ULハイクって憧れる!楽しむためのアイテムの選び方を経験者に聞いてみた

2018/11/08 更新

最近よく目にする「ULスタイルハイカー」。見た目もギアもかっこよくて、正直憧れます。でも、見た目だけ気にしていると、思わぬリスクにさらされるかも。今回はULスタイルハイクを楽しむために必要なアイテム選びの方法や注意点を、経験豊富なULハイカーに聞いてみました。安全に気をつけながら、おしゃれで軽快なULハイクで登山を楽しみましょう!


アイキャッチ画像出典:Facebook/RawLow Mountain Works

『ULハイク』やってみたいけど、どうすれば良いの?

ULハイク
「不要な機能や荷物を削って重量を軽くすることで登山を快適にする」や「より自然と近い状態になる」など、ウルトラライト(以下、UL)ハイクと呼ばれるスタイルで登山を楽しむ人が増加中。UL系ハイカーはなんだか見た目もスタイリッシュで、持っているギアもかっこよく、正直憧れます。

荷物をシンプルにすることで、かっこよく登山が楽しめるのであればぜひチャレンジしてみたい!と思いませんか?

アイテム選びは慎重に

ULハイク 例えばUL系ザックの場合、背面パッドやハーネスベルトなどの荷物を快適に運ぶための機能と引換えに軽量化をしているモデルも。それ自体は「目的が軽量化」なので悪いことではありません。
ですがそういったザックを選択した場合、快適に荷物を持つ機能を持ったザックよりも荷物が重く感じることもあります。その際、荷物の軽量化のために「必要なアイテム」を減らしてしまうことがあるんです。

例えば、使ったことがないからという理由でファーストエイドキットを減らしたり、夏場だから防寒アイテムを削ったりなど。
でも、これって危なくないのでしょうか?

実際に危険にさらされることも

出典:PIXTA
荷物の選択が正しくできていないことで「捻挫をして動けなくなり救助要請するも、保温のウェアを持っておらず待っている間に体温が低下してしまった」「短パン半袖の軽装で転倒してしまい、擦り傷だらけになった」など、命の危険にさらされたり必要以上の怪我を負ってしまった人も。

ULスタイルによって、荷物の重さを気にせず自然を楽しめる魅力的なスタイルです。ですが「ULハイク」という言葉やギアの見た目だけに惹かれるのではなく、そこに潜むリスクのケアをしておくことも楽しむために大切なんです。

今回、ULハイクを楽しむために何を知っておくべきなのかを、長野県自然保護レンジャーであり自身もULハイクスタイルで数々の山を楽しんでいる三宅さんに聞いてみました。

教えてくれた人

三宅さんとギア
撮影: messiah/三宅 雅也
長野県自然保護レンジャー、山岳ライターとしても活躍している三宅雅也さん。 アルプスを中心に、トレランから厳冬期登山まで様々な登山を経験。中央アルプス主峰全山など、長距離日帰りのスピードハイクを得意としている。

ULハイクを始めるために気をつけることって?

魅力十分ですがやはり気になるのが安全性の部分。ULハイクの経験も豊富な三宅さんに「ULハイクに必要なことや気をつけること」を聞いてみました。

山や時期などの状況を把握する

ULハイク
出典:PIXTA
編集部員S
三宅さん。早速なんですが、ULハイクって装備も軽装で危険じゃないんですか?

三宅さん
経験に基づいて状況に合わせたアイテム選びができれば、すごく快適ですよ。

編集部員S
「その状況に合わせて」の”状況”って具体的になんですか?

三宅さん
入山する山の大小や難易度、計画しているコースの距離とコースタイム、あとは時期や気温ですね。

編集部員S
基本の部分だけでも、たくさんの情報量ですね。

ギアの軽量化にも経験が重要

ULハイク
出典:PIXTA
編集部員S
ULハイクって誰でもできるんですか?
三宅さん
できる・できないで言えば「誰にでもできる」に間違いありません。しかし保守的に思うかもしれませんが、誰もが気軽に真似て良いものではないと思います。

編集部員S
というと?

三宅さん
例えば軽量化するためにテントをシェルターに変更しようと考えます。そのためには通常のテント泊経験を積み、いろいろな季節・気温、標高で体験し、それらの経験を通して不要なものを引き算していくことが望ましいです。

編集部員S
なるほど。様々な条件での経験を積むことで、魅力だけでなくリスクも知るということですね。

三宅さん
昨今のブームでギアやウェアなどの見た目などから入る人が増えていますが、潜在リスクを知らない場合は危険だと感じます。


編集部員S
実際に潜在リスクを知らずに危険な状況が起こることもあるんですか?最近だと短パンなどの軽装なULハイカーを見かける機会が増えたように思うのですが・・・


三宅さん
そうですね。私も短パン・半袖で行動することが多いのですが、夏でも3,000M級の稜線は風が吹くとかなり寒く体温を奪われるため、いきなり軽装でデビューするのは危険です。

稜線で風雨となった場合は、リスクは桁違いになります。


編集部員S
それは気をつけなければ。


三宅さん
最低でも、経験豊富なリーダーの監修とガイドのもとであれば、有事のエスケープや対策が可能だと思うので、トライもできるかなと。

トライしたい場合は、万が一の安全を考慮・準備してのトライが好ましいです。

★ポイント★
いきなりULギアを買い揃えるのではなく、経験を積みながら不要なものを引き算していこう


ULハイクのアイテムの選び方は?

