アイキャッチ画像撮影:鷲尾 太輔
あなたの足首……ちゃんと曲がりますか?

足首の柔らかさを確かめるのにわかりやすいのが、いわゆる「ヤンキー座り」をしてみて、どこまで深くしゃがみ込むことができるかという方法です。足首が柔らかい人だと足裏全体を接地したまま膝をしっかり曲げて深くしゃがみ込むことができます。
撮影:鷲尾 太輔(足首が硬い人)
足首が硬い人だと1枚目の写真のように中腰程度までしかしゃがみ込むことができません。もしくは、2枚目の写真のようにかかとが地面に接地できず浮き上がってしまいます。みなさんは、どうでしょうか。
足首の様々な動き

先ほどの「ヤンキー座り」は、つま先を上げる動きである背屈(はいくつ)の柔らかさを測定するものでしたが、足首には他にも様々な動きがあります。
ここからは、それぞれの動きと一般的な可動域(角度)を紹介します。ただし可動域は個人差が大きく、一般的な最大値より数値が小さくても異常というわけではありません。あくまでも目安として、自分の足首はどの動きの可動域が大きいのかを認識する程度の指標としてください。
背屈(はいくつ)|一般的には可動域最大20°

前述の通り、つま先を上げる動き。上り坂でも靴底全体を斜面に接地(フラットフッティング)しつつ足首から上がのけぞらないのは、この動きによるものです。
底屈(ていくつ)|一般的には可動域最大45°

つま先を下げる動きで、平地での歩行時につま先で次の一歩を蹴り出すときなどの動作です。早足や走る時は無意識に可動域を大きくして、推進力をつけています。
内転(ないてん)|一般的には可動域最大20°

つま先を内側に曲げる動き。両足で行なうとスキーのボーゲンのように、足がハの字になります。登山では直角に曲がった段差を慎重に下る時くらいしか使わない動きです。
外転(がいてん)|一般的には可動域最大10°

つま先を外側に曲げる動き。両足で行なうと足は逆ハの字になり、つま先が開きます。フラットフッティングを維持しつつ、もしくはアイゼンを装着して急斜面を登る時に活躍します。つま先を逆ハの字やL字に開くことで、着実に靴底(アイゼンの爪)全体で接地できます。
内返し(うちがえし)|一般的には可動域最大30°

母趾(つま先の内側)を持ち上げる動き。山側に傾斜したトラバース(斜面を横断)する際に、山側(高い方)が左方向にある場合には、必要とされる場合も。
また靴底に挟まった小石やアイゼンに付着した雪などを確認する際に可動域が広いと便利ですが、膝の屈曲だけでも十分可能なので、登山ではあまり使わない動きです。
外返し(そとがえし)|一般的には可動域最大20°

外趾(つま先の外側)を持ち上げる動きです。こちらも山側に傾斜した斜面をトラバースする際に、山側が右方向にある場合程度で、登山ではあまり使わない動きです。
足首の柔軟性は登山中の“衝撃吸収”に重要

岩稜帯での歩行や荷物が多い宿泊登山では、ミドル〜ハイカットで硬めのアッパーの登山靴が多く使用されます。これらは捻挫など足首のケガ防止のため、足首の可動域をあえて抑制しています。
アッパーに切れ込みを入れるなど背屈・底屈・内返しの可動域を多少大きくすることで、フラットフッティングしやすい工夫がなされているモデルもありますが、それでも極端な足首の柔軟性は要求されません。
足首に柔軟性があることによる最大のメリットは、クッション性(衝撃吸収性)が高まることです。特に下りでは足首に柔軟性がないと衝撃を吸収するクッション性が足りないため、膝や腰の痛みの原因となってしまうのです。
足首の柔軟性は、ふくらはぎや足裏の柔軟性でもある

登山靴を履いて足首の可動域を抑制している状況でも、ふくらはぎや足裏の柔軟性があれば、足首にも柔軟性が備わっているといえます。
すなわち、ふくらはぎや足裏などの「筋類」やアキレス腱をなどの「腱類」の柔軟性が、足首の柔軟性にも大きく関わってくるのです。