高千穂峰│一度は訪れたい神秘の大地、霧島連山の霊峰
宮崎県と鹿児島県の県境に位置する霧島連山の名峰『高千穂峰』。天孫降臨の山として知られ、山体は霧島錦江湾国立公園に指定されています。歴史と美しい山容を持つ霊峰です。霧島連山で2番目に高い山ですが、今回は初心者でも登れるおすすめのコースと見どころをご紹介します。
2022/11/28 更新
制作者
YAMA HACK編集部
YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。
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『高千穂峰(たかちほのみね)』ってどんな山?

標高 | 山頂所在地 | 山系 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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1574m | 宮崎県西諸県郡高原町 | 霧島連山 | 21.9℃ | 9.6℃ |
高千穂峰は、宮崎県と鹿児島県の県境に位置する標高1574 mの霧島連山の第二峰。西部に活火山である御鉢(おはち)、東部に二ツ石の寄生火山をもつ成層火山であり、その美しい山体は霧島錦江湾国立公園に指定されています。
また、高千穂峰は建国神話の地という伝説があり、山頂には霧島東神社の社宝が祀られている霊峰としても知られています。
高千穂峰の登山適期は?

高千穂峰は無雪期である4月上旬~11月下旬が登山適期です。例年4月上旬に山開きが行われています。高千穂峰に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
てんきとくらす(高千穂峰の週間天気)
【重要】火山活動と入山規制情報

霧島連山の『新燃岳』で2018年3月7日に噴火が発生。同じく霧島連山の『硫黄山』も2018年4月19日に250年ぶりに噴火が発生しました。そのため霧島連山の“えびの高原周辺・新燃岳”は入山が規制されています。
今回ご紹介する『高千穂峰』は入山規制はされていませんが、登山をする際は、事前に火山活動と入山規制の情報を必ず確認しましょう。
地図も必ずチェック!山と高原地図 霧島・開聞岳 市房山
登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
豊かな自然が広がる神秘の大地『霧島』

九州南部の宮崎県と鹿児島県県境付近に広がる火山群を総称して「霧島山」または「霧島連山」と呼びます。霧島山は日本百名山の一つに選ばれていて、『韓国岳(からくにだけ)』や『新燃岳(しんもえだけ)』など20数座があります。“霧の海に浮かぶ島のように見える”ことから「霧島」と名付けられたなど諸説ありますが、その名の通り神秘的な大地です。
霧島の豊かな自然

霧島連山は1934年に日本で初めて国立公園に指定されており、その雄大な自然が見せる四季折々の表情は思わず息を吞むほどの感動を与えてくれます。また、霧島は麓から湧き出る温泉にも恵まれており、市内で気軽に天然温泉を楽しむことができることも魅力の一つです。
よくある勘違い!『高千穂峡』とは別の場所

“高千穂”といえば、日本の滝百選に指定されている名瀑『真名井の滝』で有名な「高千穂峡」を想像される方も多いのではないでしょうか?同じ“高千穂”という名がついていますが、「高千穂峡」は宮崎県の北西部の阿蘇に近い場所にあり、「高千穂峰」は宮崎県の南西部で鹿児島県との県境にあります。 直線距離で約100kmとかなり離れているので、同時に観光を考える際にはご注意ください。
高千穂峰に残る伝説『天孫降臨(てんそんこうりん)』
高千穂峰は日本神話の歴史が始まった地と伝えられています。この建国神話の主人公を祀る霧島神宮をはじめ、日本の神話にゆかりある場所が数多くあり、全国屈指のパワースポットです!ここでは高千穂峰の魅力の一つである歴史についてご紹介します。
日本神話│『天孫降臨』って何?

日本神話における「天孫降臨」とは、アマテラスオオミカミという神様の孫にあたるニニギノミコトが、神様の住む天上界から地上に降り立ったことを指します。神様が天上界から地上に降り立った場所が「高千穂峰」といわれ、天孫降臨の第一歩を記した高千穂峰から、日本の建国神話とその歴史が始まったと伝えられています。
山頂に突き刺さる『天逆鉾(あまのさかほこ)』とは?

高千穂峰の山頂には青銅製の「天逆鉾」と呼ばれる矛が突き立てられています。この矛は謎が多く、いつ、だれが、何のために作ったのか真相は分かっていません。一説によると、国家の安定を願いをこめて高千穂峰に突き立てたという伝承があり、奈良時代には存在したともいわれています。現在は、霧島東神社の社宝として崇められています。
あの坂本龍馬が『天逆鉾』を抜いた?!

