赤牛岳|北アルプスの静かな縦走路!中上級者向けロングコース

2019/02/08 更新

赤牛岳は、富山県富山市にある飛騨山脈の一角。日本二百名山にも選ばれている山は、中部山岳国立公園の特別保護地区にも指定されてます。読売新道を通るロングコースは北アルプスの中でも静かな山歩きが楽しめる縦走路として人気です。薬師岳や槍ヶ岳、立山など眺望も素晴らしく、登山中上級者から支持されています。そこで今回は、赤牛岳のコースや山小屋情報などをご紹介!


アイキャッチ画像出典:PIXTA

北アルプス奥地にそびえる『赤牛岳』

赤牛岳
出典:PIXTA
標高山頂所在地山系最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
2864.2m富山県富山市飛騨山脈(北アルプス)16℃1℃
参考:ヤマレコ
赤牛岳は、飛騨山脈に位置する日本二百名山の一座。北アルプスの奥地にあり、中部山岳国立公園の特別保護区にも指定されています。赤茶色の山肌に牛が寝ているように見える姿が山名の由来です。付近には薬師岳をはじめ水晶岳や三俣蓮華岳などがそびえ、多くは縦走で登られます。

薬師岳や黒部湖も一望!山頂は360度の大パノラマ

赤牛岳山頂
出典:PIXTA
北アルプスの山々に囲まれている赤牛岳は、山頂からの大パノラマが魅力。対峙する薬師岳の存在感はひときわ素晴らしく、有名なカール群も見渡すことができます。槍ヶ岳や烏帽子岳、黒部湖も一望できるほどの絶景に感動する登山者も少なくありません。

登山者は少ないが静かな登山を楽しめる読売新道

読売新道 読売新道は、奥黒部ヒュッテから赤牛岳山頂までの区間を指す登山道。広義の意味では、黒部ダムから水晶岳までを読売新道と呼ぶこともあります。読売新聞社が開設したルートは、全国でも珍しい企業名入り。体力を必要とする長い尾根は、北アルプスの中でも訪れる人が少ない縦走路です。

黒部湖を船で渡る!平の渡し

平の渡し


黒部ダムから赤牛岳への登山道は、途中で分断されているため、平の小屋から対岸へは船で移動します。「平の渡し」は、黒部湖を渡るために開設された渡し船のこと。登山中に船に乗るのはなかなか珍しく、他では味わえない感覚です!

日数はどれぐらい?赤牛岳登山の難易度

夜間登山


出典:PIXTA
赤牛岳登山では、非常に長い距離を移動するため、登山計画に余裕を持たせることが大切です。赤牛岳を日帰り縦走で登ろうとすると、かなりハードなスケジュールになります。新穂高温泉から赤牛岳へのピストンでも、深夜に出発して戻ってくるのに丸1日は必要です。技術・体力に優れた上級者であれば、日帰りも無理ではありませんが、安全面を考慮して宿泊でのプランをおすすめします。

万が一のため、ビバーク準備も必要

ツエルト泊ソロキャンプでビバーク演習をしてみました、持ってるだけではダメなので><;
出典:PIXTA

赤牛岳を目指す場合は、万が一に備えてビバークできる装備も必要です。奥黒部ヒュッテから水晶小屋までの区間には、泊まる場所も水場もありません。予期せぬ事態にも対応できるように、ツェルトなどの野営道具は必ず持参するようにしましょう。


赤牛岳の登山適期

赤牛岳
出典:PIXTA

平の渡しの運航期間は6月中旬~10下旬までということもあり、赤牛岳登山は基本的に夏シーズン。悪天候による運航中止もあるので、必ず事前に天気を確認しましょう。

赤牛岳の天気を調べる


地図も忘れずに!山と高原地図 剱・立山

ITEM
山と高原地図 剱・立山
発行元:昭文社

2泊3日のロングコース

稜線
出典:PIXTA(赤牛岳から水晶岳への稜線)

赤牛岳は縦走で登る人が多く、体力や時間を要するかなりのロングコースです。さまざまなコース選択ができる山ですが、今回は黒部ダムから新穂高温泉へ至るコースをご紹介します。


総距離コースタイム合計日程難易度
約43km約27時間2泊3日★★★☆☆
出典:ヤマプラ
1日目:約12km 約7時間
2日目:約11km 約10時間
3日目:約20km 約10時間

