由布岳とはどんな山?
標高(東山ピーク) | 山頂所在地 | 山系 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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1,583m | 大分県由布市 | 独立峰 | 21.6℃ | 8.8℃ |
由布岳は、東峰と最高峰の西峰の2つのピークを持つ双耳峰。綺麗な円錐形をしていることから「豊後富士」と呼ばれて親しまれ、古くから山岳信仰の対象とされてきました。
深田久弥が日本百名山に入れなかったことを後悔した山とも言われており、日本二百名山に選定されています。独立峰のため山頂は展望が良く、火口跡や九重連山、祖母山や傾山などを見渡すことができます。
熊本地震による登山規制は平成28年8月に解除されておりますが、山頂周辺は岩場となっており落石が発生しやすい登山道です。通行には十分注意してください。
山頂周辺はスリル満点!
由布岳の山頂周辺にはスリル満点の鎖場があります。東峰より西峰のほうが遥かに難易度が高く、岩場をよじ登ったり険しい岩場のトラバースなど危険個所も!霧氷の景色も由布岳の名物ですが、冬場は特に注意が必要。
天気と地図も必ずチェック!
登山に行く前に天気を調べておきましょう。また、由布岳はルートによって難易度がかなり変わってくるため、事前に危険箇所などを地図で確認してください。
由布岳のみどころは?
大分県では九重連山とともに人気があり、一年を通して登山者も多い由布岳。その魅力を見ていきましょう。
ピンクの絨毯が広がるミヤマキリシマ
ミヤマキリシマは九州各地の高山に自生するツツジの一種。高さ1mほどの低い木で、5月末から6月中頃にピンクの花を咲かせます。満開になると山肌がピンクに染まり、幻想的な風景に。ミヤマキリシマの群落は東峰や西峰の斜面、マタエという鞍部で見ることができます。
冬の名物【霧氷】
霧氷は、冷えた霧が風で木に吹き付けられ、氷となって付いたもの。びっしり覆われると木が真っ白になることも。由布岳では11月頃からこの霧氷を見ることができます。気温が低い時には、樹林帯に入った直後から山頂までこの霧氷が続き、トンネルができる場所も。多くの登山者がこの景色を見に訪れる冬の由布岳名物です。
登るだけじゃない!外から見る美しい由布岳
湯布院を起点とした人気のドライブルート、やまなみハイウェイ(県道11号)にある有名な展望台【狭霧台】。湯布院の街並みを眺めるベストスポットですが、間近に迫る雄大な由布岳の絶景も見られる場所。季節によって変わる表情を見に、多くの観光客が由布岳をバックに写真を撮っています。
同じくやまなみハイウェイにある【蛇越展望台】も由布岳のベストスポット。由布院盆地を一望できる絶景が広がっています。狭霧台と同じく朝もやが発生することでも有名で、もやに浮かぶ幻想的な由布岳の姿をカメラに収めようと、多くの人が撮影に訪れています。
【約4時間10分】由布岳メインルートの正面登山口
最高点の標高: 1529 m
最低点の標高: 779 m
累積標高(上り): 2135 m
累積標高(下り): -2135 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間10分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
由布岳に登る登山口は「正面登山口」「東登山口」「西登山口」3つ。まずは、ほとんどの登山者が使うメインコース、「正面登山口コース」をご紹介します。駅からのバスもたくさん出ているのでアクセスも便利です。
正面登山口には無料駐車場(30台)があり、その目の前が登山口です。登山口の周辺は草原が広がっており、これから登る由布岳を正面に見ることができます。
初めは広い草原のような場所を歩きますが、ゆるやかに登りながらやがて樹林帯へと入っていきます。左にきれいなお椀型の飯盛ヶ城が見えたら、合野越に到着。
合野越で西登山口からのコースと合流します。ここから勾配が急になりジグザグの登山道となるので、一休みしていきましょう。
やがて木が低くなり、下界の景色も見えるようになってきます。岩がゴロゴロした登山道に変わり、しばらく登ると西峰と東峰の分岐点、マタエに到着。西峰~東峰のお鉢巡りは鎖場・岩場のトラバースなど危険な箇所もあるので、心配な方はここで引き返すのもおすすめです。
西峰へ向かうとすぐに鎖場が出てきますが、難易度は中程度。数か所鎖を登って続く「障子戸」と呼ばれる岩場のトラバースがこのコースの核心部です。
垂直の壁に鎖が付いているため、緊張感を持って通行しましょう。足場がないように見えるかもしれませんが、小さな突起に足をのせて一歩一歩進めば大丈夫。ここを越えるとすぐに山頂です。
山頂からはこれから登る東峰はもちろん、九重連山や耶馬渓なども見ることができます。ミヤマキリシマの時期には、山頂への斜面にもピンクの花を咲かせて目を楽しませてくれます。
西峰から東峰へのお鉢巡りは、北側は切り立った痩せ尾根で危険なので、一度マタエ分岐まで戻って東峰に向かうコースがおすすめです。「障子戸」などの岩場では、登りの人と下りの人で渋滞となることもありますが、譲り合って歩きましょう。
東峰への登山道には鎖場などはなく、初心者でも登れるので東峰だけ登るのもおすすめ。間近に鶴見岳、その向こうには別府湾まで見渡すことができます。
【約5時間10分】由布院駅から徒歩でOK!西登山口
最高点の標高: 1529 m
