COCOHELI 山岳遭難対策制度(ココヘリ) 550万円までの捜索救助を実施 入会金1,100円OFFで申込む
ブラックダイヤモンド ディスタンススパイク トラクションディバイス

【レビュー】雪上でもトレランシューズでラン&ハイクしたい人の強い味方!ブラックダイヤモンドの「ディスタンススパイク」

登山道の凍結時に活躍するチェーンスパイク。低山・里山などで、雪でもトレランシューズを履いて登山したい、またはランニングしたいという人向けに、<ブラックダイヤモンド>からは、トレラン専用のチェーンスパイク『ディスタンススパイク トラクションディバイス』が発売されています。

一般的なチェーンスパイクとどう違うのでしょうか。実際に雪山で試したインプレッションをお届けします。

本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。

目次

アイキャッチ画像撮影:筆者同行者

完全に市民権を得たチェーンスパイク

撮影:三宅 雅也

積雪期の低山・里山のお手軽ハイクや、天候が安定してくる残雪期のアルプスなど、アイゼンが不要な適応シーンにおいて、「チェーンスパイク」は今や多くのハイカーが着用しており、完全に市民権を得ました。

私の記憶では、10年ちょっと前までは「軽アイゼン」が主流でしたが、その後、着脱が簡単で軽量、足運びも楽なチェーンスパイクが徐々に広がりを見せ、現在では軽アイゼンよりも一般的になってきています。

撮影:三宅 雅也(2015年5月1日@燕岳にて)

チェーンとブレード以外のアッパー部分は、写真のようにエラストマー(ゴムのような弾性があり、プラスチックのように成形できる素材)でできており、およそ10本程度のブレードがついています。

足袋を履くようにつま先(トー)を挿入し、踵(ヒール)部分のエラストマーを両手で引っ張って装着するのが、一般的な登山用チェーンスパイクです。

撮影:筆者同行者

今回レビューするBlack Diamond(以下BD)のディスタンススパイクは、冬場のランニングで優れた走破性を発揮するトレランシューズ用チェーンスパイクとメーカーウェブサイトでうたわれています。

これまで、どのメーカーからもトレランシューズに特化し、ランニングも想定したチェーンスパイクは出ていないはず。一般的なチェーンスパイクと比較し、どのような違いがあるのか一緒に見ていきましょう!

Black Diamondの「ディスタンススパイク トラクションディバイス」の特長

雪の侵入をシャットアウトするソフトシェル製トーカバー

ディスタンススパイク トラクションディバイス
提供:LOST ARROW

これがBD製「ディスタンススパイク トラクションディバイス(以下、ディスタンススパイク)」。

パッと見て気づく一般的なチェーンスパイクとの違いは、トー部分のアッパー素材。ディスタンススパイクは、ソフトシェルとエラストマーを組み合わせたハイブリッドアッパーとなっています。

撮影:三宅 雅也(一般的なチェンースパイク[右]はつま先部分の多くが露出している)

かたや一般的なチェーンスパイクは、トー部分のエラストマーが軽量化のためトリミングされています。これは登山靴では特に問題ないのですが、トレランシューズの多くはゴアテックスではないため、雪に触れると内部が濡れやすく冷たさに襲われてしまうのです。このトーカバーはその点を対策しています。
これについては、実際のレビュー時にもう少し触れますね。

なお、トレランシューズにゴアテックス仕様が少ない理由は、運動量が多いトレイルランニングでは足裏に汗をかきやすく、かつ登山と比較し着地衝撃が強いため、蒸れによる水膨れや皮めくれなど故障の誘発リスクがあるため。このリスクを低減することを目的とし、通気性の良い生地・構造となっているのです。

ブレードの数は14本、レイアウトにも工夫あり!

