アイキャッチ画像:長谷川拓司
やっぱり欲しいよね、このテント

2018年に長野県松本市に誕生した、アウトドアブランド「ZANE ARTS(ゼインアーツ)」。機能と藝術の融合をコンセプトにしたプロダクトは、既存のキャンプギアに飽き足りない、個性を重視するキャンパーを中心に評価を得ています。
2024年頃からは、登山用のプロダクトにも注力。円安や物価高によって5万円以上の国内ブランドの山岳テント、7万円以上の欧米ブランドのULテントが多いなかで、ゼインアーツは約4万円の『YAR-2(ヤール2)』を発売。機能性とデザイン性、さらにコストパフォーマンスに長けた最小重量950gの軽量1~2人用山岳テントは、完売状態が続いています。
ヤール2を試し張りしてレビュー記事にもまとめていますが、山岳テントらしからぬカラー、高山でも快適に過ごせる機能と軽さのバランスのよさが特長です。
登山に使える3つのプロダクトをセレクトしました!

そんなゼインアーツには山岳テント以外にも、登山で使えるプロダクトがあります。チタン製のマグやポットも気になるのですが、残念ながら完売しているので、今回は秋冬ですぐに使えるモノをセレクトしてみました。
山で目立つエマージェンシーカラーの多い登山ギアと対極にある、自然に溶け込むカラーと雰囲気は、いずれもゼインアーツらしさを醸し出している逸品です。
では、まずはサーモボトルから深掘りしましょう!
①登山用サーモボトルの最軽量!しかも安価で見た目もシンプル!!

ゼインアーツらしさを堪能できる、美しいサーモボトルの『ダブルウォールボトル500』。そのスペックは以下の通り。
- 商品名
- ダブルウォールボトル500
- 価格
- 3,267円(税込)
- サイズ
- Φ65×215mm
- 重量
- 195g
- 保温力
- 77℃以上(6時間後)
- 保冷力
- 7度以下(6時間後)
定番山岳サーモボトルのモンベル/アルパインサーモボトル0.5L(4,400円) の重量は237g、最軽量級のモンベル/チタン アルパインサーモボトル0.5L(8,000円)が200g。ダブルウォールボトル500は195g!
軽さが正義だと思っているハイカーさんは、コレを選ばなくてはなりません!しかも価格はチタン アルパインサーモボトル0.5Lの半額以下です。
ちなみにこのダブルウォールボトル500、本体はステンレス製ですが、フタはチタン製という変わり種。軽さと美しさ、そして機能性を追求したプロダクトといえます。
直飲みタイプなので、保温力は中栓タイプに及ばず……

メーカー公表の保温力は、77℃以上(6時間後)。同じ公表値の保温力のサーモス山専用ボトルと、クルマ移動2時間、気温9℃の屋外で4時間、合計6時間後の湯温を計測した結果が、上画像です。
サーモボトルは、ダブルウォールボトル500のようなフタがひとつの直飲みタイプよりも、断熱素材を装備した中栓+カップタイプのサーモス山専用のようなボトルの方が、保温力が高いんです。公表値は同じですが、実際の登山時にはサーモス山専用ボトルの方が、温かい湯を得られることがわかりました。
とはいえ、直飲みタイプのサーモボトルとしては、トップクラスの保温力があることは間違いありません。
つくり込みの徹底具合は、「さすが!」なんです

チタンで包まれたフタには、保温材を封入。もっとも熱が逃げるフタにも保温機能を装備したことで、高い保温力を実現しています。街での使用を主とした通常のサーモボトルは、ここまではしません。登山で使うことを想定しているからこその、つくりです。

高い保温力を装備している理由は、本体の構造にもあります。
ステンレス真空二重構造に加えて、内側に銅コーティングを施し、熱移動を抑制。さらにその内側は鏡面加工によって、汚れが付着しにくくなっています。約3,000円の価格で、ここまで徹底してつくり込むことに、正直感心します。

