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高尾のアトリエから始まる<jindaiji mountain works>の新しいガレージブランド考(3ページ目)

アトリエのミシン

撮影:編集部(アトリエで使っているミシン)

このとき、39歳。
jindaijiの名前にもなっている、調布市深大寺のマンションを引き払い、家賃の安い津久井湖のアパートへ。「縫えた分だけの歩合制」という収入は会社員時代の生活そのものを変えざるを得ませんでした。1年続けたものの貯金も尽き、もう潮時かな……と思いかけたとき、初めて「大学卒の初任給程度」まで自分のミシンのスキルで稼ぐことができたと言います。

そうこうして、約8年間。
ジャキさんが得たのは「1800張近い数のULシェルターを縫った」という確固たる経験でした。それに加え、当時のローカスギアではまだ大手メーカーにも供給されていなかった素材を取り扱うなど、アウトドアギア業界の最先端に立っていました。

ついに自身のブランドを立ち上げる

パックマンベスト

撮影:編集部(パックマンベスト)

2018年12月開催の「バイクロア」(自転車系イベント)で自身のブランドのお披露目を果たしました。

最初のアイテムは「パックマンベスト」というバックパックに干渉しないベスト型のポーチ。ジャキさん自身が山を歩き渓流釣りをする経験から生まれたものですが、自転車でも使いやすいようデザインされています。

「サコッシュ、財布、Tシャツ、は立ち上げではやらないと決めてました」

2018年といえば、この3つは「ガレージブランドの三種の神器」ではないですが、作れば売れる可能性が高い人気アイテムでした。そこにあえて手を付けなかったのです。

「やらなかった理由は、友人を含めたアウトドアメーカーへの強いリスペクトがあるから。(サコッシュでも別の商品でも)すでに工夫を重ねたいい商品を作っているひとたちがいる。それならば、自分は『得意な部分』でものづくりをしようと思ったんです」

ユーザーがどう使うか。「余白」が残るギア

使い込んだヒルビリーポット

撮影:編集部

さて、冒頭のクールなヒルビリーポットでしたが、アトリエで目にしたのは、煤けて貫禄のついたもの。

「お客さんから『リフター(取っ手)を使うと、傷がついてしまった』と問い合わせがあるんですけど、柔らかいアルミだからぶつければ変形もするし傷もつく。でも焚き火のような直火に入れたり、米を炊いたりできるのがアルミの良さ。これ(煤けたポット)でお湯を沸かすと、ちょっとスモーキーな香りがするんですよ」

使い込んだヒルビリーポット

撮影:編集部(フチもリフターでつかむことで傷がついてしまうが、これも味のひとつ)

他社アイテムとのスタッキングもできる余白感

ヒルビリーポットのスタッキング

撮影:編集部(スタッキングあれこれ)

ヒルビリーポットには350と550の2種類がありますが、入れ子にするとジャストではなく、少し「余白」が生まれます。自社製品同士であれば、びったり作るのが王道ですが、あえての余白。

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