2000kmもの海を渡る〇〇。根っこが1mもある△△!山のすごい生きもの図鑑

2019/12/25 更新

いつも何気なく登っている山ですが、そこいる生き物たちには、実はすごーい生態を持っている者もいるんです!驚きの自然がいっぱいの山は、日本の生物多様性のバロメーター。山頂に立つ達成感や、絶景とは違う山の魅力をちょっとだけ紹介しちゃいます。


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日本の山にはこんなに多様な生き物が暮らしています!

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登山の醍醐味といえば、山頂に立つ達成感や絶景とともに、きれいな花や、小さな虫や鳥などを鑑賞することも楽しみのひとつですね。でも、そんな植物や動物の中には、おどろきの生態を持つものがあるって知っていましたか?

昔は氷河?多様性を育む「日本の山のなりたち」を簡単に紹介

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数千年万年前、大陸の一部だった部分が、4つのプレートによる圧力で破断したのち、プレート運動や火山活動などにより形作られたのが、今の日本列島と3,000m級の高山や渓谷。

そして、数万年前の氷河時代、日本にも氷河が南下し、氷河が流れ削った後がカールとして残り、世界でも特異とされる、今の複雑な日本の山岳地形を作り上げました。秋の紅葉で賑わう「涸沢カール」も氷河時代の名残だと思うと、スケール感に驚きませんか?
涸沢カール
出典:PIXTA(涸沢カール)

固有種の数は、有名なあの島よりも多いんです!

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そんな世界でも珍しい複雑な地形とともに、大陸と海洋からの季節風や、海に囲まれ多雨な気候との相乗効果から、多様な固有種の動植物を育んできました。その固有種の数は131種類。なんと、生物の宝庫として有名な「ガラパゴス諸島」の110種類よりも多いんです!ちょっとびっくりですね。

山のすごい生き物【植物編】

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世界有数の日本の固有種、それに、世界に分布する種類まで含めれば、日本には本当にたくさんの動植物が生息しています。それだけ多ければ、変わり者もいるもの。ここからは、山のすごーい生き物をご紹介。まずは植物から。

①コマクサ|高山植物の女王の根っこはとっても長ーい

学名:Dicentra peregrina
主な生息地:千島列島、カムチャッカなどから、北海道から中部地方の高山の砂礫地。

コマクサ

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荒涼とした山稜に、ピンクの可憐な花を咲かせる高山植物の女王「コマクサ」。私たちが見るのは高さ5cm程度の可愛らしい姿ですが、過酷な環境で生きるため、なんと地下には50cmから1mの長ーい根を張っているのです。

ちなみに名前は、花の姿が「馬(駒)の面に似る」ことに由来するという説のほかに「お駒」という女性に因んでお駒草からコマクサとなったという説もあるそうです。

②コバイケイソウ|10辛を超える?ふわふわ可憐なその正体は……

学名:Veratrum stamineum
主な生息地:北海道から中部地方以北の山地の草原や湿地帯(日本の固有種)。

コバイケイソウ

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春、青々とした若芽がやわらかそうで、炒めるととってもおいしそうなコバイケイソウ。しかし、なんと猛毒! 死に至るほどだそうです。しかも激辛、鹿も絶対に食べません。

実際に山菜のオオバギボウシノカンゾウに似ていることから誤食による事故が少なくないそう。白馬岳の群生地は有名ですが、絶滅せずに群生する理由がわかります。間違っても食べないように注意しましょう。

【コバイケイソウの芽】
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③カタバミ|どこにでも咲いているけど、ハイテク技術のカタマリ

学名:Oxalis corniculata
主な生息地:世界中の低山や平地、人家の庭や公園、道端などどこにでも咲く。

カタバミ

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春から秋にかけて、路傍や里山などでよく見かけるカタバミ。黄色い花がとってもカワイイ。でも、ハイテク技術のカタマリなのです。

【1.センサー付き種子発射装置】
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ロケット型の種子袋から振動を感知すると、一斉に種子を発射し、しかも接着性の液体も同時に発射されるので動物にくっつき移動します。

【2.光センサーで体力温存】
撮影:黒田猫太郎(画像はムラサキカタバミ)
光センサーで日光を検知。天気がいい日しか花や葉を開かないことで、熱を逃さず自分を守ります。

