2019年春、日本最長1,000kmのロングトレイルがついに開通!
みちのく潮風トレイルは、青森県八戸市蕪島から福島県相馬市松川浦の太平洋沿岸をつなぐロングトレイルです。総距離は約1,000km。2019年6月にとうとう全線開通となりました。
トレイルルート上は、ダイナミックな太平洋を間近に感じられるスポットが豊富。入り組んだリアス式海岸、断崖絶壁の圧倒的な絶景など魅力たっぷりです。美しい緑や、豊富な海の幸山の幸も忘れちゃいけません。
▶︎日本のロングトレイル比較
場所 | 総距離 | 平均踏破日数 | |
---|---|---|---|
信越トレイル | 長野・新潟の県境、関田(せきだ)山脈の尾根上 | 約80km | 6日 |
霧ヶ峰・美ヶ原中央分水嶺トレイル | 長野県・八ヶ岳・中信高原の中央分水嶺 | 約38km | 3日 |
みちのく潮風トレイル | 青森、岩手、宮城、福島県の太平洋沿い | 約1,000km | 70日程度 |
自然道、街路、砂浜。歩く道のバリエーションが豊富
みちのく潮風トレイルは、太平洋沿いにある既存の道をつないでできています。人里や自然道、砂浜などバリエーション豊かなルートが魅力です。日本の沿岸部らしい光景に、癒しやなつかしさを覚える旅にもなるでしょう。
人が暮らす町を歩く、途中下車の旅感満載のトレイル
欧米のような山脈に沿って歩くロングトレイルとは違い、ときにはルート上に地元の方の生活圏があるのも特徴です。地元の方とのちょっとした挨拶や交流が、旅感を盛り上げてくれることでしょう。
ロングトレイルは初めてだけど大丈夫?
もちろん約700km全てを歩かなくてもOK。ルート上は鉄道駅などが多いので、途中でドロップイン・アウトしやすくなっています。1泊程度のセクションハイク、手軽な日帰りハイクもできるので、初心者でも難易度に合わせて気軽にチャレンジできるのが魅力です。ガイドツアーなども企画されているので、参加してみるのもいいでしょう。
テーマを決めてセクションハイクしてみよう
まずは一部区間だけを歩くセクションハイクに挑戦してみましょう。
みちのく潮風トレイルは、個性豊かなトレイルルートがいっぱいなので、まずは「歩くテーマ」を決めてコースを考えるのがおすすめです。発着点を公共交通のある場所に設定すると、コースを決めやすくなります。
みちのく潮風トレイルのウェブサイトでは、初心者におすすめのモデルコースも紹介しています。ぜひ参考にしましょう。歩くコースが決まったら、公式サイトで紙の「トレイルマップ」を取り寄せるのを忘れずに。
今回は「猫」と「あまちゃん」をテーマに1泊2日ハイク!
今回は公式サイトのおすすめモデルコースから厳選してご紹介。みんな大好きな「猫」と、NHK朝ドラの名作「あまちゃん」に会いに行く2種類のコースです。1泊2日で挑戦できるアクセスのしやすさ、絶景スポット、キャンプサイトもあるので24時間楽しめちゃいます。
あまちゃん 完全版 Blu-rayBOX
【コピーライト】(C)2013 NHK
【出演】
能年玲奈 小泉今日子 尾美としのり 杉本哲太 小池徹平
橋本愛 福士蒼汰 有村架純 渡辺えり 蟹江敬三 宮本信子 ほか
潮風と歩こう!のんびり猫まみれ離島トレイル
1日目:石巻駅→(フェリー:約56分)田代島・大泊港→(徒歩:約15分)猫神社→(徒歩:約20分)島西側の市道→(徒歩:45分)マンガアイランド (宿泊地)
2日目:マンガアイランド→(徒歩:15分)田代島・仁斗田港→(フェリー:約10分) 網地島・網地港→(徒歩:約5分)白浜海水浴場→(約10分)常緑広葉樹林の道→ (徒歩:約70分)ドワメキ崎→(徒歩:約15分)長渡集落→(徒歩:約1分)→ 網地島・長渡港→(フェリー:約21分)鮎川港着
猫好きにはお馴染み「猫の島」田代島と、東北地方なのに南の島のような雰囲気の網地島を周遊する1泊2日の離島トレイルをご紹介します。
このルートを含む石巻市牡鹿半島南部ルート(宮城県)の概略地図は下記からダウンロードできます。実際に歩く際は、公式サイトからトレイルマップを取り寄せましょう。
【1日目】11:30 JR石巻駅から出発!
