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“剱岳”のプロと登頂者が語る!一般登山道の国内最難関ルート攻略の秘訣(2ページ目)

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小屋番が語る登山者へのアドバイス

劔澤小屋ご主人の佐伯さん
撮影:washio daisuke(剱澤小屋3代目主人・佐伯新平さん)

山小屋のご主人やスタッフは、登山道の整備はもちろん、遭難事故が発生した際には警察・消防と連携して救助活動を行う民間救助隊の役割も担っています。

今回、剱岳を知り尽くした剱澤小屋の3代目主人・佐伯新平さんに剱岳の特徴を伺いました。

剱岳の登山を難しくしている要素①|雪の影響

残雪と劔岳
撮影:washio daisuke(谷筋には初秋でも雪が残る剱岳)

一服剱手前の斜面やカニノタテバイ手前の平蔵のコルには、遅い年だと7月下旬から8月上旬まで登山道に雪が残ります。

一般的な夏山と同じ考えで、海の日連休や梅雨明け十日に訪れる人の中にはこの事を知らずにアイゼンを持たない登山者も少なくありません。降雪や凍結の心配がないのは9月20日頃までなので、快適に登れる期間は約2ヶ月弱。

さらに台風や停滞前線などの影響を考慮すると、良いコンディションで登山できるのは1シーズンのうち30~40日程度ではないでしょうか。

剱岳の登山を難しくしている要素②|山頂近くに山小屋がない

劔山荘
撮影:washio daisuke’剱岳山頂から最寄りの山小屋・剣山荘まではコースタイムで約2時間・左奥に見えるのが剱澤小屋)

山頂直下に山小屋がある槍ヶ岳・奥穂高岳・大キレットなどと違い、ルート上で給水場所や避難場所がないことも剱岳の登山では考慮が必要です。

山頂から最寄りの山小屋まで、最低でも2時間。日本海に近くガスが湧きやすい立地、鎖やハシゴやピンなどの「金物」が多い稜線での雷雨時のリスク。

アタックのタイミングを天候の良い時間帯に設定できるかも、登頂の重要な要素になります。

限られたチャンスを掴み取る!

岩稜帯
撮影:washio daisuke(好天の山頂に立つために…)

自宅で週間天気予報を見ながら予定を立てていては、限られたチャンスを掴み取ることはできません。

私は、小屋入りされるお客様に明日の天気を聞かれても、それは明日にしかわからないと答えています。自宅でも山麓でも室堂でもなく、剱沢まで来てスタンバイして欲しいのが本音。そこで初めて、剱岳登頂へのバッターボックスに立てるのです。

山は週末や連休など、登山者のスケジュールに合わせてくれることはありません。剱沢で最低2連泊する計画であれば、登頂のチャンスは増えます。残念ながら天候に恵まれなくても、前剱付近まで行って剱岳の一端に触れることも可能です。

剱岳が憧れの山であるならば、ひと夏くらいは山に自分のスケジュールを合わせてみる価値はあると思いますよ。

剱岳の天気と地図をチェック!

剱岳のふもと(立山町)の10日間天気

日付11月23日
11月24日
(月)
11月25日
(火)
11月26日
(水)
11月27日
(木)
11月28日
(金)
11月29日
11月30日
12月01日
(月)
12月02日
(火)
天気晴
晴のち曇
晴のち曇
曇のち雨
曇のち雨
雨のち曇
雨のち曇
晴時々曇
晴時々曇
曇時々雨
曇時々雨
曇時々晴
曇時々晴
曇時々雨
曇時々雨
雨時々曇
雨時々曇
雨時々曇
雨時々曇
気温
(℃)
18
5
18
6
18
7
11
8
15
3
13
9
13
5
14
7
10
6
11
4
降水
確率
10309080409040707080

剱岳の登山指数

日付11月24日
(月)
11月25日
(火)
11月26日
(水)
11月27日
(木)
11月28日
(金)
登山
指数
A C C A C
登山指数の留意点

登山をするための快適さを、山頂や山麓の気象条件から、気象学的知見を用いて登山指数A~Cで表現をしています。降水量、風速、雲量などを総合的に考慮し、気象条件を独自計算したものです。
ただし、以下のリスクは含まれておりません。

  • 雷の発生の可能性
  • 前日の天気による道のぬかるみ
  • 局地的大雨
  • 土砂災害の発生の可能性
  • 雪崩の発生の可能性
  • 噴火の可能性
  • 積雪の有無
  • 濃霧
  • 低温または高温
  • 虫やヒルなどの発生状況

山の天気は大きく変わりやすいため、登山指数はあくまで目安としてご利用頂き、最新の気象データや天気図、各登山道情報をご確認ください。
なお、本情報に基づいた行為において発生したいかなる人物の負傷・死亡、所有物の損失・損害に対する全ての求償の責は負いかねます。ご了承下さい。

剱岳周辺の山と高原地図

剱岳に誠意と敬意を持って

劔沢小屋の看板
撮影:washio daisuke(剱沢小屋からの剱岳)

最後に……別山尾根ルートは事故が起これば大事になりますが、その発生件数自体は他の山域と比べて決して多くはありません。

剱岳という山に誠意と敬意を持って、ルート状況と天候にしっかり向き合うことで、安全な登山を楽しんでください。

剱澤小屋ホームページ

登頂経験者に気になる一問一答!