【1日目】 黒部湖~奥黒部ヒュッテ

コース図

黒部湖(25分)→ロッジくろよん(250分)→平ノ小屋(船で10分)→平ノ渡場(120分)→奥黒部ヒュッテ泊

黒部ダムのスタート 赤牛岳へは黒部ダム駅からスタート。駅構内の看板を目印に、ロッジくろよん・平ノ小屋方面へと進みます。ダムを渡った後は、トンネルを抜けていきましょう。
かんぱ谷橋 吊り橋を渡ってからは、いよいよ登山道の始まり。10分ほど湖畔を歩いていくと、白い建物の「ロッジくろよん」が見えてきます。
丸太橋 ロッジくろよんから平ノ小屋までは沢を何度か渡ります。途中にあるガケ崩れを起こしている箇所は、足元に注意して進みましょう。
湖畔の登山道 木の階段やハシゴもある登山道からは、ダム湖がきれいに見え、ヤマホタルブクロやオトギリソウなど、艶やかな花々も楽しめます。
平ノ小屋 平ノ小屋からは、渡し舟で対岸に渡ります。小屋の近くには生け簀もあるので、運行時刻まで時間があるときは、ちょっと散策してみるのも面白いかもしれません。
渡し船 平日は乗客も少ないので貸切状態もしばしば。乗船時間は約10分で、あっという間に対岸に到着します!
木のはしご 奥黒部ヒュッテに向かう登山道にも木の階段がいくつも存在し、アップダウンがきつい箇所もあります。中でも、崩落地にかかっているハシゴ場は慎重に。
奥黒部ヒュッテ 初日は奥黒部ヒュッテに宿泊します。近くにはテント場もあるので、好みや登山計画に合わせて選ぶといいでしょう。水は無料で補給できますよ。

【2日目】 奥黒部ヒュッテ~赤牛岳~水晶小屋

コース図
出典:ヤマプラ

奥黒部ヒュッテ(180分)→、クサリ場(240分)→赤牛岳(120分)→温泉沢ノ頭(50分)→水晶岳(30分)→水晶小屋泊

奥黒部ヒュッテからは樹林帯の道で、序盤は急登が続きます。所々に立っている標識を目印に進んでいきましょう。
ライチョウ 苔や木の根で覆われた登山道は鬱蒼としていて展望もほとんどありません。ですが、標識4/8の辺りからは視界も開けてきて、白馬岳や烏帽子岳が姿を現します。運が良ければ、ライチョウにも出会えることも!
山頂付近の登山道 高度を上げていくとコースは尾根歩きへとなっていき、赤茶色の山肌や岩場も目立つようになります。山頂直下の切れ落ちた箇所やロープ場を超えていくと、赤牛岳山頂に到着です!
赤牛岳山頂
出典:ヤマプラ
大展望が広がる山頂は最大のご褒美。薬師岳をはじめ槍ヶ岳、黒部五郎岳など北アルプスの名山を見渡すことができます。
二重山稜 赤牛岳の次は、水晶岳へと向かいます。赤茶色のザレ場を下った先にある二重山稜(2つの稜線が並ぶ地形)は、ガスっていると道に迷いやすいので要注意。くぼ地には夏でも雪渓が残っています。
温泉沢ノ頭 シャクナゲやタカネスミレなどの高山植物を楽しみつつ歩いていくと、温泉沢ノ頭に到着。秘境で有名な「高天原温泉」へはここから行くことができるのですが、今回は水晶岳方面へ。
水晶岳 山頂は雲ノ平や黒部五郎岳、裏銀座コースが見渡せる素晴らしい景色。振り返れば赤牛岳も望むことができます。2日目の宿泊地である水晶小屋までは約30分で到着です。

【3日目】 水晶小屋~新穂高温泉

コース図

水晶小屋(86分)→鷲羽岳(60分)→三俣山荘(130分)→巻道分岐(10分)→双六小屋(100分)→鏡平(130分)→小池新道登山口(30分)→笠新道登山口(55分)→新穂高温泉

水晶小屋 最終日は新穂高温泉までの長い長い行程。水晶小屋から開放感のある尾根を進んでワリモ岳・鷲羽岳を目指します。
鷲羽岳直下 鷲羽岳で展望を楽しんだ後は、三俣山荘方面へと下っていきましょう。眼下に流れる黒部源流は、秋になると紅葉で美しく彩られます。
巻道ルート 三俣山荘からは三俣蓮華岳との分岐まで向かい、巻道ルートへと進みます。アップダウンがきつく、岩場もあるため、体力を消耗しやすい道です。しばらく進むと巻道分岐に到着し、10分ほど歩くと双六小屋が見えてきます。
双六小屋から鏡平への登山道 鏡平までは気持ちのいい稜線歩き。天気が良ければ槍ヶ岳の姿も望め、花見平では高山植物を楽しむこともできます。景色を見つつ弓折分岐に着いたら、鏡平山荘方面へと向かいましょう。
北アルプス 鏡平の鏡池
出典:PIXTA(北アルプス 鏡平の鏡池)
紅葉スポットとしても有名な鏡平は、休憩場所にぴったり!暑い時期はかき氷を食べながら、大自然の空気を満喫するのもおすすめです!
秩父沢出合 鏡平からの下りは整備された道もあり、比較的歩きやすくなっています。岩場地帯の秩父沢出合は、清涼感のある水が流れる人気の休憩場所。わさび平小屋を経由し、ゴールの新穂高温泉を目指します。
新穂高温泉の登山口 わさび平小屋からは笠新道登山口を通過し、中崎橋方面へと下ります。長い林道歩きを終え、ゲートが見えたら新穂高温泉に到着です!
また、赤牛岳は今回ご紹介したコース以外にも、さまざまなコース選択ができます。新穂高温泉から赤牛岳へのピストン、赤牛岳を経由して裏銀座コースへ抜けるなど、体力や時間に合わせて登山計画を立てるといいでしょう。

