お値段にビックリ!? フランス生まれのテントメーカー<SAMAYA>。 その代表モデルの実力とは?

2021/10/21 更新

フランスの気鋭ブランド<SAMAYA>から登場したシングルウォールテント。フランスらしい上品なデザインながら、“超”がつく高価格モデルとしても話題です。シングルウォールにつきものの結露問題や通気性、細かなギミックや室内空間などを、実際に泊まってみたレビューはいかに?!


アイキャッチ画像撮影:高橋庄太郎

シングルウォールだけど、通気性バツグン!

撮影:高橋庄太郎(以下すべて)
国内メーカーから海外メーカーまで、今の日本には多種多様なテントがあふれています。そんななか日本に上陸したのが、フランスのメーカー<SAMAYA(サマヤ)>。

フランス人のクライマー2人が創設したブランドで、今のところ知る人ぞ知る存在。なかなか販売しているショップを見つけることもできませんが、高機能とオシャレな雰囲気を融合させ、新しいモノ好きから大きな注目を集めています。

アイテム数も厳選され、現在のところ日本で展開されているのは3タイプのみで、お値段もなかなかのもの。気鋭のクライマーが自分自身満足できるものをこだわって作ったからでしょうね。

今回は、そのなかからブランド名を冠した代表モデルである「SAMAYA 2.0」を実際に山中でテスト! 詳しくレポートしていきます!

テントだけでなく、スタッフバッグもダイニーマ素材


こちらは収納時の状態。スタッフバッグには光沢があるシックな素材が使われています。

これは強靭でいて防水性が高い“ダイニーマ”。じつは「SAMAYA 2.0」には、このダイニーマ(耐水圧20,000mm/ダイニーマコンポジットファブリックというタイプ)も素材のひとつとして使われているのです。この素材は非常に高価で、「SAMAYA 2.0」を“超高級品”にしている大きな理由になっています。


スタッフバッグに収められていたのは、このようなパーツ類。左がポール、中央がテント本体、右がペグです。
最小重量1,240g
収納サイズ4.4L
サイズ高さ100cm、幅220cm、奥行き110cm
素材フロア:ダイニーマコンポジットファブリック、本体:NANOVENT®3レイヤー、ポール:DAC NFL8.7mmx2本、ガイライン:ダイニーマコア

重量1,240gのみで、設営も3分程度とカンタン

ここで注意してほしいのは、中央を「テント本体」としたこと。そう、このテントは居住空間を“インナーテント”と“フライシート”を組み合わせて作る「ダブルウォール」タイプではなく、テント自体に防水性を持たせた、いわゆる「シングルウォール」タイプ。要するに、ひとつの生地にインナーテントとフライシートの機能を備えさせてあるのです。

一般的にテントというものは、ダブルウォールタイプよりもシングルウォールタイプのほうが軽く作ることができ、「SAMAYA 2.0」もフロアサイズ220×110cm、高さ100cmという2人が余裕で眠れる大きさで1,240g。なかなかの軽量さです。

軽量化に貢献する、こだわりのディテール

では、設営してみましょう。「SAMAYA 2.0」はテント本体に2本のポールを差し込み、天井部分に短いポールを組み合わせて、小さな庇を作るという構造になっています。


おもしろいのは、外側からテントに差し込んだポールが、内側では露出していること。このために内側からテントを外側に押し出すように力がかかり、テントの形状がきれいに決まります。以前から一部のシングルウォールテントには採用されている仕組みですが、無用なパーツを省くことで軽量化にも貢献しています。


テントを固定するガイラインも同様に超軽量。ダイニーマコアを使ったラインは細くても強靭で、強風にも充分に耐えられそうです。

これは使えるのか!? 変わった形状のペグ

その構造や素材がかなり個性的な「SAMAYA 2.0」は地味なパーツであるペグですら、これまでに見たことがないタイプになっています。


その素材はプラスチック。先端は矢印のような形状で抜けにくくしてあり、頭部は平たい形状になっています。そして、けっこう柔らかく、力を入れると曲がります。廉価なテントならともかく、山で活躍する本格的なテントに付けられているペグとしては異例の素材です。


この素材でも地面が柔らかければ、ペグはしっかり打ち込めます。しかし、地面のなかに硬い石があると……。


うわっ、簡単に曲がっちゃいました……。
それほど無理に打ち込んだわけではないのに。正直なところ、ペグの素材としては弱すぎる気がします。日本の山には硬い地面の場所が多いので、ジュラルミンやアルミなどの一般的な金属製にチェンジして使用するのが現実的です。

