持久力強化 ― 休憩だらけの登山を卒業!

持久力の強化におすすめなのは「坂道/階段インターバルウォーク」。息切れしにくく、長時間動き続けられる体をつくるトレーニングです。
心肺機能+脚の筋持久力をまとめて鍛えられるのがメリット。登山に近い動きができる、近所の坂道や階段で行います。なければ平地でも構いません。
こんな人におすすめ
- 登りで息が上がりやすい
- 後半に一気にペースダウンする
- 荷物の重さに長時間耐えられない
「坂道/階段インターバルウォーク」のやり方

- “やや息が弾む”速さで階段または坂道を2~3分上る
- ゆっくり下り、2~3分休憩する
- ①②を繰り返し、合計20~30分行う
(最初は10~15分でもOK)
藤田さん
スピードを出すのは上りだけ、下りは膝を壊しやすいのでゆっくりと歩きます。
強度の目安は、「少しきつい」と「ラク」の間を行き来する感覚で。いきなり全力で頑張らず、徐々にペースを掴みましょう。
持久力を高めるには“頻度”が大事。週2~3回続けると、変化を感じやすくなります。持病がある場合は、事前に医師に相談してください。
バランス感覚強化 ― つまづき事故を減らす“踏ん張る力”

バランス感覚(平衡性)の強化におすすめなのは「リュックを背負って片脚バランス」。ふらつかずに踏ん張る力を高め、荷物を背負った状態での重心コントロールを鍛えるトレーニングです。
バランスを維持するために重要な役割を果たしている“感覚器”は3つあります。もっとも大きな情報源の「視覚(7割)」、身体の姿勢や動きを全身の受容器で感知する「体勢感覚(2割)」、体の回転や平衡感覚を感知する内耳にある三半規管の「前庭感覚(1割)」です。
高齢になるほど鈍くなる、これらの傾きを感知するセンサーを刺激し、バランス感覚を体に覚えこませていきます。
こんな人におすすめ
- 下山時によくふらつく
- トレッキングポールに頼りきりになる
- つまずくことが多い
「リュックを背負って片脚バランス」のやり方

- 軽めのリュックを背負う
(2~3kg程度から) - 壁やイスの近くで、片脚で立つ
(脚は軽く上げる程度でOK) - 体勢を整えたら、両手を前で組む
- 上半身だけをゆっくり左右にひねる
- 片脚20~30秒キープを、左右3セット行う
藤田さん
足の指で床を“掴む”イメージで行うのがポイント。親指から小指まで、体重を足裏全体に均等に乗せるように意識してみましょう。
不安があれば、指先で壁に触れながらでOK。無理に長くキープせず、グラつく前に一度脚を下ろします。この一連の動きを繰り返し、体に覚えこませることで、「ふらついたときに足を出す」という感覚を鍛える練習にもなるんです。
上級者は目をつぶって行うと、さらに鍛えられます。
柔軟性強化 ― 身体を守る“動ける余白”をつくる

柔軟性強化におすすめなのは「おしり・もも・ふくらはぎのストレッチ」。
身体が硬いと可動域が狭くなり、無理な姿勢で踏ん張ったり、特定の部位に負担が集中してしまうことも。関節や筋肉がスムーズに連動する柔軟性があると、「ちょっと姿勢を変える」「一歩を微調整する」といった動きが自然にできるようになり、転倒や怪我の予防につながります。
まずは、今回紹介した「筋力」「持久力」「バランス感覚」を鍛えるとレーニングの前後に、以下のストレッチを取り入れるだけでOK。ただし、トレーニング前後では、同じストレッチでもやり方を変えるのがポイントです。
藤田さん
トレーニング前のストレッチはサッと短くでOK
筋肉はゴムのように伸び縮みし、運動中の主な役割は「縮むこと」です。運動前に長時間、引っ張ったままキープしてしまうと、筋肉がダルっと伸びきり、いざ動こうとしたときに力が入りにくくなることがあります。
そのため、運動前は2分以上伸ばしっぱなしにしないのが大切。目安は、「30秒ほど伸ばしてやめる」くらいで十分です。
藤田さん
トレーニング後のストレッチはじっくり長くが◎
一方、運動後の筋肉は、縮む動きをたくさん繰り返した状態になっています。
そのまま放っておくと、縮んだ状態のまま固まり、いわゆる身体が硬い状態に。これが続くと、柔軟性は少しずつ失われていきます。
だからこそ、運動後はしっかり伸ばすことが大切。目安は1〜2分程度、気持ちよく感じるところまで伸ばしてあげましょう。
「もも前」のストレッチのやり方

- 右脚を後ろに曲げて、右手で足を持つ
(左手は壁などにつけてバランスをとる) - 膝が太ももより前に出ないようにし、太ももの前側を伸ばす
(脚を後ろに引くほど、よく伸びる) - 左脚も同様に行う
トレーニング前:30秒×3セット
トレーニング後:1~2分程度
「もも裏&おしり」のストレッチのやり方

- 前屈をし、手で脚を掴む
- 体を上下に揺らし、もも裏とおしりを伸ばす
- 一度起き上がり、再び同じ動きをする
(繰り返すことで、どんどん前屈が深くなる)
トレーニング前:20秒×3セット
トレーニング後:1~2分程度
「ふくらはぎ」のストレッチのやり方

- 縁石や段差に、右足の指の付け根あたりまでを乗せる
- 左足は右足の前に出し、上半身を真っ直ぐ起こして、右ふくらはぎを伸ばす
(難しい場合は左足を真横に置き、徐々に前へ) - 足を入れ替えて、左ふくらはぎも同様に伸ばす
トレーニング前:30秒×3セット
トレーニング後:1~2分程度
今日からちょこっとでOK!

「全部やらなきゃ」と思う必要はありません。大切なのは、できることを少しずつ。まずは、最も強化したい“体力”のトレーニングからでOKです。それだけでも、次の登山で「前より楽かも」「下山が怖くなかった」と感じられるはず。
体力づくりは登山を“頑張るため”ではなく、長く楽しむための準備。万全に整えることで自信や安心感が生まれ、登山当日の集中力アップにもつながります。無理なく、気負わず、今日から一歩始めてみてください。
続けるためのコツと安全のポイント
- 頻度の目安
- 週2~3回
- 1回15~20分で十分
- 「継続」が一番大事
- 負荷の目安
- 「翌日少し重いかな?」程度
- 強い痛みや違和感が出たら中止
- 筋肉痛なら2~3日休む
- 無理をしない
- 体調が悪いときは休む
- 持病がある場合は、医師・専門家に相談する
取材協力:株式会社理学ボディ
