以東岳

以東岳|朝日連峰を望む稜線歩き!初級者OKの登山コースと宿泊情報

以東岳は山形県と新潟県の間にそびえる山。朝日連峰の端にあり、日本二百名山にも制定されています。難しいところのない登山コースで、山頂周辺では朝日連峰を望みながらの気持ちの良い稜線歩きができます。ロングコースですが、宿泊地も整備されており安心。夏は高山植物、秋は紅葉が絶景を織りなす、以東岳の登山コースと宿泊地情報をまとめました。

目次

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、山小屋営業ならびに交通状況などに変更が生じている可能性があります。
山小屋や行政・関連機関が発信する最新情報を入手したうえで登山計画を立て、安全登山をしましょう。
アイキャッチ画像出典:PIXTA

初級者でも登れる!以東岳ってどんな山?

以東岳

出典:PIXTA
標高山頂所在地山系最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
1772m山形県鶴岡市朝日山地16.8℃7.8℃
参考:ヤマレコ

以東岳は山形県鶴岡市と新潟県村上市の県境にそびえる山。朝日連峰の北端に位置しており、朝日連峰縦走の際には起点・終点となる山。日本二百名山にも数えられており、稜線上からの大展望は圧巻。豊かな高山植物や「大鳥池」など見どころも多い魅力的な山です。

難易度は?

以東岳

出典:PIXTA

自分のレベルに合った登山をするために参考になる「山のグレーディング」。山の難易度や体力度がわかり、登る山を決める際に参考になる指標です。この以東岳は「やまがた百名山のグレーディング」で難易度B(登山経験が必要・地図読み能力があることが望ましい)、体力度6(1~2泊以上が適当)とされています。難易度はそれほど高くはないですが、長距離コースのため自分の体力を考慮して計画を立てましょう。
やまがた山のグレーディングを見る

登山適期は?

6月下旬~10月中旬が適期とされています。初夏は高山植物の花々が、秋は美しい紅葉が登山者を出迎えてくれるでしょう。

四季折々の絶景を堪能しよう

以東岳では、季節によってそれぞれの素晴らしい景色を眺めることができます。以東岳ならではの絶景を心ゆくまで堪能しましょう。

神秘的な「大鳥池」

大鳥池

出典:PIXTA

登山道の途中では、ブナの原生林に囲まれた大鳥池が望めます。標高963m地点にある山形県最大の湖沼で、伝説の怪魚「タキタロウ」が生息していると伝承される釣りの名所です。湖面は鏡面のように美しく、山が映り込む姿は息を呑む光景。

咲き誇る「高山植物」

ハクサンイチゲ

出典:PIXTA (ハクサンイチゲ)

夏の以東岳では、美しい高山植物が数多く咲き誇ります。特に代表的な高山植物は「ハクサンイチゲ」と「ミヤマウスユキソウ」。道中でもたくさんの高山植物を望めますが、「オツボ峰コース」は特にお花畑を満喫できるビューポイント。

色鮮やかな「紅葉」

以東岳の紅葉

提供:ヤマレコ/takami0501(以東岳の紅葉)

紅葉シーズンには以東岳の山肌全体が、色彩豊かな紅葉の絨毯に。燃えるような赤や黄色が山肌の緑に浮かび上がり、素晴らしいコントラストが楽しめます。青く澄んだ大鳥池に、色づいた山々が映る景色も堪能しましょう。

1泊以上かけてゆっくり登ろう!以東岳登山コース(周回)

せっかくだから、たっぷり時間をかけて以東岳を楽しみませんか。見どころがたくさんある山なので、絶景を堪能しながらのんびり歩きましょう。

泡滝ダム~以東岳登山コース

合計距離: 23.76 km
最高点の標高: 1749 m
最低点の標高: 508 m
累積標高(上り): 3420 m
累積標高(下り): -3420 m
【体力レベル】★★★★☆
日帰り
コースタイム:11時間33分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

泡滝ダム(75分)→七ツ滝沢橋(105分)→大鳥小屋(40分)→大鳥池(170分)→以東岳(30分)→オツボ峰(120分)→大鳥小屋(75分)→七ツ滝沢橋(75分)→泡滝ダム

大鳥登山口の始点近くにある「朝日屋旅館」で登山届を提出できます。そこから車で約1時間半の道のりを経て、泡滝ダムにある泡滝登山口からスタートです。

泡滝登山口

提供:ヤマレコ/TNINNINT(泡滝登山口)

泡滝登山口から大鳥池までのルートには、10区間(1区間15分目安)の看板が設置されていますので参考に。緩やかな樹林帯の登山道をアップダウンしながら進むと、途中には小さな沢が数多く流れています。

コース中の沢

提供:ヤマレコ/TNINNINT(コース中に複数ある沢)

渡渉ポイントや、「冷水沢」と「七ツ滝沢」に架かる2箇所の吊り橋を渡る箇所も。

コース中の吊り橋

提供:ヤマレコ/TNINNINT(吊り橋)

七曲りの急登を越えるとまもなく大鳥池のほとり、「大鳥小屋」に到着です。
大鳥池の大きさは南北に1kmあり、水深は68m。日本では珍しい花崗岩地にある高山湖です。大鳥池湖畔にある立派な大鳥小屋(タキタロウ山荘)は釣り人や多くの登山者が利用しています。

大鳥池

提供:ヤマレコ/kenkenken (大鳥池)

大鳥池の外周をしばらく歩き、分岐からは直登コースを進みましょう。ここからは直登コースらしい急登が続きます。登り進むと次第に森林限界になり視界も良好に。大パノラマの稜線歩きを楽しみながら山頂を目指します。

直登コース

提供:ヤマレコ/dolce(直登コース)