別山尾根ルートからの剱岳登頂経験のある登山者7名(組)に、チャレンジした時の気持ちや情報収集の方法を聞いてみました(2019年取材)。

登山歴5年目で初登頂:リリーさん

リリーさんの声
撮影:washio daisuke(剱岳にチャレンジする前の「最も大変・危険だった山」はトレーニングとして山岳会で行った医王山・トンビ岩コース)

ーーー剱岳にチャレンジする前の情報収集で活用したものは?

所属する山岳会の先輩に連れて行ってもらったので特にありません。

ーーー実際に登ってみて、怖かった・危険だと感じた場所はどこ?

カニノタテバイ・カニノヨコバイ

ーーー剱岳に登ってみて、感じたコト・変わったコトは?

やればできる!

登山歴25年目で初登頂:佐々木盛邦さん

佐々木さんの声
撮影:washio daisuke(剱岳にチャレンジする前の「最も大変・危険だった山」は大キレット縦走)

ーーー剱岳にチャレンジする前の情報収集で活用したものは?

ガイドブック

ーーー実際に登ってみて、怖かった・危険だと感じた場所はどこ?

カニノヨコバイ

ーーー剱岳に登ってみて、感じたコト・変わったコトは?

他の山と比べて達成感の高さはひときわ!

登山歴10年目で初登頂:T.Mさん

T.Mさんの声
撮影:washio daisuke(剱岳にチャレンジする前の「最も大変・危険だった山」は悪天候の中で登った北岳)

ーーー剱岳にチャレンジする前の情報収集で活用したものは?

山と高原地図/ヤマレコ・YAMAPなどの登山記録

ーーー実際に登ってみて、怖かった・危険だと感じた場所はどこ?

前剱先の鉄のブリッジ(風が強かったので尚更)

ーーー剱岳に登ってみて、感じたコト・変わったコトは?

強風の中での幕営にも苦労しました…。

登山歴8年目で初登頂:chib4さんご夫妻

Chib3ご夫妻の声
撮影:washio daisuke(剱岳にチャレンジする前の「最も大変・危険だった山」は前穂高岳~吊尾根~奥穂高岳~大キレット~槍ヶ岳縦走)

ーーー剱岳にチャレンジする前の情報収集で活用したものは?

ヤマレコの登山記録

ーーー実際に登ってみて、怖かった・危険だと感じた場所はどこ?

下りのザレ場(気が抜けて転倒しやすいため)

ーーー剱岳に登ってみて、感じたコト・変わったコトは?

北アルプスのほぼ全山から富士山までの大展望に感動!

登山歴2年目で初登頂:shuさん

Shuさんの声
提供:Instagram/_shupy(剱岳にチャレンジする前の「最も大変・危険だった山」は西穂高岳~ジャンダルム〜奥穂高岳縦走)

ーーー剱岳にチャレンジする前の情報収集で活用したものは?

ヤマレコの登山記録

ーーー実際に登ってみて、怖かった・危険だと感じた場所はどこ?

登山者が渋滞するセクションでの人工落石

ーーー剱岳に登ってみて、感じたコト・変わったコトは?

最高難易度だと思っていた剱岳に登頂したことが、現在取り組んでいるクライミングへのターニングポイントになった。

登山歴1年目で初登頂:Micoさん

Micoさんの声
提供:Instagram/micopipi0820(剱岳にチャレンジする前の「最も大変・危険だった山」は大変さでは甲斐駒ケ岳、危険さでは宝剣岳)

ーーー剱岳にチャレンジする前の情報収集で活用したものは?

Yamakei OnlineなどWebの記事

ーーー実際に登ってみて、怖かった・危険だと感じた場所はどこ?

下りで足が疲れている状態でのザレ場の浮石

ーーー剱岳に登ってみて、感じたコト・変わったコトは?

剱沢へのアプローチまでのスタミナを含め、自分自身の1年間の登山の成長を実感できたこと。

登山歴2年目で初登頂:Tama&Shintaroさん

Tama&Shintaroさんの声
撮影:washio daisuke(剱岳にチャレンジする前の「最も大変・危険だった山」は槍ヶ岳・穂先のハシゴ)

ーーー剱岳にチャレンジする前の情報収集で活用したものは?

ヤマレコ・YAMAPなどの登山記録

ーーー実際に登ってみて、怖かった・危険だと感じた場所はどこ?

特になし!

ーーー剱岳に登ってみて、感じたコト・変わったコトは?

思っていたよりも簡単に登頂できた!

※お二人はマッターホルンの登頂経験もあり、取材時はプロガイド同行でバリエーションルートで剱岳に挑まれた強者です

様々な経歴の登頂経験者の声を、剱岳チャレンジのイメージづくりに役立てて下さい。そしてしっかりと計画を立て、万全の体制で望みましょう。

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