震災から4年かけて復興したJR仙石東北ラインに乗って、スタート地点の石巻駅へ。駅周辺では、石巻にゆかりのある漫画家 石ノ森章太郎さんのキャラクターが出迎えてくれます。
【JR石巻駅までのアクセス】
JR仙台駅から「仙石東北ライン快速・石巻行」で約50分
12:30 石巻中央発着所からフェリーに乗船
石巻中央発着所から早速離島へと出発します。石巻にはもう1ヶ所、石巻門脇発着所という船着場がありますが、こちらは駅から遠く、自家用車で発着所に向かう人におすすめです。
田代島までは約56分。海を眺めながらのんびりランチタイムを楽しみましょう。甲板でかっぱえびせんを食べると、かっぱえびせん好きのカモメたちが集まってくるかもしれませんよ。
【石巻中央発着所までのアクセス】
▶︎石巻駅から徒歩:約30分(約2.2km)
▶︎タクシー:約10分(1,000円前後)
石ノ森章太郎氏のキャラクターマスコットが点在しているマンガロードを通って石巻港へ
▶︎石巻駅からバス:約17分
駅前バス停よりミヤコーバス・山下門脇線に乗車、「門脇2丁目」にて下車後、徒歩3分ミヤコーバス(宮城交通)
【石巻中央発着所から田代島までのアクセス】
▶︎フェリー(網地島ライン):約56分、1日3本運航
※フェリーは天候や波の状況により欠航などの可能性もあります。公式サイトで最新情報を確認しましょう。
網地島ライン
13:24 「猫の島」田代島に上陸(大泊港)
とうとう田代島に上陸です。島内は公衆トイレが少ないので、港で済ませておきましょう。
世界三大漁場のひとつ金華山沖に位置し、沖合漁業で発展した田代島。古来より猫を豊漁の神様として大切にしてきた、まさに「猫の島」です。猫と一緒にのんびりトレイルを楽しみましょう。
13:40 「猫神社」で旅の安全祈願!
はじめに訪れるのは、猫の安全と大漁祈願で建てられた「猫神社」。初漁時には、島の漁師がマグロを供える由緒正しい神社です。国土交通省「島の宝100選」にも指定されています。参拝中ふらっと現れる猫の住人にご挨拶を!
14:05 島西側の市道
お参りしたあとは、離島らしい海岸線沿いをトレイル楽しみましょう。
猫神社から歩いて来た道戻り、Y字路まできたら左折して森の中へ。森を抜けると島西側の市道に出ます。ここから島の輪郭に沿って道なりに歩きましょう。潮風に吹かれながら気持ちの良いトレイルです。
14:50 マンガアイランド (宿泊地)で猫づくし
この日の宿泊は、高台に位置するもうひとつの猫の聖地「マンガアイランド」。人気漫画家ちばてつや先生や里中満智子先生などがデザインした、猫型ロッジの施設です。ロッジの名前も「みけ」「どら」「しま」など猫がモチーフ。キャンプ用品一式のレンタルも可能です。夜は猫と一緒の夜空観察が楽しみですね。
▶︎夕食・朝食は全て持参しておこう!
レストラン、商店、自動販売機はほとんどない田代島。マンガアイランドのプランに食事はついていないため、食料の持参は必須です。
全てのロッジにはキッチンと調理用具一式が揃っているため、材料を持参して自炊可能です。釣竿レンタルも可能なので、世界有数の漁場で夕食を釣ってみるのもいいですね。(えさ、仕掛けのレンタルはありません)
土日であれば、マンガアイランド近くの田代島オリーブ・カフェで夕食も可能です。(要事前予約)
田代島オリーブ・カフェ
▶︎宿泊する時間の余裕がない!田代島日帰りトレイルも可能?
宿泊する余裕がない場合は、田代島散策後マンガアイランドから徒歩15分の仁斗田港からフェリーで石巻に帰ることも可能です。その際は、フェリー最終便の時間に気をつけましょう。
【2日目】9:44発 田代島・仁斗田港で猫にさよなら!
