テントメーカー SAMAYA

お値段にビックリ!? フランス生まれのテントメーカー<SAMAYA>。 その代表モデルの実力とは?

フランスの気鋭ブランド<SAMAYA>から登場したシングルウォールテント。フランスらしい上品なデザインながら、“超”がつく高価格モデルとしても話題です。シングルウォールにつきものの結露問題や通気性、細かなギミックや室内空間などを、実際に泊まってみたレビューはいかに?!

目次

アイキャッチ画像撮影:高橋庄太郎

シングルウォールだけど、通気性バツグン!

テントメーカー SAMAYAのテント

撮影:高橋庄太郎(以下すべて)

国内メーカーから海外メーカーまで、今の日本には多種多様なテントがあふれています。そんななか日本に上陸したのが、フランスのメーカー<SAMAYA(サマヤ)>。

フランス人のクライマー2人が創設したブランドで、今のところ知る人ぞ知る存在。なかなか販売しているショップを見つけることもできませんが、高機能とオシャレな雰囲気を融合させ、新しいモノ好きから大きな注目を集めています。

アイテム数も厳選され、現在のところ日本で展開されているのは3タイプのみで、お値段もなかなかのもの。気鋭のクライマーが自分自身満足できるものをこだわって作ったからでしょうね。

今回は、そのなかからブランド名を冠した代表モデルである「SAMAYA 2.0」を実際に山中でテスト! 詳しくレポートしていきます!

テントだけでなく、スタッフバッグもダイニーマ素材

スタッフバッグ

こちらは収納時の状態。スタッフバッグには光沢があるシックな素材が使われています。

これは強靭でいて防水性が高い“ダイニーマ”。じつは「SAMAYA 2.0」には、このダイニーマ(耐水圧20,000mm/ダイニーマコンポジットファブリックというタイプ)も素材のひとつとして使われているのです。この素材は非常に高価で、「SAMAYA 2.0」を“超高級品”にしている大きな理由になっています。

商品と付属品

スタッフバッグに収められていたのは、このようなパーツ類。左がポール、中央がテント本体、右がペグです。

最小重量1,240g
収納サイズ4.4L
サイズ高さ100cm、幅220cm、奥行き110cm
素材フロア:ダイニーマコンポジットファブリック、本体:NANOVENT®3レイヤー、ポール:DAC NFL8.7mmx2本、ガイライン:ダイニーマコア

重量1,240gのみで、設営も3分程度とカンタン

ここで注意してほしいのは、中央を「テント本体」としたこと。そう、このテントは居住空間を“インナーテント”と“フライシート”を組み合わせて作る「ダブルウォール」タイプではなく、テント自体に防水性を持たせた、いわゆる「シングルウォール」タイプ。要するに、ひとつの生地にインナーテントとフライシートの機能を備えさせてあるのです。

一般的にテントというものは、ダブルウォールタイプよりもシングルウォールタイプのほうが軽く作ることができ、「SAMAYA 2.0」もフロアサイズ220×110cm、高さ100cmという2人が余裕で眠れる大きさで1,240g。なかなかの軽量さです。

軽量化に貢献する、こだわりのディテール

では、設営してみましょう。「SAMAYA 2.0」はテント本体に2本のポールを差し込み、天井部分に短いポールを組み合わせて、小さな庇を作るという構造になっています。

ポール部分

おもしろいのは、外側からテントに差し込んだポールが、内側では露出していること。このために内側からテントを外側に押し出すように力がかかり、テントの形状がきれいに決まります。以前から一部のシングルウォールテントには採用されている仕組みですが、無用なパーツを省くことで軽量化にも貢献しています。

ガイライン

テントを固定するガイラインも同様に超軽量。ダイニーマコアを使ったラインは細くても強靭で、強風にも充分に耐えられそうです。

これは使えるのか!? 変わった形状のペグ

その構造や素材がかなり個性的な「SAMAYA 2.0」は地味なパーツであるペグですら、これまでに見たことがないタイプになっています。

ペグ プラスチック

その素材はプラスチック。先端は矢印のような形状で抜けにくくしてあり、頭部は平たい形状になっています。そして、けっこう柔らかく、力を入れると曲がります。廉価なテントならともかく、山で活躍する本格的なテントに付けられているペグとしては異例の素材です。

ペグを打ち込む

この素材でも地面が柔らかければ、ペグはしっかり打ち込めます。しかし、地面のなかに硬い石があると……。

曲がったペグ

うわっ、簡単に曲がっちゃいました……。
それほど無理に打ち込んだわけではないのに。正直なところ、ペグの素材としては弱すぎる気がします。日本の山には硬い地面の場所が多いので、ジュラルミンやアルミなどの一般的な金属製にチェンジして使用するのが現実的です。

左:差し込むとポールがスリーブ内で止まる 右:片方はグロメットに差し込む

(左)差し込むとポールがスリーブ内で止まる。(右)片方はグロメットに差し込む。

そんなわけで、今回は別途持ってきたペグを使って、テントを地面に固定しました。ペグを打つ前にポールをテントに差し入れていくと、一方の末端はスリーブ内で止まりますが、もう一方はグロメットに差し込んで固定するのが、このテントの仕組みです。両端をグロメットに差し込むタイプよりも設営の手間がかからず、短時間で済むのがありがたいですね。

ちなみに、メーカーのウェブサイトでは、設営にかかる時間は“2分”となっています。僕が今回、初見で設営してみたときのタイムはおよそ3分で、慣れればたしかに2分でも充分に立てられるはず。さすがはシンプルな構造のシングルウォールテントです。

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