なんで雨なんか降るんだ!とぷんすかエネルギーでなんとか踏ん張り木道に出ると、辺りは霧に包まれました。その狭間に雲ノ平小屋を発見。真っ白な中に現れた小屋はまるで雲の上に浮かんでいるようで、天国と言われても頷ける幻想的な世界が広がっていました。
小屋まで続く1本の木道は、周りを雨粒で光る高山植物で彩られており、思わずスキップしたくなるメルヘンさ。北アルプスの雄々しさとは一線を画すその景色に、まるで怖い上司の可愛い一面を垣間見たような、ちょっと得した気持ちになりました。
寒さにやられそうだったのでひとまず小屋に入って豚汁定食を注文。一口食べた時の「ここはきっと天国だ!」と感覚を今でも覚えています。
翌日からはスカーっと晴天!水晶岳と鷲羽岳からの最高の景色に恵まれました。
つらいつらいも思い出のうち。アメとムチの連続に翻弄されながらも最終的にまた来たいなと思わせてくる山に、いつもやられっぱなしです。
全方位から襲ってくる恐怖に負けた低山登山〈大迫〉
兵庫県宝塚市の中山寺から大峰山を経由して、廃線を目指すルート。けして難易度が高いコースではないですが、ミスの連鎖から大事なことを再確認できた山行です。
最初のミスは、中山から大峰山に行く時に予定していた登山口を見逃してしまったこと。別の登山口から入山も、人が入っていない登山道は植物でほとんど見えません。
それだけでなく、大きめサイズのクモがもれなく付いた蜘蛛の巣が張り巡らされていました。さらに草むらの中からは謎の虫(たぶん蝉?)が弾丸のようにこちらへ飛んできます。
紙地図とコンパスで道を確かめつつ、虫をかわす(当たると痛い)。謝りながら木の枝で蜘蛛の巣を払い進んでいくこと1時間以上。やっと山頂にたどり着いた時には、精神的にボロボロでした。
その後も疲労のため下る道を間違えてしまい時間をロスしましたが、自分自身の疲労感や登山口を間違えた経験から、今回はすぐに現在地を確認して正しいルートに復帰。
この経験から、GPSアプリや地図を使える知識や経験はもちろんのこと、厳しい状態にさらされた時の精神力の大切さを強く感じました。
また、飛んでくる虫を交わすために精神が研ぎ澄まされたのか、この山行の後から遠くにいる虫や動物の気配を感じ取るスキルが身についたのは、うれしい誤算です(笑)。
”楽しい思い出”も”苦い経験”も積み重ねていこう
山によって景色の素晴らしさが違うこと、つらいことを乗り越えて自分の成長を感じた経験、自然の中で内省的な思索を深めることなど、思い出として振り返ることで自分の登山で大切なことが見えてきました。
思うように山に行けずモヤモヤしがちですが、そんな時こそ山の思い出を語ってみませんか?
山の思い出を振り返ることで、これからの登山を楽しくするヒントが隠れているかもしれません。
これからもYAMA HACK編集部は、いろいろなスタイルの登山を楽しむ人を応援していきたいと思います。