【6】果たして”青”は目立つのか?目立たないのか?
最後は自然の中に少ない色でもある青色。黒系の近い気もしますが・・・。
20mの距離からは

撮影:PONCHO
山の景色の中で目立つブルーシートを見たことがありましたが、自然に少ない青がこんなにも目立つとは。そのせいか、メーカーでもレインウエアに青をラインナップすることが増えているように感じます。
45m離れても

撮影:PONCHO
青は目立つというより、強い違和感があるという表現があいます。紅葉の時期でも、きっと同じでしょう。山の上からブルーシートを見つける時と、同じ。なんだ、あの青は!? という感じです。
緑の谷の背景では

撮影:PONCHO
背景は緑で明るいですが、この時も厚い雲がやってきてかなり暗くなりました。たぶん完全に暗くなったら青は黒っぽく見えてしまいますが、薄暗い中では赤や黄色よりも青の方が見えやすく感じました。
青が目立つ秘密は【プルキニェ現象】

撮影:PONCHO
雨天時や曇り等、薄暗い中でも青が目立ちました。これは、人の目は暗くなる程に青色に敏感になるという「プルキニェ現象」が原因。
逆に明るい場所では、赤が鮮やかに遠くまで見えると言われていることは感覚通りだと思います。
救助隊の方にも色に関するアドバイスをもらいました
今回のテスト結果を、実際に遭難者の捜索を行っている東京都山岳連盟元救助隊隊長(記事制作時)の金子さんにも見せて、色に関するアドバイスをもらいました。
金子さん
これは大変意欲的かつ、実践的な実験ですね。
色の”明るさ”も大切

撮影:PONCHO
山の中では空の色や光にうつされた水の色以外に、青色はあまり存在しないので目立ちます。紺色に近いような青よりも、明るい青色の方が目に付きやすいです。
その他、認識しやすい色は明るい赤や明るいオレンジ色。蛍光のオレンジ色は、紅葉の時季でも案外目立ちます。
周りの環境にも注意を払おう

撮影:PONCHO
灰色や黒、こげ茶は40mくらい離れると認識しにくくなります。
それ以外でも、緑がいっぱいの場所だと緑は見えにくくなり、雪の上だと白は認識しにくくなります。また、紅葉の時季には茶色や濃いオレンジも落ち葉と同じ色だと見つけにくくなりますので、周りの環境と似た色にならないように気をつけましょう。
金子さん
あなたが骨折や疲労で身動きが取れなくなり救助を依頼した場合、認識されやすい色の雨具を広げるとヘリコプターやドローンで発見されやすくなります。
もし持っていない場合はレスキューシートを広げて動かしてください。光が反射して見つけやすくなります。
明るい場所では”赤”
薄暗い場所では”青”や明るい色
予想通り、目立つ色は赤や黄色のエマージェンシーカラー。反対に黒、アースカラーのベージュは、やはり目立ちにくいことを再確認。
明るい緑も案外よく目立ったり、青は自然界にあまりない色なので違和感を感じたりということもわかりました。
20mからの距離の一覧

撮影:PONCHO(編集:YAMA HACK編集部)画像クリックで拡大
45mからの距離一覧

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ただし早合点は禁物!

撮影:PONCHO
山や森の中の環境は、常に一定ではありません。どんな状況でも赤が万能、違和感は青が一番という早合点は禁物です。そもそも天候が悪かったり、霧が出ていたら、ほとんど周囲は見えません。
それらの色は他の色に比べて目立ちやすいというだけで、それを着ていれば安全という訳ではないので、他の安全対策も忘れずに。
もしものことも頭に入れながらコーディネートを楽しもう!

撮影:PONCHO
今回はレインウエアで目立つ色のテストをしましたが、バックパックや帽子に赤、黄、青といった目立つ色を取り入れてもよいでしょう。モノトーンやアースカラーでコーディネートしたいという方は、山の中では目立ちにくいということを考慮して、別のアイテムで目立つ色のものを持ったり、それ以外の準備・装備を怠らないように注意してください。
それでは皆さん、よい山旅を!
今回のテストに使用したモンベル/ストームクルーザー ジャケットMen’sの詳細を知りたい方は、下のボタンから確認してください。
制作協力:株式会社モンベル