ひとそれぞれの山道具。編集部の愛用ギアを紹介します!
登山を楽しむために大切な「体力」「知識」「計画」、そして「登山ギア」。ただひと言で「登山ギア」といっても、ひとによって選び方は千差万別。
普段はみなさんが「#私の山道具」とハッシュタグをつけて、SNSに投稿されたアイテムを「ふむふむ」と見ている編集部ですが、今回の企画では5名のYAMA HACK編集部員がそれぞれの「私の山道具」を紹介します。
いつもは最新のギアやウェアの情報をいち早くお届けしている編集部。意外なもの、「なるほど!」なもの、「それ私も持ってる!」なもの、どんなものが出てくることやら。
編集部のメンバーが山のお供にしているギアたちを熱く語ります!
「とりあえず安いので」って選ばれがちなベースレイヤー達
編集部 大迫です。
ギアって言われると、ガスバーナーとかテントとかバックパックなどの”固そうなヤツ”ですが、今回は愛用しているベースレイヤーについて語ります。
突然ですが、皆さんはベースレイヤーをきちんと選んでいますか?
愛を語る前に、ベースレイヤーが抱える由々しき問題に少し触れておきます。
登山用品を揃えていくと登山靴、バックパック、レインウェア、ガスバーナー、テント、大容量のバックパック、そして高価格なカメラなど、お金がいくらあっても足りないんです。
そう
買わないといけないものがたくさんあるので「安くできるところは安くしたい!」という気持ち、とてもわかります!特にベースレイヤーって1,000円以下でも買えちゃうので、安く手に入れやすいんですよね。
もう一つの問題も
「登山道具の沼問題」の他にも、もう一つ。
これは嬉しいことなんですが、いろんな進化があり安くて機能的なアイテムが増えた問題。
「安かろう、悪かろう」であれば、それなりの金額のものを使おう!という気持ちになります。
ですが、正直なところ1,000円以下でも条件によっては登山で使えてしまうアイテムがたくさん。
そういうアイテムをうまく活用して登山を楽しむのも大賛成(むしろ私も100均アイテムなどをたくさん取り入れてます)。
ですが、ベースレイヤーにそれなりにお金をかけて快適に登山を楽しんでもらうためには、この問題が大きな壁になっているのです。
しかし皆さん、よく考えてみてください。安くていいものがあるのであれば、「お金をかければもっと良いものが手に入る!」って思いませんか?
ここから徐々に愛用ギアへ話は移ります。
まさにハイブリッド界の逸材!プリミノとは一体何者?
今回語るのは、主に秋冬の寒い時期のベースレイヤーとして一騎当千の活躍を見せてくれている「モンテイン プリミノ140ロングスリーブ」。
値段は10,450円(税込)と決して安いとは大声では言えないですが、それ相応どころかお値段以上のパフォーマンスを発揮してくれています。
早速、良さをお伝えしていきたいのですが、その前に知っておいて欲しい「化繊と天然素材の混紡ウェア」について解説。
私も登山を初めたころは、速乾性と金額を重視してポリエステル100%のウェアを愛用してました。
今でも運動量の高いアクティビティの時は速乾性を重視して使うこともありますが、歩いたり止まったりを繰り返す登山の時はこの速乾性がネックになることが・・・。
そう汗で濡れたウェアが速く乾くがゆえ、気化熱※1で冷えてしまうことがあったんです。
「歩くペースで調整しろ!」と言われると返す言葉もないですが、僕はこの汗冷え問題を解決するためにポリエステル✕ウールの「ハイブリッドウェア」に手を染めました。
いいとこ取りこそハイブリッドウェアの真骨頂
ハイブリッドウェアとはつまり、異なる素材を組み合わせた混紡のウェアのこと。
例えば僕の場合だと、
・ポリエステルの速乾性による冷え
・衣服内に広がる湿気のモワッと感が嫌
・でも汗っかきだから、適度に速乾性は欲しい
という、わがままな課題を抱えていました。
これをポリエステルの特徴(速乾性)とウール特徴(調湿性、ゆっくり乾く、保温性など)を持ったウェアをチョイスすることで解決。
もちろん単素材100%に比べると劣る部分もありますが、自分の欲しい機能といらない機能を取捨選択し、理想のベースレイヤーに出会ったのです。
このようにして理想の出会いを果たし、いろんなハイブリッドウェア沼にハマった後、やっと「プリミノ」が登場します。
お待たせしました。いや、お待たせしすぎたのかもしれません。
あの”プリマロフト”を配合!ナイスですね
プリミノの特徴を一言でいうと”プリマロフトが配合されたハイブリッドウェア”で、他のハイブリッドウェアよりも「濡れた時の暖かさ」が優れていると感じています。
登山中、肌の一番近くにずっといるベースレイヤーに求めたい機能は、濡れなどによって体を冷やしにくいこと。
プリマロフトは濡れても保温性が落ちにくいという性質があるため、よほどずぶ濡れにならない限り、濡れが原因で冷えるというは起きにくい素材の組み合わせになっています。
ポリエステル25%、メリノウール50%、プリマロフト25%の割合で素材が配合されており、「ポリエステルの速乾性」「メリノウールの吸湿性や熱伝導の低さ」「プリマロフトの保温性」のバランスが快適な登山をサポートしてくれます。
死角少なめのバランス型ベースレイヤーここにあり!
