ベースレイヤーの基本の“キ”
ベースレイヤーは、秋冬シーズンに限らず、登山に欠かすことができない大切なウェアです。そんなベースレイヤーについて詳しい方も、詳しくない方も、まずは基礎知識を簡単におさらいしておきましょう。
レイヤリングの最下層ウェア
登山では、行動中の体温を活動に適した状態に保つために、役割の異なるウェアを重ね着します。ベースレイヤーはその中で直接肌に触れる最下層に着るウェアです。
寒い時期には「吸水性」「蒸散性」に「保温性」をプラス
ベースレイヤーの主な役割は、「吸水」と「蒸散」の2つ。肌面にかいた汗を素早く吸収する機能と、吸収した汗を生地の表面で拡散させて蒸発を促す機能が求められます。
ただし、秋冬シーズンは、この2つの機能を備えているだけでは十分と言えません。寒さで体温が低下するのを防ぐために、「吸水性」と「蒸散性」に加えて、肌面の起毛や生地の厚みによる「保温性」も気にしながら選びましょう。
素材は「化学繊維」「ウール」「ハイブリッド」の3つ
ベースレイヤーを選ぶとき、素材はウェアの性能を左右する重要なポイントです。ベースレイヤーに用いられる素材は主に、「化学繊維」「ウール」、化学繊維とウールを混紡した「ハイブリッド」の3つに分かれます。
化学繊維
繊維自体が水分を含まないので吸い上げた汗が乾きやすく、運動量の多いアクティビティや汗かきな人に適しています。繊維一本一本の強さによる耐久性の高さも特徴。秋冬シーズンには、肌面が起毛している保温性の高いモデルがおすすです。
ウール
速乾性と耐久性は化学繊維に劣りますが、繊維自体に保温性があるので、秋冬シーズンはこの暖かさが多くの登山者に好まれています。なかでもメリノウール(メリノ種の羊から採れる、繊維が細く柔らかな毛)を使用したベースレイヤーが主流です。
ウールの保温性の高さは、1平方メートルあたりの生地の重量(厚み)に影響されます。通年使用には150g/m2、秋冬には200g/m2を目安に選ぶといいでしょう。
ハイブリッド
化学繊維とウールの長所を併せ持ち、特筆すべき短所はありません。素材の配合率に左右されるものの、保温性、速乾性、耐久性をバランス良く備え、近年はハイブリッド素材を採用したベースレイヤーが増えています。
首回りの3大デザインを考える
素材の特徴をチェックできたら、次は首回りのデザインに注目。ベースレイヤーの首回りは「ラウンドネック」「ジップネック」「フード付き」の3つのタイプから選べます。
まずはラウンドネックとジップネックの特徴を見ていきましょう。
首回りがすっきりする「ラウンドネック」
ラウンドネックは丸首タイプとも言われ、首回りがスッキリする点が最大の特徴です。レイヤリングでは、シャツや同じラウンドネックタイプのウェアとも相性が良く、登山だけでなく日常にも使いやすいデザインといえます。
体温を調節できる「ジップネック」
ジップネックは、高めの襟でラウンドネックよりも保温性が高く、ファスナーを開け閉めすることで体温を調節できます。ただ、シャツやラウンドネックタイプのウェアとの組み合わせはミスマッチ。山での使用に特化したデザインといえるでしょう。
保護性能にもっとも優れる「フード付き」という選択肢
そして、今回注目するのがフード付きのデザインです。フードの特徴と、ベースレイヤーをフード付きにすることで得られるメリットを紹介します。
メリット①|暖かくてバラクラバよりも使いやすい!
気温が低いときや強い風が吹いているとき、フードを被るだけで暖かさを感じます。ハードシェルを羽織るほどではないけれど、フードを被って頭を保護したい、こういった状況でフード付きのウェアは役立つのです。
なかにはバラクラバのように鼻までカバーできるモデルもあり、こうなると、もはやバラクラバを用意する必要すらありません。
メリット②|フード付きベースレイヤーは財布に優しい?
一度フードのありがたみを知ってしまうと、登山のレイヤリングにフード付きの服を加えたくなるもの。なかには、ミッドレイヤーにはフード付きがマスト! と考えている方もいるのではないでしょうか? 現に筆者はそのひとりです。
ただ、ミッドレイヤーはフリースやアクティブインサレーションなど種類があり、タイプによって性能にも差があるため、新しいモデルが発売される度に、ついつい気になって欲しくなってしまいます……。
そのとき、毎回値段が高くなるフード付きを買うことを考えると、買い替えが少ないベースレイヤーをフード付きにして、ミッドレイヤーはフードが付かないタイプを購入したほうが経済的なのでは? 最近そんなことを考えるようになりました。
デメリット|首回りが窮屈に感じることも……
フード付きベースレイヤーとミッドレイヤーを重ね着したとき、場合によっては首回りで生地がだぶつき、それがストレスになることも。
ミッドレイヤーをフード付きにすると多少はストレスが解消されるものの、アウターを含めるとフードが3枚も重なることになり、それはそれで邪魔だったり……。
フード付きのベースレイヤーはミッドレイヤーとの相性を気にしながら選ぶのがおすすめです。
フード付きベースレイヤーおすすめ7選
フード付きのベースレイヤーは、寒さを感じたらすぐに頭を保護できる使い勝手の良いアイテムです。
そんなフード付きベースレイヤーにはどんな商品があるのか、今回はハイブリッド素材のウェア5着と、ウールと化学繊維素材のものをそれぞれ1着ずつ、計7つのモデルを紹介します!
①<ブラックダイヤモンド>メンズ ソリューション150メリノベースレイヤー1/2ジップフーディー
¥21,890
生地の重量(厚み)は一年中活躍する150g/m2。胸元のファスナーで行動中の体温を調節でき、気温が低いときは袖口のサムホールで手首まで覆うことが可能。素材には、耐久性、保温性、速乾性に優れるNuyarn社のメリノウールを厳選して使用しています。フロントファスナーが1/4になるウィメンズモデルも展開あり。