最低点の標高: 474 m
累積標高(上り): 2419 m
累積標高(下り): -2419 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:5時間10分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
由布院の駅から20分歩くと由布岳の西登山口があります。あまり利用されていませんが、下山時の景色が良く、正面登山口から登って西登山口に降りるのもおすすめ。金鱗湖に近いため一緒に観光も楽しむこともできます。
西登山口にも正面登山口と同じような大きな看板があり、看板の左手に登山口があります。道路から直接登山道となり、入り口は地味なので見落とさないように。
初めは薄暗い樹林帯歩きが続き、しばらくすると防火帯の草原が現れ、正面に由布岳の姿がとらえられます。広く気持ちの良い場所ですが、日光を遮るものがなく、意外に勾配がきつくて長いためバテないようにしましょう。
まず、こんもりとしたお椀型の飯盛ヶ城との分岐があり、すぐに正面登山口と合流する合野越の分岐に到着します。
ここからは正面登山口と同じルートで山頂に登ります。合野越分岐から山頂までのコースは正面登山口のコース詳細を確認してください。
【約4時間50分】ロープや鎖場が楽しめる東登山口
最高点の標高: 1529 m
最低点の標高: 818 m
累積標高(上り): 1058 m
累積標高(下り): -1058 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間50分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
東登山口には、「由布・鶴見岳自然休養林猪の瀬戸園地案内図」の大きな看板、登山ポストやトイレ、東屋があります。看板を右に、階段状に整備された登山道を登ります。
はじめは自然林が気持ちの良い登山道、しばらくすると杉林となりますが、再び自然林に戻ります。アセビやクロモジなど植生が豊富で観察するのにも楽しいコースです。
日向岳分岐には、道標がたくさんあるので素通りすることはありません。ここからしばらくジグザグの急な斜面を登ります。最初のロープがある岩場を越えると剣ヶ峰と東峰が見え、徐々に近づいていきます。
東峰直下からは鎖場の連続で、注意が必要です。お鉢周りの登山道と合流し、東峰へ。東峰からは正面登山口と同じルートで西峰に向かいます。
各登山口へのアクセスと駐車場情報
由布岳は東、西、正面と分かれているため、アクセス方法も変わってきます。ここでは各登山口ごとにアクセスをご紹介します。
正面登山口へのアクセス
【クルマの場合】
九州横断自動車道「湯布院」ICー 県道216号ー由布岳登山口駐車場
【公共交通機関の場合】
JR大本線「由布院」駅下車、亀の井バス「湯布院線/別府駅西口」行乗車ー「由布登山口」下車ー正面登山口
亀の井バス|湯布院線
西登山口へのアクセス
【クルマの場合】
九州横断自動車道「湯布院」ICー県道216号ー金鱗湖入口前駐車場
※西登山口に駐車場はありません。金鱗湖周辺には有料駐車場がいくつかありますが、観光シーズンは大変混みあいます。
【公共交通機関の場合】
JR大本線「由布院」駅下車ー西登山口
東口登山口へのアクセス
【クルマの場合】
九州横断自動車道「由布岳PA-由布岳スマート」ICー県道616号ー由布岳東登山口
※東登山口に駐車場はありません。路肩に停めることはできますが、周囲に配慮をお願いします。
【公共交通機関の場合】
JR大本線「由布院」駅下車、亀の井バス「湯布院線/別府駅西口」行乗車ー「猪の瀬戸」下車ー東口登山口
一緒に周りたい観光スポット&由布院温泉
由布岳周辺は有名な観光スポットがたくさんあります。景色の良いところから、温泉、グルメまで楽しめるので、登山にあわせて行ってみましょう。駅から歩いて行ける場所も多く気軽に訪れることができます。
金鱗湖(きんりんこ)
湖の魚の鱗が夕陽に輝くことから金鱗湖と名付けられたと伝わる湖。湖底から温泉と清水が湧き出ている不思議な湖で、流入する5つの河川の中には、30度の温泉水もあり、その温度差のため、秋から冬にかけての早朝には霧が立ち上がる美しい光景を見ることができます。
由布川峡谷
由布川峡谷は、由布岳と鶴見岳の間を流れる由布川上流にある峡谷です。切り立った断崖の谷が約12kmに渡って続き、細い滝が流れ出る苔むした岩肌が幻想的。「東洋のチロル」とも称される美しさで、新緑や紅葉など四季折々の風景を楽しめます。
湯布院(由布院)温泉
由布院温泉は、由布岳のすぐ麓の金鱗湖周辺にある温泉地。7,8km離れた湯平温泉・塚原温泉とともに、「湯布院温泉」として国民保養温泉地に指定されています。全国第3位の温泉湧出量があり、江戸時代から「別府の奥座敷」として多くの人々に親しまれてきました。
湯の坪街道
由布院の駅から金鱗湖方面へ続く観光通り。柚子胡椒などの大分の特産品を販売する土産物屋や、とり天などのご当地グルメを食べられる飲食店が軒を連ねます。週末には行列ができるスイーツショップなどもあり、いつでも賑わっている人気の観光地です。
由布岳に登ってみよう
眺めているだけで美しく見飽きることのない由布岳。あのてっぺんに登れるなら行ってみたいですよね!鎖場などがない東峰だけでも十分すぎる絶景が待っているので、ぜひ無理をせず楽しんでください!
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。