ULハイク

ULハイクって憧れる!楽しむためのアイテムの選び方を経験者に聞いてみた

最近よく目にする「ULスタイルハイカー」。見た目もギアもかっこよくて、正直憧れます。でも、見た目だけ気にしていると、思わぬリスクにさらされるかも。今回はULスタイルハイクを楽しむために必要なアイテム選びの方法や注意点を、経験豊富なULハイカーに聞いてみました。安全に気をつけながら、おしゃれで軽快なULハイクで登山を楽しみましょう!

目次

アイキャッチ画像出典:Facebook/RawLow Mountain Works

『ULハイク』やってみたいけど、どうすれば良いの?

ULハイク

「不要な機能や荷物を削って重量を軽くすることで登山を快適にする」や「より自然と近い状態になる」など、ウルトラライト(以下、UL)ハイクと呼ばれるスタイルで登山を楽しむ人が増加中。UL系ハイカーはなんだか見た目もスタイリッシュで、持っているギアもかっこよく、正直憧れます。

荷物をシンプルにすることで、かっこよく登山が楽しめるのであればぜひチャレンジしてみたい!と思いませんか?

アイテム選びは慎重に

ULハイク

例えばUL系ザックの場合、背面パッドやハーネスベルトなどの荷物を快適に運ぶための機能と引換えに軽量化をしているモデルも。それ自体は「目的が軽量化」なので悪いことではありません。
ですがそういったザックを選択した場合、快適に荷物を持つ機能を持ったザックよりも荷物が重く感じることもあります。その際、荷物の軽量化のために「必要なアイテム」を減らしてしまうことがあるんです。

例えば、使ったことがないからという理由でファーストエイドキットを減らしたり、夏場だから防寒アイテムを削ったりなど。
でも、これって危なくないのでしょうか?

実際に危険にさらされることも

出典:PIXTA

荷物の選択が正しくできていないことで「捻挫をして動けなくなり救助要請するも、保温のウェアを持っておらず待っている間に体温が低下してしまった」「短パン半袖の軽装で転倒してしまい、擦り傷だらけになった」など、命の危険にさらされたり必要以上の怪我を負ってしまった人も。

ULスタイルによって、荷物の重さを気にせず自然を楽しめる魅力的なスタイルです。ですが「ULハイク」という言葉やギアの見た目だけに惹かれるのではなく、そこに潜むリスクのケアをしておくことも楽しむために大切なんです。

今回、ULハイクを楽しむために何を知っておくべきなのかを、長野県自然保護レンジャーであり自身もULハイクスタイルで数々の山を楽しんでいる三宅さんに聞いてみました。

教えてくれた人

三宅さんとギア

撮影: messiah/三宅 雅也

長野県自然保護レンジャー、山岳ライターとしても活躍している三宅雅也さん。 アルプスを中心に、トレランから厳冬期登山まで様々な登山を経験。中央アルプス主峰全山など、長距離日帰りのスピードハイクを得意としている。

ULハイクを始めるために気をつけることって?

魅力十分ですがやはり気になるのが安全性の部分。ULハイクの経験も豊富な三宅さんに「ULハイクに必要なことや気をつけること」を聞いてみました。

山や時期などの状況を把握する

ULハイク

出典:PIXTA

編集部員S
三宅さん。早速なんですが、ULハイクって装備も軽装で危険じゃないんですか?

三宅さん
経験に基づいて状況に合わせたアイテム選びができれば、すごく快適ですよ。

編集部員S
「その状況に合わせて」の”状況”って具体的になんですか?

三宅さん
入山する山の大小や難易度、計画しているコースの距離とコースタイム、あとは時期や気温ですね。

編集部員S
基本の部分だけでも、たくさんの情報量ですね。

ギアの軽量化にも経験が重要

ULハイク

出典:PIXTA
編集部員S
ULハイクって誰でもできるんですか?

三宅さん
できる・できないで言えば「誰にでもできる」に間違いありません。しかし保守的に思うかもしれませんが、誰もが気軽に真似て良いものではないと思います。

編集部員S
というと?

三宅さん
例えば軽量化するためにテントをシェルターに変更しようと考えます。そのためには通常のテント泊経験を積み、いろいろな季節・気温、標高で体験し、それらの経験を通して不要なものを引き算していくことが望ましいです。

編集部員S
なるほど。様々な条件での経験を積むことで、魅力だけでなくリスクも知るということですね。

三宅さん
昨今のブームでギアやウェアなどの見た目などから入る人が増えていますが、潜在リスクを知らない場合は危険だと感じます。

編集部員S
実際に潜在リスクを知らずに危険な状況が起こることもあるんですか?最近だと短パンなどの軽装なULハイカーを見かける機会が増えたように思うのですが・・・
三宅さん
そうですね。私も短パン・半袖で行動することが多いのですが、夏でも3,000M級の稜線は風が吹くとかなり寒く体温を奪われるため、いきなり軽装でデビューするのは危険です。

稜線で風雨となった場合は、リスクは桁違いになります。

編集部員S
それは気をつけなければ。
三宅さん
最低でも、経験豊富なリーダーの監修とガイドのもとであれば、有事のエスケープや対策が可能だと思うので、トライもできるかなと。

トライしたい場合は、万が一の安全を考慮・準備してのトライが好ましいです。

★ポイント★
いきなりULギアを買い揃えるのではなく、経験を積みながら不要なものを引き算していこう

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