マンガアイランドから田代島のもう一つの港、仁斗港まで徒歩15分。二日目の朝は、ここから次なる離島「網地島」へと向かいます。港で漁師たちからおこぼれの朝食(魚)をもらうかわいい猫たちに、さよならのご挨拶をしましょう。
【田代島(仁斗港)から網地島(網地港)までのアクセス】
▶︎フェリー(網地島ライン):約10分、1日3本運航
網地島ライン
9:54 東北だけど南の島!?網地島到着(網地港)
次に訪れる離島は、田代島と同じく手付かずの美しい自然が残る網地島。まるで南の島のような、特徴ある風景と自然が溢れています。渡り鳥や海鳥などの多種類の野鳥を観察できるスポットでもあります。
10:00 網地白浜海水浴場で、東北だけどハワイ気分♪
「東北のハワイ」とも呼ばれる網地白浜海水浴場は、石巻市で一番人気の海水浴場です。海水浴シーズンは売店などもオープンし、南国ムードを味わえます。夏はここで海水浴を楽しむのもいいですね。
10:50 常緑広葉樹林の道で緑のトンネルをトレイル!
常緑広葉樹林の道では、アオキ、トベラ、タブノキなどの常緑樹やシュロが自生。まるで南の島のような雰囲気に囲まれての散策です。
12:00 ドワメキ崎
12:25 長渡集落を散策 ゆったりした島時間を楽しむ
ゆったりした時間のながれる長渡集落をお散歩しましょう。島民の方に出会ったらご挨拶を。
▶︎網地島での昼食は?
田代島と同じく、レストラン、商店、自動販売機はほとんどない網地島。食事は事前準備しておく必要があります。
食事処「和(なごみ)」では、その日獲れた魚や野菜を使ったランチを楽しめます(事前予約必須)。蔵を改装した建物も魅力です。
14:10発 網地島を出発 離島トレイルにお別れ(長渡港)
きらきらと輝く海と、心からリラックスできる森林浴のトレイルともお別れ。長渡集落そばの長渡港から網地島ラインで本土の牡鹿半島・鮎川港へ向かいましょう。
【網地島(長渡港)から鮎川港までのアクセス】
▶︎網地島からフェリー(網地島ライン):約20分、1日3本運航
網地島ライン
14:31着 鮎川港から石巻市内へ帰ろう
最終地点、牡鹿半島の鮎川は捕鯨で栄えたクジラの町。震災による津波で甚大な被害がありましたが、徐々に復興も進んでいます。旅のできごとを振り返りながら、ゆっくりバスがくるのを待ちましょう。
【鮎川港から石巻駅へのアクセス】
▶︎バス:約1時間20分。
鮎川港バス停よりミヤコーバス・鮎川線に乗車、「石巻駅前」にて下車。
▶︎みちのく潮風トレイルを続けたい!
鮎川港着後、みちのく潮風トレイルのルートはフェリーを乗り換え霊島「金華山」へと続きます。太平洋を一望できる金華山山頂は海抜444.9m。登山口にある黄金山神社ではお籠りも可能です。
鮎川港からの定期船は日曜日しか運航がありません(お盆シーズンは増便有)。曜日が合わない場合は海上タクシーで移動する必要があるので要注意です。
金華山観光クルーズ
大自然に元気をもらえる!北三陸「あまちゃん」トレイル
1日目:久慈駅→(徒歩約8分)道の駅くじ→(徒歩25分)大銀杏の木→(徒歩13分)紲の森→(徒歩107分)厳島神社→(徒歩107分)横沼展望所→(徒歩25分)北侍浜野営場(宿泊地)
2日目:北侍浜野営場→(徒歩15分)侍石→(徒歩100分)中野白滝→(徒歩86分)有家駅→(徒歩148分)宿戸漁港→(徒歩138分)種市駅
次に紹介するのは、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のモデルになった久慈をスタートし、大迫力の海岸線沿いと癒しの森を訪ねる1泊2日のトレイルです。
このルートを含む久慈市ルート・洋野町ルート(岩手県)の地図は下記からダウンロードできます。実際にトレイルに臨む際は、公式サイトからトレイルマップを取り寄せましょう。
【1日目】10:20 久慈駅(JR八戸線・三陸鉄道)を出発!
トレイルの出発地点はNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のモデルになった町、久慈。あまちゃんの劇中に出てきた「北三陸駅」のシーンは、三陸鉄道久慈駅で撮影されました。
【久慈駅までのアクセス】
▶︎JR八戸駅からJR八戸線で1時間47分
▶︎宮古駅から三陸鉄道北リアス線で1時間半
駅前の「あまちゃんハウス」では、撮影で使用された小道具や撮影パネルなどを展示しています。出発前にあまちゃんから元気をもらおう!
