アイキャッチ画像撮影:鷲尾 太輔
マムートの最高峰シリーズからリリースされた新モデルのグローブ

Eiger Extreme(アイガー エクストリーム)はスイスのアウトドアブランド・MAMMUT(マムート)が展開するアイテムの中でも最高峰のスペックを誇るシリーズ。
文字通りアイガー北壁など過酷な登山に挑むために1995年に誕生した同シリーズは2025年に30周年を迎え、第6世代となるアイテムがリリースされました。
EIGER EXTREME(アイガーエクストリーム)にはジャケット・パンツなどのウェア類やバックパックもラインナップされていますが、今回紹介するアイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブも同シリーズのひとつです。
独創的な二重構造「2イン1」

アイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブの最大の特徴は「2イン1」の名の通り、薄手のグローブと厚手のグローブを一体化させた二重構造にあります。
写真の通りチャンバー(手を入れる部分)が2つあるため、内側(手のひら側)に手を入れれば操作性に優れた薄手の、外側(手の甲側)に手を入れれば保温性に優れた厚手のグローブにと、2通りの使い方ができるのです。
それぞれのグローブのスペックを検証

それでは薄手の(以下は手のひら側と表記)グローブと、厚手の(以下は手の甲側と表記)グローブそれぞれに手を入れて、スペックを検証してみましょう。
手のひら側グローブの操作性

雪山登山では手指の凍傷防止の観点から、いかなる時も素手での作業は避けるのがセオリーです。このため比較的細かい作業でも、グローブを装着して行う必要があります。
アイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブは厳しい低温環境に耐えうるよう、手のひら側のグローブでもそれなりの厚みがあります。バンド式アイゼンの装着にチャレンジしてみましたが、リングにバンドを通す作業などは少し難儀し、慣れが必要だと感じました。

山岳登攀のシーンではロープを使用することもありますが、支点の構築などのためにロープを「結ぶ」作業は、手のひら側のグローブでも困難でした。ただしATCなどの確保器具に通したロープを「握る・引っ張る」操作はかなりスムーズに行うことが可能です。
また後述の通り、手のひら部分には剛性の高いレザー素材が使用されています。長期間にわたって使い込んでいくうちにレザーが柔らかくなり手に馴染み、操作性は高まることが期待できます。
手の甲側グローブの保温性

続いて、手の甲側グローブの保温性が手のひら側とどれだけ違うのか検証してみました。今回は右手を手のひら側、左手を手の甲側に入れて温かさを比較してみました。
当日検証したフィールドは、気温マイナス6℃・風速約5m/sという雪山としてはかなり穏やかな天候。このため薄手なはずの手のひら側グローブでもほのかに「涼しい」と感じる程度で「寒い・痛い」という感覚はありませんでした。

ただし手のひら側グローブで金属製のピッケルを握ると、じわじわと冷たさを感じました。手の甲側にピッケルを持ち替えるとこの冷たさは大幅に低減されたため、やはり保温性に優れています。
なおアイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブには、より保温性に優れた3フィンガータイプもラインナップされています。
いずれに手を入れても快適な肌触り

いかに雪山登山とはいえ、厚手のグローブでアクティブな行動をすると、手が蒸れて不快に感じることも。ブランドによっては、吸湿性のある薄手のインナーグローブと重ねることを推奨している場合もあります。
アイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブの内側は、手のひら側・手の甲側ともに肌触りのよいフリース素材を使用しています。マムートではハイキング用のアウターグローブにも使用される伸縮性に富んだ素材で、手指をストレスなく動かすことができます。
細部までこだわり抜かれた堅牢で快適な作り

二重構造という点だけに注目しがちなアイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブですが、厳しい雪山登山で手を守り抜くためのこだわりが細部にまで凝らされています。
頑強なレザー素材を手のひら全体とこぶしに配置

アイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブの手のひらと指先には、全体にヤギ皮(ゴートレザー)を使用しています。軍用ジャケットにも使用されるほど丈夫で軽いという特性よって、岩やロープとの摩擦から手を保護してくれるのです。

手の甲側もナックル(こぶし)の部分はレザー補強が施されています。ピッケルやロープを握っている時に岩などにぶつけやすい部位を、しっかりとガードしているのです。
耐水性能とフィット感や動きやすさを両立

履き口部分のカフスは長く、前腕をすっぽりと覆うことができます。しかも伸縮性のある二重織素材なので、手首の動かしやすさはしっかりキープ。入口部分のゴムバンドは片手で調整可能で雪の侵入をしっかりと防いでくれます。

手首部分には、太いベルクロバンドが配置されています。これによってグローブ全体のフィット感も無段階で調整可能です。
紛失防止だけでなく性能維持も考え抜かれたディテール

雪山登山では、休憩中などで外したグローブが強風で飛ばされてしまい紛失することは、手指の凍傷に直結する危険な事態。このため雪山用グローブの多くは、グローブと腕を連結させるリストバンドが付属しています。
アイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブのリストバンドは、太く伸縮性が高いゴム製。どんなレイヤリングでもフィットして、グローブの紛失を防止してくれます。

手首部分には、右手と左手のグローブを連結するコネクションフックが搭載されています。
グローブは、ザックへ収納中など使用していない時にもバラバラになりやすいもの。いざ登山開始という時に「あれ、もう片方はどこへいった……?」という事態を防止してくれます。

両手の中指には、小さなループがついています。これは一時的にグローブを外した際に、カラビナなどでザックに連結して保管するためのもの。
グローブが縦になり履き口が下になるので、内部への雪や雨の浸入を防止してくれるのです。
気温差が激しい残雪期まで長く活躍する頼もしいグローブ

厳冬期の雪山登山にも十分対応するアイガー ノードワンド プロ 2イン1 グローブですが、春の残雪期にもおすすめです。暑さを感じるほどの快晴無風から冬へ逆戻りしたかのような暴風雪まで、天候による気温差が激しいのが春の雪山です。
こうした際に手を入れるチャンバーを変えることで耐寒性を変えることができ、まさに2種類のグローブの役割を果たすのです。まさに雪山登山の頼もしい相棒として、あなたの手をしっかりと守ってくれるグローブですよ。
