富士山や伊豆諸島までのパノラマが広がる絶景の展望ポイント
鎌倉市街地の東にそびえる衣張山(きぬはりやま)は、富士山はもちろん伊豆大島や三浦半島までを見渡すことができる展望スポットです。
そのパノラマを楽しむだけでも良いのですが、せっかくなら鎌倉ならではの歴史を感じるスポットも楽しんでみたいものですね。
今回は鎌倉駅を起点に、別願寺・安養院・報国寺などの古刹や、鎌倉防衛の拠点でもあった切通しも楽しむ、変化に富んだ縦走(尾根を伝って複数の山々を歩く)コースを歩いてみます。
衣張山ハイキングコース概要
(0.5km・40分)→浅間山(0.6km・15分)→衣張山(1km・25分)→報国寺(0.3km・5分)→浄明寺バス停
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:約2時間3分
登山口情報
スタート地点はJR鎌倉駅東口。ここから多数の路線バスが鎌倉周辺に向けて発着しています。構内には飲食店・土産物屋・コンビニエンスストア・公衆トイレなどの施設が完備。ハイキングに必要なものを購入することができます。
コース詳細ガイド
Section1:鎌倉駅〜釈迦堂切通し(2.3km・約38分)
最初のセクションは全て舗装路歩きです。沿道には多数の寺院や神社が点在しているので、気になるところがあれば立ち寄って参拝してもよいでしょう。
鎌倉駅のロータリーを背に進むと、若宮大路に出ます。横断歩道を渡ったら、右へ進みましょう。
わずかな区間で若宮大路とはお別れ、鎌倉郵便局から左の路地へと入ります。
やがて右手に本覚寺が見えてきます。佐渡への流罪を解かれて鎌倉に戻った日蓮上人が、布教を再開したというお堂の跡に建立された寺院。春の桜や初秋のサルスベリの花が見事です。
やがて正面に鎌倉婦人子供会館があるT字路に出ます。ここは右へ進みましょう。
日蓮上人が布教活動を行なったお堂・夷(えびす)堂の名を冠した橋で、滑川を渡ります。古くから重要な交通路であり、伝説が残る「鎌倉十橋」のひとつでもあります。
夷堂橋から直進すると、日蓮上人が開山した日蓮宗の本山・妙本寺の大きな山門に突き当たります。山門をくぐらずに、右手の小さな路地へ進みます。
少し進むと左手に「ぼたもち寺」の別名を持つ常栄寺が。処刑場に送られていく日蓮上人へ、ある尼僧(にそう)がぼたもちを差し出したという伝承が由来となっています。
この先へ進むと厄除けにご利益があるという八雲神社が左手に見えてきます。祇園山ハイキングコースのスタート地点でもあります。
さらに進むと道は広い2車線道路である県道311号鎌倉葉山線にぶつかります。ここを左に進み、しばらくは県道沿いを歩きます。
やがて左手には別願寺が。室町時代に足利将軍家が関東地方を統治するために置いた鎌倉府の長官・鎌倉公方の菩提寺でもあります。
さらに進んだ県道を挟んだ右手に上行寺が見えます。癌封じのご利益がある寺院として有名です。
続いて左手に立派な山門を構えた安養院の入口が現れます。
鎌倉幕府初代将軍である源頼朝の妻・北条政子ゆかりの寺で、彼女の法名「安養院」が寺名の由来。境内には北条政子の墓といわれる石塔もあります。
コンビニエンスストアの先に見える信号のある十字路を左折して、県道から離れます。
県道の喧騒から一変して、静かな住宅街を進んでいきます。途中左手には、平安時代に東北地方で起こった戦争・後三年の役を鎮圧した、新羅三郎源義光の墓がある大宝寺の入口があります。
衣張山周辺を源流とする逆川に沿って、静かな住宅街を進んでいきます。
やがて道が二手に分かれます。設置されている道標を確認してみましょう。
釈迦堂切通しは、左の道を進むよう案内されています。
