ハイカーも要注目!<On>の新作トレイルシューズ「クラウドウルトラ」をレビュー

2021/03/10 更新

アイキャッチ画像:PONCHO

シンプルなデザインと優れたクッション性が話題の<On>

撮影:PONCHO
スイスのアルプスで誕生したパフォーマンスブランド<On(オン)>。2010年創業のまだ若いブランドながら、瞬く間に多くのアスリートが愛用するブランドへと成長した注目株です。

シューズデザインのアイコンであり、機能の核といえるのが「クラウドテック」と呼ばれる独特のソール形状。

Onクラウドテック
提供:On(Onの特許技術「クラウドテック」)
輪切りにしたホースを靴底に並べて走ってみたところ、衝撃吸収材として好感触だったことから着想を得て開発されたのだそう。

<On>のシューズを体験した人たちからは、「雲の上を走っているようだ」と言われる優れたクッション性を発揮。足に、いつまでも快適さを提供してくれます。

提供:On(クラウドロックウォータープルーフ)
2019年には、<On>初のトレッキングブーツ「クラウドロックウォータープルーフ」を発売。アウトドア用のシューズブランドとは一線を画した、スタイリッシュでシンプルなデザインと、よくグリップするアウトソール、疲れにくいミッドソールを装備して、お洒落好き、道具好きなハイカーの足元に選ばれています。

新作「クラウドウルトラ」は長距離、長時間対応のトレイルシューズ!

撮影:PONCHO(トレイルランシューズ「クラウドテック」 )
その<On>から、この春に新発売されるのが「クラウドウルトラ」。第一印象はトレラン&トレッキングブーツっぽくない、シンプルさとスタイリッシュさです。

それは<On>らしさであり、ガードをゴテゴテと装着していないので、いかにも軽やかな見た目。アッパーとソールの淡いイエローカラーは、ダーク系やナチュラル系カラーが多いハイキングパンツにもよく似合いそう。トレイルランナーやスピードハイカーなら、ショーツの足元にアクセントとなり、カラフルなジャケットやバックパックとも相性がよさそうです。

最大の特長は、高いクッション性を実現した2層構造のミッドソール

撮影:PONCHO
これまで高いクッション性と軽量性を装備し、よりスピーディーに走れるトレイルランニングシューズを発表してきている<On>。

対してこの「クラウドウルトラ」は、長距離、長時間のトレイル移動を快適にすることを目的にしたシューズだそう。それを可能にしたのが、ブランド独自のクッションシステム「クラウドテック」の2層構造です。

撮影:PONCHO
荷重がかかるとミッドソールに開けられた穴が潰れて、衝撃を和らげるのが「クラウドテック」の機能。「クラウドウルトラ」の場合、この穴が中足部からカカトにかけて上下2層になっています。

これにより既存モデルの単層の穴よりも、足裏に掛かる圧力を幅広く受け止め、分散でき、足への負担を軽減してくれます。他のトレランシューズと履き比べてみると、特にカカト部の衝撃吸収性、フワフワ感は高めです。

トレイルを走って感じたのは、とにかくよくグリップすること!

撮影:PONCHO
今回、奥多摩の惣岳山のトレイルを約6キロ、筆者の暮らす街の里山トレイル、そしてランニングコースを約30キロ走ってみました。



そこで感じたのは、路面に対して吸い付くように接地する高いグリップ力です。雨天でのテストはできていませんが、前日に降った雨に濡れたトレイルでは、ズルッと滑るようなことは一度もありませんでした。

初めて履くシューズはどれほどのグリップ力があるかわからないので、恐る恐る動き出すのが常ですが、この「クラウドウルトラ」はすぐに安心してスピードを出せるほど、わかりやすくグリップしてくれます。

高グリップの理由は、パターン×溝×材質

撮影:PONCHO
アウトソールには独自開発した「ミッショングリップ」を採用しています。3種類の形状の異なるパターンを備え、力の掛かる中足部とカカト部には、ジグザグ形状のウロコのような溝が切られています。

撮影:PONCHO
これはボートシューズなどで採用され、水に濡れても滑りにくくする「スペリーソール」と呼ばれる溝に似ています。突起状のパターンに加えて、細かいジグザグ形状の溝が地面を噛むことで、グリップ力を高めているよう。細かい機能ですが、とても大きな効果を生んでいます。