1866年、坂本龍馬は新婚旅行で霧島を訪れ、高千穂峰に登り、天逆鉾を引き抜いたとの記録があります。なんと、このエピソードは龍馬自身が手紙で姉に伝えており、手紙も桂浜の龍馬記念館に現存しています!
(※現在、高千穂峰にあるものはレプリカですが、神聖なものなので、くれぐれも触れないようにしましょう)
高千穂峰の頂へ【日帰り登山コース2選】
初心者におすすめ!鹿児島県側から登る「高千穂河原コース」
合計距離: 5.77 km
最高点の標高: 1524 m
最低点の標高: 963 m
累積標高(上り): 633 m
累積標高(下り): -633 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:3時間40分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
高千穂河原(72分)→御鉢(50分)→高千穂峰(40分)→御鉢(58分)→高千穂河原

高千穂河原の登山口から御鉢を経由して高千穂峰に登るルートです。最も登山距離が短いため、登山者も多く人気のルートです。高千穂河原から鳥居をくぐり、参道を歩いていくと御鉢・高千穂峰の登山口に辿り着きます。
登山口からお鉢までの登山道は整備されており、初心者でも比較的楽に登ることが出来ます。また所々に標識も設置されているので初心者にも安心!御鉢への急登は足場が砂地で悪いので、足をとられないように注意してください。
撮影:YAHA HACK編集部(馬の背)
御鉢から山頂までの続く「馬の背」は道幅が狭く、悪天候時には御鉢の窪みから吹き上げる風が非常に強くなることがあるので十分に注意してください。突風に見舞われた場合には姿勢をかがめ、風がおさまるのを待ちましょう。
山頂につくとようやく「天逆鉾」とご対面です!山頂からは霧島連山がよく見え、天気が良ければ桜島まで見渡すことができます。
稜線歩きを楽しもう!宮崎県側から登る「二子石コース」
合計距離: 10.33 km
最高点の標高: 1539 m
最低点の標高: 447 m
累積標高(上り): 1327 m
累積標高(下り): -1327 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
霧島東神社(3時間30分)→高千穂峰(2時間30分)→霧島東神社
霧島東神社から長い稜線を歩いて高千穂峰に登頂するコースです。高千穂河原コースに比べると距離が長くハードですが、樹林帯と稜線歩きのどちらも楽しめるのることが魅力です!神社の駐車場脇に登山道への看板がありますので、そちらを目印にしてください。
樹林帯はひたすら登りが続きます!体力トレーニングに最適ですね。夏場にはヒルが出るので長袖・長ズボンを着用するなど対策をしておきましょう。
樹林帯を抜けると視界が開け、標高1260m地点に「二子石」という大岩が見えます。直下に鎖付きの岩段がありますので、注意して進みましょう。
二子石を通過すると高千穂峰が姿を現します!後は山頂まで一直線!稜線上では強風が吹く場合があるので、十分に注意してください。
長い稜線を登り切ったらようやく山頂に到着。高千穂峰河原コースに比べると距離が長いですが、登ってきた稜線を見下ろす瞬間はたまりません!
山頂からは反対側にある御鉢も見下ろすことが出来ます。下山の際は二子石直下の岩段に注意してください。
登山口へのアクセス・駐車場情報
登山口へのアクセスには、バスの本数が少ないため、マイカーやレンタカーのご利用をおすすめします。
高千穂河原ビジターセンター(鹿児島県)

高千穂峰のふもとにあるビジターセンターは「高千穂河原コース」の起点です。霧島を訪れる人々により深く自然や文化を紹介するために、霧島山系のあらましを示した地形模型や火山の生立ちなどを紹介した写真パネルなどを展示しています。
- 住所:鹿児島県霧島市霧島田口2583-12
- 電話番号: 0995-57-2505
- 駐車料金:500円(乗用車)
- ●車の場合
- 宮崎自動車道高原IC→国道223号→県道480号
- タクシーの場合はJR高原駅から約40分
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- ●バスの場合
- 霧島神宮駅→丸尾バス停→高千穂河原バス停
バス情報(鹿児島交通)
霧島東神社登山口(宮崎県)
「二子石コース」の起点は霧島東神社。霧島六社権現と称される6つの神社の一つで、パワースポットとしても有名です。駐車場は神参拝者と共用なので、登山者はなるべく登山口に寄せて駐車するようにしてください。
- 住所:宮崎県西諸県郡高原町蒲牟田6437
- 電話番号:0984-42-3838
駐車料金:無料
- ●車の場合
- 宮崎自動車道高原IC→国道223号
- タクシーの場合はJR高原駅から約15分
-
- ●バスの場合
- JR高原駅→祓川バス停
バス情報(宮崎交通)
自然と歴史あふれるパワースポットへ

自然と歴史あふれる九州の霊峰『高千穂峰』。霧島の雄大な自然は一見する価値ありです!日本屈指のパワースポットに一度訪れてみてはいかがでしょうか。訪れる際には必ず火山活動情報の確認をお忘れなく!
- 【登山時の注意点】
- ・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
- ・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。 ・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
- ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

高千穂峰 は 霧島錦江湾国立公園 に含まれています。
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