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小屋泊にテント泊…1本あると便利なダウンパンツ

活動中はもちろんのこと、山小屋などでのリラックスタイムにも、とても便利なアイテム。ただ正直、安い買い物ではないので購入に失敗はしたくないですよね…。
また、各メーカーから様々なダウンパンツが出ていますが、ダウンパンツ初心者にとっては何が違うのか…どう選んでよいのか…なかなかイメージが湧きにくいアイテムでもあります。
そこで今回は、ダウンパンツ7モデルを徹底比較!実際にフィールドでも試し、それぞれの特徴をチェックしてみました。
今回検証するのは、6つのポイント×7モデル
まず、今回ダウンパンツを選ぶ際に確認したのは、下記の6つ。登山で使うことを考えると、どれも気になるポイントです。
①保温性|フィルパワーなど
一般的には600~700FPが良質ダウンとされていますが、登山・雪山などの厳しい環境下の場合は、高い数値のものを選んだ方がよいでしょう。
ただし「フィルパワー=保温力」ではなく、ダウンの品質や縫製など各社がさまざまな工夫をして保温力の高い商品を作っています。
※フィルパワー:ダウンが持っている反発力・復元力を数値化したもの。同じ量のダウンならフィルパワーが高いほうが空気を多く含むので、保温力が高くなります。
②重量|コンパクトに持ち運びできる
どれだけ暖かくでも、重くかさばるダウンパンツだとザックに入れたときに場所をとってしまいます。重さや携帯性なども合わせて確認したいポイント。
③素材|撥水性、伸縮性など
水に濡れると重くなり、保温性をがなくなってしまうのがダウンの弱点。
撥水加工、帯電防止や生地強度を上げたモノ、動きやすくするために伸縮性のある生地を採用したモノなど、商品ごとにさまざまな特徴があります。
④メンテナンス|自宅で洗濯できるか
汚れた際のメンテナンス方法も購入前に確認を。自宅で手洗いできるかできないか、製品によってはネットにいれて洗濯機で洗えるものもあります。長く愛用するために、メンテナンス方法もチェックしましょう。
⑤形状・デザイン|ウエスト、裾、ポケットの有無など
せっかく履くならスッキリとしたデザインを選びたいですよね。ポケットの有無、裾に紐をサイズ調整できるか、フロントジッパーの有無など。細かい仕様で履きやすさも変わってきます。また、サイズが合わないと隙間から風が入って冷えてしまうこともあるので、チェックしておきましょう。
⑥利用シーン|休憩時or活動時?
登山の休憩中に履くのか、山小屋やテント泊で室内で履くのか、それとも活動中に履くのか。登山中に使うのであれば、動きやすさを考慮したものを選ぶ必要があります。
自分が使うシーンを想定して、利用シーンに合ったものを選べるとよいですね。

メーカー・商品名 | 参考価格 | |
---|---|---|
A | マウンテンイクイップメント 「パウダーパンツ」 | 18,150円(税込) |
B | ナンガ 「マウンテンロッジダウンパンツ」 | 25,300円(税込) |
C | ミズノ 「ブレスサーモダウンパンツ」 | 14,300円(税込) |
D | モンベル 「ライトアルパインダウンパンツ」 | 16,060円(税込) |
E | ザ・ノース・フェイス 「アコンカグアパンツ」 | 25,300円(税込) |
F | マーモット 「デュースダウンパンツ」 | 22,000円 (税込) |
G | イーブンリバー 「ライトファイバーダウンパンツ」 | 8.360円(税込) |
ナンガ、モンベル、ザ・ノース・フェイスは複数のダウンパンツを展開していますが、今回は初めてでも購入しやすい価格帯のものを選びました。
※検証結果には個人的な感想も含みます。

気温:2度 / 標高:約600m / 風:弱い
検証①:保温性で選ぶなら?