アウトソールに使用されているラバーは、粘着性の高い素材。足裏全体が地面に吸い付くような感覚は、このラバーによるところも大きいと思われます。

とはいえ、この「クラウドウルトラ」を履けば絶対に滑らないかというと、そうではありません。滑りにくい機能を活かす、足裏全体を地面に着地させる足運びができてこそ効果を体感できるものです。

ローカットシューズにありがちな異物侵入を防止

撮影:PONCHO
履き口の低いミッドカットやローカットシューズで山を歩いた時に感じるのが、シューズ内に侵入してくる小石や砂、マツなどの葉っぱの煩わしさです。足を大きく動かすトレランシューズでは特に入りやすいもの。

でも「クラウドウルトラ」の履き口は、ソックスのように足首によくフィットする形状。少しくらいドタバタ走り、歩いても、異物が入ってくることはありませんでした。長時間、長距離移動の際、ストレスが軽減されることは間違いありません。

しなやかなアッパーが、ソックス状のソフトなインナーを包み込む

撮影:PONCHO
履き口を確認してみると、ベロがないだけでなく、甲全体を覆うインナーソックス状になっていました。そのインナーを薄くしなやかなアッパー素材が包み込む構造で、足とシューズの一体感を高くする効果も出ています。

また細いシューレースはベロが薄いと甲に食い込み、ヒドい場合には痛みが出ることもありますが、このインナーは厚みとクッション性があるので、シューレースのあたりをまったく感じません。

撮影:PONCHO
フィット感の良し悪しが顕著に表れる下り斜面をスピードを出して駆けおりても、シューズ内で足がズレたり、ブレたりすることもありませんでした。

足幅の広い私は、履きはじめ、側面に配されたガードに少し締めつけられている感覚がありました。しかし2~3日履き込んでいくうちに、アッパーの生地が足に馴染み、足とシューズの一体感がさらにアップ。締めつけ感も気にならなくなりました。

でも、ちょっと履きにくいことは事実・・・・・・

撮影:PONCHO
ソックス形状が生む、高いフィット感。だからこそのマイナス点もあります。

通常のシューズよりも履き口が狭いので、履くのがやや手間です。とはいえ、異物侵入を防ぎ、足とよくフィットするプラス点を考えれば、これくらいの手間は許容範囲。

と、感じていたのですが、さらに履き込んでいると、履き口がしなやかになり、まさにソックスのようにすんなり着脱できるようになってきました!

意外と硬めの走行感とその理由

撮影:PONCHO
「クラウドウルトラ」を履いてトレイルを走ったり、歩いている時には感じませんでしたが、アスファルトの上をストライド走法でスピードを出して走ってみると、足指と中足部に路面を感じるような硬さがありました。路面の凸凹に加えて、クッションを生む穴が潰れる感覚もあります。

高いクッション性が特長のため、厚底シューズのような路面から浮くような走行感を想像していたので少し意外でした。

 

撮影:PONCHO
そこで、インソールを外してシューズ内の足裏部分にあたる箇所を触ってみると、はっきりとした硬さが! 手持ちのトレランシューズやトレッキングシューズと比べてみても硬いです。

反発力を生む内蔵プレートがカギ

撮影:PONCHO
トレイルを走る際に気になる硬さではないものの、なぜ硬いのかは気になります。いろいろと試してわかったのは、反発力を生むために内蔵されたプレートの硬さであるということ。

近年、ランニングシューズで流行している厚底ソール+カーボンプレート同様に、この「クラウドウルトラ」は、クラウドテックの高いクッション力を備えたミッドソールに樹脂製プレートを組み合わせることで、足が受ける衝撃をやわらかく受け止め、その力を樹脂製プレートの反発力で推進力に変えているようです。

実際につま先を支点にシューズを曲げようと押してみると、明らかに多くのトレランシューズよりも硬いのです。しかも力を緩めると跳ね返りも強め。



撮影:PONCHO
この反発力の強いプレートの効果が、ロードランニングでのストライド走法時に出ていたようです。いつもより歩幅が広くなり、そのぶん足に掛かる衝撃も増大。足指の付け根あたりで着地した際に、路面とプレートの硬さを感じたのでしょう。

トレイルの下りでは、跳ねるように駆けおりていくこともあるので、カカト部から中足部の2層構造のクッション機能を、もう少し前、足の付け根部まで延長してもらえると、さらに足の負担が減ると感じました。

