季節を通じて楽しむことができる福岡県の名山、英彦山の特徴
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 夏の気温(8月) | 冬の気温(1月) |
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1,199m | 福岡県田川郡添田町 | 筑紫山地 | 15.0~24.9℃ | -7.3~0.6℃ |
英彦山(ひこさん)は、福岡県と大分県にまたがって位置しており、日本百景や二百名山にも登録されている、景観が美しい山です。特に、秋の紅葉、冬の氷瀑には定評があり、一年を通じて登山可能であるため、多くの観光客やハイカーが訪れます。この記事では、英彦山のみどころを含んだ、4つのおすすめルートを紹介します。
各ルートに点在する風情のある社
英彦山は「日本屈指の霊山」で、日本三大修験道の内の一つ。古くから山岳信仰が伝わり、山伏の修行場であったため、たくさんの社が。それぞれの社は、周囲の自然と調和し、厳かな雰囲気を作り出しています。
渓谷美という言葉がふさわしい 龍門峡
英彦山の麓にある龍門峡は、地元で有名な渓谷です。透明度の高い川、大きい岩と周囲の木々で構成される景色が美しく、特に秋の紅葉シーズンには特集に組まれるほど人気のスポット。
季節を通じて美しい四王子の滝
英彦山は通年登山可能ですが、登山道中腹にある四王子の滝は冬になると完全な氷瀑を形成します。登山道は明瞭でないものの、たくさんの登山客が訪れる有名スポットです。
英彦山に出かける前に天気と地図をチェック!
英彦山は一年を通して登山可能ですが、ルートによっては季節毎に難易度が異なります。事前によく計画を立てたうえで、登山を楽しみましょう。
てんきとくらす|英彦山
英彦山を満喫するための4つのルート
ルート①登山者が最も多い表参道コース
最高点の標高: 1164 m
最低点の標高: 617 m
累積標高(上り): 784 m
累積標高(下り): -784 m
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:2時間35分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
英彦山の数あるルートの中で一番人気のあるルート。整備された石階段が続き、道幅も広いことからゆっくり登山を楽しめます。
三ケ月池などを通り過ぎ、雰囲気のある参拝道を30分ほど進んでいくと、奉幣殿にたどり着きます。
奉幣殿は国の重要文化財にも指定されている、由緒正しい建物。登山途中に立ち寄ることができますので、ぜひお参りをしていきましょう。
奉幣殿を過ぎると登山ルートとなり、ひたすら山道を登っていきます。英彦山神宮の上宮が見えれば、山頂はすぐそこです。 復路については、来た道をそのまま戻ります。
ルート②英彦山を満喫するロングルート
最高点の標高: 1170 m
最低点の標高: 617 m
累積標高(上り): 1475 m
累積標高(下り): -1475 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間50分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
奉幣殿まではルート①と同じ道をたどり、みどころ③で紹介した四王子の滝を経由。その後、英彦山の3つの主なピークをハントし、周遊するロングルートです。奉幣殿から玉屋神社方面に向かい、玉屋神社分岐にて、四王子の滝・大南神社方面へ向かいます。
衣ヶ池から四王子の滝への道は、荒れており、浮石が多いので慎重に進んでいきます。(注:四王子の滝の登山道は上級者向けのルートです。登山の計画は入念に行い、必ず上級者とともに行動してください。)
四王子の滝を見たら元の分岐に戻り、南岳へ向かいます。南岳へ直登するルートもまた大変険しく、岩場を乗り越えるようなルートの繰り返しです。
ガレ場のジグザグ道を登っていくと、材木石と呼ばれる場所を通過します。写真のように、材木を積み重ねたような形状をしているのが名前の由来です。材木石を越え、さらに登っていき大南神社に到着したら一安心です。中岳、北岳の頂上を目指しましょう。
急登を登り切ったご褒美に稜線の爽快感を味わうことができます。北岳まで登頂したら、ルート①と同じ道で下山します。
ルート③最短距離で山頂に向かう豊前坊コース
最高点の標高: 1170 m
最低点の標高: 806 m
累積標高(上り): 995 m
