高尾山の天狗の正体とは

そして、高尾山といえば「天狗」。いたるところで見かけますが、高尾山とどんな関係があるのでしょうか?
廣田ガイド
この天狗というのは飯縄大権現の眷属(けんぞく)と考えられています。
簡単に言うと、おつきのものや使者と言った意味合いでしょうか。西洋の天使とも似た存在で、高尾山の天狗は飯縄大権現のお遣いというわけです。
そこかしこで見られる神仏習合の珍しい景観

ここにも、神仏習合の高尾山ならではの珍しい景観がありました。
大本堂の奥に「御本社」があり、さらにその奥に「奥之院」があるという配置になっています。お寺の中なのに鳥居がある、不思議な境内。
なにが不思議がいまいちピンとこない人はこちら神社と寺の違いをあらわした表を見てみてください。

通常鳥居は神社にあるものなので、お寺にはありません。また、本堂とは寺にある参拝の建物ですが、その奥に本社という御神体を奉安する神社由来の建物があるという状態が珍しい光景なんです。
廣田ガイド
御本社には飯縄大権現、奥之院には密教の仏である不動明王がいらっしゃいます。
まさに、高尾山ならではの神と仏のハイブリッドな世界観。
撮影:YAMA HACK編集部
奥之院から裏にまわると「富士浅間社」があります。登山口にもあった遥拝社と同じ役割を担っていたもので、ここには富士山の神様である浅間大権現が祀られています。

下山中にも薬王院を通りました。その途中、有喜閣の裏手に位置する「福徳弁財天洞」へと立ち寄りました。
すると、まさかの洞窟!
ここには八臂弁財天像(はっぴべんざいてん)が鎮座され、商売繁盛や福徳円満のご利益があるそうです。
歴史を知って見えた、懐の深い「高尾山」

最後は、高尾山名物・天狗焼をいただき、ケーブルカーで無事に下山。
高尾山の歴史を知って、どんな神様がいるのか想像しながら歩くことで、味わい深い登山となりました。
ライター 高橋
これまで視界に入ってはいたけれど、完全にスルーしていた景観にたくさんの意味があることを知り、高尾山の懐の深さを感じました。
歴史を知るだけで目に入る景色や印象って変わるんだなと実感。とても濃い時間を過ごせて、めちゃくちゃ楽しかった〜。
新しい山の楽しみ方として、神様登山おすすめです!
もっと山を深く味わうための神様登山を楽しむポイント
歴史的な背景を知って山をめぐる楽しさを実感した高尾山。
これからも山をもっと楽しむために、神様登山の押さえておきたいポイントをまとめていきます。
「少しだけその山の歴史や文化を知っておく」

山に登る時に、簡単にその山の歴史や文化・神様について知ってから登ることがポイント。知識をほんの少し入れて、その視点で山を登るだけで、新しい発見や世界が広がって、もっと山を深く楽しめます。
廣田ガイド
日本の場合、山の麓と山頂に神様が祀られていることが非常に多いので、その山に祀られている神様が、どんな神様なのかは気にして登るとおもしろいですよ。
今まで登ったことがある山でも、ちょっと神様の知識が入って視点が変わるだけで、急にそこが神聖な山に見えたり、輝いて見えることもあります(笑)。
僕が大切にしているのは、山の神様とはつまり大自然のことだから、感謝の気持ちと同時に畏れを持つことです。山の神様に怒られないように、ちょこっと遊ばせてもらう感覚ですね。
気になる作法のポイントは「最低限のマナーを守る」こと

寺社仏閣では作法なども厳しいのではとイメージしがち。確かに、大声で騒いだり周りへの配慮に欠けた行動はNGですが、最低限の参拝マナーを守れば細かいことは気にしすぎなくても大丈夫。あまりガチガチに考えなくていいものです。
廣田ガイド
山中にはお寺や神社が混在する場合など、どの作法に則ってお参りすればいいか悩むこともありますね。そんな時は、注連縄(しめなわ)の有無で考えるとわかりやすいでしょう。
例えば、寺院であったとしても、そこに注連縄が飾られていたら神道のマナーで参拝するというようにシンプルに考えるといいですよ。
知ればもっと山が味わい深く、楽しくなる!

少しの知識が入るだけで見える世界がぐっと広がって、通い慣れたいつもの山も少し違って見えてきます。その、いつもと違う視点が、次の山行の動機になっていくかもしれません。
山頂を目指して登るのもいいですが、歴史や神話を知って山をめぐる、そんな味わい深い登山もありですね。
山や周りにある自然への感謝と畏れを持って、謙虚な気持ちでぜひ試してみてください。
取材協力:髙尾山薬王院


