【2】風を呼び込み、風を防ぐ“スカート”もプラス
このテントは悪天候時のシェルター以外に、暑い時期はタープ的に”日除け”としても利用できるように工夫しています。
そのために付け加えた重要ディテールが”スカート”。これは文字通り、裾の部分へ垂れ下がるような布地です。雪山用のテントには似たようなパーツがついているものもありますが、そちらはもっぱら「風を遮る」ため。
しかしこのテントは、「風を取り入れる」こともできるようになっています。
裾をまくり上げれば、10㎝以上の幅のベンチレーターに
このスカートは「地面に固定すれば風の吹き込みを防ぎ、巻き上げれば効率よく風を通す」というアイデア。暑いときはトグルで巻き留め、下から涼しい風を受け入れられます。10㎝以上も開くので、結露を防ぐ効果も高いですよ。
一方で、寒いときや強風のときは広げてペグで留めれば、風の侵入を防ぎます。
スカートを固定すれば、内部はほとんど無風状態に
このスカートは想像以上に便利! 地面に固定すれば寒気が入らないので冬でも暖かく過ごせます。
また、内部に風が吹き込まないということは、耐風性を格段にアップさせることにもつながります。悪天候のときは、このスカートを有効活用してください。
ついでに応用的な使い方もご紹介しましょう。例えば、これを海辺で使うとき。ペグが効かない柔らかな砂の上では、アンカー代わりに周囲の砂をスカートの上に乗せてください。砂の重みによってペグを使うよりも強力に設営できますよ。
スカートを利用すれば、雪や岩でも固定できる!
冬山では砂と同様に雪をアンカー代わりに併用できます。すると、雪面との隙間もなくなり、強風下でも内部は無風状態に。
ちなみに、このテントに使っている生地は、40デニールのリップストップナイロン。「生地を薄くすると、軽くはなるが、丈夫ではなくなり、価格も上がる」という視点からバランスを考え、比較的安価で2㎏を切る重量、それでいてちょっと厚めの丈夫な生地で仕上げたのですが、だからこそスカートの上へ「アンカー代わりに岩を置く」という乱暴な使い方もできなくはありません。
もちろん岩を上に置いておけば、スカートは傷み、状況によっては少し穴が開くことも考えられます。
しかしテントにとってスカートは、防水性がなくてもよい部分。テント本体の生地にさえ穴がなければ雨は防げるわけで、これを作った僕自身、こんなラフな使い方をどんどんしていこうと思っています。
【3】どこかのメーカーに真似されるかも!? 革新的な開閉方法
ところで、これまでの写真を見て、出入り口のパネルが変わったシステムで開いていることにお気づきでしょうか?
まるで巾着袋! 引くだけで開く入り口のパネル
僕が「YARI 3×3」で自信を持っている工夫が、この部分。ここはトグル付きのコードを引くだけで、なんと“瞬間”で開くのです。
“瞬間”はちょっと大げさだったかもしれませんが、パネルを開くための作業は”ストラップを引き絞る”だけ!開いたパネルを“巻いて留める”という作業がいらず、驚くべき速さで入り口を開放できるのは間違いありません。
結露で濡れたパネルで手や体が濡れることも最低限にとどめることもできるのですから、なかなかスゴいでしょう?
テントの使い方はアイデア次第。”応用力”を発揮しよう!
そんなわけで、僕がプロデュースして作った1ポールテント「YARI 3×3」でした。興味がある方は、「WILD-1」のウェブサイトの説明もご覧になってください!
ここで紹介した使い方はあくまでも一例ですが、他の1ポールテントにも応用可能。一般的なドーム型テントに比べ、アイデア次第でさまざまな使い方ができるのが、1ポールテントというものなのです。
組み合わせて使えるインナーテントがもうすぐ登場。ご期待を!
最後にひとつお知らせしたいことが。まずはアウターだけで発売し始めた僕の「YARI 3×3」ですが、じつはインナーテントの試作も進んでいて、早ければ年内にも発売される予定です。つまり、ここまで紹介してきた使い方に加え、もっとも確実に実力を発揮する「アウター×インナー」という”正規品”同士での組み合わせも可能になるんです。
しかもインナーは1種類ではなく、同時に2~3種を発売することになりそう。僕自身、楽しみで仕方ありません!