豊富な経験が必要そうなULハイク。これからチャレンジしたい人は、どうやって装備やアイテムを選んでいけばいいのでしょう。

削っては行けないものを知る

ULパッキング
編集部員S
ULハイクのギアを、見た目だけで選ぶべきではないことは理解できました。では、これからチャレンジしたいという人はどうすれば?

三宅さん
絶対に削ってはいけないアイテムを知ることです。

編集部員S
それはレインウェアやファーストエイドですか?

三宅さん
その通りです。日帰りやテント泊に関係なく、私も必ず持っていきます。

編集部員S
使わなければラッキーというものは、削りたくなりますがそこは要注意ですね。

具体的にシュミレーションをしよう

ULハイク
出典:PIXTA
三宅さん
アイテム選びの時に重要なのは、具体的に今のギアをULギアに置き換えた時のことを、こと細かくシュミレーションすることですね。

編集部員S
テントをツェルトに替えたら、どういった課題がでてくるかなどを書き出すようなイメージですか?

三宅さん
そうそう。例えば、Aという課題が出てきそうだと気づきます。
次はその課題をそのほか持参するギアやアイディアで対策できそうか、ということを考えます。

編集部員S
そのシュミレーションにも経験値が必要そうですね。

三宅さん
その結果なんとかなりそうだ!と判断できた場合、そのアイテムに置き換えていきます。

シュミレーションだけで終わりじゃない



ウルトラライト装備の登山者
出典:PIXTA
三宅さん
そして、シュミレーションの次はフィールドテスト。私がフィールドテストを行うのは「寝袋」と「幕体」です。使えそうだと想像できても、想像通りになるかどうかを確かめる必要があります。
編集部員S
その時に注意していることは?

三宅さん
例えば寝袋を軽量化しようと思った時は、SOLのViviなどで実際に”どんな気候”で”どれくらいの標高”までなら安全に寝られるかを検証します。その時は通常の寝袋を持っていった上で、軽量化ギアで寝られるかのテストを数回行います。
編集部員S
寒さに耐えられなかった時のための、リスクヘッジをしておくんですね。これって万が一の場合は、山小屋に避難することもありですか?


三宅さん
命が最優先なのでありだとは思います。でもULにトライした結果で避難した場合は、怒られる覚悟も必要かもしれません。

最終的には自分の体力も重要

トレラン
出典:PIXTA
三宅さん
また、有事の際に個人差がどうしても出てしまうのが「体力」「持久力」、そして「気力」です。最終的に「安全地帯まで尽きることのない体力と気力」という頼りどころがあるかないかは非常に重要です。

編集部員S
体力ですか?でも、そこだけに頼ってしまうのは危険じゃないですか?

三宅さん
過信はもちろんNGです。 自分のパフォーマンス・体力のほか、経験によるところもありますし。例えば、耐寒性なども個人差があるため、Aさんには充分に安全な防寒装備が、必ずしもBさんにも安全ということにはならないこともあります。

編集部員S
「自分ならどうなのか」を考えられる経験が必要なんですね。

三宅さん
何かあった時に、恐怖に打ち勝てる経験が必要です。

ULスタイルの経験が豊富な人と始めよう

ULハイク
出典:PIXTA
編集部員S
これからULを始めたい人は、どんなことを注意すればよいですか?

三宅さん
私が思う好ましいアプローチは、ネットや雑誌、周りの経験者からの情報だけで判断せず、「自分にとってどうなのか」を、経験を通して徐々に学んでいくことですかね。

編集部員S
情報を鵜呑みにするのではなく、しっかり噛み砕くということですね。でも、例えばテントもシェルターも両方買うのってけっこう財布に厳しい気もするのですが?

三宅さん
そうですね。いきなりULスタイルから入りたい方は、最初はUL経験豊富な人と共に行動することをおすすめします。安全を確保した上で、徐々にULスタイルを自分のものにしていってもらえば最善です。

★ポイント★
情報の鵜呑みではなく、「自分にとってどうなのか」を考える。そして必要であれば実際にやってみる。

ULハイクは素晴らしい!だからこそ、きちんと判断できる経験を積もう

ULハイク 昨今は登山にも様々な楽しみ方やスタイルができ、より多くの人が登山や山を楽しめるようになってきています。
もちろん自分のお気に入りのウェアやギアで登山をすれば、たくさんの楽しい思い出ができると思います。しかし登山の楽しい部分だけでなく、そこに潜むリスクヘッジも大切です。

今回話を伺った三宅さんも一つの例です。参考にしながらも、それが自分の経験で本当に大丈夫か?という部分をシュミレーションしてみてください。そこでレベルアップが必要な場合は、講習会に参加したり、経験豊富な登山者と一緒に山へ行ったりなどして、リスクに対応できる経験を積みましょう。きっとその経験も楽しい登山の思い出になりますよ。

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ULハイク
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YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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