ですが、長時間、長距離を走る際には、細かい足運びや足裏全体で着地することが基本。そこまでは必要ないだろうと、開発者は判断したのかもしれません。

プレートの硬さは、重い荷物を背負うハイカーに恩恵あり

撮影:PONCHO
最近は、ハイカーの中でも軽くグリップ力に優れたトレランシューズを愛用する人が増えています。しかし速く走ることを重視したトレランシューズは、ソールが薄くやわらかいモデルがほとんど。歩きやすいけれど、15キロ近い重さのテント泊縦走装備を背負うと足へのダメージが大きくなり、足裏を疲労しやすくなります。

撮影:PONCHO
その点で、この「クラウドウルトラ」に内蔵されたプレートの硬さは有効です。

スタイルはローカットのトレランシューズですが、ミッドカットのトレッキングシューズ同様のソールの硬さがあり、しかもトレッキングシューズにはない反発力を備えています。重い荷物を背負っていても、足裏の疲労は軽く、前に進む推進力を得てラクに移動できそうです。

他にも細かいけれど、機能的なアイデアを装備

撮影:PONCHO(新機能「フリップリリース」)
注目すべき機能のひとつが「フリップリリース」です。シューレースの足幅が広い部分にある樹脂製パーツをクルッと回転させると、シューレースの締め込みをキツく、またはユルくすることが可能。

あらかじめ回転させて締め込んでおけば、移動中に疲労で足がムクんできた際、パーツを回転させてシューレースをサッとユルめることができます。反対に下りなどで足のブレを防ぎたいと感じた際は、パーツを締め込む方向に回転させ、瞬時にフィット感を変更できるのです。

ベテランがやっているシューレースの処理も簡単

撮影:PONCHO
シューレース部の中ほどにはアッパーと同色のループを備えており、余ったシューレースをまとめておくことができます。シューレースを結んだ輪が、低い木の枝などに引っ掛かり転倒するのを防いでくれる細かい配慮です。

見た目がすっきりとするだけでなく、ランナーとしてそしてハイカーとして、きちんとしている感も演出できるでしょう。

性格を知って、より快適なトレイルシューズに

撮影:PONCHO
フィット感がよく、グリップし、プレートの効果で推進力に優れた「クラウドウルトラ」。最後に伝えたいのは、推進力を生むプレートの性格です。

このプレートは中央付近が細めに成型されていて、プレートをねじれやすくすることで、裸足の時のように前足部とカカト部を独立して動かせ、足の持つ力を発揮できるようになっています。

快適さを得るまで、慣らし期間が必要かも

撮影:PONCHO
このねじれに加えて、ゆりかごのように反ったアウトソールが、高い安定感とスムーズな足の動きを提供してくれます。ですが、そうした動かし方に慣れていない足に、最初は戸惑いを感じるかもしれません。

なぜなら普段通りに足を動かしているのに、普段以上に足を動かせてしまうからです。だから、「クラウドウルトラ」に足が慣れ、筋肉が順応する慣らし期間が必要に思えます。

撮影:PONCHO
でも慣れてくれば、「クラウドウルトラ」はトレイルランニグでもハイキングでも、手放せなくなる予感がしています。

シンプルさとスタイリッシュな見た目に反して、足の力をサポートし、最大化する機能性の高さが魅力。その恩恵を受けるために、さらに履き込んで、私の足を「クラウドウルトラ」に馴染ませたい!そう思わせるシューズです。

それでは皆さん、よい山旅を!

クラウドウルトラ 20,680円(税込み)
■カラー:
[メンズ]ブラック・ホワイト、ライムライト・エクリプス
[ウィメンズ]ブラック・ホワイト、モス・エクリプス
■サイズ:
[メンズ]25~32cm
[ウィメンズ]22~28cm
■重量:310g(27.5cm実測)
■発売日・販売店:
2021年3月4日(木)より、Onオフィシャルオンラインショップ、並びに、全国の取り扱い店舗にて発売。2月18日(木)より、好日山荘にて先行発売中

 
On / クラウドウルトラの詳細はこちらOnオフィシャルサイト
 
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オン|クラウドウルトラ

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ポンチョ

低山好き、道具好き、写真好きライター。登山、ランニング、自転車、キャンプ、旅をテーマに雑誌、WEBで企画、執筆。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』を妻と共に主催する山の案内人。

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