赤牛岳周辺の山小屋情報


奥黒部ヒュッテ

奥黒部ヒュッテ 標高1,500mにある奥黒部ヒュッテは、読売新道の始まりに位置する小屋。黒部ダムから赤牛岳方面へと縦走する登山者の宿泊地として人気です。

住所:富山県富山市有峰(黒部川東沢出合)

電話番号:076-463-1228

営業期間:7月15日~10月9日まで

料金:1泊2食 9,500円、素泊まり 6,200円、テント 1,000円(1人あたり)

奥黒部ヒュッテのHPを見る


水晶小屋

水晶小屋 水晶小屋は、水晶岳の南側に位置する建物。赤牛岳への縦走をはじめ、裏銀座コースへの拠点として利用されています。過去に2度建築中に全壊しましたが、2007年に新築されました。収容人数に限りがあるため、利用する際は予約がおすすめです。

住所:富山県富山市有峰(裏銀座縦走路上)

電話番号:0263-83-5735

営業期間:7月15日~9月30日まで
収容人数:30名

料金:1泊2食 10,200円、素泊まり 6,200円
※子ども割引や連泊割引あり

水晶小屋のHPを見る


登山口へのアクセス、平の渡し運行情報

新穂高温泉へのアクセス

【電車・バスの場合(新宿から)】

JR中央線快速・新宿経由で松本駅 → 新穂高温泉行き(濃飛バス)

【高速バス(新宿から)】
バスタ新宿〜平湯温泉 → 新穂高温泉行きに乗り換え(濃飛バス)

濃飛バスHPを見る


黒部ダムへのアクセス

【電車・バスの場合(新宿から)】

特急スーパーあずさ・松本駅まで → 大糸線・信濃大町駅 → バスまたはタクシーで扇沢駅 → トロリーバスで黒部ダム駅

信濃大町駅〜扇沢駅のバス時刻表を見る

平の渡し運行情報

平ノ小屋
出典:PIXTA(平ノ小屋)
平の渡しは、黒部湖によって分断された登山道を繋ぐ渡し船。平の小屋(または針ノ木谷)からの運行時刻は決まっているので乗船時は要チェック!

運行料金:無料
運行期間:6月20日〜10月31日まで

【平の小屋発】

6:00、10:00、12:00、※14:00、17:00

【針ノ木谷発】

6:20、10:20、12:20、※14:20、17:20

※印は、7月1日から9月30日まで運行

平の渡しの時刻表を見る


下山したら行きたい温泉情報

新穂高温泉 深山荘

深山荘
出典:深山荘HP
登山者用駐車場からほど近い、源泉掛け流しの露天風呂が自慢の宿。日帰り入浴も可能な温泉は、蒲田川がすぐ近くを流れる情緒豊かな雰囲気です。

住所:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂720-1

電話番号:0578-89-2031

営業時間:【露天風呂】8時〜17時・18時〜22時、【内風呂】9時30分〜15時

定休日:不定休

料金:露天風呂 大人500円、子ども300円、内風呂 大人700円、子ども 500円

深山荘のHPを見る


山好きにこそ行ってほしい赤牛岳!

北アルプス・薬師岳のカールと雲湧く赤牛岳・裏銀座方面
出典:PIXTA(北アルプス・薬師岳のカールと雲湧く赤牛岳・裏銀座方面)

赤牛岳登山は、水晶岳や鷲羽岳を経由し、様々な景色を楽しめるのが最大の魅力。読売新道は訪れる人が少なく、北アルプスの中でも静かな山歩きが楽しめます。その行程は険しいですが、他にはない体験ができるので、是非チャレンジしてみてください!


【登山時の注意点】

・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。

・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。

・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!

・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。


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松崎 清央

Webライター・自然体験指導者。新潟在住。市役所を退職後、アウトドア専門学校に入学し、登山、キャンプ、カヤック、自然ガイド、農業などを経験。自然を仕事にする生き方を選ぶ。【得意分野】子ども体験活動の企画・運営、青少年教育・野外教育、人前で話すこと。現在フリーランス。

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