氷点下の厳しい寒さの中で、さらに保温力を発揮出来そうです。
また、他のダウンパンについても、さすがアウトドア・スポーツメーカーのダウンパンツ。
保温性に関しては、正直どれもとても暖かく、以下の5点は個人的に同列でした。
A マウンテンイクイップメント「パウダーパンツ」
B ナンガ「マウンテンロッジダウンパンツ」
C ミズノ「ブレスサーモダウンパンツ」
D モンベル「ライトアルパインダウンパンツ」
F マーモット「デュースダウンパンツ」
履くと内側から温もりがあふれてくるような感じです。ダウンパンツの存在意義を存分に味わえる素晴らしい商品でした。
フィルパワーで比較すると?
今回の検証では、特別大きな違いは感じられませんでしたが、ダウンの品質を表す指標の「フィルパワー」もチェックしてみましょう。メーカー・商品名 | フィルパワー | |
---|---|---|
A | マウンテンイクイップメント 「パウダーパンツ」 | 700フィルパワー |
B | ナンガ 「マウンテンロッジダウンパンツ」 | 860フィルパワー |
C | ミズノ 「ブレスサーモダウンパンツ」 | 650フィルパワー |
D | モンベル 「ライトアルパインダウンパンツ」 | 800フィルパワー |
E | ザ・ノース・フェイス 「アコンカグアパンツ」 | 記載なし |
F | マーモット 「デュースダウンパンツ」 | 750フィルパワー |
G | イーブンリバー 「ライトファイバーダウンパンツ」 | 記載なし(中綿ポリエステル100%) |
ただ、今回検証した2度程度の気温なら十分に対応。他のダウンパンツのような内側から温もりがあふれる感じはありませんが、極寒の地でなければ十分活躍してくれそうです。
検証②:重量で選ぶなら?

今回は2.5Lサイズの下の写真の袋に入れて、家庭用の秤で計測しました。(袋の重さは計測時にマイナスに、ペットボトルは大きさの比較用です)
最も軽量だったのは?
マウンテンイクイップメント「パウダーパンツ」

収納サイズも500mlのペットボトルくらい。付属バックがついているのも嬉しいポイントです。

メーカー・商品名 | 重量 | |
---|---|---|
A | マウンテンイクイップメント「パウダーパンツ」 | 211g(Mサイズ) |
B | ナンガ「マウンテンロッジダウンパンツ」 | 276g(Mサイズ) |
C | ミズノ「ブレスサーモダウンパンツ」 | 253g(Lサイズ) |
D | モンベル「ライトアルパインダウンパンツ」 | 312g(Mサイズ) |
E | ザ・ノース・フェイス「アコンカグアパンツ」 | 380g(メンズS) |
F | マーモット「デュースダウンパンツ」 | 259g(Lサイズ) |
G | イーブンリバー「ライトファイバーダウンパンツ」 | 239g(Mサイズ) |
ミズノ「ブレスサーモダウンパンツ」は都合上、Lサイズでの比較になってしまいましたが、それでも253gと軽量です。
保温性の項目で一番効果を感じた「アコンカグアパンツ」は、一番重い380g。たった169gの差かもしれませんが、できるだけ荷物を軽くしたい登山では気になる人も出てくるかもしれませんね。
スタッフサックへの収納サイズも比較

やはり、最軽量のマウンテンイクイップメント「パウダーパンツ」はとってもコンパクトに。ザ・ノース・フェイスの「アコカグアパンツ」も他と比べて重量はありましたが、袋に入れると意外と小さくなりました。
他のダウンパンツは別で収納袋を準備する必要があるので、”スタッフサックのありなし”で選ぶのも一つですね。
検証③:素材で選ぶなら?