(左)差し込むとポールがスリーブ内で止まる。(右)片方はグロメットに差し込む。
そんなわけで、今回は別途持ってきたペグを使って、テントを地面に固定しました。ペグを打つ前にポールをテントに差し入れていくと、一方の末端はスリーブ内で止まりますが、もう一方はグロメットに差し込んで固定するのが、このテントの仕組みです。両端をグロメットに差し込むタイプよりも設営の手間がかからず、短時間で済むのがありがたいですね。

ちなみに、メーカーのウェブサイトでは、設営にかかる時間は“2分”となっています。僕が今回、初見で設営してみたときのタイムはおよそ3分で、慣れればたしかに2分でも充分に立てられるはず。さすがはシンプルな構造のシングルウォールテントです。

出入口の開閉の仕方は3パターン、通気具合も自由自在


完成形は、このようなスタイルになります。黒い生地の部分が出入口で、この写真では閉じた状態です。この黒い生地と青い生地は、防水透湿性の“NANOVENT 3レイヤー”で、その他のシルバーの部分がダイニーマ。水に濡れやすく、地面に擦れて傷みやすい部分に、強靭なダイニーマが使われているというわけです。

現代の主流ともいうべきダブルウォールテントならば、テントの出入り口に屋根のような“前室”ができますが、「SAMAYA 2.0」はシングルウォールなので、見た目もシンプルそのもの。それでも天井部には小さな庇が設けてあるので、出入り口のファスナーに雨水が直接降り注がないように配慮されています。気が利いていますね。

そして、この出入口のファスナーを引くと……。


サイドの部分が大きく開口。換気性はいうまでもなく、出入りがスゴくラクな大きさです。

さて、次の写真。しかし先ほどの上の写真とどう違うのか? 出入口の部分をよく見てください。


開口部がわずかにうっすらモヤがかかったように感じませんか?
じつは「SAMAYA 2.0」の出入り口部分には、薄手で黒く、目に入りにくいメッシュ生地も併用されていて、風を呼び込みながら虫の侵入も防いでいるのです。つまり、「防水性の生地」⇒「メッシュ生地」⇒「完全開放」と、使い分けできるんですね。

裏側のパネルも開閉し、すばらしい通気性を実現!

こちらは先ほどの出入り口の反対側です。裏側も表側と同じように出入口は「防水性の生地」⇒「メッシュ生地」⇒「完全開放」と3段階で開閉できます。


では、まずは同じく“NANOVENT3レイヤー”のパネルで閉じた状態。


次に黒いメッシュ生地で通気性を高めている状態。


最後に、メッシュ生地のパネルも開き、完全に解放して最大限に通気性を高めた状態。風が吹く方向、雨が降りこむ方向などに合わせて開閉することで、どんな天候のときでも換気性を理想的な状態に近づけることができます

両サイドを開けば、風通しがよくて解放的な空間に


天気がよいときは両サイドを開けば、解放感も格段にアップします。 通気性のよさが一目でわかりますね。


害虫がいない場所なら、メッシュパネルも開けたほうが外の景色もきれいに見えます。シングルウォールテントには密閉感が高いモデルが多いのですが、「SAMAYA 2.0」はじつに解放的なのであります。

天井部のベンチレーターで徹底的に通気性を高める!


「SAMAYA 2.0」の通気性を高める工夫は、両サイドのパネルだけではありません。なんと、天井部にも特殊形状のベンチレーターが備えられているのです。


こちらは最上部のベンチレーターを傘のようなカバーで覆った様子。この素材もダイニーマが使われています。


半分だけ外してみると、このような状態に。2本のポールで三角体になった部分が、ベンチレーターの開口部です。ここもメッシュとNANOVENT 3レイヤーの二重構造になっています。


メッシュ生地越しに内部を見ると……。いかにも涼しそうですね。テント内部に寝ころんでいると、実際、風が吹き込んでくるのを肌で感じられました。

アウトドアの快適な1ルーム。そのリアルな居住性は?