ここまでは素材についての説明でしたが、ここからは大迫が愛用した偏愛ポイントを語ります。
もう少し、お付き合いください。
総括すると他にない良さを持ちながらも、目立った弱点のないベースレイヤーだと言えます。
歩く分には問題なしの乾きのスピード
メリノウール100%よりも乾きは速く、ポリエステル100%より乾きは速くないというのが着用時の感想です。
トレイルランニングやハイペースのランニングなど、発汗量が多いアクティビティの場合だと濡れは多少気になります。しかし、登山のようにゆっくり歩くアクティビティであれば、しっかりと汗を吸って乾かしてくれるため、濡れで寒さを感じることはほとんどありません。
秋冬のベースレイヤーとして使った感想だと、登り(ハイクアップ)の時にバックパックを背負っている部分のウェアが汗で濡れることはあります。ですが、ベチャベチャになった経験はまだありません。ちなみに、控えめに言って汗はたくさんかくほうです。
また、プリマロフトやメリノウールが機能しているおかげか、ポリエステルのウェアより暖かく感じます。
ウール100%よりも速乾性に優れているので、ミレーのドライナミックメッシュと組み合わせることで、さらに濡れを遠ざけるようにしています。個人的に良い組み合わせだと思っているので、気になる方は試してみてください。
休憩中も日光があれば素早く乾くので、縦走時に何枚もウェアを持っていきたくない人にもおすすめ。冬場のトレイルランニング(10℃以下)でも使用しており、適度な保温性と乾きのおかげで休憩中に汗冷えしたことは今のところありません。
フィット感はあるものの、動きにくさはなし
フィット感はコンプレッションウェア(インナーに使われるピチッとしたウェア)ほどタイトではなく、程よく体にフィットする印象。ベースレイヤーたるもの体に寄り添い汗を吸い上げてもらう必要があるので、ゆったり派の人は慣れが必要かもしれません。
メリノウールとプリマロフトのしなやかさは健在なので、柔らかい部類に入る着心地。ただ、メリノ100%よりはコシがあってしっかりしています。
濡れても保温力あるってホントすごい
他のハイブリッドウェアとの一番の違いを感じたのが、汗などで濡れた時の暖かさ。これはさすが、プリマロフトといったところです。
元々、天然素材であるダウンの機能を化繊で叶える素材なので、その保温力は折り紙付き。
秋雨で濡れてしまった時の着心地は、不思議な感覚がありました。雨が降っており湿度が高い環境下だったので、ウェアがガンガン乾くということはなく、もちろん濡れて冷えてしまいましたが、プリマロフトが入っていないウェアにはない暖かさというか、保温維持力でした。
次、登山用品店に言ったら一度手にとってほしい
冒頭でも伝えたとおり、900円くらいのポリエステル素材のウェアでも条件さえ整えば山には登れます。ですが、せっかく行く山登りなので「登った!」だけでなく、快適なウェアを身に着けて登ってみてください。
今まで我慢していた不快感から開放されて、今までよりもっと景色がきれいに見られるかもしれません。
山の道具は好みや相性やスタイルもあるので、これが一番良い!ということは正直言いにくいですが、幅広いシーンに使える機能を持ったプリミノは一騎当千の活躍をしてくれるコスパの良いウェアです。
もし少しでもプリミノやハイブリッドウェアに興味を持ったのであれば、一度手にとってみてください。手触りだけでも、ハイブリッド沼にハマると思います。
今回紹介したアイテム
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延長戦:もう少しプリミノの話を聞きたい人は次のページへ
お付き合い、ありがとうございます。ここからは、ちょっとプリミノ欲しくなってきた人向けになります。
プリミノと言っても、実はいろいろと種類があるのでここからはその解説をします。ちなみに私が使っているのは「プリミノ140 ロングスリーブ」です。
秋冬の低山やオールシーズンなら140、雪山は220がおすすめ
生地の厚さは2種類。
■140:プリミノシリーズだと薄手タイプ。1枚でオールシーズン使いまわしたいという場合は、こちらがおすすめ。
■220:厚手タイプ。雪山や停滞することが多く、高い保温力をが必要な時におすすめ。主に秋冬に、寒さが厳しい環境で使いたい場合はこちら。
ウェアのタイプも4種類
半袖クルーネック、長袖クルーネック、ジップアップ、フーディの4種類あります。その他、タイツやアンダーウェア、手袋などの小物の展開も。
■クルーネック:個人的には重ね着もしやすく、見た目も本格派すぎないので使いまわしやすいタイプ。ただし、ジップがないので、温度調整という点では他のモデルに軍配があります。
■ハーフジップ:ジップがあるので熱くなった時に熱を開放できるのが魅力。完全に主観ですが、なんだか本格派っぽいできる登山者に見えるのはハーフジップだと思います。
■フーディ:フードやサムホールがついているので寒い時期にもピッタリ。斜めのジップもついているので、熱がこもったら換気も可能です。
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