ひ~怖い… 山での『雷』
昔から「地震・雷・火事・親父」といわれるように、地震に次いで恐れられている自然の猛威『雷』。登山中に出くわして、怖い思いをした経験がある人もいるのではないでしょうか。ピカッと光る稲妻やゴロゴロと大きな雷鳴、いつどこに落ちるか分からない…そんな恐怖から焦ってしまうものです。そこで今回は、山で雷にあったらどうすればよいのか、対処法を見てみましょう!これだけは知っておきたい、『雷』のこと
まず確認しておきたいのが『雷』の特徴。世の中には『雷』についての間違った知識が意外と多いんです。もしかしたら、あなたも勘違いしているかも!?『雷』は高いところじゃなくても落ちる!?

金属は身につけたままでいい!?

また、落雷を受けた際に身につけている金属製品があると、火傷などの外傷を負いますが、体内に流れる致命的な電流の量は軽減されることが分かっています。
登山中の『雷』さぁ、どうする!?
過去には、著名な山々でも落雷が登山者を襲う事故が起きているんです。早速、いざというときのために、雷から身を守る方法を確認しましょう。雷の音が聞こえたら、すぐに室内へ避難!
遠くでかすかに聞こえるくらいの雷鳴でも、自分のところまで雷が迫ってくるのはあっという間です。どこに避難するかというと、コンクリートの建物や車、バスなど、電気を伝えやすい丈夫な物体の室内です。とはいえ、山にはそんなものありませんよね。速やかに山小屋に避難しましょう。
近くに山小屋がなかったら…
雷がおきたとき、近くに山小屋があるとは限りません。そんな逃げ場がないときはどうしたら良いのでしょうか。①木から離れる

【ポイント】
高い木や、高い所にある木や枝からは4m以上離れること。木の高さが同じくらいの場合は、密集しているところより、まばらな所へ。できれば木や枝から4m以上離れるのが理想です。
②頂上、尾根、岩場から離れる
【ポイント①】
低い所へ逃げたからといって安全な訳ではありませんが、確率として落ちる可能性が低くなります。稜線上は左右が切れ落ちている所が多いので、危険を冒してまで高度を下げる必要ありません。エスケープルートがあれば、そこをなるべく低い場所まで降ります。〇〇m降りれば安全という法則はありません。
【ポイント②】
岩場には入らないようにしてください。岩峰や尖った岩からはできるだけ遠ざかり、できる限り、周囲より低い場所に身を置きましょう。
【ポイント➂】
山小屋などがなければ窪地(地形図で稜線の等高線の間隔が広がっているところは、窪地がある可能性が高い。例えば、栂池から白馬岳の登山では、白馬大池や三国境付近の二重山稜など)に避難することをおすすめします。そのためにも、事前に雷に襲われたら、どこに逃げたらよいのか、地図や山行記録などから調べておくのが良いでしょう。
また、それよりも重要なのは、集団で歩いているときは、一人一人の間隔を最低2m、できれば4mあけましょう。
➂姿勢を低くして待機

【ポイント】
ザックは背負っていても下ろしていても落雷のリスクはあまり変わりありません。ただし、ストックやピッケルなど尖ったものを入れている場合は危険なので、離れた場所に置きましょう。
万一、落雷に打たれた人がいたら
早い処置を施すことで、一命をとりとめる場合があります。脈・呼吸を確認し、停止しているときは回復するまで人工呼吸と心臓マッサージを交互に続けます。登山前・登山中にできる『雷』対策
山行中に雷が起きて「わぁ、どうしよう…」となる前に、確認しておきたい2つのことをご紹介します。気象情報をこまめに確認!
夏場は“雷注意報”が出ている日の方が多いくらい雷が多い時季。登山中に落雷にあわないためにも、「近くに山小屋がなかったら…」で紹介したような落雷のリスクが大きいところに入る前に、必ず雨雲レーダーをチェックしましょう。雨雲の接近が事前に分かっていれば先回りした行動ができ、雷の活動度が高いときには安全な場所に避難ができているはずです。
気象庁|雷ナウキャスト

山の天気予報
空模様を気にしてみよう!
登山中に美しい景色を眺める時間がありますよね。そんなときに、雲の様子もぜひ見てみましょう。入道雲がもくもくと成長していくときは、落雷が発生する可能性あり。また、空に暗雲が立ち込めていたり、突風が吹く、大粒の雨やあられが降り出すことも落雷の予兆です。この時点での早めの避難行動が雷から身を守る術。パーティ登山ではリーダーの判断が重要になってきますよ!VS雷、自分の身は自分で守るしかない!

監修/山の天気予報 株式会社ヤマテン 猪熊隆之氏