累積標高(下り): -995 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:3時間20分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
山頂までの距離は最短なのですが、このルートは登り一辺倒で急登が続きます。山の雰囲気もよく、展望台に続くルートもあるのですが、気象情報をしっかり確認し、ご自身の体力と相談したうえで、選択されることをおすすめします。
ルート④鎖場を潜り抜ける難所のある鬼杉コース
最高点の標高: 1167 m
最低点の標高: 455 m
累積標高(上り): 1266 m
累積標高(下り): -1266 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:5時間40分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
みどころ その②で紹介した、竜門峡を通過してから、登山道に入るルートです。美しい渓谷を眺めながら登山道に入ります。急登が多いルートですが、ところどころの展望がよく、遠目に南岳を見ることができます。
標高を上げていくと、大南神社の直前に鬼杉があります。鬼杉は樹齢約1200年と推察される、九州で最も古い杉のうちの一つです。ここから南岳へ一気に直登しますので鬼杉を見ながら一息入れましょう。南岳へ向かうルートは急登なガレ場で鎖場も点在しています。登る際には落石など十分に注意して登るようにしてください。
南岳まで登ってしまえば、あとは稜線伝いですので、アップダウンもありません。南岳をピークハントしたら、鬼杉まで戻り、玉屋神社方面(登ってきた道とは違う方面)へ下山します。下山しながらも短いアップダウンを繰り返すと玉屋神社が見えてきます。
玉屋神社は、まるで背後の岸壁と一体化しているような建物。玉屋神社を通過すると後は下るのみです。
英彦山への交通アクセス
英彦山への交通アクセスは、英彦山神宮を目標に向かうと便利です。詳細は英彦山新宮のHPで確認してください。
表参道コース
【クルマの場合】
・九州縦貫自動車道「小倉南」ICー国道322号ー県道34号ー県道34号/県道52号ー県道451号ー県道418号ー国道500号ー別所駐車場
・九州縦貫自動車道「杷木」ICー国道386号ー県道52号ー国道211号ー国道500号ー別所駐車場
【公共交通機関の場合】
日田彦山線「彦山」駅下車、添田町バス「豊前坊行き」乗車ー「銅の鳥居」下車添田町|添田町バス
豊前坊コース
・東九州自動車道「みやこ豊津」ICー県道58号ー国道496号ー国道500号ー豊前坊無料駐車場
・九州縦貫自動車道「杷木」ICー国道386号ー県道52号ー国道211号ー国道500号ー豊前坊無料駐車場
【公共交通機関の場合】
日田彦山線「彦山」駅下車、添田町バス「豊前坊行き」乗車ー「豊前坊」下車
鬼杉コース
- 【クルマの場合】
- ※しゃくなげ荘は2020年3月に休館しているため駐車場は利用できません。別所駐車場などに停めてバスで移動しましょう
- 【公共交通機関の場合】
- 日田彦山線「彦山」駅下車、添田町バス「豊前坊行き」乗車ー「湯の山」下車
英彦山の周辺施設
英彦山は観光名所としても有名で、周辺施設も充実しています。登山ついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
奉幣殿まで楽をしたいならスロープカーが便利!
麓から奉幣殿まではスロープカーが走っています。バリアフリーの観点で作られた施設ですが、たまには地上からではなく、空中からの景色を拝むのも一興ではないでしょうか。体力も温存でき一石二鳥です。
風情のある旧亀石庭園で小休止
表参道の麓にある庭園です。定休日がなく、常時開放されているので、自分の好みの季節・時間帯の景観を楽しむことができます。
地元の名産は道の駅「歓遊舍ひこさん」で。
英彦山神宮から約10km、車で22分程度の場所にある道の駅「歓遊う舎 ひこさん」。地元の名産がたくさん販売されてますので、下山後にお土産を買うならここがおススメです。
ひこさんホテル 和 -なごみ-
英彦山からアクセスが良く、日帰り温泉があるホテルです。露天風呂から眺められる雄大な山々と、美肌の湯と名高い温泉で癒やされてください。湯上り後はホテルのレストランで食事をするのもおすすめです。
英彦山で歴史と自然を満喫しよう
英彦山は登山道が卓越しており、たくさんの見どころのある、退屈しない山です。ルートの組み方によって、難易度を変えることもできますし、季節を変えて何度も楽しむことができます。ぜひ、一度訪れてみてください。