どう使えばおもしろい!? 「新しい山道具」として開発した “俺の”1ポールテント

2020/11/08 更新

山岳ライターとして活躍中の高橋庄太郎がプロデュースしたテント「YARI 3×3」。広く快適なテント内の空間の使い方、風をコントロールするスカート、革新的な開閉システムなど、誰よりもこのテントを知りつくしている開発者が使い方を解説します。


アイキャッチ画像撮影:高橋庄太郎(以下、全て)

さまざまなスタイルで使用可能! ”僕プロデュース”の新作テント

山岳系ライターとして活動している僕・高橋庄太郎。山道具に関する記事を書くことが非常に多く、登山店のスタッフにも負けない専門的な商品知識を持っていることには自信があります!

そんな僕は自分のブランドである「SCREES」名義で、大人気アウトドアショップ「WILD-1」の自社ブランド「tent-Mark DESIGNS」とのコラボレートし、「 “俺の”1ポールテント(商品名は「YARI 3×3」)」を今年生み出しました。

開発までには紆余曲折あり、そのことは以前『今だから言える「新しい山道具」の開発秘話! “俺の”1ポールテントが店に並ぶまで・・・』という記事にまとめています。興味のある方はぜひ読んでみてください!

今回はそんな「YARI 3×3」のおもしろい使い方を、誰よりもこのテントに詳しい僕が解説します。

【1】他社のインナーテントを組み合わせ、内部を快適にアレンジ

第一弾としての発売は、アウターのみ。ダブルウォールタイプのテントでいえば、フライシートにあたる部分。
1ポールテントというものは、アウターのみでも大活躍するのですが、インナーとしての居住空間があったほうが便利な場合もあるのは事実です。

そこで僕は現在、虫が多い場所など「インナーテントがほしい」と思うときには、次のようなスタイルをよく使っています。

他社のインナーテントを組み合わせて、「居住空間&土間」のスタイルに

ニーモのタニ2Pのインナーテントを組み合わせた状態。これだけ土間が広ければ、大雨のときでも安全にゴハンが作れます。
ズバリ、他社のインナーテントを内部に入れちゃうんです。内部の半分を前室的な土間として使ったとしても、2人用テントも余裕で入り、雨に濡れることもありません。

僕はこのようにして使うのが大好きなんです。もしも専用インナーがあったとしても、状況によっては、こんな感じでも使い続けるでしょうね。

ちなみに「YARI 3×3」の「3×3」はフロアサイズのこと。要するに地面の部分が3m×3mの正方形です。だから、内部がポールで半分に区切られていても、大半のメーカーのテントの2人用が余裕で入っちゃいます。
こういうふうに使う場合は、”入り口が長辺”にあるテントのほうが相性は良いです。

余裕があるときは、コットを合わせるという手も

2m以上のコットを置いても、まだまだ余裕。コットを2~3入れて、親子キャンプにもお勧めです。
インナーを使わずに快適に眠るために、地面へダイレクトに「コット」を置いて使うのもひとつの手です。

今はバックパッキング用の超軽量コットもありますが、荷物は重くなってしまうので、山中に自力で持っていくのは、よほど余裕があるときだけ。しかし寝心地は最高です。

コットは長さもあれば高さもあります。一方で、山岳向けの一般的な1ポールテントのサイズは2×2m程度。だから普通サイズのコットはきれいに収められません。だけど、僕の「YARI 3×3」のフロアサイズならまったく問題ないのです!

ダイレクトにマットを敷いて、ロースタイルの山中キャンプに

マットを2枚敷いて、内部へ。ひとりしか内部にいないと、このテントがいかに大きいのかわかります。
もちろんインナーテントもコットも使わず、マットを地面の上に敷いて眠るのも楽しいものです。なにより、荷物が軽量になりますからね。

しかし、一人で眠るには、ちょっとむやみに広すぎる気も……。
そもそも、このテントの開発イメージは“山中の宴会場”。僕は“どんなに雨が降っていても、寒風が吹き荒れていても、ボタ雪が降り続けていても、仲間といっしょに“大きな鍋を囲んでメシが食える”場所が山中にほしかったのです。

夏に日影が欲しくて、サンシェイドとして使ったときの様子。4人入ってもスペースの半分も埋まっていません。
メシを作るスペースを広く空けても、座れば10人くらいは収容でき、全身サイズ(180㎝)のマットを8人分は敷くこともできます。「YARI 3×3」の重量1880gですが、10人で割れば、188g。8人で割れば、265g。

巨大宴会場、もしくはデカい緊急シェルターとして持っていくと考えれば、ひとり当たりの重量としてはかなり軽いのではないでしょうか?

