え?ザック透けてない?
一見なんの変哲もない赤と白のザック。シンプルなデザインがカッコいいですね。
しかしよく見てみると、何だかうっすらボディの中央辺りに黄色が見えませんか…?
さらによく見てみると、何やら文字のようなものも。
このザック、なんと中身が透けて見えているようです。
どこのブランドだろう…。
Ferrino…フェリーノ…??
日本に初上陸した老舗ブランド【フェリーノ】
オレンジ色のロゴがインパクトのあるこのアウトドアブランドを知っているでしょうか?このスケスケザックを生み出したブランドこそが、この『Ferrino(フェリーノ)』。
実はこのブランド、イタリアではかなり有名な老舗アウトドアブランド。
登山家ラインホルト・メスナーと共に、地球上の14の最高峰の頂点に立った最初のブランドなんです。
テントメーカーとしてブランドが開始。その後、バックパック・寝袋・アパレル・アクセサリーなど、様々な活動に添って多くのアイテムを作り出してきました。
日本では上陸したばかりのブランドの為あまり知られていませんが、ヨーロッパではかなり有名です。
見た目のインパクトだけじゃない!スケスケザックの実力とは
そんな老舗アウトドアメーカー・フェリーノが、ついに2018年12月に日本に初上陸。アルパインクライミング向けのアイテムを多く販売しています。その中の一つが、この噂の「スケスケ」のザック【RADICAL(ラディカル)】。
高強度・超軽量で耐引裂性に優れた素材「Dyneema®(ダイニーマ)」で作られた、ULスタイルのアルパインバックパックです。
高い防水性のある生地のため染色することが出来ないこのダイニーマ。透け感のある生地をそのまま使用しているため、結果スケスケのザックとなりました。
一瞬白いザックにも見えますが、手をかざしてみるとその薄さがわかります。
30Lで490g、45Lで最大570gまで軽量化!
ラディカルの一番の魅力は、何といってもその軽量さ。45L+10のザックは本体フル装備で970g、雨蓋・背面パッドなどを取り外すことで、最大570gまで軽量化することが可能。この軽さのおかげで、よりスピーディーに活動できるのです。
薄いのに強靭!鉄の15倍もの強さを誇るダイニーマ
軽いだけじゃないのが、ラディカルのさらにすごい所!ダイニーマはクライミングのスリングにも使われている繊維「高強度ポリエチレン繊維」の商品名。引っ張り強度や屈曲強度に強く、耐摩耗性は他の高機能繊維に比べて10倍以上も優れています。
その強さはなんと、鉄の15倍。防弾ベストにも使われているほど頑丈な素材のため、過酷な環境での山行にもおすすめです。
スゴイ薄いけど…穴はあかないの?
耐摩耗性に優れているダイニーマですが、尖ったものが刺されば当然穴はあきます。しかし「空いた穴から広がり、裂けてしまう」ということはほぼありません。
クライマーには特に嬉しい、細かい機能が豊富
写真は左上から時計回りに
・内部ギアラック機能
・取り外し可能なバックパネル
・メッシュで部屋分けされた天蓋。取り外しも可能
・余ったストラップをまとめられるベルクロ付
(全て45L)
「薄すぎてやっぱり心配…」実際のところどうなの?を検証
細かい機能を見ていくと、かなり優秀ザックだということがわかりました。でもこの軽さ…本当に丈夫なの?
実際に2泊3日の山行で、ラディカル45L・30Lを使ってみました。
見るからにパンパンのザック。パッキングしている最中は「こんなに薄いザック…大丈夫かな?」「無理やり詰め込んだら生地が切れてしまうのでは…」と正直ちょっと不安になりましたが、”生地が強い”との噂通り、雑なパッキングにも負けずたくさんの荷物を詰め込むことができました。ザック自体が軽いので、想像していたより軽くて快適!
上部はロールトップになっており、さらに正面についているファスナーで全開に。雨蓋も外すことが出来るため、テント設営時やパッキングする際、とても楽でした。
ファスナーは上からも下からも開けられるようになっているので、山行中に下の物を取り出したいときに便利!
