笠取山|奥秩父の隠れた名山!分水嶺を歩く3つの登山ルート紹介
奥秩父にそびえる笠取山は、都内からも日帰りで登れる自然豊かな水の山。登山道の脇には清らかな沢が流れ、せせらぎをBGMに気持ちの良い登山を満喫できます。山中には、遥か東京湾まで注ぎ込む多摩川の始まりの地や、3つの河川の分水嶺もあります。笠取山名物の急登を登りきり、その先に広がる感動の風景に会いに行きませんか?
2025/07/09 更新
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制作者
ライター
emi
21歳の時に初めて登った北岳に感動!その後地元山梨や長野などの山々を仲間と登り、すっかり山好きになりました。鳳凰三山や穂高岳の様な有名な高山も大好きですが、現在は、近場の低山をのんびりハイクがちょうどいい感じ。これからは、簡単で美味しい山ごはんにチャレンジしたいです!
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アイキャッチ画像出典:PIXTA
『笠取山』ってどんな山?
出典:PIXTA標高 | 所在地 | 最高気温(8月) | 最低気温(8月) |
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1,953m | 埼玉県秩父市・山梨県甲州市 | 20.4℃ | 12℃ |
笠取山(かさとりやま)は埼玉県秩父市と山梨県甲州市の境にそびえる標高1953mの山。奥秩父の主脈の1つであり、「山梨百名山」や「新・花の百名山」にも数えられています。山頂付近からの展望が素晴らしいことでも知られ、周辺の山々や富士山を満喫できるのも魅力の一つです。
3つの河川の分水嶺
出典:PIXTA笠取山の山中にある「分水嶺」は注目してほしいポイント。このピークの東側に降った雨は荒川となり、西側に降った雨は甲府盆地を南下して富士川となります。そして、南側に降った雨が多摩川となるのです。関東水源の始まりの地と思うと、なかなか面白いですよね♪
名物は山頂へ伸びる心臓破りの急坂
出典:PIXTA笠取山の名物といえば、山頂へと伸びる急坂。その特徴的な登山道から「心臓破りの急坂」と呼ばれています。目の前にすると壁のような坂は、まさに笠取山のハイライト的な存在。急坂を苦労して登った先にはご褒美の絶景が待っていますよ!
登山レベルは?
出典:PIXTA笠取山は危険な箇所もあまりないため、難易度はそれほど高くありません。登山初級者の方でも日帰り登山が可能です。奥武蔵の山々を縦走する場合は、小屋やテント泊がおすすめ。
最も利用される登山口の「作業平」にはバスが通っていないため、マイカーのアクセスが一般的。
笠取山の登山適期は?
出典:PIXTA笠取山の登山適期は、4月上旬から12月下旬頃ですが、特に高山植物が咲く初夏と秋がおすすめです。紅葉シーズンには、黄金に染まるカラマツが圧巻。山頂からは、紅葉の絨毯と富士山のコラボレーションを楽しむことができます。積雪期に登る場合は、登山道に雪や凍結箇所もありますので、アイゼンなどの準備していきましょう。
登山道の最新情報を確認しよう!
自然災害などにより登山道や道路が通行止めなどになっている可能性もあります。出かける前に最新情報を確認し、ルートの通行の可否を調べて登山計画を立てましょう。
奥多摩ビジターセンター|登山道・道路状況一覧
【初級者向け】作場平ピストンコース
提供:YAMAP- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コース距離:約10km
- コースタイム:約5時間
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
作業平(35分)→一休坂分岐(60分)→ヤブ沢峠(20分)→笠取小屋(15分)→雁峠分岐(43分)→笠取山(24分)→雁峠(15分)→笠取小屋(50分)→一休坂分岐(25分)→作業平
作業平登山口からピストンするポピュラーな登山コース。美しい沢沿いの登山道は緑も深く、山行中では清流の音や苔むす雰囲気に癒されます。登りは視界の無い直登を避けてヤブ沢を通り、一休坂を下って下山するのがおすすめです。
コース詳細
提供: ヤマレコ/ozawa(作業平登山口)笠取山の登山口のある駐車場はとても広く、トイレも併設されています。登山口は駐車場すぐそば。