メーカー・商品名 | 表地・裏地/中綿 | 特徴 | |
---|---|---|---|
A | マウンテンイクイップメント 「パウダーパンツ」 | 表地・裏地:ナイロン 中綿:ホワイトダックダウン | 耐久はっ水加工の軽量生地を使用。内側はダウンの偏りをなくすジグザグパネルに |
B | ナンガ 「マウンテンロッジダウンパンツ」 | 表地・裏地:ナイロン 中綿:ポーリッシュグースダウン 93-7% | 10デニールの薄い生地を使用。膝周りはストレッチの布を使い、動きやすさを配慮 |
C | ミズノ 「ブレスサーモダウンパンツ」 | 表地・裏地:ポリエステル 中綿:ダウン90%、フェザー10% | 20デニールの軽量で丈夫なリップストップ生地を使用。 身頃上部芯地に、発熱素材「ブレスサーモ」を採用(体からの水分を吸収、その吸着熱を利用し、温度を上昇) |
D | モンベル 「ライトアルパインダウンパンツ」 | 表地・裏地:ナイロン 中綿:EXダウン(小羽枝の密度が高い高品質ダウン) | 20デニールの軽量で丈夫な自社開発の生地を使用。 尻・膝下は生地を二重にして補強。耐久はっ水加工・帯電防止加工 |
E | ザ・ノース・フェイス 「アコンカグアパンツ」 | 表地・裏地:ナイロン 中綿:ダウン72%、レーヨン20%、フェザー8% | 引き裂きに強く、はっ水性を備えたリップストップナイロンを使用。 中綿は遠赤外線効果で保温性が持続する「光電子Rダウン」を採用 |
F | マーモット 「デュースダウンパンツ」 | 表地・裏地: ナイロン 中綿:ダウン90% フェザー10% | はっ水加工down DEFENDERを施し、雨や水に濡れてもかさ高をキープしながら保温性を確保 |
G | イーブンリバー 「ライトファイバーダウンパンツ」 | 表地・裏地:ネイビー・ブラック・グレーはナイロン、カモブラックはポリエステル 中綿:ポリエステル100% | 総キルティングなので綿のヨレなども少なく長く愛用可能 |
丈夫なダウンパンツがいいのか、水に強いのがいいのか…何を優先するのかは使用シーンに合わせて選びましょう。
検証④:メンテナンス方法で選ぶなら?

メンテナンス・洗濯方法について、各商品の洗濯表示やホームページの記載、メーカーに問い合わせた内容は以下のとおり。
メーカー・商品名 | メンテナンス・洗濯方法 | |
---|---|---|
A | マウンテンイクイップメント「パウダーパンツ」 | 自宅で洗濯可能 洗濯機及び、脱水機は避けてください 乾燥機の使用は推奨していません |
B | ナンガ「マウンテンロッジダウンパンツ」 | 自宅の洗濯機で洗濯可能 |
C | ミズノ「ブレスサーモダウンパンツ」 | 推奨は、石油系溶剤のドライクリーニング。基本は水洗い不可 ・ダウンは濡れたまま放置すると、カビが生えることもあるため、 しっかり乾燥させてください。 ・もし手洗いをする場合は、溶剤が残ると生地にシミが発生する場合があります すすぎをしっかり行うようにして下さい ・また機能性として謳ってはいませんが、表地には撥水加工を施しています 洗濯溶剤の残留は撥水効果を落とす要因になります |
D | モンベル「ライトアルパインダウンパンツ」 | 自宅で手洗い可能 |
E | ザ・ノース・フェイス「アコンカグアパンツ」 | 洗濯表示に従い、中性洗剤を使用して自宅でも手洗い可能 ただし、専門のクリーニング業者へ出すことを推奨 |
F | マーモット「デュースダウンパンツ」 | 洗濯処理:40℃限度 手洗い 漂白処理:酸素系漂白剤の使用が可能 タンブル乾燥:低温60℃まで 自然乾燥、日陰、吊り干し アイロンNG ドライクリーニング:石油系溶剤ドライクリーニング弱い処理 ウェットクリーニング:弱い処理 |
G | イーブンリバー「ライトファイバーダウンパンツ」 | 表面の汚れはできるだけ石けん水で拭き取ってください 手洗い推奨、洗濯機・乾燥機の使用、ドライクリーニング不可 乾燥は日光を避けて必ず陰干しに |
検証⑤:形状・デザインで選ぶなら?

モデル身長:168㎝/58㎏
薄手のジャージパンツの上に重ね履きをし、実際に各社のダウンパンツを履き比べてみました。シルエットにはかなり違いがありますね。
それぞれのダウンパンツについて、ウエスト部分と裾部分、その他特徴あるパーツを紹介します。
A:マウンテンイクイップメント「パウダーパンツ」(Mサイズ)


両サイドにはポケット付。休憩中に使う時は、携帯などちょっとした物を入れておくのに、ポケットって意外と便利です。
B:ナンガ「マウンテンロッジダウンパンツ」Mサイズ


ウエストにはジッパーがついており、脱ぎ着も楽々。紐でサイズ調整も可能です。こちらも両サイドにはポケットがついています。
C:ミズノ「ブレスサーモダウンパンツ」Lサイズ


ウエストはジッパー付。紐はついていませんが、サイズが合わなければ中のゴムで調整することも可能。両サイドにはポケットがついています。
D:モンベル「ライトアルパインダウンパンツ」Mサイズ


