煌めく水面の絶景!山の桃源郷「池塘(ちとう)」の魅力を楽しむ山7座

2021/05/17 更新

美しい景色を見ることも山に登る楽しみのひとつ。そんな素晴らしい風景に、山の桃源郷「池塘」の絶景があります。山上の湿原で見られる池塘は高山植物の宝庫でもあり、幻想的な風景を作り出しています。その池塘の魅力とおすすめの山を紹介。普段とは一味違う、山の楽しみを見つけてみませんか。

アイキャッチ出典:PIXTA(平ヶ岳)

山の上に広がる絶景!池塘のある山の魅力

出典:PIXTA
絶景の山といえば、真っ先に思い浮かぶのは日本アルプスですが、なにも日本アルプスばかりが山ではありません。日本には、天上の楽園・池塘の美しい景色が楽しめる山があります

緑が美しい湿原、咲き乱れる花々、輝く水面に青空が映り込む……。山の頂とは思えない、なだらかで不思議な光景はまさに山の桃源郷。それが池塘のある山の楽しみなのです。

今回は、いくら眺めても飽きることのない「池塘」がある山を紹介します。

そもそも池塘って?

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「池塘(ちとう)」とは、簡単にいうと高層湿原にある池のこと。
さて、高層湿原ってなんでしょう?
さらにわからない単語が出てきましたね。それでは順を追って説明していきましょう。

●高層湿原の成り立ち
作成:高橋 典子
まず、「湿原」とは枯れたミズゴケなどの植物が分解されず泥炭となり、水を含んで過湿となった場所のこと。

低層湿原とは、元々の湿原の地表面が水位よりも低いところにあるものをいい、湿原の多くはまずこのタイプとなります。やがて、さらに泥炭が蓄積し地表面と水面がほぼ同じくらいの中間湿原となります。最後に、泥炭の堆積がさらに進み、周辺の地表面よりも高く積もれば高層湿原となります。

この高層湿原に、雨水や雪解け水が溜まってできた池が池塘というわけです。

通常、温暖な地域では死んだ植物はすぐ分解されてしまいます。しかし、気温が低いと植物が死んでも分解されずに積み重なり、泥炭となることが多いのです。そのため、池塘が見られるのは北海道や本州では中部地方以北、特に東北の山地のような気温の低い場所が多いのです。

新たな山の楽しみ!池塘のある景色は想像以上

出典:PIXTA(モウセンゴケ)
池塘の魅力は、そこでしか見られない豊かな自然が作りだす美しい光景。

風のない時は空の青さや山々が映り込む鏡池となり写真映えも抜群。霧がかかれば幻想的な雰囲気に。時間帯や季節、天気によって様々な表情が見られるところもいいんです!

会津駒ヶ岳
撮影:編集部(会津駒ヶ岳。ガスが出ていても幻想的な池塘)
また、池塘の泥炭には栄養分がきわめて少なく、冬は雪に覆われるほど寒い。植物にとって厳しい環境であるため、普通の山ではあまり見られない貴重な種類が多いのも特徴。虫を食べるモウセンゴケや水分をたくわえるミズゴケなど、湿原ならではの独自の植生観察が楽しめます。

池塘登山のベストシーズンは?

出典:PIXTA
池塘のダイナミックな自然と美しい風景を楽しむなら、登山道から雪が消える頃から秋がベストシーズン。高山植物が咲き誇る夏はもちろん、秋の草紅葉の赤と空の青とのコントラストがたまりません。季節ごとの絶景を楽しめるのも池塘の魅力なんですよ。

登ったその先に”池塘のある絶景が待つ山”7座

出典:PIXTA(平ヶ岳の池塘)
前の項目でもお伝えした通り、池塘は気温の低い地域に多いもの。今回は、東北〜上信越地方を中心に北飛騨まで、山頂付近にある池塘を目指して登る山を紹介。高山植物の咲き乱れる夏から草紅葉が素晴らしい秋まで、どの季節も池塘の美しさを堪能できます。それぞれの山の自慢の池塘を見ていきましょう!

