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「自分の後ろに渋滞が…。」山でゆっくり歩くことは、周りの人に申し訳ないこと?(2ページ目)

「私はゆっくり歩いています、道を譲ります」

それがこの「ゆっくり山マイマイ」というマーク。

車の初心者マークのように「私はゆっくり山を歩いています。道を譲りますのでお先にどうぞ。」ということを周りの人に知らせるしるしです。登山系SNSから広まり、今では登山用品店や山小屋でも手に入れることができるんです。

今回、この「ゆっくり山マイマイ」を企画・制作しているangelinaさんにお話を伺うことができました。

angelinaさん

提供:angelinaさん
山ニックネーム:angelina
趣味:登山、料理
山好きな両親の影響で小さい頃から多くの山に親しむ。
日本アルプス、丹沢、奥秩父など、ハイキングから雪山まで色々な山を楽しむ生活の中、がんの宣告を受ける。
14時間におよぶ手術、治療とリハビリを行い、山に復帰。術後初めて訪れた山の狭い登山道ですれ違い時の不安を感じ、自身と同じような気持ちを抱えている人が多くいるはず、と思い「ゆっくり山マイマイ」の活動を始める。

乳がん手術後に経験した「山で人とすれ違うのが怖い」という気持ち

anigelinaさん

撮影:YAMA HACK編集部

angelinaさん(以下、a):以前の私は1年通して登山を楽しむ健康体でした。ですが突然『乳がん』を宣告され、2017年に手術。かなり大きな手術だったので、今でも腕の麻痺が残っています。
術後ようやく大好きな山に行けたとき、今まで感じたことのない不安を感じました。人とすれ違うのが怖い、という不安です。
『手術箇所をぶつけたらどうしよう、急に誰かが走ってきて、避けられずに転んだらどうしよう…。』
登山ウェアを着てしまえば誰もが元気そうに見えるので、ゆっくり歩いていることを知らせる必要性があると感じたんです。」

自分と同じような思いをしている人が他にもいるかもしれない。道を譲る人も譲られる人も、気持ちよく歩ける環境を作りたい。そんな思いから、angelinaさんは山の殻を背負ったカタツムリ、「ゆっくり山マイマイ」のマークを考案しました。
ゆっくり山マイマイ

SNSを通じて徐々に広がる、「お先にどうぞ」の想い

a:最初は自分のヤマレコに画像素材をアップして、自由に使ってくださいという感じでした。欲しい方には無料でプラ板にしたものを送りますよ~と書いておいたら、多くの人が『欲しい!』と言ってくださって。」

ゆっくり山マイマイ

撮影:YAMA HACK編集部(最初はangelinaさんお手製のプラ板ストラップを配布していたそう)

a:「実際にマイマイを手にしてくださった方たちが、ご自身のヤマレコやYAMAPなどで投稿してくれ、またそれが広まって…。SNSのおかげで認知がどんどん広がり、ゆっくり山マイマイのホームページを立ち上げることになりました。

ゆっくり山マイマイ 公式サイト

今年の2月にはクラウドファンディングという形で支援を募りましたが、予想を遥かに越える反響をいただき、目標200%達成という形でプロジェクトを終えることができたんですよ。今は缶バッジの形にして、ご希望の方に無料で配布させていただいています。」

山マイマイバッジ

撮影:YAMA HACK編集部(バッジの形になって送られてきます)

a:「最初は自分と同様、病気をされた方を対象に考えていましたが、健康な方でも『ゆっくり歩きたい』という人が意外と多いんです。
写真を撮りたいからお花をゆっくり眺めたいから子供と一緒に登りたいから、などさまざまな理由から『ゆっくり山マイマイをつけたい』と言ってくださる方が増えています。」

活動を始めてちょうど1年、トータルで5000個以上のゆっくり山マイマイが、ゆっくり歩きたい人の元へ旅立っていったとのこと。

「ゆっくり歩くことが申し訳ない」と思っている人が本当に多い

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