ちなみに、右の道を進んだ住宅街の奥にある平成巡礼道登山口からも衣張山に登ることができます。釈迦堂切通しに立ち寄らないのであれば、こちらの方が階段が整備されており、より歩きやすいハイキングコースです。
二叉路を左に入り、住宅街の中の道をやや上りながら進みます。写真の場所が衣張山登山口との分岐ですが、いったん真っ直ぐ進みましょう。
釈迦堂切通しは崩落対策工事のため2023年5月末まで通行止めで、フェンス越しからしか望むことができません。
かつてのように通り抜けができるようになると、釈迦堂切通しの魅力をより堪能できることでしょう。
Section2:釈迦堂切通し〜浄妙寺バス停(2.4km・約1時間25分)
次のセクションではいよいよ衣張山へ登ります。最初に浅間山へ登頂して、衣張山へ縦走。住宅街へ下り、竹林で有名な報国寺へ立ち寄って、ゴール地点の浄明寺バス停をめざします。
釈迦堂切通しから[17]の分岐へ戻り、東方向に進みます。
舗装路を上っていくと、右手に衣張山登山口の標識があり、ここからハイキングコースが始まります。
案内板などはありませんが、やぐら(横穴式の中世のお墓)と思われる場所も。思わぬところで、歴史の息吹を感じ取ることができるのも鎌倉ハイキングの魅力です。
ハイキングコースは、やがて稜線に向かって森の中をジグザグに登る区間へと入ります。
一部やぶが濃く生い茂っている場所もありますが、踏み跡は明瞭なのであせらず進みましょう。
やがて周囲の植生が竹に変わると、少しずつなだらかになってきます。めざす最初の山頂・浅間山は目前です。
不意に視界が開け、浅間山の山頂に到着。小さな石仏と石塔が安置されています。
浅間山は南側が開けており、相模湾を眺望することができます。
浅間山から稜線(山から山へと続く尾根)を北へ下り、衣張山をめざします。鞍部(山と山の間の低くなった場所)付近は道が狭くなっているので、注意して通過してください。
登り返すと衣張山の山頂は目前です。
石仏と石塔が安置された衣張山山頂は、ちょっとした広場になっています。
南西方向にせり出した部分の樹木が刈り払われており、鎌倉市街や由比ヶ浜はもちろん、空気が澄んだ日には富士山までを見渡すことができます。
衣張山山頂を後にして、東側へ回り込んで下っていきます。笹や樹木に覆われて、視界はあまりありません。
下りコースは、ところどころ階段状になっています。地面が濡れているときはぬかるんで滑りやすいので、注意が必要です。
路傍にはこんな石仏もあり、思わずほっこり。
下りきって小さな沢を越えると、林の中の平坦な道を進みます。
間伐で切り倒された木々が点在する林を進むと、やがて前方に住宅街が見えてきます。舗装路に出たら、そのまま住宅街の中を進みましょう。
「田楽辻子のみち」という標識のある十字路を、右に曲がります。
右側に山が迫る住宅街の中を、報国寺へ向かって歩いていきます。
報国寺の山門に到着です。せっかくなので境内に立ち寄ってみましょう(拝観料:300円)。
報国寺は竹林が美しい寺として有名です。苔むした庭園と竹林の緑の階調は、ハイキングコースとは違った美しさを感じさせてくれます。
報国寺を後にして、鎌倉駅へ戻るバスが走る県道204号線・通称金沢街道をめざします。
金沢街道に出てすぐ右手にあるのが、浄明寺バス停。鎌倉駅へは京急バスに乗って約10分の道のりです。
鎌倉ならではの寺社めぐりと一緒に楽しむハイキング
今回のハイキングコースは、衣張山周辺以外は閑静な住宅街など市街地を歩きます。そしてその沿道には紹介したように数々の寺社仏閣が点在。興味がある寺社に参拝すれば、鎌倉の自然と歴史をバランスよく楽しむことができるでしょう。
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