フルフラットシートはもはや定番? 加熱する車中泊ブーム
昨今、車中泊は大きなブームになっています。
登山口駐車場での車中泊による前泊は、ずいぶん前から珍しいことではありませんが、近年、単に『仮眠を取る』から『熟睡する』へと、その車中泊のあり方・質が変化してきています。
アメリカ発祥の“VAN LIFE”というムーブメント


その要因のひとつに、アメリカ西海岸に端を発した“VAN LIFE”というライフスタイルがあります。
簡単に言えば“車上生活”なのですが、せっかく暮らすなら、よりお洒落によりオリジナリティを、とDIYをメインに楽しみを求めた結果、単なる車上生活以上のスタイルへと昇華していきました。
このムーブメントが日本でも徐々に広がりを見せ、昨今のアウトドアブームも重なり、カーメーカーも車中泊を視野に入れた車両を販売。後部座席がフルフラットになる、なんて車両も今では珍しくなくなってきました。
キャンピングカーまではいらない。けど快適に眠りたい!
そうなると当然、我々ハイカーの車中泊の仕方も変わってくるというもの。前泊してしっかりと眠り、休息を取って登山に臨めるというのは、安全面の観点からもそのメリットは大きいですよね。
「キャンピングカーほどの本格的な車はいらないけど、快適に眠ることができたらなぁ……」
いざ突撃、みんなの移動式お宅を拝見!
では実際に登山口の駐車場で車中泊をしている人たちは、はたして熟睡できているのでしょうか。いったい車内がどうなっているのかも気になりますよね。
そこで今回、突撃取材を敢行!5組のハイカーさんに車の中を見せてもらいました。車中泊の良さや気をつけていることも聞いてみましたよ。
※2020年取材時の情報です
①軽自動車でも快眠を実現 ~AKIさん&YOKOさん夫妻~
まずは静岡から参戦、AKIさん&YOKOさん夫妻。
早速気になる車内を見せてもらうと、軽自動車とは思えない広い就寝スペースが! 夏用のひんやり寝具が持ち込まれ、なんとも快適そう。
N-Box+は、フルフラットのベッドモードが標準搭載なのだそう。(当該モデルは2017年8月に販売終了)
さらにザックなどの登山ギアを入れられる大容量の床下収納も。荷物の収納力は車中泊時には重要な課題となりますので、最初からこれらが仕様に組み込まれているなんてとてもありがたいですね。軽自動車を感じさせない収納力です。
その他、安眠と防犯のためのポケット付き目隠しシェード、すぐ手の届くところにティッシュや飲料水、ハンガーラックなど利便性を上げる工夫がいっぱい。
気をつけていることは、夜着が多いため、ほかの方の迷惑にならないよう速やかに寝るようにしています。それとアイドリングはしないこと。また、自車スペース以上の場所を使わないことです。
お二人ともとてもマナー良く車中泊を楽しまれていることが伝わってきました。
②DIYで仕上げた快適空間+広々ベッド ~MYKさん~
続いては千葉県のMYKさんの車中泊仕様をご紹介。
こちらはまたさらに広々とした就寝スペースが!車両サイズが大きい分だけ、ベッド幅もかなりありますね。
この厚手銀マットの目隠しシェードは、ホームセンターで材料購入して手作りされたもので、冷気遮断効果もあるそう。
さらに天井のワイヤー棚設置もご自身のDIY。目覚まし時計やスマホ置き、ランタン掛けなど大活躍だそうです。
収納力を向上させる工夫は山ヤにはお手の物かもしれませんね!
収納力と言えば、こちらも床下に大きな収納スペースを確保しており、たくさんの登山ギアを積み込むことができます。
夜中に到着する時は、ほかの方に配慮してライトは暗く、大きな物音を立てないよう気をつけています。また、SAやPA、道の駅などでの仮眠時は、邪魔にならないよう隅に停め、ゴミは必ず持ち帰るようにしています。
やはりMYKさんもマナーには十分配慮して車中泊しているようです。