大鳥池

提供:ヤマレコ/kenkenken (コース上から望む大鳥池)

以東岳避難小屋を過ぎると、以東岳の山頂はもうすぐそこです。

以東岳の山頂

提供:ヤマレコ/masashi6488(以東岳山頂)

山頂からの眺望は抜群で、眼下には「熊の毛皮」の形に例えられる大きな大鳥池が。また眼前には雄大な大朝日岳や朝日連峰縦走路を、遠方には有名な鳥海山や月山も一望できます。

以東岳山頂からの眺め

山頂から下山する際には、オツボ峰方面に向かって下っていきましょう。

オツボ峰コース

提供:ヤマレコ/pg77(オツボ峰コース)

オツボ峰までの登山道では大鳥池や周囲の山々を眺めながらの稜線歩きを満喫できるでしょう。いくつかの小ピークをアップダウンしつつ下山していきます。紅葉シーズンには、山肌が鮮やかに色づく絶景を堪能できるコースです。

オツボコースからの眺望

提供:ヤマレコ/pg77(オツボコースからの眺望)

オツボ峰を過ぎると、夏にはハクサンイチゲやヒナウスユキソウなどが咲き乱れる美しいお花畑楽しめます。水場の分岐を通過し、高度を下げながら歩みを進めると大鳥小屋に到着。

大鳥池

出典:PIXTA (オツボ峰コースから望む大鳥池)

大鳥小屋から先は登ってきた際のルートを戻り、登山口のある泡滝ダムまで戻ってゴールとなります。

以東岳の天気

以東岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!

以東岳の天気を調べる

朝日連峰 以東岳・摩耶山

昭文社 山と高原地図 朝日連峰 以東岳・摩耶山

登山中に利用できる宿泊施設・山小屋・テント場

以東岳の山行は、山深いロングコースのため泊まりでトライすることになるでしょう。利用できる宿泊地がいくつかありますので、上手に組み合わせて自分に合った山行計画を立ててください。

大鳥登山口周辺

朝日屋旅館

朝日屋旅館は朝日連峰大鳥口登山案内所でもあり、登山客はもちろん釣り人も訪れるくつろぎの宿。大鳥池小屋と以東岳小屋の管理人もされており、以東岳登山の際はここに登山計画書を提出してください。すぐそばには「タキタロウオートキャンプ場」も併設。

所在地:山形県鶴岡市大鳥字高岡55-21
電話番号:0235-55-2233
営業期間:年中無休
収容人数:35名

朝日屋旅館のHPを見る

青嵐舎
青嵐舎

朝日連峰の北麓にある客室が3つの青嵐舎。古民家材を利用したとても雰囲気のある宿で、春には山菜を秋にはきのこなどの山の幸が味わえます。また、薬草やハーブを使った様々なワークショップも開催。

所在地:山形県鶴岡市大鳥字高岡55-18
電話番号:0235-55-2508
営業期間:不定休
収容人数:客室数3部屋(定員6〜8名)

青嵐舎のHPを見る

大鳥池周辺

大鳥小屋(タキタロウ山荘)
大鳥小屋

出典:PIXTA

大鳥池の湖畔に佇む大鳥小屋、別名を「タキタロウ山荘」といいます。立派な建物は室内も広く、時期には多くの登山客や釣り人が訪れる小屋。 大鳥小屋の近くには有料のキャンプ場も併設されています。

所在地:山形県鶴岡市大鳥字高岡55-21
電話番号:0235-55-2233
営業期間:通年利用可能
収容人数:100名

大鳥小屋のHPを見る

以東岳山頂周辺

以東小屋(避難小屋)
以東小屋

出典:PIXTA

以東小屋は以前の小屋を2017年に新築し、バイオトイレも設置。温かみのある木造作りの二階建ての小屋には2段ベットもあります。冬季は緊急的な場合のみ避難小屋として利用することが可能です。

所在地:山形県鶴岡市大鳥字高岡55-21
電話番号:0235-55-2233
営業期間:通過利用可能
収容人数:20名

以東小屋の情報を見る

憧れの朝日連峰大縦走コース

朝日連峰

出典:PIXTA (朝日連峰)

縦走路の起点・終点ともなる以東岳からは、朝日連峰を縦走するコースも大変人気。アクセスしづらく2泊以上はかかるロングコースとなりますが、その分手付かずの大自然を満喫できるのが堪りません。コースの詳細については「ヤマレコ」のルート案内を参照してください。

ヤマレコ 朝日連峰大縦走

登山口へのアクセス・駐車場情報

泡滝登山口へのアクセス方法および駐車場の情報です。以東岳登山の際に参考にしてください。

泡滝ダム登山口へのアクセス

【車の場合】
山形自動車道 庄内あさひIC-県道349号-泡滝ダム

<泡滝ダム駐車場>
駐車可能台数:約20台
料金:無料
トイレ:あり

【電車・バスの場合】
JR鶴岡駅-庄内交通バス 大鳥方面行きに乗車-登山口バス停にてタクシーに乗車/JR鶴岡駅よりタクシーに乗車

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じっくりと以東岳の魅力に癒されよう

以東岳と池塘

出典:PIXTA (以東岳と池塘)

東北の雄峰、以東岳はいかがでしたか。夏山ではたくさんのお花を満喫でき、秋には山肌の美しい紅葉を楽しめます。大鳥池の幻想的な雰囲気や稜線から望む大展望にも心が洗われますね。のんびり山小屋に宿泊して以東岳に滞在する濃厚な時間に癒されてください。時間と体力があれば、ぜひ朝日連峰縦走にもチャレンジしてみましょう。


National Parks of Japan

以東岳 は 磐梯朝日国立公園 に含まれています。

 

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

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