ボトル本体の直径は65ミリと、スリム。だから女性でも持ちやすく、バックパックのサイドポケットにも収まりやすい大きさになっています。サーモス山専の直径は70ミリなんですが、わずか5ミリの差ですが、手に持った印象は結構違います。
このスリムさは、直飲みする際にもちょうどよい細さに思えました。と、そこで思い付いて0.5Lのペットボトルの直径を測ってみたら65ミリ。なるほど、もちやすい訳です。
②コスパの高さで評判のアレよりも、さらにコスパ上

登山テントのヤール同様に、ゼインアーツらしさを感じられるプロダクトが、850フィルパワーのグースダウンを使用した寝袋『クモ』です。ふっくらとした上質のグースダウンが提供してくれる寝心地は、まさに「雲」の上のようです。
スペックは以下の通りです。
- 商品名
- クモ450
- 価格
- 32,978円(税込)
- 重量
- レギュラー:700g、ショート:680g
- 使用サイズ
- レギュラー:75×206cm(身長183cmまで)、ショート:75×184cm(身長165cmまで)
- 収納サイズ
- Φ20×H35cm(さらにコンプレッション可)
- 対応温度域
- 快適温度:1℃、下限温度:-4℃

驚くのは、価格です。ほぼ同性能の、800フィルパワーのダウン、重量0℃、快適温度0℃のモンベル/シームレス ダウンハガー800 #2が、42,900円に対して、約1万円も安価です。もちろん仕様は異なりますが、重量はクモ700g、ダウンハガー703gとほぼ同じです。
ちなみに、クモはダウン封入量によって、この450以外に、300、600、750、900というモデルがあって、300はモンベル/シームレスダウンハガー800 #3と同等の対応温度域。価格はクモ300が28,578円、ダウンハガー36,300円。
コスパにすぐれたダウンハガーのさらに上を行く、コスパをクモは実現しています!これは感心を越えて、驚きです!!
膝を曲げても寝られる、ちょうどよい幅を装備

ダウンハガーは、ストレッチ素材によって膝を曲げて寝ることもできる仕様になっていますが、クモは窮屈過ぎないゆとりのある幅を装備。それにより寝袋内部のダウンを封入したボックスを歪ませずに保温力を得るだけでなく、膝を曲げて寝ることも可能。つまり、快適な睡眠をサポートしてくれます。
ファスナーが噛むことなく、ストレスフリー

どんなにフカフカの寝袋でも、寝起きの際のファスナーの開閉時に、軽量でソフトなシェル素材を噛んでファスナーが動かなくなると、絶望します。登山で疲れた身体を変に曲げながらファスナーを動かそうとすると、ピキッとツる原因になりますし……。
でも、クモのファスナーは、そんな絶望を何度も味わったことがある人がつくってくれたのでしょう。上画像の黄色矢印部の大きな樹脂製のスライダーは、軽減どころではなく、噛み込み知らずです!このパーツを装備しているというだけで、クモを選びたくなるくらいにストレスフリーです。
でもですね、なんかちょっと大きい……と思ったら!

付属の収納バッグは大きめで出し入れしやすく、しかも完全防水のロールトップ式。シール処理もされているので、バックパックに収納している際に濡れて、保温力が落ちてしまう……なんてことも防いでくれます。
でも、寝袋を入れて、クルクルっと開口部を少し巻いた状態だとかなり大きいんです。その長さ48cm。これをバックパックに収納するくらいなら、寝袋単体をバックパックの底に入れて潰したほうがよさそうだなぁ……と。U.L.ハイクでは、そうした方法があるんですが、でもそれだと防水バッグの意味がなくなってしまいます。
ならばと、ギューギューっと寝袋を押し込んで、クルクルクルクルっと開口部をかなり巻き込んでみたら、長さ28cmまで圧縮できました。
圧縮するストラップ付きだと重量が増すので、そこは自分でやって!ということなんですね。この大きさなら、登山にも対応するコンパクトさ。十分です!