ショルダー・ヒップベルトは薄めではありますが、クッションがしっかりあり食い込むこともありません。裏がメッシュになっているので、熱が籠りにくく快適でした。
余った紐がぷらぷらして引っかからないよう、固定するバンドも。細かい部分にも気配りが感じられます。
唯一気になる透け感は……”あえて楽しむ!”
軽い反面、難点というと「生地が薄いので中身が見えてしまうこと」でしょう。特に女性は気になるかもしれませんね。
今回は敢えてスヌーピー柄袋や色付のバック、ロゴ入りの袋などに分類し、『見せるパッキング』を楽しんでみました。カラフルなインナーバッグを揃えて、コーディネートするのも楽しいですね!
(うっかりお昼のカップヌードルが見えてしまっていたのはご愛敬)
また、生地が薄く柔らかいためか、最初は表面がボコボコになってしまいました。美しい形にパッキングするのに最初は少しコツがいるかも?!
防水効果はある??
ラディカルには防水加工は施されておらず、防水機能はありません。しかし、メインで使われている素材”ダイニーマ”は『生地自体は水分を吸収しない性質』のため、雨に濡れて重くなることはありません。
ということは、防水効果もあるのか…?
土砂降りの中4時間、ラディカル30Lでハイキング。雨蓋とボディに、それぞれ荷物を入れてみます。水滴が確認しやすいよう、どちらも袋に入れて収納しました。
4時間後、荷物を取り出してみます。
まずは天蓋部分。
天蓋表面は一見水を弾いているように見えますが、中に入れておいた袋には水滴が。赤い部分の生地、ファスナーから浸水しまったようです。天蓋に荷物を入れるときには、ジップロックなど防水対策をした方がよさそうですね。
続いてはボディ部分。
こちらはびっくり、表面の生地にも中の袋にも、水滴はついていませんでした。
しかし水滴はついていなかったものの、表面の生地も中の袋にもじんわりと湿り気が。背面やボディ下部の赤い生地からは浸水してしまうため、念のため防水バッグに入れておくことをおすすめします。
ただ今回の検証時はかなり雨が降っていたため、小雨であればザックカバーがなくても問題ないと思います。
総合的に見ても…「アリ」のラディカル
さらになんといっても、注目度抜群!
今はまだwebでしか購入することができないため、日本では見かけることの少ないこのラディカル。実際登山中には、このスケスケザックに多くの登山客が注目しており、なんだかイケてる登山者風でした!笑
「軽量!高強度!」を求めるなら試す価値あり
ラディカルの商品紹介
RADICAL 45+10(ラディカル45+10)
アルミ製キャリア・フレーム、バックパネル、天蓋を取り外すことで段階的に570gまで軽量化可能!
・メイン・ファブリックは高強度、超軽量且つ耐引裂性に優れたダイニーマ
・本体へのフロント・アクセス
・背面:人間工学に基づいた通気性のあるメッシュ素材&高強度パッド “ACT”
・ポケット:天蓋、ウエストベルト、背中の内側
RADICAL30(ラディカル30)
ダイニーマのスキー&ロープ・ホルダーを取り外すことで465gまで軽量化可能
・メイン・ファブリックは高強度、超軽量且つ耐引裂性に優れたダイニーマ
・背面:穴あきパッドとメッシュを組み合わせた人間工学に基づいた通気性のある素材
・ポケット:天蓋、サイドメッシュ、ウエストベルト
・ダイニーマコードによるファスト・コンプレッション・システム
【番外編】クライマーには完全防水の「アルティメット」もおすすめ!
ラディカルは現在販売を終了してしまっていますが、実はフェリーノには、他にもクライマーに人気のザックがたくさん!中でも人気なのが、完全防水アルパイン・バックパック【アルティメット】。シンプルでありながらクライマーの「欲しい」機能を詰め込んだ、これぞパーフェクト・デザイン。赤と黒の配色が格好いいですね!こちらも合わせて要チェックです。