山の上に広がる絶景!池塘のある山の魅力
絶景の山といえば、真っ先に思い浮かぶのは日本アルプスですが、なにも日本アルプスばかりが山ではありません。日本には、天上の楽園・池塘の美しい景色が楽しめる山があります。
緑が美しい湿原、咲き乱れる花々、輝く水面に青空が映り込む……。山の頂とは思えない、なだらかで不思議な光景はまさに山の桃源郷。それが池塘のある山の楽しみなのです。
今回は、いくら眺めても飽きることのない「池塘」がある山を紹介します。
そもそも池塘って?
「池塘(ちとう)」とは、簡単にいうと高層湿原にある池のこと。
さて、高層湿原ってなんでしょう?
さらにわからない単語が出てきましたね。それでは順を追って説明していきましょう。
●高層湿原の成り立ち
まず、「湿原」とは枯れたミズゴケなどの植物が分解されず泥炭となり、水を含んで過湿となった場所のこと。
低層湿原とは、元々の湿原の地表面が水位よりも低いところにあるものをいい、湿原の多くはまずこのタイプとなります。やがて、さらに泥炭が蓄積し地表面と水面がほぼ同じくらいの中間湿原となります。最後に、泥炭の堆積がさらに進み、周辺の地表面よりも高く積もれば高層湿原となります。
この高層湿原に、雨水や雪解け水が溜まってできた池が池塘というわけです。
通常、温暖な地域では死んだ植物はすぐ分解されてしまいます。しかし、気温が低いと植物が死んでも分解されずに積み重なり、泥炭となることが多いのです。そのため、池塘が見られるのは北海道や本州では中部地方以北、特に東北の山地のような気温の低い場所が多いのです。
新たな山の楽しみ!池塘のある景色は想像以上
池塘の魅力は、そこでしか見られない豊かな自然が作りだす美しい光景。
風のない時は空の青さや山々が映り込む鏡池となり写真映えも抜群。霧がかかれば幻想的な雰囲気に。時間帯や季節、天気によって様々な表情が見られるところもいいんです!
また、池塘の泥炭には栄養分がきわめて少なく、冬は雪に覆われるほど寒い。植物にとって厳しい環境であるため、普通の山ではあまり見られない貴重な種類が多いのも特徴。虫を食べるモウセンゴケや水分をたくわえるミズゴケなど、湿原ならではの独自の植生観察が楽しめます。
池塘登山のベストシーズンは?
池塘のダイナミックな自然と美しい風景を楽しむなら、登山道から雪が消える頃から秋がベストシーズン。高山植物が咲き誇る夏はもちろん、秋の草紅葉の赤と空の青とのコントラストがたまりません。季節ごとの絶景を楽しめるのも池塘の魅力なんですよ。
登ったその先に”池塘のある絶景が待つ山”7座
前の項目でもお伝えした通り、池塘は気温の低い地域に多いもの。今回は、東北〜上信越地方を中心に北飛騨まで、山頂付近にある池塘を目指して登る山を紹介。高山植物の咲き乱れる夏から草紅葉が素晴らしい秋まで、どの季節も池塘の美しさを堪能できます。それぞれの山の自慢の池塘を見ていきましょう!