あまちゃんハウス
10:45 道の駅くじ
11:30 大銀杏の木(長泉寺大公孫樹)
12:00 紲の森(きずなのもり)でランチタイム
ランチスポットは、久慈の町と港を一望できる展望台がおすすめです。震災慰霊碑にも一礼しましょう。
14:50 厳島神社
沖にある牛島にむかっていくつもの鳥居が並ぶ厳島神社。打ち寄せる波と静かな鳥居のコントラストに心を奪われます。
16:40 横沼展望所で迫力満点の絶景を
17:15 北侍浜野営場(宿泊地)でキャンプ!
この日の宿泊は、太平洋を見下ろす高台に位置する北侍浜野営場。アカマツ林に囲まれた気持ちの良いキャンプ場です。テントサイトは木製デッキのため、じめじめせず快適に過ごすことができます。
敷地内の岩盤をくり抜いた海水プールは、アキが潜水の練習をした撮影にも使われた人気スポットです。
▶︎近くに入浴施設はある?
北侍浜野営場にシャワーはありませんが、徒歩10分のところにある「侍の湯きのこ屋」で入浴することができます。
きのこ湯は、太平洋を望む展望大浴場が魅力の温泉施設。食事や日帰り温泉のみの利用も可能です。キャンプ泊が難しい場合はここで宿泊してもいいでしょう。
【2日目】8:30 源義経の伝説も残る「侍石」
2日目のスタートは、荒波を間近で感じられる侍石を訪れましょう。太平洋から昇る朝日鑑賞にもぴったりのスポットです。
侍石は、義経伝説の残る趣ある場所。1614年の津波被害の際、南部藩藩主の南部利直公が被災地を巡視し救済に回っていた際、休憩で立ち寄った地とも言われています。
▶︎侍石〜中野白滝間の注意ポイント
侍石から次の中野白滝までは、約100分のトレイル。途中高家川(こうげがわ)の渡渉ポイントがあります。ここは整備されていないため、どこで渡渉できるか自分で探す必要があります。
飛び石伝いに渡るのは危険なので、防水加工のされたトレッキングシューズを準備しましょう。水量が多い場合はトレイルマップ記載の迂回ルートを利用し、安全を心がけましょう。
10:30 神秘的でダイナミックな中野白滝
次なる絶景は、2段の大滝からなる名瀑中野白滝。緑が美しい神秘的な森にある滝です。滝近くは暗いため、夕方の到着は避けた方がいいでしょう。
中野白滝から次のスポット有家駅間のルートは市街地を通るため、昼食をゲットしておこう。
12:25 有家駅で小さな砂浜を見ながらランチタイム
JR八戸線にある有家駅は、線路を挟んだ先に太平洋を一望できる人気スポット。津波で流された後に再建された新しい駅舎を利用しています。ここで海をぼんやり眺めながら、ランチタイムにしましょう。
駅舎の中には旅人が思いを連ねる「有家駅ノート」があります。みちのく潮風トレイルへの思いをつづってみては?
15:30 エネルギー溢れる宿戸漁港
とうとう1泊2日のトレイルもラストスパート。宿戸漁港の活気にあふれた雰囲気からパワーをもらいましょう。5月のウニ直販シーズンはウニを買い求める客で大にぎわい。買って帰っちゃうのもいいですね。
18:00 種市駅(JR八戸線)でゴール!
最終地点は、大正13年JR八戸線開通とともに誕生した種市駅。旅の思い出と一緒に、郷土料理のいちご煮を忘れず買って帰りましょう。
▶︎みちのく潮風トレイルを続けたい!
みちのく潮風トレイルのルートは種市駅以降、ウニの増殖溝や川尻津波供養塔へ続きます。みちのく潮風トレイルのウェブサイトからトレイルマップを取り寄せてチェックしよう。
みちのく潮風トレイル ルート情報
東北の道 ゆっくり、のんびり踏みしめて。
太平洋沿岸のみちのく潮風トレイルには、歩く速度だからこそ気づける景色があり、出会いがあるはず。ハイカーが東北地方を身近に感じることで、また一歩復興が近づきます。
ゆっくりのんびり歩いて、東北の魅力にたくさん気づき、元気をもらえるトレイルをしたいですね。