思い出の山行を振り返ると見えてきた、自分の登山で大切なことって?

2020/08/11 更新

2020年8月10日は山の日。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」とされる日です。今年はコロナウイルスの影響や長引く梅雨で例年の山に行けなかったため、SNSでは「思い出の登山を語る」という動きが生まれました。そこで今回は、5人のYAMA HACK編集部のメンバーの「思い出の登山」を紹介します。


アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

今年もやってきました、山の日!

上高地
撮影:YAMA HACK編集部
2016年からはじまった「山の日」。今年は東京五輪が予定されていたため、毎年8月11日だった山の日が10日に移動し、3連休になりました。

今年はコロナ禍や長引く梅雨で例年のように山に行けずモヤモヤしている人も多いのではないでしょうか?

そんな中、家の中でテントを張ってみたり、「山の思い出」や「山への想い」をSNSなどでリレー形式で発信したりと、さまざまな山の楽しみ方が生まれました。特に、YAMA HACKでも取り上げた「#おうちで山談義」は多くの方が山の思い出を語って楽しんでいました。今回はYAMA HACK編集部5人が#おうちで山談義のように思い出の登山とそこで感じたことについて、語ってみます。

「こんな景色があったのか」と教えてくれた燕岳〈荻原〉

仕事柄、「思い出の山はどこですか?」と聞くことは多いのですが、自分が聞かれると正直困ってしまいますね(笑)。これまで登ったどの山もそれぞれに思い出があり、一つだけを選ぶのが難しいのですが・・・

燕岳
撮影:YAMA HACK編集部
なかでも、山頂からの景色を見たときの衝撃が大きかったのが、登山をはじめた4年前、北アルプスで最初に訪れた「燕岳」です。

燕岳
撮影:YAMA HACK編集部
それまで登っていた丹沢や奥多摩・奥秩父の山にもたくさん癒されましたが、北アルプスの壮大な景色は全くの別物でした。

目の前に広がる美しい山並みに圧倒されつつ、「こんな景色があったのか」と感動したのを覚えています。

燕岳からの日の入り
撮影:YAMA HACK編集部
「いつかあの山に登りたい」「あそこの稜線を歩きたい」そんなことを考えながら、沈んでいく夕日に長いあいだ見惚れていました。

燕岳での時間が、今も私を山に向かわせるきっかけになっているように思います。今年は無理かもしれませんが、いつか地方遠征もしたいです。

いくつもの”大変”を乗り越えて、成長を実感した立山〈川尻〉

“忘れられない思い出の山”と聞かれたら、YAMA HACK編集部メンバーで「立山」に行った、2泊3日の研修登山がまっさきに出てきます。

立山
撮影:YAMA HACK編集部
初めての3,000m級の山、初めてのテント泊、初めてのアイゼン歩行など、他にも私にとって”初めての体験”をたくさんさせてもらった山行です。
雪のまだ残る絶景に感動した事はもちろんですが、何より今まで味わったコトのない「達成感」をたくさん体験できた山行でした。

立山
撮影:YAMA HACK編集部
良いことばかりではなく、大変なこともたくさん・・・。本当に、たくさんありました(笑)。

ただその経験があったからこそ、よりリアルな登山者の悩みや疑問に寄り添えるようになったのではないかと、今ではこの経験をさせてもらったことに感謝しています。
立山
撮影:YAMA HACK編集部
山の絶景を見ることも楽しいですが、「誰と、どこに、どう登るのか」という事も私にとっては大事なポイントです。

大好きな仲間と登る山って、本当に楽しいですよね。
誰もが予想しなかったコロナウイルス、台風や洪水といった自然災害など、思うように山を楽しむことができない日々が続いています。

今年はコロナウイルスとうまく付き合いながら、ゆっくり自分のペースで山歩きを楽しみたいです!テン泊したい・・・。

登山ではなく、歩く「山旅」の魅力。4泊5日の信越トレイル〈村岡〉

信越トレイル
撮影:YAMA HACK編集部
北アルプスのような絶景はなく、写真のような山道を5日間かけて歩く「信越トレイル」。インスタ映えもしないし地味ですよね(苦笑)。

しかし、16の峠を越えながら長野と新潟の県境にある里山を約80km歩く、魅力たっぷりの日本の「ロングトレイル」です。

天水山からゴールの斑尾山までですれ違ったのは、3組のみ。4泊のうち3泊は、私のテント1張のみ。最初は不安で熊鈴を5割増で鳴らしながら歩いていました。

緊張感がほぐれたのは、2日目。人生初の「トレイルエンジェル」に出会ってからです。

信越トレイル トレイルエンジェルというのは、ハイカーをサポートしてくれるボランティアのこと。クーラーボックスには「水は足りていますか?(中略)この後も楽しいトレッキングを!」とあり、水が用意されていました。1人だけど独りではないんだ……と心強く、硬貨と引き換えに1本もらいました。