ウエストにはジッパーがついており、紐で調整も可能。両サイドにはジッパー付のポケットがついています。

E:ザ・ノース・フェイス「アコンカグアパンツ」Sサイズ


ウエスト部分はジッパー付。さらにサイドのマジックテープでサイズの調整ができます。両サイドのポケットにはジッパーがついているので、落下防止にもばっちり。
F:マーモット「デュースダウンパンツ」Lサイズ


ウエストにはジッパーがなくスッポリと履くデザインですが、紐で調整が可能。(注:モデルによっては、フロントジッパータイプのものもあります)両サイドにはポケットがついています。
こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
G:イーブンリバー「ライトファイバーダウンパンツ」Mサイズ


ウエストはゴムで、ジッパー付。両サイドにはポケットもついています。
最初の1本、どのダウンパンツを選ぶ?

さすがアウトドア向けの商品・・・どの商品も素晴らしかったので、「何を優先に選ぶのか」で選んでみてくださいね。
どんなシーンで使うかによってダウンパンツの選び方も変わってきます。あくまで履き心地による私のイメージにはなりますが…、シーン別におすすめパンツを選出してみました。
▼山小屋でリラックスしたいときに履きたい
ナンガ「ポータブルダウンパンツ」
とにかく肌触りがよくて、履き心地が柔らかい。活動時に履くのもももちろん良いですが、膝の曲げ伸ばしもしやすいので、くつろぎタイムがメインに使うのが特におすすめです。値段が高く、少し重いのが難点…。
▼極寒の地で天体観測するときに履きたい
ザ・ノース・フェイス「アコンカグアパンツ」
防寒性に優れているので、寒冷地でしっかりパワーを発揮してくれそう。羽毛がギュッと詰まっていて、履き心地が少しかためなので、激しく動く場合には少し足さばきに影響が出るかもしれません。こちらも値段が少し高く重いので、とにかく暖かさ重視の人にはおすすめです。
▼全体のバランスが良く、コスパの高いダウンパンツ
ミズノ「ブレスサーモパンツ」
モンベル「ライトアルパインダウンパンツ」
値段だけ見ると、イーブンリバー 「ライトファイバーダウンパンツ」が一番安かったのですが、登山向けの高性能パンツの中ではこの2本が値段とのバランスが良く、おすすめです。保温性や携行性はもちろんのこと、日本人の体型に合ったフィット感も魅力。
▼普段履きにしたいダウンパンツ
イーブンリバー「ライトファイバーダウンパンツ」
羽毛のダウンパンツと比較したら暖かさは劣りますが、軽くて動きやすい、そして価格も安いので気軽に履けるのがポイント。氷点下になる場所でなければ、十分活躍してくれそう。
「もし1番のおすすめは?」と言われたら・・・個人的な好みでは、総合評価でマウンテンイクイップメント「パウダーパンツ」です。
ただ、コストパフォーマンスを考えると、モンベル・ミズノは超優秀!同じく日本メーカーのナンガは、手元に置いておきたい愛おしくなるような上質な商品です。本当に甲乙つけがたい結果になりました。
暖かく快適に過ごせるダウンパンツがあれば、寒い時期のアウトドアや登山もさらに快適に!自分に合ったお気に入りのアイテムを味方につけて、冬のアクティビティをさらに楽しんでくださいね。
今回試した商品
サイズ:XS、S、M、L、XL
素材:表地・裏地 ナイロン100%、中綿 羽毛
サイズ:S、M、L、LL
素材:表裏生地 ナイロン、中綿 SPDX(ポーリッシュグースダウン 93-7% 860FP)
素材: 表地 ポリエステル100% 裏地 ポリエステル100% 中綿 ダウン90%、フェザー10% 身頃上部芯地:合成繊維(ブレスサーモ)65%、ナイロン35%
サイズ:M、L、XL
素材 :Ripstop Nylon(ナイロン100%)/中わた:CLEANDOWN® 光電子®(ダウン72%、レーヨン20%、その他の羽毛8%)
サイズ:S、M、L、XL
素材:表地 ナイロン100% 、裏地 ナイロン 、中わた ダウン90%・フェザー10%
サイズ:S、M、L、LL
カラー:ネイビー、ブラック、カモフラブラック、カモフラグレー
素材:生地 ナイロン・ポリエステル、中綿 ポリエステル100%
モンベル|ライトアルパイン ダウンパンツ