ブラックダイヤモンド 【メンズ】ソリューション150メリノベースレイヤー1/2ジップフーディー
素材 | メリノウールブレンドシングルジャージー(150g/m2、メリノウール78%、ポリエステル22%) |
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重量 | 220g(Mサイズ) |
サイズ | S〜L |
カラー | ブラック、ブラック/サイプレス |
ブラックダイヤモンド 【ウィメンズ】ソリューション150メリノベースレイヤー1/4ジップフーディー
素材 | メリノウールブレンドシングルジャージー(150g/m2、メリノウール78%、ポリエステル22%) |
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重量 | 187g(Mサイズ) |
サイズ | XS〜L |
カラー | ワイルドローズ、ブラック |
②<ファイントラック>メリノスピンサーモフーディ
¥12,100(メンズ)、¥11,770(ウィメンズ)
ポリエステル繊維に未防縮のメリノウールを巻きつけた独自素材を使い、ポリエステルの耐久性と吸水速乾性、メリノウール本来の保温性と調湿性、特殊加工で強化された消臭抗菌機能を搭載。空気を溜める2層の袋編み構造により保温性にも優れています。
身長:182cm 着用:Mサイズ

③<パタゴニア>キャプリーン・エア・フーディ
¥20,900
ニュージーランド産の高品質メリノウールに、リサイクル・ポリエステルを約5:5の割合で混紡した素材を使用。バランスのいい保温性、調湿性、吸水速乾性を備えています。生地は縫い目のないニット編みでストレッチ性に優れ、ソフトな着心地も特徴です。

④<ミレー>ワッフル ウール フーディー
¥16,500
主素材に18.5マイクロメートルの極細ウールを採用。細かな凹凸で保温性に優れるワッフル素材と縫い目のないコンピューター編みにより、ストレスのない柔らかな着心地を実現しています。脇下と襟の前面は編み方を変えて、通気性と伸縮性を高めたデザインです。
身長:182cm 着用:M-Lサイズ

⑤<ブリング>ワンダーウェアフーディ
¥15,400
縫い目のないニット構造で抜群のストレッチ性と優れた保温性を備え、頭に隙間なくフィットするフードのシルエットが好印象。柔らかい着心地で普段使いにもおすすめです。独自に回収した古着や廃繊維から再生したポリエステル繊維が30%使われています。ユニセックス展開です。

⑥<アクリマ>ウォームウール フード セーター ダブルジップ
¥22,000
19.5マイクロンのメリノウールを200g/m2の重量(厚み)で仕上げ、積雪期に最適な保温性を備えたモデル。フードを背面に逃すことができ、フロントファスナーは胸元から開閉可能。さらに右手の袖口に腕時計用のスリットがあるなど、見た目以上に機能満載の一着です。

⑦<ザ・ノース・フェイス>エクスペディショングリッドフリースフーディ
¥17,600
主繊維に採用した8本の突起をもつ中空糸「フューチャーグリッドフリース」の特徴により、軽量でありながら保温性と吸水速乾性に優れ、通気性も備えます。ベースレイヤーとして肌の上に直接着るだけでなく、薄手のベースレイヤーに重ねてミッドレイヤーとしても使用可能です。展開はユニセックス。

フード付きベースレイヤーを検討してみよう!
秋冬シーズンに着るベースレイヤーを選ぶとき、使われている素材に目星が付いたら、首回りのデザインにも注目。フード付きは頭の保護性能に優れるだけでなく、フード付きのベースレイヤーを基準にしてレイヤリングを組み立てると、ミッドレイヤーにかける費用を抑えられるかもしれません。
フード付きベースレイヤーが気になったら、紹介したアイテムを含めて積極的に検討してみましょう!