6月だけの特別企画 ココヘリ入会金無料キャンペーン 今すぐ申し込み

あの人を山で元気にしたい!インドア女子が1年で剱岳に登るまで〜初登山への道のり編〜(2ページ目)

①安全な登山のためのプレゼント

安全グッズ

撮影:washio daisuke(初心者には必要性のわからない、けれども安全登山に必携のアイテム)

そんな彼女が登山を始める記念に私がプレゼントしたのは「ヘッドランプ・レスキューシート・応急セット」でした。

登山靴・ザック・雨具のいわゆる三種の神器やウェアは個人の好みもありますし、これらはビギナーが自発的には購入しない、しかし安全登山に必須なアイテムだからです。

②登山に必要な準備は念入りに

お手製登山のしおり

撮影:washio daisuke(手書きの「登山のしおり」。タイムスケジュール・概念図・高低表・持ち物など、遠足風に作ってみました)

また、高低表や概念図やタイムスケジュールを「しおり」の様に作成し、保険や登山届についても教えました。

状況次第では危険で救助にも時間がかかる「登山」に誘う以上、これは曲がりなりにも経験者である側の最低限の責任だと思います。

責任感は伝わらなかった…。それはなぜ?

登山道を歩く齋藤さん

撮影:washio daisuke(こんな平坦な登山道でも左の谷側に滑落したら…?)

後日話をしたところ、彼女からは予想もつかなかった言葉が。

齋藤さんの証言
登山知識ゼロの私からすると、プレゼントされたグッズもしおりの内容も「ありがたいけど、何コレ?」と言う感想しか持ちませんでした。

当時の私には、山での“万が一”の事態を思い浮かべる発想すらありませんでしたからね。


これを聞いて私が「失敗だった」と思ったのは、プレゼントしたアイテムや高低表の必要性をきちんと説明しなかったこと

“登山は危険”と言うイメージを抱かれないために余計なことは伝えず「とりあえずザックに入れておいて」と言いましたが…。

・救急車がすぐに来ることのできない山の中での「万が一」への備えの必要性
ルートやタイムスケジュールなど予め計画を立て「山をイメージする」重要性

と言うこれらの準備の意味と目的をもう少しきちんと説明すべきだったかもしれませんね。

初登山は大成功!五感をフル稼働して自然を満喫

自然を満喫する齋藤さん

撮影:washio daisuke(御岳山ロックガーデン・綾広の滝にて)

彼女を初めて連れて行ったのは奥多摩・御岳山でした。ケーブルカーを利用することで標高差が少なく、天候や体調に問題があれば引き返すことのできる往復ルートを設定できる山です。

御岳山での彼女を見て、私はすごく驚きました。遠い昔の山岳部の新入部員はともかく、これまで時折ガイドでご案内したお客様は「登山に興味がある」「既に登山を楽しんでいる」人ばかり。
レンゲショウマの花を慈しむようにそっと触れる姿。残暑厳しい都会とは違う涼しく爽やかな風を感じる姿。杉の巨木や苔むした岩に掌を当てて何かを感じ取ろうとする姿。野鳥のさえずりや虫の声に耳を澄ませる姿。渓流のせせらぎに手をひたして水の冷たさに驚く姿…。
ほぼ初めての登山で五感や全身で自然を楽しんでいる姿は、今でも忘れられません

齋藤さんの証言
何でも自分で体験してみないと分からないって本当だな、と痛感しました。自分の目で見た景色、感じた空気、触れた自然の全てが心地良かったです。

たくさんの生命の力があるな、自然って凄いな、ずっとこの場所で生命を育んでいるんだな、と様々な感動がありました。
自然の生命力を深呼吸して感じた時間は、とても素敵な経験になりました。

とりあえず初登山は成功!?さあ、次はどうする…

劒岳登頂

撮影:washio daisuke(初登山から1年で、いかにここまでたどり着いたか?見届けてください!裏エピソードのブログもあります)

こうして、齋藤さんは初めての登山を思う存分満喫してくれました。そして半月もしないうちに「次はどの山に連れて行ってくれるの?」の催促が…!
・根っからのインドア女子が、一緒に登山に行ってくれた
・しかも、その登山で自然を全身で感じて、楽しんでくれた

ことに、まずはひと安心。
でも、ここから先も「飽きずに」「嫌にならずに」登山を楽しんでもらうためには、どんな工夫が必要なのでしょう。これは、私にとっても未知の領域。
その後の私たちのあゆみを、これから半月に一度のタームで連載していきます。ぜひ、ご愛読をお願いします!

続きが気になる方

ライタープロフィール:鷲尾 太輔

鷲尾さん

撮影:washio daisuke
(公社)日本山岳ガイド協会認定登山ガイド

高尾山の麓・東京都西部出身ながら、花粉症で春の高尾山は苦手。得意分野は読図とコンパスワーク。
ツアー登山の企画・引率経験もあり、登山初心者の方に山の楽しさを伝える「山と人を結ぶ架け橋」を目指しています。

 

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます

2 / 2ページ