修験道の場、大峰山とは
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
---|---|---|---|---|
約1719m | 奈良県吉野郡天川村 | 大峰 | 19.3℃ | 10.0℃ |
大峰山は、山上ヶ岳・稲村ヶ岳・八経ヶ岳などの大峰山脈の総称です。修験道の祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が開いた修験道発祥の地とも言われ、道場ではいまなお多くの修験者が修行しています。緑に覆われた深い山は登山者にも人気で、日本百名山でもあるだけではなく、2004年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。
女人禁制の山
大峰山のうち山上ヶ岳は、宗教的理由から女人禁制の山となっています。いまでも山上ヶ岳の各所に女人結界門があり、女性の立ち入りが禁止とされています。
紅葉が人気!
大峰山は紅葉が美しいと人気です。9月下旬〜11月初旬が見頃となります。また、春は新緑と八経ヶ岳のシャクナゲを楽しむことができます。4月~5月も多くの登山客でにぎわいます。
大峰山の天気
大峰山に行く前に現地の天気をこちらでチェックしましょう。
女人禁制の修行の場|山上ヶ岳コース
山上ヶ岳は、頂上付近に修験道の根本道場である大峯山寺山上蔵王堂があり、山全体が聖域とされています。今でも伝統を守るため、女性の立ち入りを禁じています。山頂からは大峰山脈の山々を見渡すことができます。
清浄大橋~山上ヶ岳登山コース
最高点の標高: 1702 m
最低点の標高: 931 m
累積標高(上り): 2569 m
累積標高(下り): -2569 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間20分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
清浄大橋を渡り、女人結界をくぐって登山道に入ります。ここから先は、女性が立ち入ることが禁止されています。山頂までは整備された登山道ですが、陀羅尼助茶屋の先の分岐からは、急な階段や鎖場も出てくるので注意して通行しましょう。途中に茶屋がありますが、休日のみの営業です。修行場のひとつである「西の覗き」の絶壁を過ぎたら大峰山寺があり、山頂はその先です。
山頂はミヤコザサに覆われた気持ちの良い草原です。帰りは来た道を戻って下山します。岩場は滑りやすいので注意しましょう。
季節の花が彩る「花の百名山」|稲村ヶ岳コース
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
---|---|---|---|---|
約1726m | 奈良県吉野郡天川村 | 大峰 | 19.2℃ | 10.2℃ |
ヤマアジサイで「花の百名山」にも選ばれている稲村ヶ岳は、他にもオオヤマレンゲやシャクナゲ、ドウダンツツジなどたくさんの花々で有名な山です。隣の山上ヶ岳は女人禁制ですが、稲村ヶ岳は女性信者へも修行の場として開放されています。
洞川温泉~稲村ヶ岳登山コース
最高点の標高: 1683 m
最低点の標高: 834 m
累積標高(上り): 3171 m
累積標高(下り): -3171 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間27分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
洞川温泉から車道を歩き、母公堂のそばから登山道に入ります。樹林帯の緩やかな登りが続きます。よく整備されていますが、細い岩場のトラバースや崩落箇所があるので注意しましょう。稲村ヶ岳を越えるとやや急坂で、大日山の巻き道からは険しい道となり、大日のキレットを通過し、急登を登ると山頂に至ります。
山頂は狭く展望があまり良くありませんが、山頂にある展望に登ると山上ヶ岳など周囲の山々を見渡すことができます。帰りは来た道を戻って下山します。
太古からの原生林を歩く|八経ヶ岳コース
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
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約1915m | 奈良県吉野郡上北山村 | 大峰 | 18.1℃ | 9.2℃ |
