宮の例大祭で担がれる神輿とそっくり。また、岩を信仰している点など、剣山の周辺の神社も含めてイスラエルとの共通点が数多く見て取れるそう。
磐堺神明神社(いわさかしんめいじんじゃ)に残る石積みの空間は、その形状や目的も含め、古代イスラエルの礼拝所とよく似ているそう。また、倭大國魂神社(やまとおおくにたまじんじゃ)の神紋とメノラー(ユダヤ教の象徴的な燭台)の類似性も指摘され、偶然で済ませられない一致が数多く見られるのは事実のよう。
国や民族、時代を超えたミステリーが、まさか四国にあるとは驚き。しかし、同様の話がある山は剣山だけではありません。
日ユ同祖論の根拠はここにも!?<守屋山>

そんな彼らは四国だけでなく、長野県・諏訪の守屋山(もりやさん)の周辺へも視察に訪れたそうです。四国から遠く離れた信州の地でも、日ユ同祖論の根拠とされるミステリーがまことしやかに囁かれていました。
そんな守屋山とイスラエルの繋がりは、旧約聖書の「イサク奉献」に見出せます。この舞台となったのが「モリヤの山」と言われているのです。

御頭祭の主人公は「おこう」と呼ばれる15歳以下の少年。神の使いとしての役割が与えられています。まず、柱に少年を縄で縛り付け、柱ごと竹のむしろの上に押し上げます。その後、神官やそのリーダーである神長、藤刀(ふじがたな)と呼ばれる小さな刃物も登場。最終的には縛られていた少年が解き放たれ、祭りは終わります。また、この神事では75体もの鹿の頭が捧げられ、「御頭祭」の名前の由来ともなっています。そして、この神事の舞台である諏訪大社上社の背後にあるのは「守屋山」なのです。
実際のところ、守屋山が諏訪大社上社のご神体という訳ではないようです。ただ、双方の物語に登場する「モリヤ」という地名など、偶然で済ませるにはあまりにも共通点が多いと言わざるを得ません。「日ユ同祖論」は多数の研究者によって指摘されている、非常に興味深い説です。
信じるか信じないかはあなた次第!ロマンを感じながらの登山も楽しい!

<注意>
今回ご紹介したお話はあくまでも神話や伝説であり、諸説あるうちの一説に過ぎません。ロマンを感じて、楽しんでいただけたら幸いです。