-女性だけの山岳会発足-ホンワカ、且つ質実剛健!その活動はまさに男勝りだった!
2018年9月に、なんと「女性だけ」の山岳会が発足しました。 その名は『銀嶺会』。 しかも、山岳連盟加入の山岳会ということで、サークルなどとは明確に異なります。 山岳会と聞いただけでも相当ハードな世界という印象ですが、女性のみで結成された『銀嶺会』、いったい結成経緯や活動内容はどんなものなのでしょう? 興味津々な当会の活動について、代表を務める通称「おさんぽ」さんにお話を伺いました。 その活動内容は男勝りのハードな世界! ほんわかハードな銀嶺会の世界を覗いてみましょう!
2022/11/09 更新
編集者
YAMA HACK編集部
YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。
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制作者
長野県自然保護レンジャー・山岳ライター
三宅 雅也
長野県自然保護レンジャー、山岳ライター。
アルプスを中心に、トレランから厳冬期登山まで幅広く活動。
鷲羽-水晶-赤牛岳、槍ヶ岳~笠ヶ岳、荒川三山、中央アルプス主峰全山など、ロング日帰りのスピードハイクを得意とする。
また、キャンピングカーにて、登山と旅を掛け合わせた「外遊び人生漫遊術」を構築中。
三宅 雅也のプロフィール
アイキャッチ画像提供:銀嶺会
そもそも山岳会ってどんなもの?

出典:PIXTA
皆さんは「山岳会」を知っていますか? おそらく、「聞いたことはあるけど詳しくは知らない」「登山上級者の集まり」「厳しそう・ハードそう」など、知っているようで実はきちんと知らない、そんな方が多いのではないでしょうか。
また、どちらかというと「男性が多く集う会」というイメージもあると思いますが、そんな中、なんと女性のみの山岳会「銀嶺会」が発足しました! そこで、代表を務める「おさんぽ」さんに、山岳会のことや銀嶺会の活動内容について教えてもらいました。
本日はよろしくお願いします。 まず、そもそも山岳会ってどんなものなのでしょう? かなり敷居の高いイメージがあり、一般登山者さんからは遠い存在のように感じますが。
私もそうでしたが、「山岳会」ってなんだか堅苦しくて厳しいイメージですよね。「アルパインをやるために、そろそろ山岳会に入りたいな」と探していた時も、他会メンバーとの山行禁止とか、シゴキがあるといったマイナスイメージしかなくて悶々としてました。
まさにそのイメージです! 山に入る自由が利かなくなり、大人が入る「かなり厳しい部活」という印象です。

フォト提供:おさんぽさん (4月ソロテント泊@蝶ヶ岳)
ところがそんな時、積雪期の北アルプスのテント場で出会ったご夫婦の男性が、とても気さくに相談に乗ってくださり、ご友人が在籍している横浜の山岳会を紹介いただけ、まずは見学にうかがいました。
それはおそらく、山とテント場と酒がつなぐ「山ならでは」のご縁ですね?(笑)
やはりわかりますか?(笑)
そこはとても自由な会で、会外のメンバーとの山行も可能で、自分のやりたいスタイルの山行ができることがわかり、これまで心配していた点が払拭されたため、入会を決めました。
ただ、シゴキどころか逆に「うちの会は(クライミング技術を)教えないから」と宣告され、「それは困る!」と思っていたところ、会所属のエキスパートの男性が師匠となってくれ、2年間みっちりアルパインのスキルを叩き込んで育ててくださいました。

フォト提供:銀嶺会 (アルパインアイス(八ヶ岳摩利支天大滝~阿弥陀岳北西稜継続))
そんなに自由な山岳会もあるんですね! イメージと違い、自由な会風ということで、のびのび山をやれそうです。そして、スキルの高い方との出会いがあったのもご縁ですね。
そうなんです。 メンバーは皆さん良い方ばかりで、年数回の会山行では、山行そのものの楽しさに加え、山での宴会もとても盛り上がり、本当に楽しい山岳会でした。
また、この会は
日本勤労者山岳連盟に加入しており、
基金(保険)も個人で加入する山岳保険よりも手厚く、海外登山(エベレストなどの8,000M峰も含む)にも適用される素晴らしいもので驚きました。
確かに一般の山岳保険だと、国内でも雪山は適用外のものが多く、且つ、危険度の高い海外登山などはカバーされていないのが一般的ですから、そこはさすがに山岳会の大きなメリットのひとつですね。
ええ。 また、連盟には教育部、遭難対策部、救助隊などの組織もあり、これからクライミングを始めたいという方には、リーダー学校が開設されており、ガイド講習などよりも安価でクライミングのイロハを学ぶことができます。
救助隊では、ハイキングやクライミング時に、自分たちで行えるレスキュー方法などを学べる講習会が定期的に開催されています。
自分自身も感じていることですが、そのあたりの知識や技術は、一般登山を何年やっていても身につくものではなく、有事の際の対処法を学べて実技訓練できることは、自分にとっても同行者にとっても、非常に有益なことですね。
そのとおりです。 まさに、
山岳会に所属するアドバンテージの最たるものと言えるでしょう。 そして、それらを学ぶためには、やはり
山岳会がもっとも有効で近道だと思います。
また、ひとくちに山岳会といっても各会には特色があり、ハイキング主体、沢主体、フリークライミング主体、など様々のため、自分のやりたいこととマッチする会を探すことができれば、一般登山からは学ぶことができない知識と経験が積めレベルアップできるので、山岳会に入ってみるのも良いかもしれませんよ!
山岳会は・・・
▼山岳会には各会の特色があり、自分のやりたい山とマッチングした会との出会いが大切!
▼一般登山では学ぶことが困難な知識と技術を学べ、より安全な登山に役立てることができる。
▼個人加入の一般山岳保険より補償内容と範囲が充実している。
銀嶺会立ち上げの背景

フォト提供:銀嶺会 (北穂高岳 滝谷ドーム中央稜の終了点にて)
希望にマッチングする山岳会と出会えたおさんぽさん。 入会以来、会の皆さんとともに楽しく有意義な山時間を過ごすも、その後、そんな会を卒業し、新会立ち上げに至った経緯はどんなものなのでしょう?