【2】風を呼び込み、風を防ぐ“スカート”もプラス

このテントは悪天候時のシェルター以外に、暑い時期はタープ的に”日除け”としても利用できるように工夫しています。

そのために付け加えた重要ディテールが”スカート”。これは文字通り、裾の部分へ垂れ下がるような布地です。雪山用のテントには似たようなパーツがついているものもありますが、そちらはもっぱら「風を遮る」ため。

しかしこのテントは、「風を取り入れる」こともできるようになっています。

裾をまくり上げれば、10㎝以上の幅のベンチレーターに

トグルでスカートを巻き上げた状態。内部のポールを少し長くして使うと、より大きく開き、換気性が上がります。
このスカートは「地面に固定すれば風の吹き込みを防ぎ、巻き上げれば効率よく風を通す」というアイデア。暑いときはトグルで巻き留め、下から涼しい風を受け入れられます。10㎝以上も開くので、結露を防ぐ効果も高いですよ。

一方で、寒いときや強風のときは広げてペグで留めれば、風の侵入を防ぎます。

スカートを固定すれば、内部はほとんど無風状態に

スカートを下した状態。完全に風をシャットアウトするならば、内部のポールを少し短くして、完全に地面につけるようにします。
このスカートは想像以上に便利! 地面に固定すれば寒気が入らないので冬でも暖かく過ごせます。

また、内部に風が吹き込まないということは、耐風性を格段にアップさせることにもつながります。悪天候のときは、このスカートを有効活用してください。

山ではなく、海辺で使ったときの状態。砂というものは想像以上に重く、スカートの上に乗せるだけで十分なアンカーに。
ついでに応用的な使い方もご紹介しましょう。例えば、これを海辺で使うとき。ペグが効かない柔らかな砂の上では、アンカー代わりに周囲の砂をスカートの上に乗せてください。砂の重みによってペグを使うよりも強力に設営できますよ。

スカートを利用すれば、雪や岩でも固定できる!

強風時はこんな使い方もOK。しかし決して推奨するわけではないので、自己責任で!
冬山では砂と同様に雪をアンカー代わりに併用できます。すると、雪面との隙間もなくなり、強風下でも内部は無風状態に。

ちなみに、このテントに使っている生地は、40デニールのリップストップナイロン。「生地を薄くすると、軽くはなるが、丈夫ではなくなり、価格も上がる」という視点からバランスを考え、比較的安価で2㎏を切る重量、それでいてちょっと厚めの丈夫な生地で仕上げたのですが、だからこそスカートの上へ「アンカー代わりに岩を置く」という乱暴な使い方もできなくはありません。

もちろん岩を上に置いておけば、スカートは傷み、状況によっては少し穴が開くことも考えられます。
しかしテントにとってスカートは、防水性がなくてもよい部分。テント本体の生地にさえ穴がなければ雨は防げるわけで、これを作った僕自身、こんなラフな使い方をどんどんしていこうと思っています。

【3】どこかのメーカーに真似されるかも!? 革新的な開閉方法

コットを置いてひとりで使えば、超高級ワンルームマンションといった趣。
ところで、これまでの写真を見て、出入り口のパネルが変わったシステムで開いていることにお気づきでしょうか?

まるで巾着袋! 引くだけで開く入り口のパネル

秘密があるのは、ピンクの丸の部分。2本のライン上のものが見えるかと思います。
僕が「YARI 3×3」で自信を持っている工夫が、この部分。ここはトグル付きのコードを引くだけで、なんと“瞬間”で開くのです。

出入口のパネルを開くときは、本体のジッパーを上げてからコードを引き絞ることだけ。
引き絞ったパネルはトグルで固定。これを上下2カ所やれば出入り口はきれいに開きます。
“瞬間”はちょっと大げさだったかもしれませんが、パネルを開くための作業は”ストラップを引き絞る”だけ!開いたパネルを“巻いて留める”という作業がいらず、驚くべき速さで入り口を開放できるのは間違いありません。

結露で濡れたパネルで手や体が濡れることも最低限にとどめることもできるのですから、なかなかスゴいでしょう?

テントの使い方はアイデア次第。”応用力”を発揮しよう!

悪天候時はテントの形が少々歪んでも、「確実に風雨を遮られること」がなにより大事!
そんなわけで、僕がプロデュースして作った1ポールテント「YARI 3×3」でした。興味がある方は、「WILD-1」のウェブサイトの説明もご覧になってください!

ペグが刺さらない場所では、ネットアンカーも便利。
ここで紹介した使い方はあくまでも一例ですが、他の1ポールテントにも応用可能。一般的なドーム型テントに比べ、アイデア次第でさまざまな使い方ができるのが、1ポールテントというものなのです。

YARI3✕3が気になる人はこちら

組み合わせて使えるインナーテントがもうすぐ登場。ご期待を!

開発中のインナーテントに使おうと思っているメッシュ生地の見本。さて、どれがいいか……。
最後にひとつお知らせしたいことが。まずはアウターだけで発売し始めた僕の「YARI 3×3」ですが、じつはインナーテントの試作も進んでいて、早ければ年内にも発売される予定です。つまり、ここまで紹介してきた使い方に加え、もっとも確実に実力を発揮する「アウター×インナー」という”正規品”同士での組み合わせも可能になるんです。

しかもインナーは1種類ではなく、同時に2~3種を発売することになりそう。僕自身、楽しみで仕方ありません!

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高橋庄太郎
高橋庄太郎

山岳/アウトドアライター。高校の山岳部から山歩きを始め、登山歴は30年以上に。好きな山域は北アルプスで、テント泊をこよなく愛する。テレビやイベントへの出演も多く、各メーカーとのコラボでアウトドアギア作りも。『トレッキング実践学 改訂版』『山道具 選び方、使い方』『テント泊登山の基本』など、著書も多数。https://www.instagram.com/shotarotakahashi/

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