【福島県】会津駒ヶ岳(2,133m)

会津駒ヶ岳
撮影:編集部
福島県の会津駒ヶ岳は日本百名山のひとつ。高山植物が楽しめる山としても知られており、新・花の百名山でもあります。山頂付近一帯には広大な湿原があり、高山植物のシーズンにはチングルマやタテヤマリンドウ、ミヤマキンポウゲなどのお花畑が広がります。

特に、山頂から北に延びる中門岳へのなだらかな稜線は、木道が整備され山上とは思えない歩きやすさ。年間を通して人気があるのも納得の山です。

【池塘ポイント】空を映す天上の大鏡!
出典:PIXTA(駒の池と駒の小屋)
会津駒ケ岳から中門岳にかけては、広大な湿原が続き池塘が点在するとても美しい登山コース。特に大きな「駒の池」のほとりには山小屋・駒の小屋が建ち、絶好の休憩スポット。天気が良ければ、駒の池に映る”逆さ駒ヶ岳”が見られます。風がない時のミラーリングの美しさは格別。どれだけ眺めていても飽きることがありません。

【新潟県・長野県】苗場山(2,145m)

出典:PIXTA(紅葉の苗場山)
新潟県と長野県にまたがる苗場山は日本百名山&花の百名山のひとつ。広く平坦な頂上部には、池塘が点在する広大な湿原があり高山植物の宝庫です。期間限定のロープウェイを利用できる手軽なルートからしっかり歩くロングルートまで、多数の登山コースがあるのも魅力。

さらに、広大な山頂からの眺めは雄大。晴れていれば、浅間山をはじめ北アルプスや富士山、妙高山の先には能登半島や日本海には佐渡島を遠望できる大パノラマです。

【池塘ポイント】点在する池塘はまさに神様の田んぼ
出典:PIXTA(苗場山頂上付近に点在する池塘)
山頂部の湿原は、環境省の「日本の重要湿地500」に選ばれており、大小1000以上もの池塘が点在すると言われています。600ヘクタールもの広大な大地には、コバイケイソウ、ワタスゲ、チングルマ、ドウダンツツジ、ヒメシャクナゲなどをはじめ100種類以上の高山植物が群生。春から秋まで次々と花が咲き誇り、まさに天空の楽園です。

池塘に生育しているミヤマホタルイやヤチスゲなどの姿が苗のよう見えることから、山の名がついたとの説もあります。


【新潟県・群馬県】巻機山(1,967m)

出典:PIXTA(巻機山山頂への登山道)
新潟県と群馬県にまたがる巻機山は、ユネスコ「エコパーク」にも登録されている日本百名山の一座。機織りの女神が機を織っていたという伝説が名前の由来で、山麓には「巻機権現」が祀られています。

なだらかな稜線歩きが楽しめ、谷川連峰や三国山脈など眺望が見事。7月のニッコウキスゲの時期には、山頂へ向かう稜線一帯が黄色い花で埋め尽くされます。

【池塘ポイント】水面・稜線・高山植物の美しい景色のコラボレーション!
出典:PIXTA( 池塘と上越国境稜線の山並み)
山頂付近のひときわ大きな池塘は伝説にちなみ「織姫の池」と呼ばれています。谷川岳や上越国境の稜線を背景に、一面にワタスゲの白い綿毛が風にたなびく様は、まさに御伽噺の世界のよう。とにかく高山植物が豊富なので、花好きにはたまりません。

他にも、顔のように見える「三ツ池」や、「竜王ノ池」など、池塘群の中で大きなものには名前がついているのも面白いですね。



【新潟県・群馬県】平ヶ岳(2,141m)

出典:PIXTA(キンコウカ咲く姫ノ池周辺からの平ヶ岳の眺め)
平ヶ岳は新潟県と群馬県の県境に位置し、山頂部はなだらかな草原状で平坦な山容が特徴的。自然保護のため、山小屋や避難小屋がなく幕営も禁止。そのため、原則日帰りでの登山となりますが、一般的なコースタイムは往復約12時間。日本百名山の中で「日帰り登山の最難関」とも言われています。その分、訪れる人が少ないため自然の奥深さを感じることができます。

【池塘ポイント】ここまで登った人だけのご褒美!自然の作り出す造形美は圧巻
出典:PIXTA(平ヶ岳のシンボル・玉子石と草紅葉が美しい湿原)
山頂から先にあるのが、平ヶ岳のシンボル・玉子石。ここから眺める、煌めく池塘が散らばる湿原の光景は、ここまで登ってきた人だけのご褒美。自然の造形美に登山の素晴らしさを感じることができます。ちなみに、玉子石は1つの花崗岩が風化によって削られ、芯だけが残った非常に珍しいもの。


【新潟県・群馬県】朝日岳(1,945m)