出典: ヤマレコ/ozawa(樹林帯の登山道)コースは全体的に看板も多く良く整備されおり、登り始めは登山道も広くて歩きやすいです。木橋を何箇所か渡渉し、沢沿いのうっそうとした樹林帯を登っていきます。しばらくすると一休坂分岐に到着。
提供: ヤマレコ/ran0085(沢沿いの登山道)一休坂分岐からは、ヤブ沢方面に進みましょう。ヤブ沢峠までは、緑の苔が美しい渓流沿いの登山道。川のせせらぎを聞きながら爽快な山行を満喫できます。
提供: ヤマレコ/ran0085(笠取小屋)ヤブ沢峠から20分ほどで小屋に到着。バイオトイレも完備されており、小屋の側には大菩薩嶺が望めるテン場もあります。
提供: ヤマレコ/Dkoba(雁峠分岐)笠取小屋から歩いて15分ほどで雁峠分岐に。この辺りから木々がまばらにな草原になり、視界も開けてきます。
提供: ヤマレコ/ran0085(小さな分水嶺)雁峠分岐からすぐ先の、小高い丘の上にあるのが「小さな分水嶺」。天気が良ければ、ここから笠取山の山頂が顔を出します。
出典:PIXTA(笠取山の急坂)登山道を進んで行くと、いよいよ山頂直下へ。目の前にはこの山の名物、心臓破りの急登があらわれます。息を整えながら急坂を登り、見晴らし抜群の展望地を目指しましょう。
提供: ヤマレコ/napounapou(笠取山展望地から望む富士山)大パノラマが広がる展望地(ピークではありません)からは、大菩薩嶺、南アルプスなどの山々や、目の前には山並みの向こうに美しくそびえる富士山を一望することができます。
提供: ヤマレコ/ozawa(笠取山山頂)展望地からは、岩場のある狭い登山道を通って笠取山の山頂へ。残念ながらこちらの眺望はありません。帰路は来た道を戻り、笠取小屋からは直登コースを利用してゴールの作業平まで下りましょう。
【健脚者向け】唐松尾山を巡る周回コース
提供:YAMAP- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コース距離:約17km
- コースタイム:約9時間
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
作業平(35分)→一休坂分岐(60分)→ヤブ沢峠(20分)→笠取小屋(15分)→雁峠分岐(43分)→笠取山(20分)→水干尾根分岐(100分)→唐松尾山(54分)→西御殿岩(45分)→山ノ神土(90分)→三ノ瀬登山口(25分)→中島川橋(25分)→作業平
笠取山から唐松尾山に抜け、西御殿岩を巡る縦走コースです。多摩川の源流を体感したり、雄大な展望を満喫することもできる充実のコースですが、行動時間も長めなので健脚者向けのルートになります。のんびりと山行を楽しみたい方や体力的に自信がない場合は、笠取小屋で1泊するのがおすすめ。
コース詳細
提供: ヤマレコ/Dkoba(唐松尾山への縦走路)笠取山の山頂までは、前述のピストンコースと同様。山頂からは細いヤブを抜け唐松尾山を目指します。最初は平坦ですが、笠取山までの歩きやすい道のりとは違い、次第に奥秩父らしい雰囲気に。
提供: ヤマレコ/ozawa(水干)少し進むと水干尾根の分岐が現れ、ほどなくすると多摩川の源流「水干(みずひ)」に到着。水干からすぐの分岐を60mほど降ると、こんこんと地面から湧き水が流れ出しており、多摩川の始まりを見ることができます。
提供: ヤマレコ/Dkoba(岩場の登山道)水干を過ぎると場所によって岩場や急な下り坂に。黒槐山(くろえんじゅやま)を巻きながら登り、唐松尾山まではアップダウンが続きます。
提供: ヤマレコ/ran0085(唐松尾山)奥秩父の主脈のひとつである唐松尾山(2109m)は今回のルートの最高標高。展望はないので、山頂を踏んだら西御殿岩方面に向かいましょう。
提供: ヤマレコ/Dkoba(西御殿岩)将監峠分岐を西御殿岩へと進むと、道幅も狭く倒木や岩場など歩きづらい登山道が続きます。急な岩場を登りきると岩がゴツゴツした西御殿岩に到着。
出典:PIXTA(西御殿岩から望む富士山)西御殿岩からは360度のパノラマが広がっています。奥秩父の峰々をはじめ富士山、雲取山、和名倉山などの絶景を堪能しつつ、休憩するのにもちょうどいいポイントです。
提供: ヤマレコ/Dkoba(山ノ神土の分岐を過ぎた登山道)西御殿岩からは、笹藪の登山道を40分ほど下り山ノ神土の分岐へ。ここからはよく整備された歩きやすい登山道に変わります。将監峠からはゆるやかな下りに。
提供: ヤマレコ/Dkobak(将監小屋)将監小屋まで下ると、約5キロの林道歩きとなります。林道が終わると今度はアスファルトの舗装路を2キロほど歩いてゴールです!