撮影:三宅 雅也(ディスタンススパイクは14本/一般的な登山用チェーンスパイクは10本)

装着したシューズ裏の状態です。左のディスタンススパイクのブレード本数は14本(フロント9本+リア5本)、右の一般的なチェーンスパイクは10本(フロント8本+リア2本)。

ディスタンススパイクはブレード数の多さに加え先端にフロントポイント(部分)を有し、より雪面でのトラクション(推進力)を得られる仕様になっています。

またフロント部のレイアウトは楕円状になっており、トレラン独特のフォアフット着地+着地時のインパクトでも前後に広く面で捉えられるよう、設計に盛り込まれていることが伺えます。

撮影:三宅 雅也(右は中国製ノンブランド17本刃品)

リア部においては、参考として自身で保有する別の登山用チェーンスパイク(中国製ノンブランド品)のレイアウトと比較してみました。

どちらも同じ5本刃ですが、ディスタンススパイクは比較的中央寄りにレイアウトされていることがわかります。一見するとリア部も後方にレイアウトされていた方が良さそうですが……

撮影:三宅 雅也(La Sportiva Crossover 2.0 GTX/チェーンスパイク位置イメージ)

横から見ることでその理由が推察できました。それは、登山靴とトレランシューズでのソール形状の差にありそうです。

上のフォトは、私が雪上でのラン&ハイク向けに使用しているトレランシューズですが、ソール全体がゆったりとアーチを描いています

このようなトレランシューズの場合、リアブレードが後方にレイアウトされていると、フラットフッティング時におけるヒール部分の雪面へのグリップ力が低下する可能性があります。つまり同じ5本ブレードでも実際のグリップ力に差が出てくることが想像できます。

トレランシューズのシェイプやデザインは様々ですので、こういった設計配慮は多様なシューズへの適応性を高めてくれそうです。

ブレード長は控え目。その狙いは……

一般的なチェーンスパイクとのブレードの比較
撮影:三宅 雅也([右]一般的なチェーンスパイク)

今回実測した一般的なチェーンスパイクのブレード長は約11.5mmに対し、ディスタンススパイクは14本すべて8mm設計。これは露出した岩場やガレ場などでの安定性を想定しているのだろうと推察されます。

念のためにメーカーに確認を取ってみると、ガレ場などでの安定性向上に加え、必要十分なトラクションを得ると同時に、より自然な足裏感覚を実現するために、最適なブレード長として8mmを採用したとのこと。

開発には、マウンテンアスリートであるジョー・グラントとカイル・リチャードソンが関与しているため、実際のフィールドテストからの判断なのだと思われます。

ウェビングループで着脱が楽!

ウェビングループ
撮影:三宅 雅也

ヒール部に大きめのウェビングループが装備されています。これにより、トー部分を挿入したあとは、片手の親指か人差し指をウェビングループに引っ掛け、ヒールに向けてグッと引っ張るだけで装着が可能。雪用の分厚いグローブだったとしても、輪っかサイズは指を挿入するのに充分なため、とてもありがたい設計です。通常はエラストマーのヒール部分を両手で引っ張って装着しないといけませんからね。

か、軽い……!!

  • ブラックダイヤモンド / ディスタンススパイク
  • 一般的なチェーンスパイク
  • 中国製ノンブランドのチェーンスパイク

撮影:三宅 雅也(1枚目:ディスタンススパイク、2枚目:一般的なチェーンスパイク、3枚目:中国製ノンブランドのチェーンスパイク)

持った瞬間、「軽っ!」と衝撃を受けました。

片足分での実測重量、ディスタンススパイク=約116g(サイズ=L)、他社品=約178g、中国品=約194gと圧倒的な軽さです。

  • ブラックダイヤモンド / ディスタンススパイク
  • 一般的なチェーンスパイク
  • 中国製ノンブランドのチェーンスパイク

撮影:三宅 雅也(1枚目:ディスタンススパイク、2枚目:一般的なチェーンスパイク、3枚目:中国製ノンブランドのチェーンスパイク)

両足セットとなるとその重さの違いは顕著に。手で持っても足に装着した状態でも気づくことができるほどの差異となります。

撮影:三宅 雅也

軽量化を実現しているのは、トーアッパー部分のソフトシェル化、および、チェーンサイズを小型化していることにありそうです。しかも、小型環状で連結させることで、チェーンひとつひとつへの負荷を分散・低減させ、耐久性向上への効果も狙いにあるよう。

こうして細部を見てみると、パッと見よりも深い設計思想が隠れていることを実感するに至りました。これは雪山で楽しく遊べそうですよ!

1 / 2ページ