【3.撥水加工で雨でもへっちゃら】
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屋外で生活しているのに雨を嫌うのもなんですが、撥水加工された葉や花はしっかりと雨をはじきます。まるでレインウェア。
これらのハイテク技術を駆使した結果が、現在、世界中に分布するほどに反映した理由なのでしょうね。

④マムシグサ|究極ジェンダーフリー!?オスになったりメスになったり…

学名:Arisaema serratum
主な日本の生息地:北海道から九州の山地などの主に湿った場所

マムシグサ

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山中のちょっと薄暗いところでよく見るマムシグサ、ちょっと変わった姿が印象的です。

実は、このマムシグサ、栄養状態によって性転換するそう。最初はオス、次の年はメス、何年後かにはまたオスに戻ったり、うらやましいようなうらやましくないような……。真っ赤な果実の姿もすごく目立ちます。ちなみに全体が毒なので絶対に食べないように。

【食べるな危険!マムシグサの果実】
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山のすごい生き物【動物・昆虫編】

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ここまでは、実はすごい山の植物たちをご紹介してきましたが、次は動物・昆虫編。どんなすごーい動物や昆虫がいるんでしょうか?

①ニホンジカとノネズミ|ツノ消失事件の犯人?!ミステリーな関係

ニホンジカ
学名:Cervus nippon
主な日本の生息地:全国の里山から山岳地帯まで
ノネズミ
学名:Apodemus speciosusなど
主な日本の生息地:全国の低地から高山帯まで

ニホンジカ

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山の野生動物としては、割とポピュラーなニホンジカ、ツノは12月ごろに抜け落ち、新しく生え変わります。

でも、その落ちたツノ、山で見掛けることはほとんどありませんよね? それもそのはず、すぐにノネズミが食べちゃうからだそうです。そりゃ、見ることないはずですね。

【ツノ盗み食い犯人・ノネズミ】
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②ミノムシ|ただぶら下がっているだけ?実は切ないメスの一生

学名:Psychidae
主な日本の生息地:全国の庭や公園、里山など(だった、今や絶滅危惧種)

ミノムシ

出典:PIXTA
木の枝や幹にブラブラとぶら下がっているミノムシ。オスは成虫になると蓑から出てガになりますが、メスは成虫になってもミノの中。交尾も産卵もミノの中。そして死んだらミノから落ちる、外に出られるのは死んだ時だけ……

なんだか切ないメスの一生。そんなミノムシですが、外来種のハエの寄生により、今や絶滅危惧種でもあるそうです。

【オスの成虫「ミノガ」は自由の身】
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③ツキノワグマ|実は身軽なクマ、木の上で食事することも

学名:Ursus thibetanus
主な日本の生息地:本州、四国の山岳地帯

ツキノワグマ

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日本の野生動物の中では、最大の部類になる「クマ」。山で遭遇したくない、でも、ちょっとだけ見てみたい動物のひとつですね。

大きな体が印象的ですが、実は木登りも得意。そして、木の実を食べる際に木の上に「熊棚(熊床)」を作ります。木の上の方をみていると見つけることができるかも。

【樹上の特製チェア・熊棚】
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④アサギマダラ|飛行距離なんと2,000kmのスーパーアスリート!

学名:Parantica sita
主な日本の生息地:九州以北の山岳地帯から、南西諸島まで

アサギマダラ

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春から夏、高い山の森や草原でよく見かけるアサギマダラ。うすいブルーのきれいな羽をはばたかせながら飛び回る姿が優雅ですね。
冬を前に海を渡り南下しますが、その距離なんと1,000km〜2000km! 2,000kmというのは、東京から沖縄の与那国島までの距離に相当します。また、大阪から与那国島へ1,650kmを旅したアサギマダラは17日間で渡ったそうで、1日100kmぐらい飛んだ計算に。アサギマダラ、すごすぎる。

注意深く自然を観察してみよう

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ちょっとびっくりな山の植物や、動物、昆虫たち。いつもなんとなく見てきた生き物たちが実はすごい生態を持っているんですね。
次の登山では、ピークハントだけではなく、ちょっと注意深く自然を観察してみませんか? 新たな山の楽しみが見つかるかもしれませんよ。

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黒田猫太郎
黒田猫太郎

IT関連の超インドア人間が、パートナーの影響で山人間に。今では、パートナーよりも山にはまってしまいました。九州を中心に山歴20年。なのに、一向に上級者になる気配が無い、猫好き酒好きのヘタレ山ヤです。パートナー&猫2匹と同居中。

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