深田久弥の『日本百名山』では、大峰山は1915mとあり八経ヶ岳を指しています。近畿地方の最高峰で、周辺のトウヒ、シラビソの原始林は国の天然記念物とされ、ユネスコの世界遺産に登録されています。7月初旬にはオオヤマレンゲの群生が見られ、山頂からは遠く富士山が見えることもあります。
行者還トンネル西口~弥山~八経ヶ岳登山コース
最高点の標高: 1885 m
最低点の標高: 1118 m
累積標高(上り): 1663 m
累積標高(下り): -1663 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間23分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
トンネル西口のすぐ右手の登山口から入ります。やや急な道ですが、緑が美しい奥深い森の中を歩き、弁天の森へ向かいます。急な登り坂が続き、ブナの原生林を抜けさらに進むと弥山小屋があります。小屋の前からは、奈良の自然を見渡すことができます。弥山山頂は小屋からすぐです。
山小屋に戻り、八経ヶ岳へ向かいます。小石でやや歩きにくい登山道です。オオヤマレンゲの群生地を抜けると八経ヶ岳山頂です。帰りは来た道を戻って下山します。
大峰山の山小屋情報
いずれの山も日帰り登山が可能ですが、縦走などの際には利用できる山小屋がいくつかあります。
稲村ヶ岳山荘
山上ヶ岳から西側の稲村ヶ岳へ進む途中にある山小屋。奈良盆地が見渡せる標高1550mの山上辻に位置しています。夜はランプの明かりが灯り、ゆっくりとした時間を過ごせるアットホームな山小屋です。
弥山小屋
大峰山一帯ではいちばん大きな山小屋で、一般の登山客で賑わいます。テント場は20張。水場はありませんが、小屋で購入することができます。
その他の避難小屋について
大峰山山域には「小笹ノ宿避難小屋」と「狼平避難小屋」の2つの避難小屋があり、緊急時には利用が可能です。
大峰山では修行体験ができる!
大峰山一帯は古くから修験道の場とされてきました。今でも多くの修験者が修行をしており、白装束を着た修験者とすれ違うことも。そんな修行の一部を修験者でなくても体験できる場所があります。
西の覗き
一般でも体験できることで有名な行場です。捨身の行が行われる場所で、絶壁から捨て身の覚悟で乗り出し、先達の問いかけに答える荒行です。
大峯修行体験
大峰山の金峯山寺では5~10月までの月に一度、一般の方を対象とした大峯修行体験を行っています。男性だけではなく、修行の行程によっては女性が参加できる修行もあります。
大峰山登山口へのアクセス・駐車場情報
大峰山の山上ヶ岳、稲村ヶ岳、八経ヶ岳への登山口までのアクセス情報です。
山上ヶ岳登山口(清浄大橋)へのアクセス
【クルマの場合】
京奈和自動車道「御所南」ICー国道309号線-県道21号線-清浄大橋(49km・約2時間)
【公共交通の場合】
近鉄吉野線「下市口」駅から奈良交通バス乗車−「洞川温泉」バス停下車、徒歩で約1時間
稲村ヶ岳登山口(洞川温泉)へのアクセス
【クルマの場合】(大阪方面から)
南阪奈道路「葛城」IC・高田バイパス経由-国道169号-国道309号-洞川温泉(49km・約1時間20分)
【公共交通の場合】
近鉄吉野線「下市口」駅から奈良交通バス乗車−「洞川温泉」バス停下車
八経ヶ岳登山口(行者還トンネル西口)へのアクセス
【クルマの場合】(大阪方面から)
京奈和自動車道御所南IC-国道369号-行者還トンネル西口(御所南ICより約1時間15分)
※国道169号で行者還トンネルの東側からアクセスする方法もあります。
【公共交通の場合】
近鉄吉野線「下市口」駅下車、奈良交通バス「洞川温泉」または「中庵住行き」乗車−「天川川合」バス停下車、徒歩で約3時間
もしくは「下市口」駅よりタクシーを利用。
登山後に行きたい、立ち寄り温泉
バス停そばにあり、下山後に行きやすい温泉施設です。疲れた体をリフレッシュして帰りましょう。
村営洞川温泉センター
無味無臭の弱アルカリ性単純泉でやわらかく入り心地のよい温泉。名産である吉野杉をふんだんに使った建物に、桧の浴槽、露天風呂、休憩室があり、疲れた体が癒されます。
大峰山で心身ともに鍛えよう
大峰山は修験道の山でもあることから、どの山もラクな登山ではありません。宗教的に女人禁制の場所もあり、行者たちにより守られてきた歴史を感じることができます。一方で世界遺産に登録され、原始林が残る山は未来につないでいきたい美しい場所でもあります。ぜひ奥深い森へ出かけてみてください。