信越トレイル
撮影:YAMA HACK編集部
また、荷物をおろして休んでいたら、かわいい「トレイルエンジェル」も登場。
山岳大国の日本。静かに内省的な思索を深めたり、小さな出会いに心躍ったりできるロングトレイルがあることも、とても素敵なことなのではと思います。
今年は山行予定を組むのも一苦労ですが、「自分だけの喜びが見つかる山」を見つけるチャンスかなと。遅めの夏休みには、また静かなトレイルを歩こうと思います。

天国のような幻想的な世界、雲ノ平〈宮下〉

折立から入り、雲ノ平〜水晶岳〜鷲羽岳〜黒部吾郎岳へ行ってスタート地点に戻る、4泊5日プラン。

いざ!と意気揚々と登っていると、薬師沢小屋から雲ノ平の急登で豪雨。荷物の重みと急坂の岩場に、半ベソを掻きながら無心に登り続けました。

雲ノ平
撮影:YAMA HACK編集部
なんで雨なんか降るんだ!とぷんすかエネルギーでなんとか踏ん張り木道に出ると、辺りは霧に包まれました。その狭間に雲ノ平小屋を発見。真っ白な中に現れた小屋はまるで雲の上に浮かんでいるようで、天国と言われても頷ける幻想的な世界が広がっていました。

小屋まで続く1本の木道は、周りを雨粒で光る高山植物で彩られており、思わずスキップしたくなるメルヘンさ。北アルプスの雄々しさとは一線を画すその景色に、まるで怖い上司の可愛い一面を垣間見たような、ちょっと得した気持ちになりました。

雲ノ平
撮影:YAMA HACK編集部
寒さにやられそうだったのでひとまず小屋に入って豚汁定食を注文。一口食べた時の「ここはきっと天国だ!」と感覚を今でも覚えています。
翌日からはスカーっと晴天!水晶岳と鷲羽岳からの最高の景色に恵まれました。

雲ノ平
撮影:YAMA HACK編集部
つらいつらいも思い出のうち。アメとムチの連続に翻弄されながらも最終的にまた来たいなと思わせてくる山に、いつもやられっぱなしです。

全方位から襲ってくる恐怖に負けた低山登山〈大迫〉

兵庫県宝塚市の中山寺から大峰山を経由して、廃線を目指すルート。けして難易度が高いコースではないですが、ミスの連鎖から大事なことを再確認できた山行です。

廃線ルート
撮影:YAMA HACK編集部
最初のミスは、中山から大峰山に行く時に予定していた登山口を見逃してしまったこと。別の登山口から入山も、人が入っていない登山道は植物でほとんど見えません。

それだけでなく、大きめサイズのクモがもれなく付いた蜘蛛の巣が張り巡らされていました。さらに草むらの中からは謎の虫(たぶん蝉?)が弾丸のようにこちらへ飛んできます。

地獄絵図
撮影:YAMA HACK編集部
紙地図とコンパスで道を確かめつつ、虫をかわす(当たると痛い)。謝りながら木の枝で蜘蛛の巣を払い進んでいくこと1時間以上。やっと山頂にたどり着いた時には、精神的にボロボロでした。

大峰山
撮影:YAMA HACK編集部
その後も疲労のため下る道を間違えてしまい時間をロスしましたが、自分自身の疲労感や登山口を間違えた経験から、今回はすぐに現在地を確認して正しいルートに復帰。

この経験から、GPSアプリや地図を使える知識や経験はもちろんのこと、厳しい状態にさらされた時の精神力の大切さを強く感じました。

また、飛んでくる虫を交わすために精神が研ぎ澄まされたのか、この山行の後から遠くにいる虫や動物の気配を感じ取るスキルが身についたのは、うれしい誤算です(笑)。

”楽しい思い出”も”苦い経験”も積み重ねていこう

赤岳
撮影:YAMA HACK編集部
山によって景色の素晴らしさが違うこと、つらいことを乗り越えて自分の成長を感じた経験、自然の中で内省的な思索を深めることなど、思い出として振り返ることで自分の登山で大切なことが見えてきました。

思うように山に行けずモヤモヤしがちですが、そんな時こそ山の思い出を語ってみませんか?
山の思い出を振り返ることで、これからの登山を楽しくするヒントが隠れているかもしれません。

これからもYAMA HACK編集部は、いろいろなスタイルの登山を楽しむ人を応援していきたいと思います。

編集部メンバーの様子を発信中

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雲ノ平
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YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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