出典:PIXTA(朝日岳山頂)
三国山脈に属する朝日岳は、たおやかな稜線歩きが楽しめる上州の秀峰。山頂からは、谷川岳をはじめ至仏山や燧ヶ岳などを見渡せ、雄大な眺めが素晴らしい。どの登山口からも遠く、稜線に出るまでは岩場や鎖場などの険しい道が続きます。そのため、訪れる人が少なく静かな山が好きな人におすすめ。

なお、前の項目で紹介した巻機山から距離はありますが、上級者なら縦走することも可能です。

【池塘ポイント】池塘と稜線のコラボが美しい
出典:PIXTA(朝日岳の池塘越しに、上州武尊山を望む)
朝日ヶ原湿原が広がる山頂付近から、武尊山や巻機山など上信越の山々を背景に池塘を眺めれば、感動もひとしお。特に秋は、草紅葉に山肌の紅葉、空の青さのコントラストが美しい。もちろん、夏にはハクサンコザクラなどの高山植物が咲き誇ります。

角度によりハート形に見える池塘もあるので、探してみるのも楽しいですね!


【新潟県】火打山(2,462m)

出典:PIXTA(天狗の庭からの眺め)
日本百名山&花の百名山に選定されている、高山植物の宝庫・火打山。特にハクサンコザクラ群生の美しさで有名。山頂からは北アルプスや日本海、晴れていれば南アルプスや富士山までも見渡せる大展望を楽しむことができます。

また、山頂付近の「雷鳥平」は北アルプスを除いて新潟県唯一のライチョウの生息地となっています。出会えたらラッキーですよ!

【池塘ポイント】紅葉が絶景と評判の「天狗の庭」は、想像を超える別世界
出典:PIXTA(上部から天狗の庭を見下ろす)
秋になると山全体が燃え上がるように染まる様は圧巻。「天狗の庭」から山頂を仰ぎ見るのもよし、山頂から天狗の庭を見下ろすもよし。どこを眺めても真っ赤な草紅葉と池塘の絶景が広がります。

もちろん、花の百名山なだけあって夏には高山植物の咲き乱れるワンダーランド。天狗の庭いっぱいに、綿毛をつけたワタスゲの群落が広がり、緑と白のコントラストが美しい。どの季節に行ってもハズレなしの風景に出会えます!


【富山県・岐阜県】白木峰(1,596m)

出典:PIXTA(木道が整備された白木の湿原)
白木峰は富山県と岐阜県の県境に位置し、両県からアクセス可能な山。登山口からの標高差は小さいものの、山頂からは立山連峰や日本海までも望む360度の大パノラマが広がり、雄大な自然を堪能できます。手軽に訪れることができるので、シーズンには多くのハイカーで賑わう、北飛騨の小さな秀峰。

【池塘ポイント】一見の価値あり!浮島の池と可憐な花々のハーモニー
出典:PIXTA(白木峰から足を伸ばした先には、浮島のある池塘)
山頂から足をのばした先には、浮島のある池塘がありなんとも不思議な雰囲気。夏にかけては、緑の草原を貫く木道がニッコウキスゲやワタスゲが満開のフラワーロードとなり、登山者の目を楽しませてくれます。

今回は、白木峰山頂まで登山口から3時間程で登ることができる富山県側からのコースを紹介。白木峰だけでは物足りない場合は、山頂から隣の小白木峰まで縦走するのも◎。白木峰から小白木峰までは片道約90分です。
ルート概要(往復)
21世紀の森杉ヶ平キャンプ場(140分)→八合目登山口(40分)→白木峰(20分)→浮島のある池(20分)→白木峰(30分)→八合目登山口(90分)→21世紀の森杉ヶ平キャンプ場
 

詳細情報|富山市 白木峰登山ガイド

池塘の絶景を見に行ってみよう!

出典:PIXTA
それぞれ、個性のある池塘が揃っていましたね。池塘のある山は、季節や気候によってさまざまな表情を見せてくれるので、その折々にまったく違う楽しみが待っている場所。その風景に魅せられ、何度もリピートしたくなること間違いなしです。

ぜひ、山の桃源郷”池塘”を目指して登ってみてくださいね。きっと、神秘的な美しさに癒されますよ!

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高橋 典子

ハイクとミニマルキャンプをこよなく愛するフリーライター。次はどこに行こうか、9歳の息子と地図を眺めるのが日課。最近は、山岳気象予報に興味津々!

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