改めて内部を見て見ましょう。「SAMAYA 2.0」の「2.0」は、2人用の意味。1人分のマットとスリーピングバッグを広げてみると、ちょうどもうひとり分のスペースが余りますが、実際に2人で眠ると荷物を置くスペースがなく、少々狭苦しく感じるでしょう。でも、ひとりで使うなら、余裕を持って荷物を広げることができます


天井のベンチレーターの部分には、長方形のメッシュ生地がもう一枚。これは荷物置きで、ヘッドランプを下向きに置くと、まるでランタンのように使え、なかなか便利でした。


サイド(出入口の反対側)のパネルの下部は、大きなポケット。テントの横幅と同じ長さなので、だいたい2mもあることになります。深さも20㎝近くあり、なんでも入れられてしまいますが、重みがかかってもポケットがズリ下がらないように中心部付近はフックで留めてあります。細かいところまで気が利いている印象です。

寒風を防ぎ、内部に閉じこもって迎える夜

メイン素材が防水性生地となるために、シングルウォールテントの大半は通気性に難があります。しかし、これまでご紹介してきたように「SAMAYA 2.0」は両サイドと天井部分のベンチレーターで通気性が格段にアップし、内部スペースの環境を良好に保ってくれます。しかし寒い夜となれば、通気性はあまり必要ではなくなり、むしろ閉め切ることで暖気を逃したくありません。


上の写真は、出入口やベンチレーターのすべてを締め切ったときの様子。これで外界と内部は断絶されました。ダイニーマが光を通し、地面近くはまるで明かり取り窓のような効果を出しています。ブルーの生地も上品できれいでした。

そんなこんなで迎えた夜。


シングルウォールテントの弱点は、夜に閉め切って使用すると、内外の気温差によってテント内の湿気が結露し、内部が濡れてしまうことです。結露の問題はダブルウォールテントにも起こることですが、一般的にシングルウォールの結露はその比ではなく、結露を嫌うあまりにシングルウォールテントは絶対に使わないという人もいるくらいです。

さて、「SAMAYA 2.0」はどうなのか……。


今回のテスト時は、昼から夜まで曇り空。朝も曇り空ですっきりしませんが、深夜にはわずかに小雨も降り、結露や防水性を確認するには好都合ともいえました。

異なる2つの素材で、防水性と結露防止を両立

朝になってテントの外に出てみると、テントの表地には雨なのか夜露なのか、たくさんの水滴がついていました。


左がダイニーマで、表面には水滴が多いものの、内部への浸透は一切なし! この防水性はさすがです。右のNANOVENT3レイヤーはロゴのプリント部分にこそ水滴が残っていましたが、生地の撥水力は高く、生地のほとんどの部分には水滴が残っていません。こちらも大したものです。


そして大事なのが、NANOVENT3レイヤーの裏側。すなわちテントの内側です。この部分が結露していれば、NANOVENT3レイヤーの透湿性はあまり効果的ではなかったことになります。

しかし、指で触ってみると地面に近い部分こそわずかに湿り気を感じたものの、ほとんどの部分はすっきりと乾燥! シームテープが貼られた生地の縫い目からの浸水もありません。テントの壁に触れていたスリーピングバッグの表面も濡れておらず、結露はほとんど起きていないようでした。NANOVENT3レイヤー、なかなか優れた素材のようです。

驚くべき高価格! でも思い切って買っちゃう?

SAMAYA 2.0
提供:STATICBLOOM
「SAMAYA 2.0」は、シングルウォールテントの欠点を補った、優れたテントでした。個人的にはブルー、ブラック、シルバーというカラーリングがカッコよく、見た目のよさにも惹かれてしまいます。ちなみに、ブルーの部分をピンクに変えた一瞬ハデに思えるカラーリングも用意されていますが、こちらも見慣れると意外とシックで悪くありません。

問題は、価格でしょうか? 何といっても、165,000円(税込)
いくら機能的でカッコよくても、ちょっとやそっとでは手が出ません! これを買える人って、アウトドア界のセレブのような人なのでしょうか? うらやましい限りです。

STATICBLOOM|SAMAYA


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高橋庄太郎

山岳/アウトドアライター。高校の山岳部から山歩きを始め、登山歴は30年以上に。好きな山域は北アルプスで、テント泊をこよなく愛する。テレビやイベントへの出演も多く、各メーカーとのコラボでアウトドアギア作りも。『トレッキング実践学 改訂版』『山道具 選び方、使い方』『テント泊登山の基本』など、著書も多数。https://www.instagram.com/shotarotakahashi/

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